映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

名作!映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』12月31日の21時47分に再生ボタン押すと最高のニューイヤーとなるでしょう

2024-12-30 | 映画感想
2時間13分目にハッピーニューイヤーのシーンが来るから
12月31日の21時47分に再生ボタン押すと最高のニューイヤーとなるでしょう。


**


ここまで素晴らしいとは予想してなかったです。
大好き。
素晴らしい。
 
全然テーマは違うけど『ラースと、その彼女』の雰囲気がある。
あとサンドラ・ブロックの『あなたが寝てる間に…』とかね。


アメリカの地方都市の冬ってなんかいいよね。


こういうサイズ感の良い映画って本当に良い。


**


帰る場所がなくて寄宿学校に取り残された学生の面倒をみるために
教師と料理長も学校に残ることになり
2週間くらい?の3人だけの生活が始まった、と。


とくに仲がいいわけでもなく
お互いのことを表面的にしか知らなかった。


のが、お互いを知っていって
相手を温かい目で見ることができ
自分を温かく見つめる目があることに気づき
「自分、大丈夫」と自分自身に思ってあげることができるようになる。


↑めっちゃくちゃ王道の物語なんだけど
まだまだやれることはたくさんあるってことだね。


ここまでの素晴らしい映画が今でも作ることができるという衝撃!



中山美穂主演 映画『Love Letter』渡部博子は出てこない予定だった?

2024-12-13 | 映画感想

Love Letter(1995年製作の映画)
上映日:1995年03月25日
製作国:日本上
映時間:117分
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
出演者 中山美穂 豊川悦司 酒井美紀樹 范文雀 中村久美 加賀まりこ 柏原崇樹 

そういえば観ていなかったので拝見しました。

**

95年の映画ですね。
90年代の日本映画界は今と違って洋高邦低。
洋画が強くて邦画は弱い状態。
ジブリとかゴジラとかガメラとか『息子』とか『シコふんじゃった。』とか『学校』『居酒屋ゆうれい』とかの時代。



とくに2〜30代あたりの若者に刺さるような邦画ってほとんどなかった。
そんな中で岩井俊二のオシャレさに当時の若者にヒットしたのは想像できる。
ずっと夢見てるような柔らかな照明と
こんな喋り方の人間いるかな?というセリフ回しなど、、
全体的に浮世離れしていて
わざわざ映画館で日本の俳優を見に行く付加価値を感じさせる映像世界なんだと思う。

**

そして、中山美穂の強烈な魅力。

14歳のドラマデビューから注目されて
ずっっっと歌も主演ドラマも大ヒット連発。
95年当時は芸歴も長いし押しも押されもせぬ大スターのはずなのに、
この映画では嘘だろっていうくらいに瑞々しい。初々しい。不思議っ!

正直、〝映画〟というものにピタリとハマっている感じはあまりしないですかね。
その所在なさげな存在感がこの映画に大量の魅力を注ぎ込んでいるんだと思います。

このような映画が一本でもあるってことは芸能人生としては素晴らしいものなのではないかと、観客の1人としては思いました。

***

サムソン高橋氏が出てきた!と思ったら篠原勝之氏でした。



ドキュメンタリー『大麻と金と宗教~レバノンの“ ドラッグ王 ”を追う~』「そんなこと誰ができる?農家にはできない。じゃぁ誰が?」

2024-12-01 | 映画感想
大麻と金と宗教~レバノンの“ ドラッグ王 ”を追う~(2021年製作の映画)
 製作国:レバノン
上映時間:56分 
青々と茂る、腰の丈ほどもある大麻草。
延々と続く畑は、端がかすむほど広大だ。
中東の小国レバノン。
東部にある標高1000メートルの高原では、いたるところに大麻畑が広がる。
全て違法だ。
多くの密売人たちが豪邸を構える村に、カメラが潜入した。
取材を進める我々に対して、目を光らせるのが、イスラム教シーア組織ヒズボラだ。
軍事部門を所有するため欧米からはテロ組織として敵対視されるが、れっきとした政治政党でもあり、レバノンの国政にも深く関わっている。
レバノンの政治システムは複雑だ。
イスラム教とキリスト教を含む18の宗教・宗派別に、建前上は権力が分散されている。
しかし水面下では、政権内でより多くの利権を得るため、宗教・宗派同士で常に駆け引きが行われている。
ヒズボラと対立するキリスト教の国会議員に、質問をぶつけた。
「多くの大麻畑をヒズボラの村で目撃した。あまりにあからさまだ。ヒズボラは、闇の大麻ビジネスで利権を得ているのではないか」
僅かに笑みを浮かべたあと、議員は口を開いた。
「ヒズボラの村に行ったのでしょう?でしたら、あなたはもう答えを知っているはずです」
監督 須賀川拓 



