映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

ネタバレあり映画『アップグレード(2018年製作の映画)』

2019-11-29 | ネタバレあり



こりゃ面白いっ!
どう考えても面白いし、熱くなる!


*****


予告編でのロボット的な身体の動きにちょっと拒絶反応持つ人もいることでしょう。

僕もちょっとダサいな。。と思っていました。あの動きが。

しかし、それにも意味がある!


****


四肢を動かせなくなった主人公は
脊髄に埋め込まれた人工知能によって
全身に電気信号を送って
イキイキと体を動かすことができるようになります。

これが冒頭。


人工知能は
「他人にカッコよく思われる」ことなんて気にせず最短の問題解決の動作を選択するので
それって人間にとってはちょっとカッコ悪いものなんですよね。。


※※※※※


アップグレードされた体で妻殺しの復讐を果たす!

という単純なスカッとした話かと思えば、
三つ巴どころか、四つ巴、いや五つ巴くらいに登場集団がそれぞれの思惑で動いていて
一体話はどこへ行くのか!と興奮しながらラストへ!



*****



演技も素晴らしい。


主演のローガン・マーシャル=グリーンの身体表現にもビックリだし
首から上の演技、とくに目の演技がすごい。

人工知能に体が動かされることへの戸惑いをコメディとして楽しくできたのはこの人の特殊技術ですよ。
素晴らしい演技。


******



事件を追う刑事も素敵でしたね。。。
あの女優はベティ・ガブリエルさん。

『ゲット・アウト』で泣きながら「ノーノーノーノーノーノーノーノーノー」って言ってた女中さんですよ。
面白かったですねえ、怖かったですねえ。


今回は全然違う役でしたが
ほんとにずっと素敵でした。
カッコ良かった!
カーチェイスのときの表情とか!
素晴らしい。



※※※※※


カーチェイスと言えば
近未来のオールデジタル化された世界の中での
アナログの強みも描いてくれるので
現代人としては嬉しかったですね。



※※※※



いやぁめちゃくちゃ面白かった!



ラストは以下にぃぃ!



































全てはステムの計画でしたね。妻殺しもステム。

ステムは「体」が欲しいな〜って思っていて
エロンの家に来たグレイを見て「こいつだ!」と思ったのでしょうk。

体が全くデジタル化していないグレイを乗っとる体として選んだわけですね。

そして、
ずっと操り続けていたエロンも孤軍奮闘でこの事件を追っていた刑事も殺害し、
綺麗さっぱりしたので、ついにグレイを追い出し、体の乗っ取り完了。

グレイはVRの世界へ。
そこには死んだ妻もいるあたたかな優しい世界。
 
非効率な人間の居場所はVRにしかないのか。。。



 


TBSラジオ×ファントム・フィルム共同制作『THE GUILTY/ ギルティ by AudioMovie®』特別先行試聴会に行った話

2019-11-22 | ネタバレあり
2019年11月21日。

TBSラジオ×ファントム・フィルム共同制作『THE GUILTY/ ギルティ by AudioMovie®』特別先行試聴会に行ってまいりました。
僕は映画『THE GUILTY/ギルティ』の配給会社であるファントム・フィルムさまからのご案内で一般枠で参加。

『THE GUILTY/ギルティ』を題材に従来のラジオドラマとは異なる、新たな音声コンテンツ「AudioMovie®」の配信がされるので、それを記念した特別先行試写会が開催される、
とのこと。

AudioMovie®(オーディオムービー)という言葉初めて聞きましたし、
〝新たな音声コンテンツ〟!とか言われるとちょっと胡散臭い感じもしたわけですが、、
『THE GUILTY/ギルティ』が死ぬほど面白いのは知ってますし
TBSラジオのプロデューサー橋本吉史さんの名前も載っていたので「これは相当気合の入った企画なんだろう」と思いまして、楽しみにしていました。



1.AudioMovie®(オーディオムービー)が生まれた経緯
2.AudioMovie®(オーディオムービー)とは
3.『THE GUILTY/ギルティ』とは
4.AudioMovie®版『THE GUILTY/ギルティ』の感想
5.AudioMovie®の今後
6.『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴きたいっ!





