涼子は同じ深井駅の私の住むマンションとは線路を越えて反対側のアパートで一人で暮らしていた。
結婚したことがあると言っていた。
仕事には付かず、無職だった。
涼子の部屋へ行った時、部屋には山積みする程の病院からもらった薬が無造作に置いてあった。
涼子を初めて見た時、誰もが彼女は重い病気を持っているとわかった。
彼女の肌の色は黒くくすんでいて、目の色は黄色みがかっていた。
黄疸が出ていたのである。
それは、アルコール性肝炎で死んだ私の兄の表情とそっくりであった。
涼子の腹は妊婦の臨月のように膨れていた。
肝硬変の末期の症状だ。
にも拘らず彼女は毎日缶酎ハイを浴びるほど飲み続けていたのである。
彼女の昼と夜は逆転していた。
毎日夜中まで酒を飲み、そして次の日は昼過ぎまで死んだように眠っていた。
起きた時の彼女の顔は他人と見間違うほどに腫れていて、そしてアルコールの抜けた彼女は別人と思うほど静かで元気がなかった。
彼女は間違いなく毎日自分で自分の命を縮めていた。
涼子は呑み屋では「涼ちゃん」と皆から呼ばれていた。
それで私も彼女を「リョウ」と呼んだ。リョウは私のことを「兄ちゃん」と呼んだ。
肝硬変の末期のリョウは働くこともできず、生活保護を受けて暮らしていた。
酎ハイを飲みながら話すことは、いつも決まっていて、中学生の時スケバンに喧嘩で勝ったこと、そして結婚した亭主の話、そして同和教育の授業に自分だけ行かせられたこと等だった。
中学卒業後の話をリョウから聞いたことはなかった。
リョウは高校へ進学しなかったのだ。懐かしむ楽しい友達の思い出は中学時代でリョウの心の中では止まってしまっているかのように私は思えた。
私はリョウの寂しさはその辺にあるのかな?と思った。
結婚したことがあると言っていた。
仕事には付かず、無職だった。
涼子の部屋へ行った時、部屋には山積みする程の病院からもらった薬が無造作に置いてあった。
涼子を初めて見た時、誰もが彼女は重い病気を持っているとわかった。
彼女の肌の色は黒くくすんでいて、目の色は黄色みがかっていた。
黄疸が出ていたのである。
それは、アルコール性肝炎で死んだ私の兄の表情とそっくりであった。
涼子の腹は妊婦の臨月のように膨れていた。
肝硬変の末期の症状だ。
にも拘らず彼女は毎日缶酎ハイを浴びるほど飲み続けていたのである。
彼女の昼と夜は逆転していた。
毎日夜中まで酒を飲み、そして次の日は昼過ぎまで死んだように眠っていた。
起きた時の彼女の顔は他人と見間違うほどに腫れていて、そしてアルコールの抜けた彼女は別人と思うほど静かで元気がなかった。
彼女は間違いなく毎日自分で自分の命を縮めていた。
涼子は呑み屋では「涼ちゃん」と皆から呼ばれていた。
それで私も彼女を「リョウ」と呼んだ。リョウは私のことを「兄ちゃん」と呼んだ。
肝硬変の末期のリョウは働くこともできず、生活保護を受けて暮らしていた。
酎ハイを飲みながら話すことは、いつも決まっていて、中学生の時スケバンに喧嘩で勝ったこと、そして結婚した亭主の話、そして同和教育の授業に自分だけ行かせられたこと等だった。
中学卒業後の話をリョウから聞いたことはなかった。
リョウは高校へ進学しなかったのだ。懐かしむ楽しい友達の思い出は中学時代でリョウの心の中では止まってしまっているかのように私は思えた。
私はリョウの寂しさはその辺にあるのかな?と思った。