カラスといちごとクロッカスと

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ヤマブキも?

2022年12月21日 08時00分00秒 | バラ科
2022.04.20撮影

ご存知の方も多いと思いますが、動植物の学名の種名は、
「属名+種小名」
で成り立っています。

このように名前をふたつ連ねて動植物を命名することを、二名法といいます。

高校生 5分でわかる! 二名法

「属名+種小名」の種小名は、属名を形容するものだ、と考えていいです。

例えば、昨日書きました日本原産(そして、多分、固有)のボケ属(Chaenomeles)の植物、クサボケ(Chaenomeles japonica)は、「日本の(japonica)ボケ(Chaenomeles)」という意味です。

2006.03.27撮影

和名 クサボケ(草木瓜)
バラ科(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles
学名 Chaenomeles japonica「日本のボケ」
英名 Japanese quince「日本のボケ」
原産 日本

「ジャポニカ」なんていう植物

 japonica「日本の」と学名のついた植物(動物も)は、かなりあります。次もそうです。

2022.04.20撮影

ヤマブキです。冒頭の画像もヤマブキ。

和名 ヤマブキ(山吹)
バラ科(Rosaceae)ヤマブキ属(Kerria
学名 Kerria japonica
英名 Japanese kerria
原産 日本、朝鮮半島、中国

ヤマブキは、日本も原産地のひとつではあっても、日本の固有種ではありません。でも、japonica とついている。日本の固有種でなくても「日本の」と呼ばれる植物は他にもあります。

他の地域を差し置いて「日本の」になる理由は、それぞれあるでしょうが、ヤマブキの場合は、日本で突然変異でできた八重のヤマブキ 'Pleniflora'(「多くの花」という意味) の方が、一重のヤマブキよりも先に、西洋諸国に入ったからのようです。ただし、日本から直接入ったのではないようです。

わたしの周り(カナダ、バンクーバー)では、ヤマブキとはポンポンみたいな花だ、と思っている人はたくさんいます。そして、うちの一重のヤマブキを見て、不思議そうな顔をします。

僕は八重の山吹。知ってるよね。

2021.04.27撮影

実は、わたしは、高校で(?)太田道灌の

七重八重 花は咲けども
山吹の実のひとつなきぞ 悲しき

を習った時、これは意味不明、と思いました。なぜなら、その時、わたしはヤマブキは一重のものしか知らなかったからです。

でも、人間は、理解できないことは都合よく解釈するもので、その時は、花がたくさん咲いて、上の画像のように花が段々に重なっていることを「七重八重」と言ったんだろう、「実のひとつなきぞ」は、まだ花の季節だから、実があるわけないよね、そして、またあ、「蓑(みの)ない」なんてひっかけてえ、いやん、とも思いました。恐ろしい思考をしたものです。

japonica のついた花をもうひとつ。これは、もう2日前に話題にしました。

ツバキ? サザンカ?

Camellia japonica
撮影者:BotBin
撮影日:2007.12.27
オリジナルからの改変、なし

和名 ヤブツバキ(藪椿)
別名 ツバキ(椿)
別名 ヤマツバキ(山椿)
ツバキ科(Theaceae)ツバキ属(Camellia
学名 Camellia japonica
英名 Japanese camellia
原産 日本、朝鮮半島、中国

これも、日本固有種ではありません。では、なぜ japonica か。

ヤブツバキの場合は、エンゲルベルト・ケンペル(1651-1716)が日本にいる時に、この植物について書き示したからです。(この情報は、Wikipedia英語版から得ました。)

Camellia japonica(英文+画像)

エンゲルベルト・ケンペル

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