『アフガン・ドラッグトレイル』(2023)、『戦場記者』(2022)の須賀川拓監督の2021年の作品。

**

一応映画として発表されてるのかな?
55分だしニュース映像のたっぷり版という印象。

編集は映画畑の人にやってもらって欲しいんですよ。。
取材はすごい、インタビューもすごい、トータルとしての作品の威力もすごい。
ただ〝映画〟として発表するにはちょっと映画感が足りないのがもったいない。

低予算であろうことは想像できますが、
〝映画〟になることで作品の寿命が伸びるし、観る層が広がるとは思うので、
映画にしていくことは諦めないで欲しいので
一回、編集を映画のプロに頼んでみては!!

**

レバノンの複雑な社会背景がほとんどナレーションの説明だったので難しかったです。

政治家や学者などいろんな視点で語られて、誰が真実を言ってるのか!!のが面白いとこではあるんだけど、結局正直ハッキリとはしないので、、きっとそういう感じなんだろうなくらいにしか思えず、、難しい。。

**

ただ普通のニュース番組の中での放送だったら切り落とされているであろうシーンがたくさん入っていたので
現場の空気感とか多種多様な人の多種多様な語りが聞けてとても深みを感じました。

大麻畑のオーナーが嬉々として大麻畑の撮影を快諾して家に招いてバンバン喋る様子に驚いた。

ドラッグ王の家を探していると近所の住人が「あっちだよ」とカメラが回ってのにサラサラ答えるのも不思議。

そして村長?がドラッグ王の家まで取材班を案内するという謎の展開。

家っていうか町ですか?ていう豪邸の中にもカメラは何故かすんなり入って、ドラッグ王の背中を撮影することに成功!

安全は担保しているとは言え何が起きても不思議ではない状況なのに
ヌルヌルとサラサラとカメラが入っていくのが痛快でもあり、やはり不気味。。

逆にいうと、これくらいの取材では何も揺るぎもしないしヒビも入らないくらいに、強固な社会システムになっちゃってるんでしょうね、、大麻ビジネスが。。

難民問題とも絡んで、
貧しい人が生きるために大麻栽培をしてそれで富裕層が儲ける。

「大麻を輸出するには船も飛行機も必要。そんなこと誰ができる?農家にはできない。じゃぁ誰が?」by大麻農家

ドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)オシャレだしカッコいいしかわいい

2024-12-01 | 映画感想
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)
 Knockin' on Heaven's Door  
上映日:1999年10月23日
製作国:ドイツ
上映時間:90分
  監督 トーマス・ヤーン 
脚本 トーマス・ヤーン  ティル・シュヴァイガー 
出演者 ティル・シュヴァイガー  ヤン・ヨーゼフ・リーファース




90年代のドイツ映画。
国内で火がつき世界的なヒットへ。
日本でもミニシアターで大ヒット。

**

もっと渋いノワール的な映画かと思ったら
結構ライトなコメディアクション。

余命モノではあるけど、もはや余命モノに重さは感じなくなってるし。。

話もめちゃくちゃ。
ただ、オシャレだしカッコいいしかわいい。
4Kリバイバル上映とかやれば人気出そう。

終盤の娼館のシーンは現代ではだいぶひく。


映画『ルックバック』「なんで描いてんだろ なんの役にも立たないのに」

2024-11-24 | 映画感想
ルックバック(2024年製作の映画) 
上映日:2024年06月28日
製作国:日本
上映時間:58分 
 監督  押山清高 
脚本  押山清高 
原作  藤本タツキ 
出演者 河合優実 吉田美月喜


