2020.09.30撮影
久しぶりに、植物ではないことを書いてみます。鳥についても書かないと、わたしのブログタイトル「カラスといちごとクロッカスと」を返上しなくてはならなくなります。
さて、コロナがまだ吹き荒れていたころ、いつものカフェでブランチをテイクアウトして、冒頭画像の公園へやってきました。
人間は、他の人間に近寄らないようにしているのに、この、大型の鳥、カナダガン(Branta canadensis)たちは、二密(少なくとも密閉空間ではないので、三密ではなく二密)などお構いなく、密集、密接で、池の端で休憩していました。
画像に1羽しか写っていないのは、離れている1羽を選び出して写したからです。集団も撮影しておいた方が良かった、今から考えると。
学名 Branta canadensis
英名 Canada goose
和名 カナダガン(加奈陀雁)
カモ科(Anatidae)コクガン属(Branta)
原産 北米大陸(中米を除く)
冒頭の画像は、次の画像から切り取りました。
2020.09.30撮影
カナダガンは、2〜7亜種に分けられます。画像のカナダガンが、どの亜種であるかは、わかりません、候補は7亜種に分けた場合の2亜種ほど挙げられますが。
カナダガンの大きさは、亜種によってずいぶん異なります。羽の色は、それほど変わらず、やや異なるだけ。でも、カナダガンの亜種すべてに紛れもなく共通していることがあります。それは、白い「アゴひも」。そして、この白い「アゴひも」が、カナダガンを、他のカモ類(ガン類)から際立たせる特徴となります。
この「アゴひも」は、人間の顔で言えば、こめかみから、ほお、あご、あごの下、にかけてアゴをつったように出ています。上掲画像でお確かめください。わたしは、個人的に、「アゴひも」ではなく「アゴおび」と言った方がいいと思いますけど・・・
カナダガンの他の一般的な特徴は、
・白い「アゴひも」
・「アゴひも」の部分以外の首と頭は、黒
・くちばしも、黒
・体の上側が、薄茶色〜茶色で、鱗のように見える
・体の下側が、白
・脚は、水かきも含め、黒(真っ黒ではなく、煤けた色)
2020.09.30撮影
バンクーバーには、公園がたくさんあります。小さいのは住宅地の中にある1軒用の敷地ほどのから、大きいのはダウンタウンに隣接する400ヘクタール以上のスタンレー公園(Stanley Park)まで、全部で250ほど。そんな公園の、中規模以上の公園には、池がつきものです。そして、池には、各種の水鳥たちが集まります。
わたしがバンクーバーに移住して初めて行った公園は、スタンレー公園です。わたしは、そこで、カナダガンなるものを初めて見ました。半端ない数のカナダガンが、車が大量に走る6車線(?)から歩道をはさんだだけの芝生の上で、悠々と構えているんです。あれには、え? 町の中にこんなにたくさん大型の鳥がいるの? そんなこと、あり得るの? と思いました。
実際、現在、多くの北米の都市で、カナダガンが増えすぎて困っているんですよね。草を食べるんですが、公園のことですから、芝生を食べるんです。そして、多数のカナダガンがいるので、芝生は、とことん食われて傷んでしまう。また、フン害にも憤慨する人がいます(げ、言ってしまった)。
カナダガンは、集団で移動するときには、「V字型」になって飛行します。これは、自転車のロードレースでエースをアシストする人々がトレインを作る理屈と同じだろう、と思っていたのですが、基本は同じでも、全く同じであるというわけではないみたい。ツバサと自転車では空気の流れ方が違うので。
わたしの説明ではなく、次をご覧ください。
先頭を飛んでいる鳥は、風を一身に切り、力を尽くして、グループを引っぱって飛んでいるのですが、いっしょに飛んでいる鳥たちの長なのではありません。
先頭の個体は先頭でしばらく飛ぶと後ろへ退き、2番手で飛んでいた鳥の1羽が次に先頭を飛びます。このようにして、鳥たちは、力分けして民主的に飛んでいるわけであります。弱い個体は多分早めに後ろへ退き、強い個体は多分長めに働くのだと思います。
そして、カナダガンたちは、鳴きながら飛ぶことが多いですが、あれは、先頭を飛ぶ個体に向かって、やれ〜〜、がんばれ〜〜、と言っているのだそうですよ。
ところで、カナダガンは集団で飛ぶので、飛んでいる飛行機と衝突することがあります。そして、衝突しただけでもお気の毒な鳥がエンジンに吸い込まれると、飛行機が事故を起こすことになります。そのうちの有名な例が、アメリカの旅客機の、ハドソン川上への水上不時着です。
あれをわたしは車のラジオのニュースで聞いたんですね。ハドソン川に不時着ってことはないだろ、ニューヨーク市のマンハッタン区だよ。まさか、と、はなから信じませんでした。後で、テレビで映像を見て、びっくり。
2020.09.30撮影
この画像に出ているカナダガンの姿勢は、体の脂を羽に塗っているんだと思うんですが、よくわかりません。
眠るときには、
・天敵の少ない水上で(安全な場合は、地上でも)
・水に浮かんで(地上では、普通、座り込んで)
・首を背中の方へ曲げて
・普通は、クチバシを羽の中に突っこんで
・普通は、集団で
寝ます。
カナダガンは、また、眠るとき、脳の半分だけが眠り、後の半分は覚醒しています。これを、半球睡眠といいます。そして、目は、片一方は閉じ、もう片一方はやや開けて眠ります。脳全体が眠っているわけではないので、物音や気配を感じたら、すぐに起きてしまいます。よって、あんなにたくさんいるのに、アップの写真を撮ろうとしても、近づけない。
長距離を飛ぶ場合は、この調子で、眠りながら飛びます。バンクーバーにいるカナダガンは、季節の渡りをしません。1年中ここに住んでいます。ですから、飛びながら眠る必要もありません。まあ、ゆっくり池でくつろいでください。
わたしも半球睡眠したい。それでどれだけしたいことができるようになるだろう。