財布返してあげて。。。。。
実は財布返してあげてたっていうなら、そのシーン見せて。。。。
幸せで善良な家族の財布、、、返してあげて。。。
あれが最初から心配で、、不快で。。
***
ペディグリーペット詐欺を仕掛けてきた女に対して
「なかなか良かったわぁ。修正する点はいくつかあるけど」
って言うなら
その修正点を挙げくれればいいのに。
ササッとセリフで喋ればいいだけの話。
そうすれば薄っぺらい映画だってことが冒頭で観客にバレずにすんだのに。
って思ってたけど
それをちゃんとバラしてくれてたわけねっ。
誠実っっっっっっっっっ!
***
で、カメラ目線で「コンフィデンスマンの世界へようこそ!」
で、タイトル。
ここはコンフィデンスマンの世界だから、
この世界の住人しか楽しめないし、
楽しくないならこの世界の住人じゃないってだけ。
***
ずっと人前に姿を見せなかった竹内結子が
長澤まさみたちの前に現れるとき
竹内結子なら10種類くらいの感情を無言で表現できるでしょうよ。
人から見られることに慣れてない人なわけでしょ。
スッと出てくんなよ。
しかも、最終的にそれを表現する技術がある人だったわけでしょ!
***
三浦春馬に背中の傷を見られて「綺麗だよ♡」って言われた時も
「綺麗なわけないじゃないっ!」って泣きながらブチ切れたりして欲しかったし、
怒り狂った竹内結子がジョニー・トーばりに銃を連射して欲しかった。。
弾当たらなくてもいいわけだから。
***
三浦春馬の悪役。
セクシーだし、かっこいいし、重みもあるし、セリフも達者だし、
ラストの小物感ももんんんのすごく良い。
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ惜しい人を。。。
***
基本的にすべてがどうでもいい話。
それでも怒りが湧かないのは
ちゃんと「これはどうでもいい話なのです」というのが観客に徹頭徹尾伝わっているから。
そもそもゴールがはっきりしていない話なうえ
何度もそのゴールが移動するので
どうでもよくなる。
「金目的じゃない」って途中で言っちゃってるから
計画に採算が合わないこともどうでも良くなる。
ドキドキポイントがなくなっていく。
ただ今、画面に映っていることでドキドキする以外にやることがない。
今まであったこともどうでもいいし
この後どうなるかもどうでもいい。
誰かが死んだりする映画のトーンでもないことは十分に知らされているので
突然予期せぬ不幸が起きるかも!というドキドキもない。
***
めちゃくちゃ勝手な話なんだけど
勝手な話しますよってのがちゃんと表現されているから。
その意味では誠実と言えるかと。
**
どこまででも話が作れるので、いいコメディ映画シリーズになるのでは。
女性主役のコメディ映画シリーズなんて世界でもそうそうないんだから。
ぜひ頑張って。
ネタバレは以下に。
ニュース番組で香港のデモを報じている。
「不当なリストラを行った会社に対する反発が発端となり、香港市民の怒りが爆発した形です。
その矛先は香港の女帝と呼ばれる人物に向けられています。
香港ではその冷徹非常な性格から氷姫と呼ばれているそうです。
テロップでは
「不当リストラに市民反発
ラン・リウ会長へ抗議デモ
ラン・リウ会長
○個人資産数千億円
○香港大財閥、射手座集団トップ
香港市民の呼び名
氷姫」
ラン・リウは裏社会と通じてる豪腕経営者であり、市民が敵視してデモするほどの〝悪〟。
佐藤隆太演じるデモの一員もカメラに向かって彼女の非情さについて叫んでいましたね。
しかも、その直後「こんなこと言ったら命狙われる!」みたいな感じで怯えますね。
それくらいにラン・リウは悪い人。
しかし、長澤まさみたちは悪者ランリウを利用しただけであって、
ラン・リウの被害者を救おうとしたり、
ラン・リウに反省を促したりしない。
長澤まさみたちは
赤星に対しては義賊だった(かもしれない)けど、
ラン・リウに対しては義賊ではない。
ラン・リウは長澤まさみたちのことも気づいてないはずだし
1ミリも何の影響も受けてない。
何も関与してない。
映画のスタート時には悪者だったラン・リウ(竹内結子ではなく)が
実は一切何の罰を受けなかったし、
心の変化なども当然なかったので、映画スタート時のままの悪者のまま。
香港市民に対する対応にも変化もなかったのにも関わらず
ラン・リウはラストシーンでカメラ目線でカッコよくキメさせちゃう。
かっこいいキャラになっちゃってる。
ラン・リウは映画の根幹となる悪役な訳です。
でも、なんと、、、、そのまま。。。
映画開始と1ミリも変化ナシ。。
放置。
利用。
そして長澤まさみたちは30億(から経費を差し引いた分)をゲット!
デモした香港市民がかわいそう。時節柄、ホントに無責任。。
なにこれ。。。
大量の1万円札をドミノにしたり、空中に飛ばしたりするのは良かった。
結局大金を得てもそれの使い道なんて考えてないし(部屋の中でパーティーするというショボさも良い)
そもそも先のこと考えない、ってのがとてもこの映画らしくて一貫していて良かったと思います。
映画「透明人間」1933
リブート版『透明人間』(2020)を観た後にこの1934年版を観ました。
同時期の『フランケンシュタイン』(1931)に比べるとかなりエンタメ映画としてわかりやすくて、コメディ感もちゃんと伝わってきて、90年も昔の話とは思えない出来でしたよ。
***
四コマ映画「透明人間」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2546
***
透明人間ってそれだけでは別に怖くもなんともない。
そいつが怖いヤツだから怖い。
体が透明でも気が弱くて心優しかったら、つまんない。。
サイコパスだからこそ楽しい。
1897年の時点でこのことには気付いている。
さすが原作H・G・ウェルズ。
***
ジャックは科学者だけど「ずっと貧しかった」男。
透明になる薬を開発して金持ちになるぞ!って思ってただけなんだけど
開発に成功した透明薬を飲んでみたら、
精神がおかしくなっちゃった。
世界征服とか大量殺人とかしたくなっちゃった。
でもそういう副作用があるってことは、ドイツ語版の原書に書いてあった。
ドイツ語読めないから、ジャックは。
英語版には「漂白の効能あり」としか書いてなかったから。
残念っ!
てことで、サイコパスになったジャックが大暴れして列車とか脱線させたりしてなかなかの迷惑な状態。
***
で、まあ見えないわけですから、どこにいるかわかんなくて警察は捕まえられない。
逆に同じ部屋にいるかも知んないから、
「あ〜やって捕まえようぜ!」っていう相談もできない。
じゃあどうしますか?ってのが終盤の盛り上がり。
***
「透明になる」ということの意味があまり描かれてないんですね。
それは新作『透明人間』(2020)にはあったかと。
『フランケンシュタイン』の悲しみとか声なき叫びみたいなものも、この透明人間にはない。
ほんとだったら透明になっちゃう苦しみもあったはずなんだけど
本人があまりにもサイコパスすぎて
透明生活を謳歌しちゃってるから、その辺りもない。。
存在しない、気づかれないっていう悲しみが入っていたらもっと深みがあったかなぁ。
そしたら、婚約者の存在にも意味が出たかも。
現状だと「とりあえず美人キャスティングしときました」感のみ。
ラストは突然しんみりしますけど。。。
***
あ、そうだ、思い出した。
2020版で1933版のオマージュがありましたね。
最初のシーン。
1933年版は当然モノクロ。
昔の映画だから最初に演者やスタッフの名前が全部出る。
2020版では夜の海。ほとんどモノクロ。
波しぶきに合わせて、次々とタイトルやスタジオ名?や監督名?が出てくる。
最近の映画では頭であんなに文字出ませんね。
オマージュかと。
あと2020版でセシリアの親友がジェームズ。
1933版の監督がジェームズ・ホエール。
***
四コマ映画「透明人間」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2546
***
ラストネタバレは以下に。
眠くなっちゃったジャックはある農家の納屋で干し草の上で就寝。
いびきをかく。
そこの農夫がいびきに気付いて、警察に知らせる。
透明人間の有益な情報を警察に知らせると報奨金が出ることになってたから
嘘の電話とかが警察にジャンジャン鳴ってて
この農夫の知らせはかなり遅れる。
でも、まぁなんとなく知らせが回って
数台のパトカーが納屋に到着。
雪が積もっている。
警官たちが納屋を取り囲む。
納屋に放火。
納屋に窓は無し、扉のみ。
扉が開く。
雪に足跡。
警官、ジャックに向けて発砲。
雪に人の形の跡。
このシーン素晴らしい。
(でも撃たれたら声出すでしょうよ、ジャック)
***
病院。
医者「手の施しようがありません」
ジャックが横たわるベッドの横に、婚約者。
透明なジャック。
次第に頭蓋骨が見えてきて
最後には美形俳優クロード・レインズの顔に。
そして、死。
このシーンまでクロード・レインズの顔は一度も映されませんでした。
おわり。
映画「透明人間」
名作『アップグレード 』のリー・ワネル監督ですよ。
全然知らなかったもんで、この映画の存在を。
なんかみんなが『透明人間』サイコーサイコーみたいなことで盛り上がってるので上映されてからやっと知りました。
ポスターもクールでいいですね〜。
あとタイトルも良い。
『透明人間』。
原題『The Invisible Man』のままじゃなくて邦題つけてくれてありがとう!
