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2020.12.24撮影
ツバキとサザンカの見分け方については、インターネット上にもいい記事がたくさんあると思いますが、その中で視覚的に見やすいかな、と思われる記事をご紹介しておきます。株式会社科学技術研究所(かぎけん)が制作・管理する「かぎけん花図鑑」というサイトのものです。
今日のわたしの記事の目標とすることは、でも、ツバキとサザンカの特徴の違いを見極めることではありません。入り組んだツバキとサザンカの名称を、ツバキ科ツバキ属を全体的に見ながら、解きほぐす糸口を見つけることです。科学的な探究では、もちろん、ありません。
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2021.01.17撮影
ツバキもサザンカも、ツバキ科(Theaceae)ツバキ属(Camellia)に属する植物です。まず、上位の分類であるツバキ科から見ます。
和名 ツバキ科
学名 Theaceae「チャ科」
英名 the tea family「チャ科」
植物に興味のある方にはツバキとお茶がつながっているかもしれませんが、一般的にはどうでしょうか。お茶の花なんて見たことない、という方もいらっしゃれば、あ、言われてみればお茶の花ってツバキに似ているよね、と思う方もいらっしゃるかもしれません。実際、ツバキとお茶の木は近縁です。
科名の学名となった Theaceae の「thea」は、語源的に、「チャ(茶)」なので、Theaceae は、文字通りには、「チャ科」です。
でも、その「チャ科(Theaceae)」の下には、現在の分類では、「チャ属(Thea)」はありません。お茶の類は、現在、ツバキ属(Camellia)に吸収されています。ですから、ツバキとお茶の木は、同じ属の植物なのです。
今は存在しない「チャ属」という分類からきた「チャ科」という名称が、それでも変更されずに残ったのは、その科名が今まで使われてきたという事実と歴史を優先して、のことです。
和名の方では便利な(?)ことに、最初から(?)、「ツバキ科」だったようです。ただし、「チャ科(Theaceae)」という意味の学名からは、「ツバキ科」という名称は、ずれた名称になっています。
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2021.01.17撮影
では、ツバキ科には、どんな属が属しているでしょうか。
ツバキ科には、現在、9属が認められており、以下の4属がその主だったものです。
属名に「ツバキ」を含む
1.ツバキ属(Camellia)
2.ナツツバキ属(Stewartia)
3.ヒメツバキ属(Schima)
属名に「サザンカ」を含む
4.ヒサカキサザンカ属(Tutcheria)
4のヒサカキサザンカ属だけが「サザンカ」を名称に含むのね、
それなら、サザンカは、4のヒサカキサザンカ属に入っているのよね、
と思いませんか・・・
それにしても、それなら、
上位の分類である「属」の名前が「ヒサカキ+サザンカ」で、
下位の分類である「種」の名前が「サザンカ」、
ということになる、って変・・・ですよね・・・
ヒサカキサザンカ属(Tutcheria)のうち、(和名では属名と同名の?)ヒサカキサザンカ(Tutcheria virgata)という種の画像を見つけましたので、次のリンク先で、よろしければご覧ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/39/8e5c2f2c7282c31e93808ecda9e919cc.jpg)
2021.01.17撮影
それでは、ツバキ科のクイーン、ツバキ属(Camellia)にどんな種が属すか、見てみましょう。
以下の種のうち、ヤブツバキ(Camellia japonica)というのは、平たく言うところのツバキのことです。サルウィンツバキ(Camellia saluenensis)については、昨日書きました。サルウィンツバキとヤブツバキをかけ合わせて生み出された交配種が、ウィリアムシーツバキ(Camellia × williamsii)です。これも、昨日の記事。
ツバキ属(Camellia)に属す種は、その名称により、3つのグループに分けることができます。主な種の例も、挙げておきます。
「ツバキ」を名称に含む
・ヤブツバキ(Camellia japonica)
・ユキツバキ(Camellia rusticana)
・サルウィンツバキ(Camellia saluenensis)
「サザンカ」を名称に含む
・サザンカ(Camellia sasanqua)
・ヒメサザンカ(Camellia lutchuensis)
「チャ」を名称に含む
・チャノキ(Camellia sinensis)
・タイワンヤマチャ(Camellia formosensis)
つまり、ツバキ属の種の名称には、「ツバキ」「サザンカ」「チャ」の3つの名称が混在していることになります。
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2022.12.03撮影
少なくとも、日本の文化の中で、「椿(ツバキ)」「山茶花(サザンカ)」「茶(チャ)」は異なる植物である、という認識がある(だからこそ、ツバキとサザンカはどう違うか、が話題になる)以上、この3つの名称の混在には、問題があります。
名称の使い分けが、
? 植物の特徴をはっきり表しているのか
? 植物の特徴をある程度表しているのか
? ほぼ単なる呼び慣わしなのか
さらに、
? ツバキとサザンカの特徴の差異とされるものは、名称にどこまで一致するのか
? 交配種は、ツバキなのか、サザンカなのか、あるいは、チャなのか
? 新しい園芸種の命名は、何に基づくのか
わたしは名称に敏感すぎるのかもしれませんが、やはり、科学的な分類こそ、「名は体を表す」で行ってほしいと思うんです。ところが、動植物だと、ここに、伝統的に、また、文化的に、使われてきた名称がからむので、簡単にはいきませんね。
ところで、今日掲載の画像は、次の画像も含め、全て同一の植物からのものです。うちの庭にわたしが植えて、大切に育てている植物です。これは、わたしの「見立て」(と言うほどでもないけど)だけでなく、ラベルにもよると、、、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/0c/a5660f0d712a157f160a43aebfcc09b1.jpg)
2006.02.05撮影
サザンカの園芸種です。園芸種名は失念しました。
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