トークイベントには羽田圭介さん、TBSアナウンサー日比麻音子さん、TBSラジオ編成局制作部プロデューサー橋本吉史さんが登壇。


1.AudioMovie®(オーディオムービー)が生まれた経緯


プロデューサー橋本吉史さん(以下 橋Pさん)の発言を要約します。

橋Pさんは日頃「ラジオってなんか停滞してない?音声コンテンツって進化できないの?」的なことを思っておりました。

ポッドキャストも日本では人気が限定的なままで留まっている。
しかし、アメリカでは5年前から市場が拡大し需要が高い。
トークや朗読だけでなく、音声のみのドラマも人気。

それは、高性能なワイヤレスヘッドホンの普及が背景にある。
音楽以外の面白い音声コンテンツも多く求められるようになったからだろう。
日本にもその需要はあるはず。

一方その頃。映画『THE GUILTY/ギルティ』が日本上陸。
電話の音にスポットを当てたこの映画は、ラジオ業界(音声コンテンツ業界)で話題に。

確かに僕も試写会行きましたが、その後からTwitterでの盛り上がりがすごくて勢いそのままに大ヒットになったようです。
業界で話題になっていたのですね。

で、橋Pさん。
『THE GUILTY/ギルティ』は題材として最適。
これを音声コンテンツ化しよう!
ってことでAudioMovie®が生まれるのでした。

だいぶ省略されて語られたとは思うので、これが全てではないことも承知しておきましょう。

AudioMovie®公式サイト → https://audiomovie.jp/



2.AudioMovie®(オーディオムービー)とは


僕はてっきり、映画『THE GUILTY/ギルティ』のセリフをそのまま日本語吹き替えにして、セリフの間に状況説明の音声ガイドが入ってくるようなものなのかな、と思っておりましたが
違いましたね。
AudioMovie®独自のコンテンツでした。
『THE GUILTY/ギルティ』題材に一から作っている。「映画のAudioMovie®化」って感じでしょう。

■AudioMovie®の特徴

ト書きや状況説明がない
セリフのみでした。
ただ、ドアを開ける、椅子から立ち上がる、ペンをカチカチする、部屋の中を歩く、などの環境音がガンガン入ってきますし
ヘッドホンで高音質でそれらを聞くと、電話の向こうの相手がどんな状況なのか、距離感などがイメージできてきます。
いかに緻密に計算された環境音であるかがわかります。

状況を説明する神様的な視点がないので、延々と主観のまま没頭聞いていられます。

これについてゲストの羽田圭介さんは
「客としてバカにされてない感じ」と言っておられました。
「能動的に楽しめる」と。

高レベルのエンターテイメントであるわけですが
反面、結構一生懸命集中して聴かないと難しいかな、と思いました。

『THE GUILTY/ギルティ』自体が〝微細な音声情報に集中する〟というコンテンツだったからかもしれないんですが
もっとライトに楽しめるもの、通勤電車に乗りながら、半分寝ながらでも楽しめるものも並行して製作していった方が、広がりはあるのかなと思いました。


■従来のラジオドラマ、音声ガイドとの違い

ラジオドラマ
ラジオドラマはナレーションによる説明が多いイメージですね。
近年では三谷幸喜脚本、松たか子主演の「イザベラ・バード 日本紀行」がありましたが
冒頭は三谷幸喜によるナレーションで始まり、環境音も充実はしていますが、それに加えて状況説明するナレーションが加わります。

音声ガイド
ここでいう音声ガイドは、視覚障害者用の音声ガイドのことで、既存の映画に音声ガイドを加えたものです。
セリフとセリフの間に音声ガイドの声優さんによる状況説明の声が挟まります。

拙文ですが、僕が書きました「音声ガイド」付き映画ってなに?体験&徹底調査!視覚障害者のためだけではないその可能性を紹介 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2022
にその辺りのことが書かれていますので、よろしければこちらもどうぞ。。



3.『THE GUILTY/ギルティ』とは
さっきから言ってる『THE GUILTY/ギルティ』って何なんだ、観たくなるじゃねえか。という方もいらっしゃると思います。
死ぬほど面白いので、ぜひどうぞ。

『THE GUILTY/ギルティ』公式サイト → https://guilty-movie.jp/

『THE GUILTY/ギルティ』四コマ映画 → https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2193



















4.AudioMovie®版『THE GUILTY/ギルティ』の感想


「ラジオドラマや音声ガイドとどう違うんだろう」「音声だけで理解できるのだろうか」という疑問を解消すべく聴きました。

映画『THE GUILTY/ギルティ』は88分。
AudioMovie®版では全3話に分けて、それぞれ15分から20分程度。1話完結バージョンは47分。
今回聞いたのは第1話のみ。20分でした。