そのままなんだけど、『透明人間』。
人間。人間なんよ。
***
四コマ映画「透明人間」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2547
***
いやぁもうほんとに面白い。
映像かっこいいし、音楽もかっこいい。
エンドロールは音楽だけなんだけど、音楽カッコ良すぎて最後までビシッと座って観てました(聴いてました)。
他のお客さんもほとんど最後まで席立たなかったですよ。
余韻も良かったしね。。
***
1897年のH・G・ウェルズの小説で描かれた透明人間は〝怪人〟の一種ですね。
人造人間とか狼男とか、その感じ。
しかも最初の透明人間は、透明になることと本人がサイコパスであることは別問題でした。
たまたま透明薬の副作用でサイコパスになっちゃった男の話。
***
現代においての〝透明人間〟は病理ですね。
透明になりたいという欲求。
今回の透明人間を見て
SNSで実体を隠したまま活躍してる人たちみたいだなと思いました。
自分の姿は見えないし、自分は安全なところにいるんだけど、誰からも束縛されずに自由に動いて、周りに影響を与えたい人。
この男は最初からサイコパスなんです。
昔の透明人間は薬を売って金持ちになるぞ!しか思ってなかったから、透明になるっていうことをリアルに想像できてなかった。
今回は、ある目的を達成するために透明になった。その時点でサイコパス。
***
そういえば、物語のスタート位置がすご〜〜〜〜〜く面白かったですね。
あんなシーンから始まります?普通。
観客はこの2人に何の思い入れもないのに、あのシークエンスを長々と見せられて、それでも死ぬほどハラハラさせられる。
どっちが悪でどっちが正義がわかんないのに。「がんばれ!」って思っちゃう。
***
しかも、
この映画が『透明人間』であることを知ってる観客だからこそ
もうカメラアングルだけで、怖い。。。
妙に余白のある画角。
じわじわと透明人間の恐ろしさを見せつけられます。
***
たぶんここまで素晴らしい映画になるとは誰も思っていなかったんでしょうね。
この映画に漂うB級感が邪魔になっちゃってました。
本来ならこのB級感は愛すべきポイントだったはずですが、全体の完成度からするとそぐわない。。
特にラストの展開は。。
でも、同時にこのラスト大好きなわけよ。。
もう書いてることめちゃくちゃ。。
***
四コマ映画「透明人間」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2547
***
いやぁ褒めたりないけど、さっさとオチを書きたい。
ネタバレは以下に。
エイドリアンを殺害したセシリアは透明スーツを鞄に詰めて、
「ふふふ」ってな表情。
セシリアが映画始まって以来のまともな表情になっちゃうので、、
え?最初から最後までセシリアが計画したこと??
って思っちゃう。
今までの心神耗弱は演技だったの??と。
でもまぁそれはさすがに考えにくい。
だとしたらあの表情はやりすぎ。。
***
で、セシリアは透明スーツを手にしてるわけです。
原題『The Invisible Man』
『透明男』ではないわけです。
『透明人間』!
透明女も含まれますなぁ!
ヨッ!
セシリア版透明人間っ!
次作『透明人間〜セシリアという女〜』ですよ!!!
***
って思って興奮してたのに、、、
『Invisible Woman』のリブート制作がもう決まっていて
主演・監督はエリザベス・バンクスっていう別の女優(兼監督)さんが撮るみたい。。
じゃあセシリア版はやんないのかな。。下がるわぁ。。
***
ラストは以下に。
セシリアは刑務所の病棟にいる。
エイドリアンの兄トムが面会にやってくる。
トム「犯罪犯したし、精神耗弱状態だから、弟の遺産相続を受ける資格がない。自分でサインしてくれ」
セシリア、サインない。
トム小声で「弟は君から離れない。絶対にやり遂げる」
トムもエイドリアンが死んでいなくて透明人間スーツを着て活動していることを知っていた。
(というかエイドリアンに利用されている)
セシリア「サインはしない」と言い放ち、書類を床に叩き落とす。
トムが書類拾ってる間に、トムのバッグに差してあった万年筆と、テーブルにくっついていたガムを取る。
トム、帰宅。
***
セシリア、独房に戻る。
夜。
独房のシャワー室の上に、ガムで貼り付けた万年筆を隠してあった。
それを取って、自分の左腕に突き刺し肘の内側くらいまで切り込みを入れる(でもほんと血出なかったのは何なんだろ)。
セシリア「あなたの思い通りにはさせないわ」的な発言。エイドリアンが欲しいのはセシリアとお腹の子供。死んじゃったら困る。
セシリアの腕が掴まれる。エイドリアン登場。
セシリア「現れたわね!」と万年筆をエイドリアンにブッ刺す。よろけたエイドリアンに3回くらいブッ刺す。
透明スーツの調子が悪くなって、所々黒いスーツが見え隠れする。
そこに警備員。
警備員、頭と左肩だけの黒いスーツの謎の存在を目にするが意味わかんないのでたじろぐ、そのすきにエイドリアンが警備員を殺害。
セシリア、独房から脱出。
警備員が8人くらいに駆けつけるが次々とエイドリアンに殺される。
透明スーツが見えたり、消えたりするが、ちょうど便利なタイミングで切り替わる。
***
エイドリアン、外へ。外は大雨。セシリアがエイドリアンを追う。
大雨の日を狙ってセシリアはこの計画を実行した。
雨が降っていればエイドリアンの存在が見えるだろうと、思ったんだけど、意外と雨ではそんなに見えない。。
(1934年版は雪が積もってました。雪だったら足跡100%残るけど)
駐車場に車も止まってるし、エイドリアンが隠れる場所はいっぱいある。作戦ミス。
エイドリアン、セシリアの首を締める。
「君は殺さない。君が僕の邪魔をすれば、君の大事な人を殺す」
エイドリアン、車を奪って逃亡。
セシリアも追突事故を起こした車を奪って追いかける。
セシリア、ジェームズに電話。
「シドニーが危ない。すぐに行って」
***
ジェームズの家。シドニー、寝ている。
シドニー、何かの存在を察知。ジェームズ(父)からもらっていた痴漢撃退用スプレーを空間に噴射。
見事エイドリアンに命中。
エイドリアン苦しむ。
そのすきに、シドニー部屋から脱出するも、エイドリアンに捕まり、暴行を受ける。
そこにジェームズ帰宅。
「セシリアの言ってたことほんとだったんだ!」ってな感じでエイドリアンと格闘。
筋肉隆々のジェームズだがエイドリアンに馬乗りになられてボコボコにされる。失神。ジェームズはもっと強く戦った欲しかったなぁ。
でそこにセシリア登場。
「シドニー、下がって!」
消火器を噴射。
※消火器も痴漢撃退スプレーも映画中盤で登場済み。
白くなったエイドリアンに向けてセシリアが発砲。エイドリアン、死亡。ジェームズは起き上がる。
透明スーツの顔の部分を剥ぎ取ると何と中に入ってたのはトム!
「トム!」
トム!ってセシリアが言ってくれたからわかったけど、トムの顔って覚えにくいし、マスクとった顔は思いっきり上にひっくり返ってて誰なのかわかんなかったよ。っていうか、エイドリアンの兄の名前がトムだってこともそんなには周知されてなかったよね。
***
SWAT的な人たちがエイドリアンの自宅に侵入。
エイドリアンは地下室的なところに監禁されていた。
実は全ては兄トムの仕掛けたことだった、と。
***
警察署。
セシリア「犯人はトムじゃない。エイドリアン。これが彼のやり方。」
ジェームズ「そんなの誰も信じない」
ジェームズ、セシリアの話を信じてくれない。
***
セシリア、エイドリアンに電話。
エイドリアン「君から電話をくれるなんて」
***
きれいな服着て口紅塗ったセシリア、エイドリアンの自宅へ行く。
食卓。
セシリア「お腹の子の父親になりたいなら誠実になって、本当のことを言って」
ジェームズ「何、本当のことって。君は時々混乱する。これはサプラ〜イズじゃない」
ジェームズ、セシリアをハグ。
セシリアも「そうね」ってな感じでちょっと泣く。
このやりとりをジェームズが外で盗聴してる。セシリアが頼んだ。
セシリア「メイクを治してくるわ」
セシリア、トイレ。
鏡を見て決意。「さてと」ってな感じ。
食卓。ジェームズが1人でステーキ食ってる。
ジェームズの右手が勝手に動き、ジェームズの首を掻っ切る。大量出血。叫び声も出ない。ジェームズ倒れる。
ちょっとしてからセシリア登場。
セシリア「ぎゃああああああ!ジェームズ!!!!」
緊急ダイヤルに電話
セシリア「一緒にいた人が急に自殺したんです!」
全てを監視カメラが撮影している。
セシリア、監視カメラの死角に移動。
この映画始まって以来の正気な顔のセシリア。
セシリア、瀕死のエイドリアンに向かって「サプラ〜ズ」。
セシリア、カバンを持って家を出る。
一部始終を聞いていたジェームズが来る。
ジェームズ「セシリア、大丈夫か!」
セシリア「大丈夫よ、大丈夫。私を見て。大丈夫でしょ」
セシリアの顔、本当に全然大丈夫な顔。
ジェームズ、セシリアのカバンの中に透明スーツが入ってるのを気付く。
セシリア「彼は自殺したの。聞いてたでしょ」
ジェームズ「ああ、彼は自殺した…」
ジェームズは家に入る。
セシリアは外へ。
フッフッフってな表情のセシリアの顔のアップ。
セシリアは透明スーツを持っている。
終わり。
***
原題『The Invisible Man』
Manには男という意味の他に「人間」という意味も。
男だけじゃない。
邦題『透明人間』。
女性も。
透明スーツを持ったセシリア、次はどんな活躍を?