「なんで描いてんだろ なんの役にも立たないのに」

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藤本先生の四コマ漫画が面白すぎて。。
だいたいこういう作中作品ってつまんないことが多いんですけど、
藤田先生の四コマ全部読みたいっ!てなるくらい面白かった。

『秘密』ってタイトルでしたっけ?
先生をお父さんって呼んじゃうやつ。
最高。

**

僕も絵描きの端くれとして前半はとても身につまされながら見ましたし
「ファンですっ!」と言われるシーンでは速攻泣きました。

**

ただ、、重い。。
あの出来事は重すぎる。。

あの大きな出来事を描きたかったんだからしょうがないんだけど、
再現シーンが怖すぎて悲しすぎて、、
後半正直話があんま入ってこなかったんですよ。

あの男が怖すぎて。。

原作漫画にかなり忠実とのことなので
きっとあのシーンも原作にあったのでしょう。
あのシーンを入れたかったんだからホントにしょうがないんですけど、

僕があのシーン以降集中力が削がれてしまったのもしょうがないこと。。

名作っ! 映画『パスト ライブス/再会』ラストネタバレあり

2024-11-08 | 映画感想

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画) Past Lives
上映日:2024年04月05日
製作国:アメリカ 韓国
上映時間:106分
監督 セリーヌ・ソン
脚本 セリーヌ・ソン
出演者 グレタ・リー   ユ・テオ  ジョン・マガロ



「ニューヨークでは泣けないの?」


「私は人生をつかみたい。なのにソウル行きの便ばかり探してる」

**

名作ぅぅ!


恋愛というよりは、
結構可能性高くあったかもしれないもう一つの人生、でしょうね。

自分の意思と関係なく親にアメリカへ連れてこられたけどそこからは自分の意思で人生を掴んだ。

なんの悔いもないのに
自分の故郷の韓国から初恋の男が「君の本当の人生はこっちだったのかもよ」と近づいてくる!!

やめてよそんなこと思わせないでよ、と。
そりゃ韓国の方が苦労はなかったかもしれないし
今の夫も微妙だけど
アメリカだからこそ女性でも劇作家として活躍できてるのかもしれないし
誰だっていつだって「夫は微妙」なものでしょ、と。。

**

「いいえ、私は1秒も乱れていません」てな感じなノラだけど
ぐるぐるぐるぐるとメリーゴーランドのように回っている。

メリーゴーランドのバックにした2人の会話シーン、最高!

監督のセリーヌ・ソンは韓国系カナダ人もしくは在カナダ韓国人かな。
1988年生まれの36歳!

この映画の主役のノラと境遇が似てる!と思ったら、半自伝的な作品とのこと。

**

「韓国ではノーベル賞は取れない」というセリフがある。


この映画公開のときまではそう。

それまで韓国では金大中(大統領当時)のノーベル賞平和賞が唯一の受賞だった。

2024年10月韓国の女性作家、ハン・ガン(韓江)さんがノーベル文学賞を受賞!
おめでとうございます!

**

この映画、下手したら
大人になったノラとヘソン2人だけのニューヨーク散歩短編映画になってた可能性もあるよね。


むしろそれの方が自然?

よくこの(薄い)内容で長編映画にしようと思ったわ。

韓国時代のノラの家族の様子とか
もちろん子供の頃のノラとヘソンとか
リモートの時期とか
ヘソンのダサいパーカー大学生時代とか
兵役とか。

なくても成立はするけど、
ぜんぶめちゃくちゃ大事ですよね。
ぜんぶ効いてる。
兵役とか特に。

**

あと重要なのが夫!

(『ファースト・カウ』の主役ジョン・マガロ !!)

夫のネチネチ感がいいですね。
「君は寝言を韓国語でしか言わない。僕は君の夢がわからない」

「僕は君たち2人が主人公の物語の邪魔なアメリカ夫じゃないか!」
ってセリフは突然メタ構造に入ったのかと思うほど。

だからこの夫はめちゃくちゃ視野が広いんですよね。

何が起きてるのかはわかってる。
妻が愛欲で揺れてるわけじゃなさそうなことは頭ではわかってる。

もっと深く人生の帰路に立ってるっぽい!
だからこそ不安。

「あったかもしれないもうひとつの人生」が近づいてきて揺れている妻を拘束はしないんよ。

ちゃんと向き合ってきな、と。
だからこそのあのラストさ。

**


ラストは以下に!