会場は表参道のcafe ATLANTIS(http://cafe-atlantis.com/)という最上級にシャレのめしたところ。
この日の照明はこんな感じで暗い。逆コの字型のテーブルがガラスで照明が埋め込まれていて、基本青ですが、シーンによって色が変化しました。




AudioMovie®のロゴの入ったマカロンも配られ、このプロジェクトの本気度も伝わるわけです。
この一種異様な非日常の空間で、今回は聴くことになりました。


■わかりやすい工夫

僕はすでに映画を見ていますので、だいたい覚えてるし、同時にちょこちょこ忘れてもいる。
そんな状況ですが、僕は映画よりもAudioMovie®の方が「わかりやすい」と感じました。

この映画の特色なんですが、舞台は緊急ダイヤル室のみですしほとんど主人公の男の顔がどアップで映っています。
男の顔をガンガン見ながら電話の向こうで行われていることを音声を頼りに思い描くのってちょっと難しいんです。

いっそ目を瞑っていたり、今回のような集中しやすい空間の方が、脳みそが楽イメージし始めてくれます。


■映画のエピソードやシーンをいくつか削っている

誘拐事件の電話が来るまでに、2、3件電話が来ていたと思うんですが、それが1件になっていました。
同僚のおじさんとの会話もあったかと思いますが、それもカットされていたようでした。
わかりやすいように要素を削ってポイントを絞るためでしょう。


■セリフと声優の演技


セリフもかなりわかりやすく組み立てられていたと思います。
声優さんの演技も素晴らしく、セリフ以上に役柄や状況や今後の展開を含んだ声の演技で、わかりやすく伝えてくださっていました。


■わかりやすすぎる?
今回は相当集中して聴く状況が設定されていましたし、前後に製作者の熱い想いなんかを聞いたりもしていたので、めちゃくちゃ気合い入れてみんな聞いていたと思います。

だからかもしれないんですが、ちょっとわかりやすすぎるのかもしれないと思いました。

だからこそ羽田圭介さんが「●●わかっちゃった」と言っちゃったのでは。
●●わかるくらいに削ぎ落としてわかりやすくしすぎちゃったのかも。
(羽田さんが小説家だってのもあるかと思いますが)

映画版だともとエピソードが多いし、視覚情報も浴びるので「あれはどういうこと?ん?ん?」と思ってる間に話が進んで行き、あれよあれよと引き込まれるってのがあったんですが
今回のように丁寧に整理された音声情報だと「むしろ意外とわかりやすい」のかも。

ただ、繰り返しになりますが、今回は異常に集中させる空間で聞きましたし、
そもそも僕は「一回映画見てる」わけですが。


5.「ようこそ、この世界へ」視覚障害のある方の感想

参加者には視覚障害のある方が2名いらっしゃいまして、鑑賞後、男性の方にマイクが渡されて感想を述べられました。
この感想に僕は胸を撃たれました。

以下要約です。

「ようこそ、この世界へ」という感覚です。
目が見える状況でも目が見えない状況でも同じ情報を与えられれば、もしかしたら同じ想像ができているのかも知れない。


橋Pさんが「わかりにくい箇所はありましたか?」と質問すると
ちょっとキョトンとした感じで「与えられた情報で想像するんです」と答えてらっしゃいました。

ト書きを廃したAudioMovie®にあって「ちゃんと伝わるように」というのを橋Pさんは苦心して製作されましたし、
僕は「音声だけでわかるんだろうか」と心配しつつ聞いて「わかりやすかった」という感想を持ちました。

この男性の言葉を聞いて
我々は「わかる」ということに囚われすぎているのかもと思いました。

今回は映画『THE GUILTY/ギルティ』という元があるのでなおさら、まるで正規の答えがあるような気になっていました。

***

途中、主人公が隣の部屋に移動して誰にも見られない状況で同僚に電話するというシーンがあるんですが
僕は「映画を見ていない人は主人公が隣の部屋に移動したことがわかるのだろうか!」と勝手にドキドキしていました。

元の映画を「正解」だと囚われすぎて、それを想像できなきゃダメと思い込んでわけです。

音声ガイド付き映画を見たときも同じ過ちを冒していたのに、、またしても。。
聞いた音を頼りに自分が想像すればいいだけなのに、「自分の想像は合っているんだろうか」とテストを受けている感じになってました。

***

このように自分が囚われているものを外すことができる快感もありますし
視覚障害のある方と全く同じコンテンツを楽しんで感想も共有できることがシンプルに嬉しいです。
ワクワクし、胸躍ります。