14〜15歳くらいのときに観たのかなぁ。
ビデオ借りて。
いい映画だったと言う記憶はあるけど、まっったく話を覚えていない。。
たしか同性愛的なニュアンスがあったような…くらい。
**
漫画『違国日記』にこの映画がちょっと出てくるらしくて
その流れで数十年ぶりに観ましたよ。
**
ほんとに全然覚えてなくて、、観始めても思い出さないから、8回くらいびっくりした。。
終盤は「えええええ(笑)」みたいに笑いと共にびっくりみたいな。。
こんな衝撃、、なんで忘れてたんだろ。。
たぶん子供過ぎてよくわかってなかったんだろうな。。
**
なんかアメリカの田舎の昔話を描いた映画って、素敵なんですよね。
素敵に見えちゃう。
美しい自然があって
機関車が走ってて、
まだ馬車もあって
女性たちの服もおしゃれで華やかで
当然映画スターたちはみんなグッドルッキングで、
って。
子供の頃にスルーっと観た記憶のおかげで
素敵な印象しか残ってない。
『リバー・ランズ・スルー・イット』もかなり話はキツめだったはずなのに美しい自然しか記憶にない。。
『フライドグリーントマト』も美しい記憶だけはあったけど、実際観てみると、、まぁなかなかに過酷な話でした。。
**
大人になった今、
「舞台は1920年代のアラバマ」って言われると
こりゃすげえ話が始まるぜ、と覚悟をします。
1920年から1950年くらいまでを描くので、
ジム・クロウ法が絶賛施行中だし
KKKがノリノリで活動中だし
世界恐慌だし
アラバマってことはモンゴメリー・バス・ボイコット事件だし
ってことでやることたくさんあります。
**
この映画では
上記のような社会的事件は直接的には描かれないけど
こういう社会のインパクトが波紋となって
地方の、
名もなき町の、
駅前の集落にまで影響して、
有色人種や女性や障害者などの弱者が苦しめられる様子が描かれます。
**
裁判の陪審員が全員白人男性で
黒人の被告を裁くシーンとか、
KKKとか
1980年パートの夫とか、
一貫して白人男性を敵として描いてますね。
牧師(ルースの父)や
グレイディ(イジーを好きな保安官)でさえも、味方の時もあれば全然そうでない時もある。
確固たる自分がない人。
クリス・オドネル演じるバディもいずれはこんな男になったんでしょうか。
**
で、
当然のように黒人はお手伝いさんとして存在してます。
ものすごく礼儀正しく2歩も3歩も引いた感じで、白人に対して正しく存在しています。
たぶん子供の頃に見たときは、なんとも思わずにスルーしちゃってたんでしょうね。
今見るとほんとに恐ろしいなと思うんですが、
彼らは本当に無害な存在で、
要所要所でボディーガードのような使われ方をします。
で、
黒人の言うことは信用できないっつって首吊られそうになったりするんだけど、それでも一貫して「大人しい」。
使えている白人家族(イジー)には心を開いているように見えて、実は違う。
恐怖ですよ。
このイジーたちにさえも逆らったらこの人たちは生活ができない。
いい相談役になったり、たまに優しく諭してくれたりはするけど
人間が持つ自然な苛立ちや怒りや苦しみを表現するシーンはないし
それを受け止めてくれる白人もいない。
(『ROMA/ローマ』と同じですよ。家族だと思ってるのは白人の方だけ。。。)
この時代でも黒人は便利に使われていたし、
この映画でも黒人は便利に使われていました。
「善き黒人」ならいてもいいよ、という考え方がナチュラルに存在してる。
チョー怖いけど、子供の頃に見たときは何にも感じなかった。
「黒人ってのは白人の家に仕えるもの」だと刷り込まれただけ。
おっそろし。。
**
現代(と言っても1990年)パートと昔パートが交互に来ます。
高齢者施設にいる老女(スレッドグッドの後家だと言ってましたね)のニニーが、イジーという素敵な女性を回想するという話を、
専業主婦のキャシーが聞く、というシステム。
ニニーとイジーは親戚、みたい設定で話しているんでしょうね。
オチに関係してくるわけですが。
ニニーを演じたジェシカ・タンディはこの演技でアカデミー助演女優賞候補になってるだけあって、素晴らしい。ただただ座って喋ってるだけなんですけどね。
あとキャシー・ベイツも素晴らしい。
「私はもうホラー映画の怖い女じゃない!」ってセリフがあるんですが、『ミザリー』は今作の前年の作品だから、台本にこのセリフ入ってるのはおかしいので、日本語版だけのオモシロ翻訳なのかな。
**
キャシー・ベイツはイジーという女性の話を聞いて
こんなにも自由にいきた女性がいたのか!と感化されて
「いい奥さん」やらなきゃいけないと思っていた(でもできなかった)自分から解放されます。
彼女の夫は悪人ではないんですが、妻が見えていない人。
家政婦としか思っていない人。
キャシー・ベイツは最初はフリフリのピンクの服を着ています。
ゴージャスなパーマも当てています。いい奥さん風。
それが後半からは髪はストレートに、そしてラフなブルーのシャツになります。
顔つきも全然違うし、
駐車場で若い娘の車に激突させるシーンとか、
その前からもう顔が面白い。。
表情が本当に素晴らしい。
ラストである真実を明かされる、っていうか明かされないんですけど、、それを聞いた彼女の表情で「あ、、、そういうことか。。」とわかる。
素晴らしい女優たちの演技大会。
**
原作にはガッツリあったらしい同性愛要素はほっっっとんど消えてます。
「彼女を愛しています」と言われても
なんかアメリカ映画で、しかも女性同士ってことになると、、友情かなとか人間愛かな、、って感じもしてしまう。
イジーがかなり型にハマったボイビアンだし、恋人もいないし、結婚とかあり得なさそうなので、そういう話なのかな、という匂いはガンガンするんですけど、やはり決定的な一打からは逃げている。
同性愛まで入れると要素が多すぎると判断されたんでしょうね。
映画『母さんが僕をどんなに嫌いでも』現象ですね。
**
この映画、途中で殺人事件も起こりまして、
犯人は誰?というヒキも加わります。
ミステリーではないので犯人を予想しても面白くはないんですが
そもそもこの事件には根深い女性差別があり
犯人がわかると今度は根深い人種差別も見えてくるので
この映画の中ではとても重要なファクター。
***
ネタバレは以下に。
イジーとルース同性愛の関係にあったということですね。
原作だとどれほど深い関係があったのでしょうね。
映画では「ちょっと深めの親友」って扱いだと思います。
1991年なんだから流石にもうちょっと踏み込んで欲しかったです。
***
フランクを殺したのはシプシー(イジーの家のお手伝いさんの女性)。
演じたシシリー・タイソンは黒人女優の草分け的存在の偉大な偉大な女優さん。
フランクはルースとの子供を誘拐しようとして家に侵入。
果敢にも前に立ちはだかったシプシーはフランクに殴り飛ばされ、失神。
密かにルースに心を寄せていたアル中のスモーキーもフランクと戦うのあっさり倒される。
(フランキーは元軍人ですかね。PTSDで酒に溺れるようになっちゃった?)
で、シプシーがフランクの背後からフライパンで殴る。
するとフランク死んじゃう。
「大変なことになった」と思ったビッグジョージがイジーを呼びに行く。
で、相談。
イジー「シプシーは正当防衛よ」
ジョージ「黒人の言うことなんて誰も聞かない」
で、イジー思いつく「ジョージ、バーベキューを焼いて!」
黒人のお手伝いさんはバーベキューを焼く係だったんですね。
昔のバーベキューは今のと違って、堅くて美味しくもなんともない肉を数時間かけて丁寧に焼くことで食べられるようにする調理法。
だから、真夜中から肉を焼き始めるってのは不自然な話ではない。
何が不自然かって言うと、今回はその肉が人肉であると言うこと。。
フランクは解体されて、焼かれましたね。
で、この事件を追う警察はイジーの店に来るたびそれを食べてましたね。
「秘伝のソース」って言ってたので、ソースに混ぜたのかな。
じゃあほかのお客さんも食べたのかな。
ダメだよね。
****
フランク殺害の容疑をかけられたイジーとジョージは裁判に。
でも死体も見つからないし、
ルースの父の牧師の嘘の証言によって
2人は無罪に。
(フランクは事故って車で橋から転落したということになる)
ルースは事件の真実は知らないし
自分の父が嘘の証言をしたことによって2人が無罪になったことを知っているので
もしかしたらフランク殺しの犯人はイジーかも、と最後まで思っていた。
****
ルースは病死。
列車も廃線になり、店も閉店。小さな町も消えてしまった。
****
エヴリン(キャシー・ベイツ)はニニーを引き取って一緒に暮らすことに。
どうやらエヴリンは子供亡くしているらしいですね。
一切子供の話出てこないもんね。
「あの子たちは全然顔も見せやしない!」的なセリフもないから。
いないんでしょうね。
でも子供部屋はあったから、いたんでしょうね。亡くなったんでしょうね。
その辛さから、2人はめちゃくちゃ食べるように。
夫は家にいるのが辛くてスポーツばっかり、なのかも。家庭から目を逸らしたかったのかも。
ちなみに後半エヴリンは仕事を始める。映画では何の仕事かわかんないけど原作では「黒人教会」らしいです。
****
エヴリンがニニーを迎えに行くとニニーは退所していた。
自分の家に帰ったが、老朽化のために壊されていた。
ニニーには知らされていなかった。
行政ひどくない???
