――当方は、人の心が解らない――
こんな大事なときに、上司Aを物凄く怒らせてしまった。
「お前もう信用できない。今までお前に同情してきたのが馬鹿みたいだ」
この日は昼1時に会社に来て、夜勤に必要な鉄骨にパネルを張る作業を手伝う。
あいにく社長は不在だったが、それでも他の社員は見ている。努力あるのみ。
しかし、4時半から定時の5時半まで、やることがなくなり、当方はなんと何もしないでいた。
こういう時に溶接の練習なりしてスキルを磨くべきだったのだ。さすがに反省せざるを得ない。
何故、この期に及んで当方はそういうことをやる気すら起こさないのか。
今の会社が好きといえば嘘になる。
待遇など様々な面で不満もある。
もはや“お金”のために今の会社を頑張っているのだ。
イヤ、辞めたくないのは、もう逃げてばかりの人生にサヨナラしたいという理由もある。
それでも当方の意思とは関係なくクビになってしまうかもしれない。
ニュースに出ている、派遣斬りなどで職を失い路頭に迷うあの人たちの仲間入りとなってしまうのかもしれないのだ。
4月1日に更に失業者は増え、ハローワークは毎日満員のところもあるという。
物凄く怖くなってきた。
5時半から1時間仮眠を取り、夜勤に必要な道具の最終確認をし、現場の大手百貨店に向かう。
夜8時に朝礼、ではなく夕礼。某ゼネコンの下、当方の会社を含む数社の人々が集まって行われる。
夜9時仕事開始。
今の当方に出来ることは上司のサポート。常に先を読んで必要なものを用意し上司に渡す。
もちろん言われたこともそのとおりにやる。
当方はそれなりに努力したつもりだった。
深夜3時に終了、会社に戻る。
その後、会社では上司Aと外注社員Aと当方で軽い飲み会が開かれた(こんな真夜中に!?)。
そ こ で 事 件 は 起 き た 。
(上司A)「お前、中学のとき、いじめられてたんだっけ?」
(当方)「ハイ」
(上司A)「◎◎を◎◎しろって言われて、無理矢理やらされたんだろ?」
(当方)「あ……あの、それ嘘なんです」
(上司A)「……ハァ!?」
◎◎を◎◎するとは、ここではとても書けないくだらない行為。
それをしたかどうかなんてどうでもいいことだと思い、思わず嘘だとバラしてしまった。
すると上司Aは怒り出した。
(上司A)「オイ待てよ。俺はそのいじめ、いくら何でも酷すぎるだろって心配してたんだぞ? それで嘘って何だよ」
外注社員もいるので、まだ笑顔を見せてはいたが、どう見ても怒っていることに変わりは無かった。
(上司A)「お前もう信用できない。今までお前に同情してきたのが馬鹿みたいだ」
そこまで言われて当方はやっと気付いた。安易に嘘をついて、それを突き通したことで結果的に上司を騙したことになったのがいけなかったのだ。
それがどんなにくだらない嘘だとしても、これは裏切りに値するのだ。
何故そのくだらない嘘をついたのかというと、昨年秋に外注社員Bとの会話で、
「お前◎◎を◎◎したことがあるんだろ?」
「イヤ、さすがにそれは無いです」
「あるんだろ? 正直に言えよ」
「……あります」
と、場を盛り上げるためにノリで嘘をついてしまったことが原因である。
(上司A)「もうお前絶対許さない」
やってしまった。当方の「それ嘘なんです」の一言で、相手はここまで豹変する。
やはり言葉は刃物である。
もう誰も助けてくれない。
もう完全に終わった。
当方は改めてクビを覚悟した。
当方は何故いつもこうなってしまうのか。ちょっと言い間違えたり余計な一言を言うだけでいつも人間関係に失敗する。
何を言ったら相手は怒るのか、それを理解していないのだ。
人に言われたことしか解らないのだ。それが一番の問題である。
――当方は、人の心が解らない――
クビか存続か。
