南禅寺の静けさを堪能した後は東山沿いを歩いて永観堂へ。
永観堂は禅林寺とも言って浄土宗の寺院。
本尊のみかえり阿弥陀像の逸話で知られる永観律師に由来する。
拝観料を支払い、大玄関から靴を脱ぎ、各堂を参拝して回る。
山肌に張り付く境内は起伏が多い。
御堂を結ぶ廊下は各所で階段またはエレベータとなる。
ちぐはぐした感じが迷路っぽい。
パタパタと足音を立てながら廊下を歩くのも楽しい。
永観律師の逸話が残る悲田梅や葉先が3つに分かれる三鈷の松、水琴窟などを見つつ階段を上がっていく。
ちぐはぐした永観堂の中でも
いくらなんでも無理やりすぎる不思議な階段がある。
臥龍廊といって山肌に沿いねじれた急な階段。
いっそすべり台にでもしてしまいたいくらいの急斜面でその名の通り龍の姿を彷彿とさせる。
参拝ルートのもっとも奥にあるのが阿弥陀堂。
ここに安置される阿弥陀如来像はちょっと変わっている。
一般的に「みかえり阿弥陀」と呼ばれ、お顔だけが横を向く他に例の少ない像。
薄暗い御堂の中、遠くに見える阿弥陀様は思ったより小さい。
身体はこちらに向かって来迎印をしているのに顔がそっぽを向いてしまっている。
仏様に会いに来て、顔が合わないのは寂しい。
しかし、御堂の中を歩いていくと阿弥陀様のお顔の向く方向へ行く事ができた。
いちばん近いところに立って、じっと見つめると繊細な造形に神々しさを感じずにはいられない。
すーっとこちらを向いて何かを囁いてくれるような優しい雰囲気。
御堂の中の匂いと音と光の中、阿弥陀様を拝んでいるとふわふわと夢に中へ行ってしまいそうだ。
極楽浄土に導いてくださるかもしれない。