今日からどこで寝るのさ。
そこにエヴリン登場。
「一緒に暮らしましょ」
「あなたの旦那さんは?」
「感謝するわ」
***
ルースの墓に花と手紙が手向けられている。
手紙の差出人には「イジー」と。
エヴリン「イジーは生きてるの??」
てっきり死んでるかと思ってたけど。
ニニー「そうね」
エヴリン「今日会えるかしら」
ニニー「きっとね」
ニヤリ、とエヴリン。
ニニー=イジーでした。
終わり。
考察の映画ですね。
脚本家のニコール・テイラーは
スター発掘番組で観た素晴らしい歌声を持った女性に心を奪われた、と。
しかし彼女には道を踏み外した過去もあり、子供も5人いた。
「子供たちと別の道を歩んでも、神が与えてくれた才能を開花させるべきなのか。その答えがわからなかったので、この映画で追及しました」とのこと。
プロデューサーのフェイ・ワードも
「本作は、夢と現実との対立、周りの誰も観たことがない何かを追い求めること、誰の賛成も得られずに保守的になるとき、その夢がどうなるかについての物語です」と。
****
四コマ映画『ワイルドローズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2544
****
「シングルマザーで子供を抱えながらも夢を諦めない女性」を応援しやすい人物として描けば、この話を物語ることはとても簡単。
いくらでも笑って泣ける感動作にできる。
しかしこの『ワイルド・ローズ』の旅は険しい道のりを選択しました。。
***
主役の女性ローズはなかなかにヤンチャ。。
子供二人いるのにだいぶいろんなことに無責任。
祖母(ローズの母)がしっかりした人だから育児放棄事件になっていないけど
子供の食事を忘れて彼氏と酒飲んじゃったエピソードなどもある。。
映画の主人公の行動としてはかなり危ない賭けですよ。
「子供が一番でしょ!シングマザーが夢追ってもいいけど、子供を100パー面倒見てからの話でしょ!」と多くの人がローズに嫌悪感を抱くでしょう。
***
ここがこの映画の肝。
凡百の「笑って泣ける感動作」との違い。
数多ある「スター誕生映画」との違い。
***
主演のジェシー・バックリーの演技が素晴らしい。
ほんとに繊細な表情でローズを実在感たっぷりに演じています。
言動はほんとイラッとするはずのものなんだけど、ちゃんとこの人を一人の人間として演じてくれてるから、見放すことができない。
それはローズの母の視点。
ローズ(娘)を見放すことができない人。
ローズの母役のジュリー・ウォルターズがまた輪をかけて素晴らしい。
この役の複雑さを「私、名女優でございます」的なうるささが全くない演技で、ビッチリバッチリ伝えてくれる。
だからこそ、ラストの歌が感動できるわけですよ。
このお母さんの愛情がこの映画の土台となっているから。
この二人の演技が素晴らしい。
からこそこの映画が成立しましたね。
***
あと、もちろんジェシー・バックリーの歌。説得力がすごい。
****
四コマ映画『ワイルドローズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2544
ネタバレは以下に。
↓
↓
↓
↓
ローズは12カ月刑務所にいた。
今日、退所。
足にGPSを付けられる。
すぐに彼氏のもとへ。
彼の母から睨まれる。
公園行ってアオカン。
それからやっと実家へ。
娘と息子をローズの母が面倒見てくれていた。
祖母の方に懐いちゃってる娘と息子。
息子「ここにいたい!」
ローズ「(アメリカの)ナッシュビルへ行くわ。歌の仕事で養う」
母「その夢のせいで家族が犠牲に!」
****
舞台はスコットランド。
母(実家)はスターリングにある。
グラスゴーは電車で50分くらいのとこ。
グラスゴーの団地でローズと娘と息子は生活を始めることになる。
****
グラスゴーの飲食できるライブハウス。
グランド・オール・オープリー・グラスゴー、という店名。
ローズは店長の女性に冷たくされる。
その店の人気歌手ミシシッピ・ツンドラも「犯罪者なんて客は誰も見たくない」と。
ローズ「この店10年も働いてたのに!」
この店で仕事をしようと思っていたが当てが外れた。
****
スザンナを訪ねる。
豪邸。ここでハウスキーパーの仕事をする。
スザンナがいない間に特大ベッドで寝てみたり、酒を飲んでみたり。
掃除機かけながらヘッドホンで熱唱。カントリーソング。
スザンナの双子の兄妹が帰宅。スザンナの歌、すげえなみたいなリアクション。
****
ローズの娘と息子はローズの母に懐いてる。
実家から3人で引っ越し。
グラスゴーの団地。
息子「こんなとこやだ!」
****
スザンナ「なぜカントリーを?」
ローズ「3つのコードの真実だ。これで心をさらけ出すんだ」
スザンナの家の家事が終わって、彼氏とパブで酒を飲む。
足につけられたGPSは
夜7時から朝7時まで家にいないと通報される。
たぶん刑務所に戻される?
うっかり6時34分。
猛ダッシュで家に帰る。
家では空腹の子供たち。
母「子供の食事を忘れるなんて。」
母、子供たちを外食に連れていく。
****
スザンナの家。カントリーが流れてる。
スザンナ「金曜からずっとカントリーを聴いてるわ」
ローズ「14歳からずっとオープリーで歌ってる」
スザンナ「オーディション番組は?」
ローズ「あれは視聴者のためのものだ」
スザンナの勧めで、
カントリー界で力を持っているロンドンのラジオDJボブ・ハリス宛にメッセージを送る。
ローズの歌をパソコンのカメラで撮影。スザンナと双子がその様子を見守る。
〜
その綺麗な顔を守りたい
できるだけずっと
この家に平和を
穏やかな時間を
〜
スザンナと双子、拍手。
スザンナの夫登場。イケメンで子供思い。
***
ローズの家。
子供との会話がうまくいかない。
心を開いてくれない。
夜中。
子供の宿題か日記的なものを読んで子供のことを知る。
翌日、家をめちゃくちゃ綺麗に片付ける。
子供の学校の予定などもちゃんとカレンダーに書く。
***
スザンナ「ロンドンに来るならボブ・ハリスが会いたいそうよ」
***
母の友人「ボブ・ハリス?あのささやき声のボブ?」
ローズ「その間、子守を頼みたいの」
母「GPSは外せるの?」
***
ローズの担当の弁護士の事務所
弁護士「囚人にヘロインの包みを渡そうとして柵の外からヘロインを投げ入れた。」
ローズ「中身は知らなかったの。酔ってたし。弁護士も〝君は悪くない〟と。」
裁判所
弁護士「GPSを付けていては本来の仕事ができない。彼女の仕事はカントリー&ウェスタンだ」
ローズ「カントリーよ」
GPSを外す許可が下りる。
***
GPSが外せたことが嬉しくて
弁護士と一緒にグランド・オール・オープリー・グラスゴーに訪れるローズ。
ステージで歌っているツンドラを引き摺り下ろし、ローズが歌う。
客はノリノリ。
ツンドラは激怒。
弁護士も踊る。
店は大盛り上がり。
***
スザンナが一等車の切符代とお金をくれた。
乗車。
酒を飲んでバッグを紛失。
ロンドン駅に着く。
金がないのでBBCまで走っていく。
***
ボブ・ハリスと対面。
ボブ・ハリス「君の伝えたいメッセージは?君は君の曲を作りなさい」
***
家。子守をしてくれていた母。
ローズ「ボブ・ハリスが自分の曲を作れって…漂白剤と掃除の歌でも作れって?」
母「すぐ投げ出す。この家を見て。あなたはなんでもできる。ライル(息子)はあなたの挽肉料理が好きだって」
***
ローズの娘の会話。
ギュッとハグ。娘も抱きしめ返す。
***
息子「ママはアウトローだって自分で言ってた」
ローズ「アウトローじゃない。馬鹿だったの」
***
スザンナ「私の50歳のパーティーが週末にあるの。そこで将来有望なカントリー歌手に歌ってもらうわ。お客にはクラウドファウンディングしてもらうの。歌を気に入ってもらったら。ナッシュビルに行くお金がもらえるわよ、次の日曜日に!」
ローズ「週末は子供とビーチに行く約束を…」
スザンナ「バンドと練習を重ねて完璧なステージにしないと」
***
ローズ「週末は練習しなきゃいけない」
母「変わってくれたと思ったのに!」
