デング熱には有効な治療薬がなく、死者は世界で年約2万人に上ると推計されている。世界保健機関(WHO)によると、流行国は1970年以前、東南アジア中心の9か国だったが、現在は中南米やアフリカ大陸の広範囲にまたがる100か国以上に拡大している。 理由として、人の往来の活発化や、地球温暖化の影響でデングウイルスを媒介する蚊の生息域が広がった可能性がある。海外で感染した人がウイルスを持ち込み、現地の蚊が媒介して流行を広げる例もある。日本では2014年、渡航歴のない人から感染者が出ている。 武田のワクチン「Q(キュー)DE(デ)N(ン)GA(ガ)」は、毒性を弱めたウイルスを使う「生ワクチン」と呼ばれるタイプ。4種類あるウイルス全てに効果があり、約2万人が対象の国際臨床試験では、発症予防効果が61%、入院に至る重症化を防ぐ効果が84%だった。 QDENGAは昨年8月、感染者が多いインドネシアで承認され、近く、流行国で初めて販売開始される。欧州連合(EU)やブラジルなども承認済みで、将来的には日本も含む全世界で年5000万人分を供給する計画という。同社は「国際的な健康問題の解決に貢献する」と意義を強調する。 デング熱ワクチンは、仏製薬大手サノフィが15年に先行開発したが、感染歴がない子どもが接種すると感染時に症状が悪化する事例が確認され、普及していない。QDENGAは現時点で重い副反応は確認されず、感染歴の有無にかかわらず接種できる利点がある。 米科学誌サイエンスは今年1月の記事で、「既存の製品より多くの人々を守るだろう」とし、EUの関係機関も「世界的な公衆衛生のニーズに応える」と評価した。小原恭子・鹿児島大教授(ウイルス学)は「地球温暖化の影響で熱帯感染症への懸念が高まる中、ワクチンを開発することは国際的な公衆衛生の向上にも寄与する」と話す。
◆デング熱=中南米や東南アジアが流行の中心で、デングウイルスをもつヤブ蚊に刺されて発症する。80%以上は軽症だが、重症化すると、高熱や激しい頭痛などの症状を起こし、合併症で死に至る場合もある。
■純国産のデング熱ワクチン、開発支援を
デング熱は、世界保健機関(WHO)が世界の健康に対する10大脅威の一つに挙げた感染症だ。十分な医療を受けられない発展途上国の子どもたちの死者が特に多いとされ、対抗できる武器を一つでも多く増やす必要がある。
武田薬品工業のような国内企業が、こうしたワクチンを自前で製造することは、日本の国際貢献に生かせるだけでなく、国の安全保障上の観点からも重要だ。
新型コロナウイルスでは、純国産ワクチンの開発が遅れ、米国製に依存した。この反省を踏まえ、厚生労働省は昨夏、国の危機管理上、ワクチンや治療薬の開発支援が必要な感染症として、デング熱のほか天然痘やジカ熱など8種類を選んだ。
だが、開発には膨大な費用と時間がかかる。武田のデング熱ワクチンも、開発に約10年かかった。流行状況でワクチンの需要が大きく左右されるため、開発投資をためらう企業も多い。
政府は昨春、ワクチン開発の司令塔となる「先進的研究開発戦略センター(SCARDA(スカーダ))」を発足させた。企業などの研究開発を資金面で継続的に下支えし、世界が必要とするワクチンを早期に実用化する体制を整えるべきだ。(科学部 鬼頭朋子) 読売新聞
台湾国防部(国防省)は12日、中国軍が同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に戦闘機「殲16」など延べ35機、艦船延べ8隻を台湾海峡周辺に派遣して軍事活動を実施したと発表した。軍用機のうち延べ15機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」中間線を越えたり、南西の防空識別圏に進入したりした。 中国軍は、台湾の蔡英文総統が5日に米国でマッカーシー下院議長と会談したことへの対抗措置として、台湾周辺で8~10日に演習を実施し、その後も軍事活動を継続。常態化させている活動の規模を拡大している可能性がある。昨年8月にペロシ米下院議長(当時)が訪台して蔡氏と会談して以降、中国軍は台湾海峡での活動を活発化させた。 台湾国防部は「軍用機や艦船などで厳密に監視、対応している」との談話を発表した。(共同) 産経新聞
[台北 12日 ロイター] - 台湾立法院(国会)の游錫コン院長(議長)は11日夜のフェイスブック投稿で、台湾情勢に関するマクロン・フランス大統領の発言は理解に苦しむとの見方を示した。 游氏は、フランスの憲法にうたわれた「自由、平等、友愛は時代遅れなのか」と投稿。「いったん憲法に盛り込まれた以上、無視してもオーケーなのか。あるいは、先進的な民主主義諸国は、他の国々の人々の命と死を無視するのか」と訴え、マクロン大統領の行動に「当惑している」と記した。 台湾外務省は11日、マクロン氏の発言を重大視しない姿勢を強調。外務省報道官は記者団に対し、「フランスが何度も、さまざまな国際的舞台で台湾海峡の平和と安定に懸念を表明してくれたことに外務省は感謝を表明する」と述べ、今回の発言はフランスの従来の姿勢と一貫しているとの認識を示した。
Reuters
陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄・宮古島周辺を飛行中に消息を絶った事故で、防衛省が入手した映像から、ヘリコプターが事故直前に、法律が定める最も低い高度の間近を飛行していたとみられることがわかった。 政府関係者によると、防衛省は消息を絶つ数分前のヘリをとらえた映像を入手していて、機体の大きさなどから分析すると、高度150メートル付近を飛行していた可能性があることがわかった。 高度150メートルは、航空法の規定で、離着陸などを除き航空機が飛行できる最も低い高度。 ヘリには第8師団の坂本師団長らが搭乗し、偵察飛行が行われていて、島の地形などを確認するため低い高度で飛んでいたとみられている。 現場海域では、12日も自衛隊や海上保安庁による捜索活動が続いている。
FNNプライムオンライン
中国大陸で観測された黄砂について、関東甲信・東海では12日午後にも広い範囲への飛来が予想されている。気象庁によると、九州北部では12日午前10時現在、広い範囲で観測され、水平方向で見通しの利く「視程」が10キロ未満の場所も生じている。 黄砂は、東アジアのゴビ砂漠など乾燥した地域から吹き上げられた砂ぼこりが風に乗って運ばれ、降下する現象。日本では春に観測されることが多い。風景がぼんやりとかすんだり、車や洗濯物の表面が汚れたりする。 黄砂は、東アジアのゴビ砂漠など乾燥した地域から吹き上げられた砂ぼこりが風に乗って運ばれ、降下する現象。日本では春に観測されることが多い。風景がぼんやりとかすんだり、車や洗濯物の表面が汚れたりする。 黄砂は北日本から西日本にかけての広い範囲で飛来が予想されている。気象庁は交通障害が発生するおそれもあるとして注意を呼びかけている。【小林遥】 毎日新聞
中国“最悪級”黄砂…車に付いたらどうする? 洗車のコツは「落とし切ってから」(2023年4月12日) - YouTube
中国で発生した大規模な黄砂が12日、日本に飛来する見通しです。視界の悪化などにより、交通に影響が出る恐れがあります。 ■まるで火星? 一面“オレンジ”に… 10日、中国国内で撮影された映像です。 高速道路上にあるのは、大量の砂です。男性がスコップで“砂かき”をしていますが、これはすべて飛んできた「黄砂」が降り積もったものです。 立ち往生したトラックの周りでは、強風が砂を巻き上げる様子も。道路上を横切る激しい砂嵐からは、逃げるように車が出てきます。 逆に砂嵐に向かっていった車は、すぐに姿が見えなくなりました。 別の場所では、昼間にもかかわらず空は薄暗く、一面オレンジ色に覆われて、数メートル先も見通せないほどです。人の姿は、全く見えません。 夜になっても、バイクのライトに黄砂が浮かび、降り続いているのが分かります。 北京では、太陽が青く見える現象が起きていました。大気中に舞う砂で、光の反射が変わったことが原因です。 強い風と舞い上がる砂で、市内では外出もままなりません。夜が明けると、街全体の視界が遮られ、かすむ高層ビル。止めてある車も、砂まみれになっています。 北京市内では一時、6段階ある大気の汚染レベルが「最悪」に達し、警報が出されました。 北京市民:「(Q.今年は特に黄砂が多い?)はい。もう外に出るのをやめようかと思ったくらい」 北京市民も異例と話すこの黄砂。 北京市民:「マスクを二重にしていますよ。二重に。砂からの防護です」「宅配を取りに来ました。そうでなければ、外には出ません。ゴーグルを使えば、目を細めなくていいでしょう」 中国国内では、目や鼻だけでなく、皮膚も守るため、完全防備する人の姿もあります。 中国のオンラインショップを見てみると、1つ100円から200円ほどの値段で様々な種類のゴーグルが売られています。 そもそも黄砂は、ゴビ砂漠など、モンゴルで発生した砂嵐が発端とみられています。 周辺地域で降水量が少なかったことなどが原因で、今年は特に激しく、中国では過去20年間の平均を上回るペースとなっているのです。 ■4月に東京で観測なら…“16年ぶり” 昼夜問わず、降り注ぎ襲い来る黄砂。12日から、列島全体を覆うほどの広い範囲で、日本に飛来する予測となっています。 気象衛星「ひまわり」が、その動きを捉えていました。衛星画像には、茶色の黄砂が風に流され、日本列島へと流れていく様子が映し出されています。 4月に東京で観測されれば、2007年以来、16年ぶりのことです。 ■北海道の自動車販売業者「除雪と一緒」 2年前には、美しい景色が自慢の北海道・函館山。大量の黄砂で、五稜郭タワーもぼんやり。車の販売店でも…。 自動車販売業者:「定期的に洗車している。除雪と一緒。(黄砂が)降ったら洗い流す、その繰り返し」 ■“洗車のコツ”は「落とし切ってから」 今年の黄砂、すでに新潟では観測されています。車には、へばり付いた黄砂による汚れがあります。どうすればいいのでしょうか。 ベガンテオートハウス新潟店 太田望美さん:「(Q.洗うコツは?)上から、まず下に落としていただいて。全部黄砂を落とし切って、泡で洗う。そうしないと、ボディーが傷付く。全部落とし切ってから洗車」 高圧洗浄機がない場合は、ホースの先をつまんで、強い力で放水し、すっきり黄砂を流し落とす必要があります。間違っても、いきなりこすってはなりません。 太田さん:「洗顔と一緒ですね」 今年最大級の黄砂を迎え撃つことになります。 太田さん:「(Q.あす以降、洗車増えそう?)増えると思います」「(Q.ことしの黄砂はどう?)結構うんざりですね」 12日、大量に飛来するとみられる黄砂。いつごろ来て、どのような影響があるのでしょうか。