運命の日まであと23日。
こんな大事なときに、上司Aを物凄く怒らせてしまった。
「お前もう信用できない。今までお前に同情してきたのが馬鹿みたいだ」
この日は昼1時に会社に来て、夜勤に必要な鉄骨にパネルを張る作業を手伝う。
あいにく社長は不在だったが、それでも他の社員は見ている。努力あるのみ。
しかし、4時半から定時の5時半まで、やることがなくなり、当方はなんと何もしないでいた。
こういう時に溶接の練習なりしてスキルを磨くべきだったのだ。さすがに反省せざるを得ない。
何故、この期に及んで当方はそういうことをやる気すら起こさないのか。
今の会社が好きといえば嘘になる。
待遇など様々な面で不満もある。
もはや“お金”のために今の会社を頑張っているのだ。
イヤ、辞めたくないのは、もう逃げてばかりの人生にサヨナラしたいという理由もある。
それでも当方の意思とは関係なくクビになってしまうかもしれない。
ニュースに出ている、派遣斬りなどで職を失い路頭に迷うあの人たちの仲間入りとなってしまうのかもしれないのだ。
4月1日に更に失業者は増え、ハローワークは毎日満員のところもあるという。
物凄く怖くなってきた。
5時半から1時間仮眠を取り、夜勤に必要な道具の最終確認をし、現場の大手百貨店に向かう。
夜8時に朝礼、ではなく夕礼。某ゼネコンの下、当方の会社を含む数社の人々が集まって行われる。
夜9時仕事開始。
今の当方に出来ることは上司のサポート。常に先を読んで必要なものを用意し上司に渡す。
もちろん言われたこともそのとおりにやる。
当方はそれなりに努力したつもりだった。
深夜3時に終了、会社に戻る。
その後、会社では上司Aと外注社員Aと当方で軽い飲み会が開かれた(こんな真夜中に!?)。
そ こ で 事 件 は 起 き た 。
(上司A)「お前、中学のとき、いじめられてたんだっけ?」
(当方)「ハイ」
(上司A)「◎◎を◎◎しろって言われて、無理矢理やらされたんだろ?」
(当方)「あ……あの、それ嘘なんです」
(上司A)「……ハァ!?」
◎◎を◎◎するとは、ここではとても書けないくだらない行為。
それをしたかどうかなんてどうでもいいことだと思い、思わず嘘だとバラしてしまった。
すると上司Aは怒り出した。
(上司A)「オイ待てよ。俺はそのいじめ、いくら何でも酷すぎるだろって心配してたんだぞ? それで嘘って何だよ」
外注社員もいるので、まだ笑顔を見せてはいたが、どう見ても怒っていることに変わりは無かった。
(上司A)「お前もう信用できない。今までお前に同情してきたのが馬鹿みたいだ」
そこまで言われて当方はやっと気付いた。安易に嘘をついて、それを突き通したことで結果的に上司を騙したことになったのがいけなかったのだ。
それがどんなにくだらない嘘だとしても、これは裏切りに値するのだ。
何故そのくだらない嘘をついたのかというと、昨年秋に外注社員Bとの会話で、
「お前◎◎を◎◎したことがあるんだろ?」
「イヤ、さすがにそれは無いです」
「あるんだろ? 正直に言えよ」
「……あります」
と、場を盛り上げるためにノリで嘘をついてしまったことが原因である。
(上司A)「もうお前絶対許さない」
やってしまった。当方の「それ嘘なんです」の一言で、相手はここまで豹変する。
やはり言葉は刃物である。
もう誰も助けてくれない。
もう完全に終わった。
当方は改めてクビを覚悟した。
当方は何故いつもこうなってしまうのか。ちょっと言い間違えたり余計な一言を言うだけでいつも人間関係に失敗する。
何を言ったら相手は怒るのか、それを理解していないのだ。
人に言われたことしか解らないのだ。それが一番の問題である。
――当方は、人の心が解らない――
クビか存続か。
運命の日まであと23日。