5.AudioMovie®の今後


『THE GUILTY/ギルティ』はAudioMovie®向きな題材だったけど、今後はどの映画をやるんだろうと心配してましたけど、ものすごく杞憂でした。。

AudioMovie®用に企画し脚本を書き作品化していくというプロジェクトなんですね。思っていたよりもっともっと壮大なプロジェクトでした!
ブランド規格「AudioMovie® Code」をすでに作ってあり、これを脚本家やディレクターに公開して、企画やシナリオを募集しているとのことです。

下記の記事に詳細がございます。
 ↓ ↓ ↓ ↓
日本人がいまだかつて経験したことがない “主観の意識体験ドラマ” AudioMovie® (オーディオムービー) が誕生。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000263.000003392.html


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ちなみに「AudioMovie® Code」をチラリと聞いたのですが

●ナレーションを減らす
●シーンを減らす
●聴覚はあまり記憶できないので、冒頭の伏線をラストで回収!みたいなことは難しいかも(これは検証が必要とのことでしたが)。
とか。だそうです。

AudioMovie® Codeは下記から取得申請できます。
https://cgi.tbs.co.jp/ppshw/pc/radio/am/6431/enquete.do



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6.『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴きたいっ!

『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴くには2通りの方法があります。

ポッドキャスト
Apple Podcasts / iTunes, Spotify, Castbox, SoundCroud, TuneInなどで聴くことできます。
「 AudioMovie ギルティ 」で検索すると出て来ます。
※「ギルティ」のみで検索するとすんげえいっぱい出て来るので「 AudioMovie ギルティ 」で。

公式サイト
https://audiomovie.jp/
公式サイトだと全話一気聴きも出来ちゃいます。


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今後、
ビッキビキに冴えまくった高品質のAudioMovie ®作品も聴きたいですし、
「ながら聴き」もできるようなライトな作品も必要になるかと思います。


それにしても近年「ホントにマジでそろそろいい加減にし欲しい……」と思うニュースばかりで
午前中にまずこの手のニュースにやられる…、心も体も消耗する…、という毎日なわけですが、
AudioMovie ®の発足は、久しぶりに希望の持てる明るいニュースでした!


世界で一番ゴッホを描いた男(2016年製作の映画)

2019-11-06 | 映画感想




これは泣けてくる。。

****

香港からちょっと北に行った大芬(ダーフェン)という村には
名画を手描きで複製する画家がいっっっぱいいる。

それが村の産業になっているし、
この村に出稼ぎに来た人が一から油絵を学んで
仕事を得ることができている。


複製画を描くにも技術が必要だし、
同じものを描かなきゃいけない!というプレッシャーにも打ち勝たなきゃいけない。

やめていく学生も多いそう。



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まずびっくりしたのがその安さ。。
結構大きなサイズでも一枚「400円」って書かれてましたよ。。

スタッフは5、6人いて、音楽室くらいの広さのスペースで
たくさんの画材と大きなキャンバスを何枚も並べて
エアコンもないのか、みんな上半身裸で。。

結構過酷な現場ですよ。


****


そんな過酷な中でも、主人公の趙小勇さんは
ゴッホ専門で複製画を描いているおじさん。

「きっと自分の絵は高級な画廊で扱われているんだろうな♪」と思っています。

自分たちが描いた絵が芸術として正当に評価されているものだと信じていたのです。


が、しかし
取引先のアムステルダムでは、美術館の外にあるお土産屋で売られているのを知ります。。

しかも、販売価格は買い取り価格の10倍。
描き手の儲けのあまりの少なさにも愕然とします。。


*****


小卒(中学を退学)で絵の技術もなかった趙小勇さんが
大芬(ダーフェン)に来て、独学で油絵を学び、
スタッフを雇って自分の工房を開くまでになったけれど、

いまだに生活はカツカツだし芸術家としての自分も否定された姿は
とても悲しく、、見ていられません。。


******


趙小勇さんのゴッホに対するシンプルな尊敬の念も爽やかで清々しいです。
人柄の良さを全編通して感じます。


*****


生活の糧としての複製画。

しかし、
ひとりの画家としての自分をどうやって表現して行くか、趙小勇さんは強く悩み、戦います。

この戦いに向かう姿が泣ける。。


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僕もね、おんなじような気持ちですよ。

絵描いて生きてるわけですが、、
ずっと小馬鹿にされているような気分です。。

ずっと「はいはい、職業イラストレーターさんね。自分で表現したいことなんて何にもない人ね(笑)」って
ずっと言われ続けているような気分です。

それと戦いながら生きていますよ。

はぁ。。


 