2分後にウーバー(タクシー)が来る。
おそらくさすがにもう2度と会わないであろう2人。
アメリカ式のフリして抱きしめちゃおうかな
最後だしずっと我慢してたからいいよね
なんだったらキスとかしてもいいかな
だってここアメリカでしょ
アメリカ人って結構軽い意味でキスしたりすんでしょ
あ〜全然無理
全部ノラに見透かされてる感じするし恥ずかし無理無理
でも見透かされてるっていうか
そもそも僕の気持ちは全部ノラは知ってるはずで
ここは男らしく悔いが残らないように
アメリカ式のハグのフリなんかじゃなく
韓国男としてノラを抱きしウーバー到着……。 

結局アメリカ式のハグ。笑顔。
 ウーバー着いてから長々と喋り出すヘソン。
 ヘソン「来世でも僕らであったらどうなる?」
ノラ「わからない」
ヘソン「僕もわからない」
 ↑何この会話 
ウーバー走り去る。
 歩いて家に戻るノラ。
玄関先で夫が待っている。
ノラを抱きしめる夫。
ノラ泣く。 初めてノラが感情を露わにした。
 夫はノラを抱きしめながら2人は部屋に戻る。


映画『ファースト・カウ』怖いのに温かく優しい

2024-10-31 | 映画感想
ファースト・カウ(2019年製作の映画) First Cow 
 上映日:2023年12月22日
製作国:アメリカ
上映時間:121分
監督 ケリー・ライカート 
脚本 ケリー・ライカート  ジョナサン・レイモンド
 出演者 ジョン・マガロ  オリオン・リー


ケリー・ライカート監督は初めて観ました。
びっくり!
こんな映画撮る人がいるのかっ!!


2時間の映画で1時間経ってやっとドーナツを揚げはじめましたよ。


それまでの1時間何やってたんだっけ、と。
そしてこの後1時間何をやるっていうんだ、と。


そしたらその後、ずっとじわじわと怖い。。
怖いのに温かく優しい。。


ドーナツとミルクだけでずっと怖い。
そして景色は美しい。


詩のような、朝方に見た夢のような、映画。


映画『チャイナタウン』ファムファタルへの男たちの視線がキモい

2024-10-31 | 映画感想
チャイナタウン(1974年製作の映画) CHINATOWN  
上映日:1975年04月12日
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督  ロマン・ポランスキー 
脚本  ロバート・タウン 
出演者  ジャック・ニコルソン フェイ・ダナウェイ


そりゃまぁカッコいいし
まぁ話も面白いけど


登場人物ほぼ男の中での
超絶美女のファムファタルへの男たちの視線が今となってはキモい。


監督の性犯罪もあって
このファムファタルが背負わされた過去の設定もキモいし
彼女の末路も酷すぎる。
女性に対して酷すぎる。


ジジィたちがキモすぎる。


で結局のところの
「ここはチャイナタウンだ」ってセリフも人種差別でしょ。


これがOKだった世界が不気味。キモい。


映画『本日公休』

2024-10-09 | 映画感想
本日公休 
上映日:2024年09月20日 / 
製作国:台湾 /
上映時間:106分 /
 監督 フー・ティエンユー 
脚本 フー・ティエンユー 
出演者 ルー・シャオフェン フー・モンボー


お母さんが意外と喋りますね。
勝手な予想で全然喋らないかと思っていました。。


実際、お母さんのセリフは8割くらい削っても大丈夫だと思いました。。


あと、お母さんを演じた女優さんが一言一言名言みたいに言うので、、
「そんな大したこと言ってないよ」とも思っちゃう。。


***


90分でサラリとやってくれてたらもっと好きな映画でした。
全然いいんですけど。。



映画『落下の解剖学』ラストネタバレあり 「個人」の自己実現よりも「家族」のことが「不均衡」に優先される

2024-10-09 | 映画感想
落下の解剖学(2023年製作の映画) Anatomie d'une chute/Anatomy of a Fall  
上映日:2024年02月23日
製作国:フランス
上映時間:152分 
監督 ジュスティーヌ・トリエ 
脚本 ジュスティーヌ・トリエ アルチュール・アラリ 
出演者 ザンドラ・ヒュラー   スワン・アルロー




