最寄駅から線路は繋がっているのに、一度も訪れたことのない土地、箱根。
灯台下暗しとはこのことか。
いつでも行けるだろうと思っていたら、いつまでも行かなかった。
この度、女子会?に誘われて初めての箱根入りを果たすことになった。
暦は12月30日。
2014年もあと残すところ2日という頃に、すっからかんの下り列車に乗って箱根へと向かう。
昔は小田急線が箱根湯本駅まで直通していたようだが、現在は小田原以西は分割して運転されているらしい。
小田原駅に着いたら、頭端式ホームに停車中の赤い列車に乗り換える。
ゆるゆると坂を登りつめると箱根湯本駅である。
さすがに年末年始、駅のホームは観光客でごった返していて、強羅行きの列車待ちに長蛇の列ができている。
こんな休日に満員電車とは現実に引き戻されてしまうが仕方ない。
本日のコースはというと、珍しくも私は何も考えていない。
先輩が電車すごろくとやらを作って来て、くじ引き方式で行くらしい。
初めに出したのは「一駅すすむ」。
満員の登山電車に乗って、一駅。
降り立ったのは塔ノ沢駅である。
両方向をトンネルに挟まれた小さな駅で、塔の峰の登山口や、アジサイ寺と呼ばれる阿弥陀寺の最寄駅だ。
しかし、無人駅。
山登りをできる季節でもなく、格好でもないのでとりあえず上りホームにある深沢銭洗弁財天へお参り。
駅チカというか駅ナカ神社だ。
神奈川県内でよき水が出るところには銭洗弁天が多い。
さて、次のくじを引くと「一駅戻る」。
行先は先程の箱根湯本駅。
ふりだしに戻った感はあるが、食事をするにはちょうどいいかもしれない。
次の電車を待っていると、さすがは登山鉄道といった感じで、トンネル内は急勾配になっている。
この路線は日本唯一の本格的な登山鉄道で、箱根湯本-強羅駅間での高低差は445mある。
最も急な区間では80‰といい、1kmの間で80mの高低差が生じる計算となる。
鉄道は勾配に弱い交通機関であるから、日本ではせいぜい30‰程度に抑えられているのだからいかに急かがわかる。
自動車なら楽々越えていける傾斜でも鉄道では苦労するのである。
さて、箱根湯本駅に戻って食べ歩き。
温泉まんじゅうに煎餅にすり身団子・・・ちょっと数十年後に出直してきたいくらい温泉街らしいメニューの数々。
よく熱海の衰退、箱根の成功みたいに観光的には語られるけど、古臭さというか本来の温泉街のスタイルを捨てずにここまで栄えたのはすごいと思う。
さてさて、少しお腹の満たされた私たちはもう一度気を取り直して箱根登山鉄道に乗車。
次に出されたお題は「足湯カフェ」にいく。
駅前に足湯カフェがあるのは宮ノ下駅だ。
またも満員御礼の登山電車。
分散して乗車した挙句、ドアにへばりつくような形で何とか乗車した私たちであったが、車窓は見ごたえがある。
是非とも新型のアレグラ号に乗ってゆっくり車窓を楽しみたいところだ。
先程下車した塔ノ沢駅を過ぎると、トンネルの果てに鉄橋を渡ってまたトンネル。
気付けば先程の鉄橋がずいぶん下方に見えるというように、目まぐるしく標高が上がっていく。
時にはスイッチバックも辞さない。
車内は混雑してるし、進行方向は変わるし、カーブは多いしでどうにも宮ノ下駅に着く頃にはだいぶ乗り物酔いの状態になっていた。
宮ノ下の駅は、温泉街よりも高いところに建っていて、駅前から長い下り坂が続いている。
坂を少しばかり下ったところにある「NARAYA CAFE」こそ、足湯のあるカフェだ。
古民家を改築したカフェで、野外に源泉かけ流しの足湯がある。
さすが温泉街だ。
みんなで仲良くスープセット。
温かいスープとイカのような形をしたパンが付いてくる。
足湯とスープでぽかぽかと温まる。
駅近だから時刻を調べて置けば、ぎりぎりまでゆっくりしていられるのもいいところ。
お次は「美術館にいく」。
ということで、2駅だけ登山電車に乗って、彫刻の森駅で下車。
箱根彫刻の森美術館に入館する。
つづく