タクシードライバー(1976) ネタバレ&ラストあり

2019-11-02 | ネタバレあり
20歳頃に確か観たはず。正直よく意味がわかってなかった。
(当時カッコつけて難しい映画見まくってたけどどれも意味わかってなかった。。)


当時のマーティン・スコセッシ(36歳)、ロバート・デ・ニーロ(33歳)
よりも歳をとった今、もう一度見てみる。


メモりながら鑑賞。
以下、メモ。


物語の中盤までについては書きます。
そこまでのネタバレもイヤだという方は読まないでね。



****


トラビスって自信満々にナンパできる男だったんだ。

世間のアホども(自分以外のだいたいの人間)を憎んでる男、トラビス。


トラビスはベトナム帰還兵。
帰還兵の多くが患った不眠症を彼も患っている。


****


窓外のモブがコントロールされていなくて気が散る。

わざとなんだろうな。


****



「生まれは?」
「北よ」
「仲間の彼氏は苦手だな。まともじゃないよ。失礼だ。」
「あなたみたいな人初めてよ」

この会話の意味がわからない。。



****



クリス・クリストファーソンの歌の歌詞

〝事実と作り話が半々の矛盾した存在〟




×****



トラビスがベッツィーを初めて連れて行った映画

『スウェーデン 夫婦マニュアル』
原題 sometime sweet Susan



ベッツィーにフラれる。



****


「カルフォルニアではゲイでも別れるときは慰謝料を払う」
「カルフォルニアは進んでる」

『タクシードライバー』は1976年の映画。


****



先輩ドライバーの言葉
「人間はなるようにしかならんよ。
貧しい者、金持ち、弁護士、医者も同じだ
死ぬ奴、病気が治る奴、生まれてくる奴もだ
お前は若い
好きなことをやるんだ
どうせ俺たちは負け犬だ
どうにもならんよ」

トラビス「そんな馬鹿げた話は初めてだ」


****


トラビスは銃の闇業者から
4種類のマグナムを400ドルで買う。

麻薬も勧められるが
「そんなんはいらねえ」


それから筋トレと射撃の練習はじめる。

なぜか拳をコンロで火であぶる。。
自分を地獄に追い込んでんのかな。。

暗殺の準備をコツコツ進める。
(この時はまだターゲットを決めてない?)



****



行きつけの売店に強盗(黒人)が入り、トラビスは持っていたマグナムでアッサリ射殺。

「今月で5人目だ」と店主は死んだ強盗を鉄の棒で何度も殴る。



****


以前見かけたアイリス(ジョディ・フォスター)と道で再びであう。
彼女は12歳半。

スポーツ(ハーヴェイ・カイテル)を介してアイリスを15分間買う。

アイリスと部屋に入る。

アイリスに説教。
アイリスを逃がそうとする。

「逃げたいんだろ?」
「いつでも逃げられるわ。でもあの人(スポーツ)は守ってくれた」

2人は翌日の13時に一緒にランチする約束をする。


****


翌日。2人。ランチ。

「君が今付き合ってる奴らは寄生虫だ。イケてるとでも?」
「説教好きなのね。間違いを犯したことないの?」
「スポーツは地球の汚物だ」


****

アイリスは「バーモントのコミューンに行きたい」と言う。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマンソンファミリーのようなヒッピーの集団生活のことかと。


****




スポーツとアイリス、部屋で抱き合う。
「今の暮らしが嫌なの」
「お前に愛される喜びをみんなにも味わせたい」



****


ベッツィーに贈って返された大量の花束を燃やす。

アイリスへ
君がこれを受け取る時おれは死んでるだろう

と書いた手紙と金を封筒に入れる。



****



大統領候補(パランタイン)の演説開始。


タクシーから降りるトラビス。


ネタバレは以下に。。。





















モヒカンにしてグラサンしてるトラビス。
演説を聞いてニヤッと笑い拍手する。

シークレットサービスの1人がトラビスを発見。
(以前彼を危険人物だと認識してた)