素人臭いカメラワーク(わざとらしいアップや急なパン)は普通とても苦手なんですけど
この映画の場合は
その不気味さがとても良いですね。


「無罪なの〜?有罪なの〜?」と野次馬的に観てる自分(観客)の視線が不気味だぞと言われているよう。


**


物語の流れを作るためとはいえ、
あとからあとから新事実が出てくるのも普通ならすごく嫌なんですけど
この映画の場合は
それ自体が真実の揺らぎを表現しているのでとても良い。


**


性差別も表現されているのかなぁ。


これは日本だからそう感じるだけかなぁ。
フランスやドイツではもうクリアされているのだろうか。


「個人」の自己実現よりも「家族」のことが「不均衡」に優先される、
という状況は
性別関係なくキツい。
というのがこの映画の基本設定ですね。


「(個の願望を捨てて)家族を支えるのは幸せなことなんだよ」という思想が充満している世界では、この映画は成り立たない。
夫の気持ちが全くわかんなくなるからね。


また、昔の世界、
つまりは「女性は家族のために滅私奉公して当然」という思想の世界で
さらにこの映画が〝男女逆転〟していたならば
「働いている夫に逆ギレするワガママな妻」になっていたことでしょう。


**


ネタバレになるから何も書けない。。


ネタバレは以下に。









母は裁判で無罪になるけど、、 
「あ〜無罪だったんだぁ!」と100パー納得できた観客は少ないでしょう。
 ほんとに無罪だとは思い切れない。

 終盤で息子が突如、 
車中での父の長台詞を思い出してスルスルと法廷で喋ったのも不審。
自分が信じたい真実を息子は作り出したのかもしれない感がある。

 だが、僕は母が父を殺すほどまでの捻れた気持ちがあったとも思えない。
 だって離婚すりゃいいんだもん。 
殺すなんて一番めんどくさいじゃん。

 咄嗟の暴力で(ほぼ事故的に)突き落として殺しちゃうくらいに 激高するような人物にも思えないし 頭を何かで殴ってから突き落とすって結構な手間だしちょっと無理がある。

 ってことは、 
この映画の設定として「無罪か有罪かどっちかわかんないし、
おそらくそもそも決まっていない」んでしょうね。

映画『あなたの顔の前に』ラストネタバレあり 「私は自由になりました」

2024-10-09 | 映画感想
あなたの顔の前に(2020年製作の映画)
당신 얼굴 앞에서/IN FRONT OF YOUR FACE
上映日:2022年06月24日
製作国:韓国
上映時間:85分
監督 ホン・サンス
脚本 ホン・サンス
出演者 イ・ヘヨン チョ・ユニ クォン・ヘヒョ



クォン・ヘヒョ(監督役)のこと嫌いになりそう(笑)。

**

やっぱホン・サンスは間違いがないねぇ。
と言ってもそんなに見てるわけでもないし
観る前の覚悟がかなり必要な作風なんだけど。。

観たらやっぱ素晴らしい。

しかしもはやなぜこんなにも良いのかはわからない。。

**

今作を観ると、
同じくホン・サンス監督&イ・へヨン主演の次の作品『小説家の映画』が少し違って思えてきますね。

セカンドキャリアを考える中年女性に
もう少しタイムリミット感が強まるというか。

**


ラストネタバレは以下に














「幸いなことについこの前思い出したんです
もし顔の前にあるものだけを見ることができたら
何も怖くなりません 
なにもかも 
すでに顔の前にあるんです 
しかも完成して 
それ以上でも以下でもない 
完成されてます
わからないでしょう? 
それで構わないです 
私は自由になりました」

 ** 

映画監督は元女優のサンオクに出演依頼をするが 
サンオクは「私は5〜6ヶ月後に死ぬと医者に言われた」と断る。 
「ならば旅行しながら短編映画を撮りましょう」と監督は提案。 
サンオクは乗り気に。 