ローズを応援するスザンナの家族は幸せそう。
ローズの家族は不幸に。
***
母の友人に子供を預けるローズ。
翌日はまた別の友達に。
息子「ママなんて大嫌いだ!」
***
スザンナも昔は貧しかった。
スザンナ「あなたは今が一番よ。子供ができるとそうはいかない」
子供がいることをスザンナに話していない。
話したら子供を優先すべきと言われるかも。
スザンナの夫が車でローズを送ってくれることに。
河川敷で車を停止。
ローズ「私とやろうっての?」
夫「君の過去を調べた。刑務所にいたことも。明日は好きに歌っていい。稼いだら消えろ。うちの子供と関わるな」
ローズは車を降り、歩いて帰る。
***
ローズ、子供たちを迎えに行って家に戻す。
そこにローズの彼氏が空気を読まず登場。
子供たちだけ家の中に。
息子がタンスの下敷きになって怪我。
病院へ。
医者「彼には何かアレルギーは?」
ローズ「ないわ」
娘「絆創膏アレルギーが」
***
翌朝。病室。パーティーの当日。
息子はギプスをつけることに。
ギプスを付けるのを待っていたらパーティに間に合わない。
ローズ「私を助けて。20年もパン屋で働くのは私にはできない」
母「裕福な人に事情がバレたら無駄よ。子供がいるって言ってないでしょ。ナッシュビルに行けばいい。好きにしなさい!」
母がまた子守をすることに。
***
ローズ、泣きながらトイレでメイク。
スザンナの家。ちょっとしたフェスくらいの規模のパーティー。
夫がローズを睨む。
スザンナ「少し前に光が差し込んできました。この街と同様にこの女性は素敵です」
前奏が始まり、客は拍手するがローズは歌えない。
ローズはステージを下りる。
スザンナ「ローズ待って!」
ローズ「私はあなたが思っているような人間じゃない。刑務所に入っていた。子供も二人いる。ワイノナは9歳で、ライルは5歳。それが真実。今までの私は偽物。」
ローズ、去る。
スザンナ、泣く。
夫がスザンナを慰める。
スザンナ「ひとりにして」
***
家。
母が戸惑いつつもローズを温かく迎えてくれる。
***
別の日。
ローズと子供たちはビーチで遊ぶ。幸せな時間。
***
ローズ、母も働いているモールで働くことに。
母はモーテルのパン屋で働いてる。
***
ローズの誕生日パーティー。
母と子供たちが祝ってくれる。
ケーキのろうそくの火を消す。
息子「願い事は?」
ローズ「代わりにして」
それを聞いた母が微妙な表情。
***
母、実家のローズの部屋のベッドに座る。
ローズの物がたくさん残っている。
歌手を夢見ていた十代の頃の写真や初ライブのポスター。
***
翌日。
母、ローズにお金を渡す。
母「希望を奪うつもりはなかった。人生にはもっと大切な物があるのか私は知らない。行ったことがないから。あなたが確かめてきて」
ローズ「終わったんだ」
母「15で働く必要がなければ大学へ行った。薬剤師になりたかったのに。なぜか大学に行かなかった。あなたを生んだ後でも行けた。でもしなかった。子供に夢を託す方が楽だった。自分の夢を追うより。ガッツがなかったの。あなたは違う。子守は私がする。未来を見てきて。」
ローズ「どうやってお金を?」
母「パン屋で20年よ。甘く見ないで」
微笑む二人。
***
ナッシュビルへ。
タクシー。
タクシーの後部座席には運転手が出したであろうCDアルバムが大量に置かれている。
このタクシー運転手も歌手を見てナッシュビルに来て、今はタクシー運転手。
モーテルの受付。
受付の女性「何泊?」
ローズ「わからない。何が起こるかわからないから」
受付の女性「悲しみが歌になり、ヒットしますように。」
***
ナッシュビルの夜の街。
音楽に溢れキラキラしている。嬉しいローズ。
ふと入ったライブ付きレストラン。
ローズがウェイトレスに言う「私も歌わせてもらえない?」
ウェイトレス「世界中からあなたと同じ目的で集まる」
層の厚さを体感するローズ。
***
翌日。
グランド・オール・オープリー・の観光ツアーに参加。
他の観光客と一緒に頭から観光カードをぶら下げて案内役に連れられて歩く。
ステージをチラッと覗く。
サッと離れて、ステージに上がる。
客席には誰もいない。
マイクだけ。
ローズ、歌い始める。
リハをするつもりだったっぽいミュージシャンが後ろに二人くらいいる。
バイオリニストが伴奏してくれる。
〜
雨の中私は生まれた
だけど目指す場所がなかった
〜
歌い終わっても誰も拍手しない。
何も起こらない。
***
警備員「ツアーでガイドを撒いてステージで歌うなんて初めてだ。レーベルの関係者と飲むんだ。君が会いたければ紹介する」
ローズ「ありがとう。でも街を出るから」
笑顔で去る。
***
翌朝。モーテルの受付。
受付の女性「諦めたの?」
ローズ「いや、ここから始動だ」
***
家。
娘と息子「ママ!」と駆け寄る。
ローズの表情で全てを読み取る母。
***
一年後。
グランド・オール・オープリー・グラスゴー。
ローズのライブ。
客席は満席。
母と子供たちもいる。
ローズ「私はナッシュビルの人間じゃない。グラスゴー出身だ。この曲は私が作った。」
〜
玄関前の石畳をすり減らしたのは私
行ったり来たり 行ったり来たりして
いつも明かりをつけておいてくれた
ずっとありがとうを言うべきだったの
あなたを突き放して
地図にピンを突き刺して
私は嵐の中に消えた
自分の道を進むしか
過ちを犯すしかなかった
旅立つしかなかった
わかってたよね
黄色いレンガの道はグラスゴーにはないけど
石よりも強いものを見つけた
どこよりも故郷が一番
どこよりもここが一番
窓の外に垂れ下がる月
ベッドの下には夢が詰まった靴箱
明るい光を辿って黄金の街へ
旅立って初めてここがいいと気づいた
私たちはお互いをわかってる
パッツィー・クラインと時間が修復してくれる
自分の道を進むしか
過ちを犯すしかなかった
旅立つしかなかった
わかってたよね
かかとを鳴らすよ
あと3回
それでいい
そこが私の世界
黄色いレンガの道はグラスゴーにはないけど
石よりも強いものを見つけた
どこよりも故郷が一番
どこよりもここが一番
〜
母は涙を堪えながら聴いている。
スザンナと双子も客席にいる。スザンナは泣いている。
歌い終わって、大拍手。
終わり。
パッツィー・クラインは1960年代に活躍した伝説のカントリー女性歌手。
サーミの血
サーミの血(2016年製作の映画)
Sami Blood/Sameblod
四コマ映画『サーミの血』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2542
バーカバーカバーカ!
おれのバーカ!
なんでこれを公開当時映画館で観なかったんだ!
愚かな我よ!
必見!傑作!びっくり!素晴らしい!
**
アナ雪にも登場したサーミ族。
昨日見た『クロース』にもサンタクロースに仕える妖精としてサーミが登場してました。
サーミ族というのが北欧でどういう立ち位置なのか知らなかったので
傑作と聞きつつも覚悟ができてなくて見ていなかった『サーミの血』を観ましたよ。
**
まぁ映画は素晴らしいんで、みなさん観たらいいんですが、
それはいいんですが、
日本もアイヌや琉球民族や朝鮮民族にしてきた同化政策の映画を撮らなきゃダメでしょ。
んなもん撮る金ないって?
じゃ助成金出しゃいいでしょうよ。
文化でしょうよ。
何のための助成金よ。
**
さて。
サーミ人がいかに差別を受けてきたかよくわかります。
教師は「サーミ人はスウェーデン人よりも学力が劣っている。あなたたちの脳は文明に適応できないという研究結果がでている」と平然と言う。
臭いだ、汚いだ、野蛮だ、のと自由にみんな差別する。
優しく接してくれる人もいるが
そういう人たちは「サーミ人」を文化人類学的な対象として
研究対象として見ているだけ。
**
エリを演じるレーネ=セシリア・スパルロクさんの演技が素晴らしい。
レーネさんも南部サーミ人で、しかもトナカイの飼育もしているとのこと。
しかもあんな迫力の演技。
繊細な演技。
そりゃ演技賞バンバン獲るわ。。
妹(実の妹さんっ!)はじめ、みなさん演技が素晴らしい!
