握手を交わす台湾の蔡英文総統(左)と米国のマッカーシー下院議長=米西部カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のレーガン大統領図書館で2023年4月5日、AP
台湾の蔡英文総統と米国のマッカーシー下院議長(共和党)は5日、米西部カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のレーガン大統領図書館で会談した。蔡氏は会談後の共同記者発表で、台湾周辺で軍事行動を活発化させる中国を念頭に「我々が築き上げてきた民主主義は前例のない挑戦に直面している」と強調。レーガン氏が唱えた「力による平和」を引き合いに「平和を守るために我々が協力すれば、我々はより強くなる」と米台の連携強化を訴えた。 1979年の米台断交後、台湾総統が米国で米下院議長と会談するのは初めて。下院議長は大統領権限の継承順位が副大統領に次ぐ2位の要職で、台湾を領土の一部とみなす中国が反発を強めるのは必至だ。 会談は民主党の議員も交えて超党派で行われた。蔡氏はマッカーシー氏と並んだ共同記者発表で「超党派による揺るぎない支持は台湾が孤立していないことを再確認させてくれる」と謝意を示した。マッカーシー氏は「米台の絆はこれまでで最も強い。我々の友好は自由世界にとって極めて重要な問題であり、経済的自由、平和、地域の安定の維持に不可欠だ」と述べた。 米国と台湾を巡っては、昨年8月に当時のペロシ下院議長(民主党)が現職として25年ぶりに台湾を訪問し、蔡氏と会談した。これに対して中国は台湾周辺を取り囲むように大規模な軍事演習を実施。米中関係の緊張も高まった。 マッカーシー氏も1月の議長就任前、訪台に意欲を示していた。しかし、中国側との緊張の高まりを懸念した台湾側の意向を受け、米国での会談を受け入れたとみられる。 蔡氏は3月末にニューヨークに立ち寄った後、外交関係を持つ中米のグアテマラとベリーズを訪問し、帰路に再び米国を訪れた。【ワシントン鈴木一生】 毎日新聞