「ほんとに明日から?」 
「ええ、明日迎えに行きます」
 「お願いします」 
「明日旅行に行けたら良いですね」
 「私と寝たいのね」
「はい」
 「ありがとう」
「僕の方こそ」 

翌朝、ソファで寝ているサンオクのスマホに監督からのボイスメッセージ。
 「昨日の約束は実現可能かのか
 酒の勢いか 曖昧なのでメッセージを残します 
すみません 
はじめから実現できない約束でした
正直にお話ししていただきありがとうございました 
毎日幸せであるように願っています」

 サンオクはそれを何度も聞き直し何度も笑う。大きなため息。外は雨。

 そしてサンオクはベッド寝ている妹を見つめる。
「どんな夢を見てるの?」 
おわり

『ジョーカー』(2019)の ガッツリ復習〝8〟コマ漫画

2024-10-05 | 映画感想
ジョーカー 上映日:2019年10月04日 
 製作国:アメリカ
上映時間:122分
監督 トッド・フィリップス 
脚本 トッド・フィリップス
 出演者 ホアキン・フェニックス ロバート・デ・ニーロ


フィルマガ記事&イラスト担当しました!
『ジョーカー』(2019)の ガッツリ復習〝8〟コマ漫画です
 『ジョーカー』を漫画で復習 『#ジョーカーフォリアドゥ』に備えよう!→https://filmaga.filmarks.com/articles/311875/

改めて観直しましたが辛い… 
アーサーに同情することで暴力を…







***

公開直後に観たけどあまりに心奪われて言葉になりませんでした。。




***




ホアキン演じるアーサーがもちろん可哀想だし、
自分との共通点が見えてくるたび苦しくなって、、
「いやいや、おれはアーサーじゃないし、まさかジョーカーなんかにはならない!」とグッと体に力が入る瞬間も多かったです。


アーサーの動きが気持ち悪いですし、楽屋で座ってるシーンの背中は痩せて骨ばっていて、魔物か妖怪のように見えました。
手足も長いし、肩がちょっと上がっていて、ずっと何かを警戒しているような感じ。


自分とは別の生き物として客観的に観たいのに、全然そうさせてくれない。


アーサー(てかホアキン)の手の爪が丸いんです。
手を大写しにするシーンがありまして、僕も大人なのに爪がまん丸でちょっと恥ずかしいんですが、「爪一緒じゃ〜ん…」と恐ろしくなりました。。




***

フィルマガ記事&イラスト担当しました!
『ジョーカー』(2019)の ガッツリ復習〝8〟コマ漫画です
『ジョーカー』を漫画で復習 『#ジョーカーフォリアドゥ』に備えよう!→https://filmaga.filmarks.com/articles/311875/


改めて観直しましたが辛い…
アーサーに同情することで暴力を…

 四コマ映画『ジョーカー』→ 
http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2389


***


大ヒットですね。ま、話の筋も想像しやすいですし、実際に映画はものすごくわかりやすく作られてますからね。


ただ謎もありまして、監督は謎を謎として残したまま、絶対に答えを明かさないつもりのようですね。
(でもだいたいしばらくすると「あまりに何度も聞かれるから」っつって喋ったりもしますが)
なので、この話が結局どういう話だったのかは、現時点では明確ではありません。


****


自分がジョーカーになる可能性もあるし、自分がジョーカーを生み出す可能性もある。


この映画、ちょっとしたリトマス試験紙ですよね。
どういう感想持つかで人間性見えてきそう。


僕は「自分もジョーカーになる可能性がある」と怯える方が健全だと思いますけど。。




ラストについては以下に。








いかけっこしてまるでチャップリン映画のようにコメディ風味で終了。
 最後のセリフ 「理解できないさ」 この映画見てまるでジョーカーの作られ方を、サイコキラーの作られ方を理解したような気になっていたけど、甘い。 
んなもんは理解できないし。
ジョーカーには近づいていない。


映画『福田村事件』あなたはいつも見てるだけなのね 

2024-10-02 | 映画感想
福田村事件(2023年製作の映画) SEPTEMBER1923  
上映日:2023年09月01日
製作国:日本
監督 森達也 
脚本 佐伯俊道 井上淳一 荒井晴彦 
出演者 井浦新  田中麗奈  永山瑛太 東出昌大 コムアイ 松浦祐也



