
のつづきです。
Wikipediaで、日本語版に記事がない時に、中文版を調べると時々おもしろいことがあるので、今回もいそいそと出かけてきました。
中文版の「アキノキリンソウ属」に当たるページ
から抜粋すると、
・アキノキリンソウ(S. virgaurea)毛果一枝黄花 goldenrod, Aaron's rod
・オオアワダチソウ(S. gigantea)早生一枝黄花 tall goldenrod, giant goldenrod
・セイタカアワダチソウ(S. canadensis)加拿大一枝黄花 Canada goldenrod
・オオセイタカアワダチソウ(S. altissima)高大一枝黄花 tall goldenrod, late goldenrod
こちらの学名表示は、英語版と一致しています。
それでは、日本語版では、学名の方が混乱しているのか、和名の方が混乱しているのか、あるいは、日本全体で、学名とは異なる分類をしているのか??? その辺のことはわたしにはわかりません。

2024.12.29撮影(この画像だけ、実家の庭から)
さて、混乱の可能性となる理由を考えてみました。要するに、アキノキリンソウ属の多くの種が、形質の線引きが難しいのではないか、と。そして、その原因は、自然界で容易に交雑するから、ではないだろうか、と。
それで、文献がないか調べてみました、インターネット上で、ですけど。

種屋のサイトから抄訳

研究論文のサイトから抄訳
(和名は、わたしが、省略して挿入しました)
>> S. canadensis(セイタカ)、S. gigantea(オオ)、は北アメリカ原産
>> S. virgaurea(アキノ)はヨーロッパ原産
>> S. canadensis(セイタカ)と S. virgaurea(アキノ)の交雑種が S. ×niederederi
>> S. gigantea(オオ)と S. virgaurea(アキノ)の交雑種が S. ×snarskisii
(ご覧になりたい方は、リンクをコピペでどうぞ)

生態学者のサイトから抄訳
>> 他の1種としか交雑しない種もある、一方、8種とも交雑する種もある
>> 自身の属する亜節の他の種と交雑する種が18、自身の亜節以外の種と交雑する種が17
(ご覧になりたい方は、リンクをコピペでどうぞ)
この生態学者の記事の下方に、グラフ様のものがふたつあります。そのうち、右側のが緑の線で示されています。そこでは、S. canadensis(下から4番目)と S. altissima(下から3番目)が交雑するのが示されています。
「亜節」については、以下をご覧ください。亜節は、属よりも下、種よりも上、の階級です。

最後に、2回続いた「セイタカアワダチソウ」ぐだぐだ記を、Wikipediaからの画像と、私の思い至った結論で締めくくりたいと思います。画像は、英語版からひとつ、日本語版からひとつ、取り上げます。
英語版 Solidago canadensis から

Solidago canadensis, in Sasayama, Hyogo セイタカアワダチソウ(篠山市味間)
撮影者:松岡明芳
撮影日:2016.10.15
オリジナルからの改変、なし
* 英語版 Solidago canadensis の記事に出ている画像が、学名では Solidago canadensis、和名では、カタカナで「セイタカアワダチソウ」とされています。
日本語版「セイタカアワダチソウ」から

セイタカアワダチソウの花
Solidago canadensis, Common goldenrod, Canada goldenrod
撮影者:Jeevan Jose
撮影日:2010.05.09
オリジナルからの改変、なし
* 日本語版「セイタカアワダチソウ」の記事では、その学名を Solidago altissima として
います。
* ところが、写真の説明は、記事の題名と同じく「セイタカアワダチソウ」としながら、
学名は、Solidago canadensis としています。
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結論
・セイタカアワダチソウの学名は、Solidago canadensis のようである
・ところが、セイタカアワダチソウには、日本で使われる学名に揺れがある
・その揺れは、Solidago canadensis と Solidago altissima である
・そのうち、Solidago altissima の方が日本では優勢である
・これには、シノニムの関係もあるか?
・自然に交雑するので、形態を線引きするのが難しい=種の特定が難しい?
・オオセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)とは、学名でどう区別するか