政府は、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援として、露軍が放置した地雷など爆発物の除去作業の訓練を7月にポーランドで実施する方向で調整に入った。国際協力機構(JICA)を通じて地雷対策で協力してきたカンボジアと連携し、ウクライナ政府職員に地雷除去のノウハウを提供し、復旧・復興を後押しする。複数の政府関係者が27日、明らかにした。 訓練はウクライナ非常事態庁の職員を対象に行う。 同庁職員は今年1月、JICAの支援で日本の大学教授らが開発した地雷探知機「ALIS」を導入しているカンボジアと日本を訪問し、地雷除去の訓練に参加した。7月の訓練はこれに続く第2弾で、カンボジアの専門家とともにALISの使用方法を指導する。 ウクライナ側は自国内で訓練を行い、ALISを扱える人員を増やして地雷除去を急ぎたい考え。ただ、東欧地域は冬季だと積雪の影響で訓練が実施できず、日本外務省はウクライナ全土の危険情報を最高度の「レベル4」に引き上げて退避勧告を出しているため、夏季にウクライナに隣接するポーランドで訓練を行うことになった。 政府は4月下旬、JICAを通じてウクライナ政府に4台のALISを供与した。訓練ではこの機材が使用される。JICAなどによると、地雷や不発弾はウクライナ全国土の約3割に当たる約17万4千平方キロに残り、完全な除去には数十年かかるとの見方もある。
産経新聞