あらすじ、ネタバレは以下に。
老女。
名前はクリスティーナ。
車で、サーミの歌を聞かされる。
「ママの故郷の歌だよ」と息子。
後部座席に孫娘。
「私はあの人たちと無関係よ。あの人たちは嘘つきで物盗り。口を開けば文句ばかり」とクリスティーナ。
車は葬儀場に着く。
「母さんの妹の葬式だよ」と息子。
しぶしぶ葬儀場に入るクリスティーナ。
参列しているサーミ人たちはクリスティーナに厳しい視線を向ける。
民族衣装を着ているサーミの人たち。
「なぜ来なかった?彼女はあなたのために毎年トナカイにマーキングしていたのに」とサーミ語で話しかける司祭らしき男性。
「サーミの言葉はわからないわ」
「わかってるだろ」
**
孫娘の名はサンナ。
**
親戚の家に泊めてもらうことになっていたが
クリスティーナだけはホテルに泊まることに。
クリスティーナはスモーランドというとこで教師をしていた。
今は引退。
ホテルのロビーで女性客たちと会話。
「サーミの人たちって自然を大事にするかと思っていたけど」
「自然保護地区なのにどこでもバイクで乗り付けて」
「トナカイを連れて」
「うるさいわ」とホテル客たちは話している。
クリスティーナ、ただ聞いている。
**
ホテルの部屋に息子が来る。
「母さんがこないとバツが悪い。これからトナカイのマーキングをするんだ」と息子。
「ぼくはサーミ語がわからないし」
諦めて去る息子と孫娘。
**
ホテルのクラブ。
爆音が鳴る。
窓の外にはヘリ。
息子と孫娘がヘリに乗りこむ様子を見る。
**
回想シーン。
1930年代。
エリ・マリャ。
クリスティーナの本名。
草原でテント生活しているサーミ族。
子供のトナカイの耳を切る。
「これであなたのトナカイよ」
サーミ語を話したがらないエリ。
「サーミ語を話しなさい」と母。
「クリスマスなんてすぐよ」と祖母?
「これはお前の父のマーキングナイフだ。」と祖父らしき男性が小さなナイフをエリに渡す。
「お前の母は生活で手一杯だ。少しの間だ。戻ってくるよな?」
「もちろん」とエリ。
エリと妹は小さな手漕ぎボートで川を渡る。
「寄宿学校では行儀良くしなさいよ」とエリが妹に。
「ヨイクを歌えば心は帰れるわ」
妹のためにヨイクを歌う。笑顔になる2人。
「学校で歌っちゃダメよ」
クリスマスまで寄宿学校に預けられる2人。
**
ひたすら森を歩く2人。
寄宿学校に近づくと学生が2人に言う。
「ラップ人だ!くせえ。不潔な奴らだ。仕留めれば賞金がもらえる」
**
サーミ語は禁止よ、ここではスウェーデン語を!と女性教師に手をぶたれる。
サーミの人たちを集めたクラス。
20人程度。
キリスト教の歌?を歌わされる。
知らないとぶたれる。
スカンジナビア半島の北部のラップランドの先住民サーミ族。
ラップ人と呼ばれたりもする。
**
クラスの担任に呼ばれるエリ。
「コーヒーでもどう?」
スウェーデン語を話せるエリに担任は期待をしている。
担任はエリに本をあげる。
「私が期待する国はどこにもない。飽きるほど渇望する」と読む。
「ステキでしょ」と担任。
ウプサラの本。
ウプサラとはスウェーデンの都市。
「教師になるにはどうしたら?」
「知識が必要よ。広く浅く。」
**
妹がヨイクを歌う。
「エリがスウェーデン語を喋ってる〜」
「やめて(笑)」
**
2人を威嚇する若い男たち。
「あなたたちにも客が?まさかね」とエリ。
**
サーミ族の子供たちに偉い感じの大人が訪ねてくる。
自分たちに会いにきてくれた客。
エリたちは嬉しい。
綺麗な衣装ね。髪も綺麗。
写真を撮ってもいい?
個人としてではなく珍しい文化のひとつとして扱われていることに違和感を感じる子どもたち。
保健室的なところで
下着姿にさせられて
頭蓋骨のサイズを測られる。
口の中を雑に見られる。
「欠損なし」
目や鼻のサイズを測られる。
肌の色も。
「下着を脱いでベンチに立って」
「エリ、みんなの手本になりなさい」と担任。
服を脱ぐ。
「手を頭の上に置きなさい」
全裸になり、写真を撮られる。
窓の外から男たちが覗いている。
「スモーランド出身?いいところよね」
全員、裸で写真を撮られる。
**
「見ろよ、サーカスの動物だ!」
「下等な動物だ!」
と男たちに罵倒される。
「取り消しなさい!」と男に殴りかかるエリ。
マーキングナイフで脅す。
男たちに抑えつけられる。
「あなたたちにもラップ人の血が流れてるでしょ!」
男たちはマーキングナイフを奪って、エリの耳を切る。
トナカイ(動物)と同じ扱い。
**
翌日。
干してあるスウェーデン人のワンピースをコッソリ着てみるエリ。
森から軍人たちが出てくる。
「君、これからパーティーへ行かないか?」と誘われる。
サーミの服を脱いで
ワンピースで軍人の後を追うエリ。
妹が追いかけてくる。
「戻って!」と妹。
妹を森に隠すエリ。
パーティー会場に着く。
池で体を洗う。
匂いを消すため。
執拗に洗う。
さっき声かけた軍人に声をかける。
誰もエリをかまってくれない。
仕方ねぇなって感じで1人の軍人がエリをダンスに誘う。
はじめての都会の男。
胸に手を置き、顔を埋める。
タバコをすわされる。
「君の名前は?」
「……クリスティーナ。あなたは」
「ニクラス・ウィガンダー」
「ステキ」
すっかり夜。
「散歩する?」
「散歩して何するの?」
「君の経験?」
「人から聞いたわ」
小屋に入ってキス。
**
「エリ・マリャ!」と妹がパーティー会場に。
教師も。
「汚いサーミ人ね!」
連れ戻されるエリ。
ワンピースを脱がされサーミの服を着させられる。
尻を出させられて鞭で何度も打たれる。
**
就寝。
妹(ニェンナ)に
「私はここにいられない」と告げる。
妹は寝たふり。
**
ウプサラの地図を見るエリ。
「彼氏ができたんでしょ」とニェンナ。
他のサーミの子たちもエリから距離を置く。
「ウプサラの高校に進学したいんです」と担任に言う。
「この学校の子は進学できないの」
「スウェーデンの子と学力が違うの」
「あなたたちの脳は文明に適応できないという研究結果が出てるの」
「家族の元に帰って文化を守るのよ」
「戻りたくなかったら?」
「……協力できないわ」
**
「姉さんは鼻つまみ者よ。スウェーデンの男のところへ?自分のことばかり。」とニェンナ。
「あんたはバカなラップ人よ。脳みそが小さくて将来を考えられない」とエリ。
涙を流すニェンナ。
**
走るエリ。
電車に乗る。
寝台列車の通路に座っている。
サーミの服を着ているエリを訝しく見る客。
寝ている女性客のカバンを盗む。
駅に着き、
サーミの服を燃やす。
カバンに入っていた女性客の服を着る。
黒のワンピース。
**
ウプサラの街。朝。
美しい街並み。
美しく整えられた庭園。
フフフッてな感じのエリ。
二クラスの家を訪ねる。
美人で都会的な母が「二クラスはスナーケスよ」と。
「二クラスが家に来るようにと。泊まっていいよと」とエリ。
困惑しながらもなんとなく事情を察知しエリを家に入れてあげる。
「私はエリスよ。そう呼んで。ちょうど食事してたの」
めちゃ美味しそうな朝ごはん。
二クラスの父と母と3人でテーブルに着く。
名前は?
クリスティーナ。
二クラスとは?
ウデンのダンス場で。
夫もスモーランド出身よ。
ご家族は?
「スモーランドを転々と…」とエリ。
あ、やっぱサーミ人、と理解する2人。
表情には出さない。
**
食べたことのないようなケーキを出される。
母は白ワインを飲んでいる。
父は後ろで黙っている。
夜。
ベッドで寝るエリ。
**
二クラス帰宅。
エリは寝たふり。
「誰?」と母に聞く二クラス。
「クリスティーナとか」と母。
「誰だっけ」
「勝手に人を招かないで」
**
その夜、
窓辺でタバコを吸ってる二クラスにエリが話かける。
エリ「2、3日泊めて」
二クラス「いいけど…」
キス。
からの初体験。
指についた精液を二クラスの胸に塗るエリ。
「耳の傷は?」
「ただの事故よ」
**
電話。
ガラスの食器。
ピアノ。
楽譜。
文明に触れるエリ。
**
翌朝。
「二クラス来なさい」と父。
隣の部屋でコソコソ話す。
「あの子が妊娠したらどうするの?」
「あの子は何しに?何か魂胆があるのかも」
「別れの挨拶をしてこい」
「故郷に帰れば暮らしていけるわ」
「彼らには彼らの仕事があるわ」
「彼ら?」
「ラップ人よ」
会話が聞こえていたエリ。
二クラス「来てくれてありがとう。会えて嬉しかったよ。ただ…」
「私を雇ってくれない?メイドとして。掃除でもなんでも」
ドアを開ける二クラス。
去るエリ。
**
公園にたたずむエリ。
耳から血が滲んでくる。
夜。
**
翌朝、学校の図書館へ。
「授業が始まるわよ」
教師に見つかる。
これで何人目?
名前は?