演説終了。
近寄るトラビス。

銃を抜く寸前でシークレットサービスに見つかり、追われる。
失敗。

部屋に帰るトラビス。

****

夜、売春宿を訪れるトラビス。

スポーツは風貌が変わったトラビスが誰だかわからない。

「アイリスを知らないのか?」
「アイリス?誰だ」
スポーツはアイリスの本名を知らなかった。

トラビスは、
アイリスはスポーツを本当は信頼してないし、自分のことを信頼して本名を教えてくれたんだと確信したのだろう。

トラビス、スポーツを殺害。
小休憩後、売春宿に入る。
「(彼らを)撃たないで」と泣くアイリス。
トラビス、男を3人殺害。

トラビスも負傷する。
首と右肩撃たれてる。

泣くアイリス。
傷を負いソファに座るトラビスに
警官が銃を向ける。

 (劇伴がうるさい)

警官に気付いたトラビスは
空の左手で自分の頭を撃ち抜くマネをする。
「ブフゥ!ブフゥ!ブフゥ!」
ニヤリ。
 

****

俯瞰。

血塗られた銃がいくつも床に落ちている。

アイリス、トラビス、警官の立ち位置は変わらない。

表には野次馬とパトカー。

****

手紙。

トラビス様

あなたが解放に向かわれたと聞き
家内と喜んでいます。

(壁に新聞。タクシー運転手ギャングを撃退の見出し)

娘のアイリスを迎えに行った時
病院に寄るつもりでおりましたが
あなたは意識不明でした

アイリスのことはお礼の申しようもありません

失われた生活がまた元どおりになりました

今やあなたは我が家にとって英雄です。

アイリスの近況ですが
学校に戻り勉強に励んでいます

環境が変わったことに苦労はしますが
2度と家出などさせないことをお約束します

(新聞の見出し。英雄タクシー運転手回復へ)

最後に
家内共々心より深くお礼を申し上げます。

残念ながらニューヨークには伺えません。
もしピッツバーグへお越しの際は是非とも、お立ち寄りください

****

タクシーの現場に戻ったトラビス。
仲間たちと以前の通り。

トラビス、客を後ろに乗せる。
客はベッツィー。

「パランタインが指名されたな、勝てるよ」
「新聞を見たわ。大丈夫なの?」

「新聞は大げさだ」

ベッツィーの家に着く。
ベッツィーから代金を受け取らないトラビス。
一瞥して去っていく。

小さくなっていくベッツィー。

いい雰囲気の映像。

だが、いきなり車窓にパトカーのサイレンが映り込むと
トラビスは一瞬殺気だった表情に変わる。

いい感じの音楽も一瞬不穏になる。

で、またいい感じの音楽再生。

しかし、たびたびのメロディを短調に変える一音が差し込まれる。

そして突然音楽途切れる。
無音のままエンドクレジットは続く。
(これ怖かった。。ネットフリックスのミスかと思ったけど、違う、よね。。)

トラビスはどこへ行ってしまった。
おかしな世界へ行ってしまったのか。

そういえば、
あんなハッピーエンドな手紙届くのも不自然だし
あんな都合のいい見出しの新聞が出るわけないもんね。。

妄想か死後の世界かな。。
撃たれて死んでたのかな。。

不自然だったもんな、
アイリス、トラビス、警官があの配置のまま動いてなくて。

新聞にも丁寧に部屋の図が書かれてて3人の位置が絵になっていた。

この3人が描く三角形。

****

警官は〝公益〟の象徴。

アイリスはなんだろう、〝市民〟か。
アイリスは無抵抗に社会から影響を受ける〝市民〟。

トラビスは何?
〝私刑〟〝正義〟〝狂気〟?
それらすべてをまとめた〝くすぶり〟かな。

この三角形。

この〝くすぶり〟は今も街を走り続けてるよ、と。



****

タクシードライバーは客自身が望んだ場所へ客を連れて行く。

とくにトラビスはどこへでも行くし誰でも乗せる。
(ドライバーによっては黒人を乗せなかったり、ハーレムにはいかなかったりするが)

そういうことをしたい男。

トラビスは、孤独そうに見えたベッツィーを救うために近づいた。
逃げたいと願っていたアイリスを助けようとした。

その人が真に願っている〝場所〟(状態)へ導きたいと思ってるのがトラビス。

まぁ、勝手な話ではあるなぁ。
実際ベッツィーには拒否られたワケだし、おそらくアイリス救出も失敗でしょう。
アイリスはめちゃくちゃトラウマ背負いますよ、あんな惨劇体験したんだから。

勝手に自分を神的存在だと信じた男のヤバさ、か。

そういう人間、現代にもいっぱいいるなぁ。