「クリスティーナ・ライレル」
はいはい偽名ね、ってなリアクション。
**
逃げてきた(事情のある)子たちを通わすことができる学校?
いきなり体育的な授業に参加。
音楽なしのメトロノームに合わせて謎こ体操。
「体操の経験は?」と教師。
首を振る。
「エレサに習いなさい」
**
口紅をつけた女性。エレサ?
エリに口紅をつけてあげる。
マスカラも。
「ドイツから来たの?」
首を縦に振る。
ドイツからの難民扱いってことかな?
(この頃からナチスが台頭してくる)
エレサ、
エリのマーキングナイフを持って
「これは何のためのもの?もらっちゃおっかな」
エレサを突き飛ばすエリ。
あんた根性あるじゃない的な感じで仲良くなるエレサとエリ。
**
スクールカースト上位グループにある入れたエリ。
「何あのダサい服。柄のスカートなんて」と他の生徒を見下すグループ。
一緒になって笑うエリ。
**
「クリスティーナ、校長がお呼びよ」
授業料を請求される。
二学期分200クローナ。
現在のレートで日本で2万円。
1930年代の話なのでもっと高い。
**
二クラスのパーティーに入り込むエリ。
スケーナスという言葉を頼りに探し出したかと。
ラップランドから来た子でしょ、
ヨイク歌える?
聞きたいわ。私たち人類学専攻なの。
今日は二クラスの誕生日なのよ。
バースデーヨイクよ。
放牧の歌よ。
いや、儀式の歌だ。
立ち上がるエリ。
ヨイクを歌う。
意外と地味なヨイクで
みんな「あ、こんな感じなの…期待してたのと…」とテンション下がる。
逃げるエリ。
追う二クラス。
「お金を貸してほしい」
「親は」
「死んだ」
「本当?」
「父は死んだ。母は放牧を」
「本名は?」
「エリ・マリャ」
呼ばれて家の中に入る二クラス。
**
エリ、列車に乗る。
ラップランド。
湿地帯を歩く。
家族の元にたどり着く。
ワンピースを着たエリの登場にみんな、ひく。
**
妹と家に入る。
妹を抱えて仰向けにさせる。
キリスト教の洗礼的な儀式。
抱き合う2人。
妹がヨイク歌う。
**
二クラスの家でもらったケーキをみんなで食べる。
「クリームが多すぎるわ」
「母さん、話が」
「ここで話して。こんなテントじゃ話せない?」
学校の請求書を母に見せる。
「名前がお前じゃない」
「私はもうエリじゃない。私が相続したトナカイを売って!父の銀のベルトを売って!」
「スウェーデンかぶれが!出ておゆき!」
**
エリ、飛び出す。
トナカイを捕まえてナイフで殺す。
翌朝、母が銀のベルトをエリに授ける。無言。
母、無言で去る。
妹も同様。
**
ホテル。
老女のクリスティーナ。
涙。
ホテルを出て、サーミの葬儀場へ。
棺を開けて、老いた妹の亡骸に語りかける。
「私を許して」(サーミ語)
葬儀場を出て、
崖を登る。
広い大地。
サーミの土地。
放牧で暮らす人たち。
昔とら違って
テントの脇にはバイクが並んでいる。
犬も数頭いる。
エリの顔。
終わり。
サーミの血
でっかい団地。
インターホンの音。
何度鳴らしてもドアは開かない。
少女「お母さん、開けて!」
しかし、開かない。
違う部屋だった。階が違った。902号。エレベーターないのか。。足の筋力すごいだろうな。
階段を上る。インターホンを鳴らす。
ドアが開く。
母「もっと良いネギはなかったの?」
少女、母を睨む。
少女の名はウニ。
***
ウニ、中学2年生。休み時間。
ポケベルに「愛してる」とメッセージが入る。
***
自宅。
父「野垂れ死しろ!クソアマめ!●●高校に入れないなんて!」
父がウニの姉スヒを叱る。
そこに母の兄が訪ねてくる。
ウニからすると叔父。
叔父「何年になった?」
ウニ「中2です」
叔父は酔っ払って帰っていく。
***
ウニの家の家業は餅屋。惣菜も売っている。家族総出で餅や惣菜を作っている。
夜、みんなで売り上げを数える。手がボロボロ。
***
教室。
担任「私はカラオケに行く代わりにソウル大に行く!」
生徒たちは渋々繰り返す
「私はカラオケに行く代わりにソウル大に行く!」
「ひどい担任になったね。。」
***
家に帰ると、父が社交ダンスの練習をしてる。
父「テニスの練習だ」
父、出かけていく。
ウニ、無言。
姉、酒に酔って帰ってきた。高校生。。
姉「私には得意なものが何もない」
***
ウニの彼氏。ジワン。
ウニとジワンは手を繋いで下校する。
初キス。
***
自宅。
兄がジワンとウニがいるところを見ていた。
兄「あれは誰だ。親に恥をかかせるな」
兄、ウニを殴る。
***
食卓。
ウニ「お兄さんに殴られました」
母「全く。。喧嘩しないで!」とウニを叱る。
姉も「言うなよ」ってな感じでウニを睨む。
(姉も兄から殴られていたのかも)
***
塾の先生が女性に代わった。
「キム・ヨンジです」
塾。狭い教室。
ヨンジが先生。生徒はウニと親友のジスク。
ジスクはマスクをしている。
ジスクも兄に殴られて口が切れている。
ジスク「グルフクラブで」
ウニ「たまに考える。自殺しようかな。原因は兄のいじめ」
ジスク「みんなは私たちに謝るのかな」
***
母「ウニ、勉強して女子大生になるのよ。そうしたら馬鹿にされないわ」
(母はきっと大学には行っていない。自分は馬鹿にされてきた)
※そう言えば僕の母も「私は大学出てないから馬鹿にされた。だから大学は出て。」って言ってたな。。
***
ウニの右耳のしこりを見てもらいに、病院へ。
医師「来週、組織検査をしよう」
***
帰宅。
母「黒い服を着て」
叔父(母の兄)の通夜。
***
翌日、ジワンが他の女とイチャイチャしている。
帰宅すると母は伏せている。
***
友達とクラブへ行くウニ。地下のフロアでビキビキの音楽と照明。
激しく踊っているウニとジスクの元に、下級生たちが来て一緒に踊る。
下級生たち「私たちの姉御になってください」
タバコを一緒に吸う。
***
ウニ、右耳の下のしこりを医者に切除される。
***
塾。漢字の授業。先生も漢字がそんなにうまく書けない。
先生「知り合いは何人?そのうち心がわかる人は何人?」
***
下級生がウニに柄の花を一輪渡す。
「私のメッセージ読みました?」
「今週末、会おうか」
***
帰宅。
父が姉の夜遊びを叱っている。
母「あんたも遊んでるでしょ」と父を、電気スタンドで殴る。
ガラスが割れ、父の腕から流血。
***
姉「うちの家族は別々に住んだほうがいい」
***
翌日。
父と母が寄り添って笑いながらテレビを見ている。
父の腕には包帯。
割れた電気スタンド。
***
ウニ「結婚したらお互いクローゼットなんだって。いないのと同じ」
親友「ジワンは?」
ウニ「連絡ない。万引きしに行こう」
親友「うん」
***
文房具屋で万引きするも店主に見つかる。
親友が「この子は商店街の惣菜屋です」とウニを売る。
店主が惣菜屋に電話。
父が電話に出る。
店主「え?警察へ引き渡せって?」
父もウニを売った。
店主「帰れ!」
ウニと親友、解放される。
***
ウニ「謝って!」
親友「やめて!」
***
塾。
ウニのみ出席。
先生「親友は?」
ウニ「親友じゃありません」
先生、淹れたての烏龍茶をウニに出す。
ウニ「帰ったら兄さんに殺されます。いつも殴るんです。早く終わるのを待つんです。逆らっても長引くから」
***
食卓。
ウニがいない。
ウニは団地の廊下で両腕を上にあげた状態で正座。
母「もういいわ」
ウニ、家の中に入る。
***
翌日。
母「ジスク(親友)がお餅を?」
親友が餅を欲しがっていると嘘をついて母から餅をもらうウニ。
母「ウニ、悪さしないで」
***
塾。
ウニ「昨日はありがとうございました」と書いた付箋と餅を置いていく。
***
下級生とウニ、カラオケ。
「日曜日もカラオケに行こう」と手を繋ぐ。
そこにジワン登場。
下級生「帰りますね」
ウニとジワン、仲直り。
ベッドで寄り添い見つめ合う二人。
***
耳のしこりについてもっと大きな病院で診てもらうことに。
***
団地の階段。
ボーッと空を見る母。
「お母さんっ」
何度ウニが呼んでも母はノーリアクション。
***
大病院。
ウニの手術がもし失敗したらウニが顔面麻痺になるかもしれないと医者から聞いて、父は情けなく泣く。
それを見て驚くウニ。
***
食卓
父「手術は失敗しない」
みんなもウニにちょっと優しい。
それが嬉しいウニ。
***
塾。
先生「ごちそうさま。美味しかったわ」
ウニ「最高のお米を使っているからおいしいんです」
そこに親友が来る。沈黙。
先生「一曲歌おうか」
〜血のついた作業着が僕の青春〜という歌詞の歌を先生が窓際で歌う。
歌い終わって先生、微笑む。
先生が素敵だからこそ許される行動。。
***
ウニ「私、入院する。失敗したら顔歪むかも」
親友「ごめん、あの時怖くて。殴られる気がして」
ウニ「ごめん」
***
自宅。
ウニは
ジワンとウニの120日記念ソングっつってラジカセに歌を吹き込む。
その後、ジワンとウニ、デート。
ウニ「顔が歪んでも好きでいてくれる?」
ジワン「医者は大袈裟だ」
ジワンの母登場
「これが餅屋の娘?帰るわよ」
ジワンの母はジワンの手を引いて帰る。
ウニ、テープ渡せず。
***
塾。
烏龍茶。
***
先生とウニが一緒に帰る。
立ち退き命令が出ている住民たちが垂れ幕を出している。
ウニ「ここの人たちはどうして垂れ幕を?」
先生「理不尽なことが多いわね。でも、無闇に同情しないでね。知らないんだから」
ウニ「先生は自分が嫌になったことがある?」
先生「何度も。こんな心があるから私は私を愛せないんだって。辛い時は指を一本一本動かすの。辛いことはあっても、指は自由に動かせるって」
***
先生に「赤と黒」という本を貸す。
ウニ「私が退院するときに返して」
先生「わかった、ありがとう」
抱きつくウニ「先生のことが好きです」
先生にも強く抱きしめ返してあげる。
***
手術終わり。
病院のベッド。
父「スヒ(姉)にも傷跡があるのにウニまで。。」
母「たくさん食べるんだよ。」
父と母、帰宅。
病室に下級生が来た。
下級生、泣く。
下級生「あの時の彼はお見舞いに?」
ウニ「別れたわ」
下級生「友達より家族より先輩が好きです」
ウニ「なぜ」
下級生「ただ好きなんです。だめですよね?」
ウニ、下級生の頬にキス。
下級生もウニの頬にキス。
大部屋の病室のテレビ。「金日成がなくなりました」と報じる。
「戦争になるのかしら」と入院患者のおばさんたち。
***
先生がお見舞いに来た。
先生「病院って落ち着くわ」
ウニ「私も家より落ち着きます」
先生「ウニ、殴られないで。誰かに殴られたら立ち向かって。黙っていたらだめ。わかった?」
ウニ「はい」
先生「約束して」
指切りする二人。
***
ウニ、退院。家族は誰もいない。
「一人で?」「えらいわねえ」大部屋のおばちゃんたち。
バスで家に帰る。誰もいない。
窓が開いている。
姉の彼氏「痛くなかった?見ていい?」
姉「早く寝て」
姉の彼氏「傷が残るかも」
***
塾。
先生がいない。
先生は塾をやめた。
塾長?の女性「明日の2時に荷物を取りに来るって」
***
家。
玉の下から母が父を殴ったときに割れた電気スタンドの破片が出てきた。
***
翌日。2時。先生に会いに塾。しかし先生はもう出て行った後。
ウニ「なぜ2時だって間違えたんですか!間違えなければ先生に会いたのに!アンタが先生を辞めさせたんでしょ!」
***
ウニは塾を辞めさせられた。
家族がウニを叱る。
母「性格が悪いからデフン(兄)に殴られる」
ウニ「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ウニ、叫び暴れる。
ウニ「私は間違ってない!性格も悪くない!」
兄がウニを殴る。
父「父の前で妹を殴るとは!」と兄を殴る。
顔の横を殴られたウニは耳の聞こえが悪くなる。
****
医者が耳を診る。
「診断書が必要なら言いなさい。証拠になるから」
***
登校時。
下級生がウニをシカト。
ウニ「私を好きだって言ったじゃない」
下級生「先輩、前の学期の話です」
***
親友「私の親、離婚するかも。どっちと住むか決めてない。知ってる?ウニって時々自分勝手よ」
***
1994年10月21日。
垂れ幕が破れている。
学校のテレビ。
「ソンス大橋が落ちた」と報じる。
「大事故よ」「へりも出てる」
「死者は24名にのぼるとのことで」
「十六番のバスがひっくり返り上部分がない」
ウニ、学校の公衆電話から父に電話。
「お父さん!お姉さんが事故に巻き込まれたかも」
***
食卓。姉がいない。
が、すぐに入ってくる。姉は無事だった。
父「バスに遅く乗ったから助かった」
兄、泣く。
***
ジワン「お姉さん大丈夫?あの学校の生徒が大勢亡くなったらしい」
ウニ「私、あなたを好きだったことはない」
***
自宅。
ウニ。音楽をかけ、踊る。
インターホンの音。
先生からウニ宛の小包。
中には新しいスケッチブックと「赤と黒」の本
***
先生に手紙を書く。
〜いつか先生を漫画のキャラクターにします。
寂しい人に漫画で元気を与えたいんです。
先生、私もいつか輝けるでしょうか。〜
***
ウニ、先生の自宅を訪ねる。
先生の母が出てきた。
先生の母「いつ届いたの?」
ウニ「昨日」
先生の母「昨日?ヨンジ(先生)はもういないの。どうして橋が落ちるのよ。あんな大きな橋が!」
***
先生の部屋に通されるウニ。
ベッドに腰掛けて自分の指を見る。
***
ウニ「母さんはおじさんに会いたい?」
母「お前のおじさんがいないことが不思議」
ウニがクッチャクチャ音を鳴らしながら夕飯を食べる。
母は怒らず、ウニが食べているのを見てる。
***
兄が運転する車に姉とウニが乗っている。
川。安全第一の張り紙。
離れたところから橋を3人で見にいく。
ウニ、目を閉じる。
***
先生からの手紙。
〜
塾を内緒でやめてごめん。
世界は不思議で美しい。
今度会ったら全部話してあげる。
〜
学校の昇降口にいるウニの顔。
終わり。
四コマ映画「はちどり」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2541
試写会復活第一回目はこの映画にいたしました。
この陰鬱とした空気を吹き飛ばして欲しくて。
それができるのはニコケイしかいないっしょ!
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四コマ映画「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2538
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パンフレットでは、
原作者ラヴクラフトの紹介文で「クトゥルフ神話の始祖として知られ」って書いてあって
みなさんご存知の!って感じで普通に書いてあるんですが
すみません、まったく知りませんよ。。
クトゥルフ神話ってのは架空の神話。
ラヴクラフトが書いた一連のホラー小説の人名や地名や書名などを、他の作家たちも自身の小説の中で使用したことにより、あたかも本当の神話のようになってきた、ってことのようですね。
日本でも若い人が結構使っている言葉でTwitterで検索するとファンの方がたくさん見つかりますよ。
モンスターが可愛いキャラクターになっていたりしますね。
***
この映画、面白かったです。
ハラハラするしめっちゃ気持ち悪いしめっちゃ笑ったし、見終わった後じんわりとした気持ちになりましたよ。
好感が持てるのは、このぶっ飛んだ原作『宇宙からの色』を監督が手を抜くことなく本気で映画化している点。
監督曰く「原作者ラヴクラフトに笑う余地などない」とのこと。
それが俳優さんたちにも伝わっていて、みなさんものすごくいい演技をされていました。
特に長女ラヴィニアを演じたマデリン・アーサーさんの気合がハンパではない。
ずっと150%の力で映画の中にいてくれるから、この荒唐無稽な展開でも観客を振り落とさせない。
逆に言うとマデリンさんは真面目にこの映画の中の人物になろうとしているわけです。
***
稀代の映画スターであるニコケイ(ニコラス・ケイジ)はここが違います。
もちろん映画の世界観に軸足は置いているけど、たった一人でこの映画の世界観を大きく広げることに成功しています。
他のみなさんも素晴らしい演技なんですけど、映画の中に収まっている。
ニコケイは自由です。
映画からはみ出ます。
その様子が楽しいですし、
ニコケイの活躍によって
映画『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』が原作の映画化に成功しただけでなく、
映画単体として面白いものになったのです。
何よりもアルパカを心配するニコケイ。
トマトが不味くてブチギレるニコケイ。
テレビ映りを気にするニコケイ。
いろんなニコケイ。みんなのニコケイ。
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あと、ものすごく僕の好みだったポイントがあるのですが、それは思いっきりラストのネタバレなので、以下に。
これも僕の大好物「宗教の話」でした。
この映画では
隕石が落ちてきて「色」を浴びると人間は脳が狂って考えることができなくなってしまうという設定です。
***
監督によると、隕石というのはいくつかの宗教の土台になっている、とのこと。
地球外の物質である隕石のカケラを、古代の人間たちが拾って、地球にはないその石の特性に驚き、そこから超自然的な、神的な物語が生まれ、その信念体系が引き継がれて、宗教が生まれた、ってことだと思います。
古代だって隕石が落ちることはあっただろうし
その隕石に「神的な意味合い」を持たせることもあっただろうと思います。
***
で、僕が好きなのは
この隕石によって人間の脳が狂う、と説明している点です。
隕石によって人間にもたらされる上記のような変化を「狂う」としているのです。
好き。
四コマ映画「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2538