「朝鮮人とウチらどっちが下なんじゃ?」by穢多の男


「どうして大きな声でやめろって叫んでくれなかったの?あなたはいつも見てるだけなのね」by田中麗奈


「お前はデモクラシーに見捨てられたんじゃ」by水道橋博士


「せめて書いて償わないと」by木竜麻生


**


ちょうど一年前くらいに公開されてロケットスタートからのロングランヒット。


めちゃくちゃ〝ナウ〟でヒリヒリする〝史実〟を劇映画化したもので、
こういうものは韓国ではバリバリ作られて大ヒット連発させてるし
欧米でもエンタメ映画化されたり、ただただどんよりする映画になっている。


が、
現代日本ではとても珍しい映画。
この映画の存在自体が素晴らしく意義がある。


し、規模にしては大ヒットしたし
賞レースも賑わしたので
今後の映画界が変わっていきそう。


**


朝鮮の扇子のくだりで
あんなにすごく高そうなものをあげるだろうか、っていうのと
流石にあの緊迫する場面で朝鮮の扇子を出しちゃう?


暑いから扇子出そうと思ったけど「あ、これ出したらやべっ」って気づいて鞄に戻したところを水道橋博士に見つかって「お前何隠した!」って、やるとかね。


**


竹槍や鍬でホントに人が殺すって
いったい何回刺したり振り下ろしたりしなきゃいけないんだろう。


沖縄戦での自爆について知ると人ってなかなか死ねないもののようなので、、
竹槍一回腹に刺しただけで「ううぅ…」って死んだりしないでしょう。


てことは実際はブスブスに刺しまくったのでしょう。


この映画ではその描写はかなりライト。
効果音も嘘っぽいし人があっさりと死ぬ。


残虐性はかなり低くしてると思いました。
おそらくこれは意図したものでましょう。


観やすくしたんですね。
なのでそんなに怖がらずに観てね♪




**




女性の描き方は残念。


生活と〝性〟が強く結びついているのは事実だけど
あんなにいちいち性の匂いさせなきゃいけないもんかね。


とくに女性ばかりがそれを担ってた感じもするし。


↑この点がだいぶ足を引っ張ったと思います。


映画『ツイスターズ』観客が揺れなどに覚悟するために座り直したりする

2024-10-02 | 映画感想
ツイスターズ(2024年製作の映画) Twisters  
上映日:2024年08月01日
監督 リー・アイザック・チョン 
脚本 マーク・L・スミス 
出演者 デイジー・エドガー・ジョーンズ グレン・パウエル アンソニー・ラモス



だいぶ前に見たけど書いてなかった。


全人類が「まぁまぁ、言うても…」的な感じで期待してなかったと思うんですよね。
からの「結構良かった!」とか「大傑作っ!」という評価かと。


**


4DXで観ました。
観たというか乗ったというか。


風とか雨とか揺れとか熱風とかを浴びましたよ。
アトラクションなんですよ、もはや。


ただそれがものすごくよかったです。


日常シーンではさすがにそんなに揺れないので油断してるんですが
「竜巻が来るわ…」みたいなセリフで竜巻バトルが匂わされると
なんとなく観客が揺れなどに覚悟するために座り直したりする。


みんなで竜巻に挑もうとしてる空気があって良いんですよ。


**


で、
現代的なアップデートとしては被害に遭った住民たちの苦しみとそれを支えるボランティア、さらには彼らを食い物にしようとする奴らを描いたことですかね。


竜巻をエンターテイメントとして楽しむだけで終わるわけにはいかないんでね、現代の映画観客は。


こういうちょっとマジメなニュアンスがあると観てる方としても罪悪感が和らぐ効果がありますね(嫌味な言い方失礼…)。


**


ただそういうマジメ雰囲気だけではなくて
気象の魅力やそれに魅了された人たちも描いていたのが良かったです。


「気象ってすごいよね!」っていう根源的な喜びみたいなものも描けていて、
それはマジメ要素もちゃんと入れてるから成立するものだと思いました。




**


竜巻多発地域の住民たちがあまりに無防備すぎるとか
住民の中にも「アタシが(オレが)みんなを守るっ!」みたいに動く人がいるべきだったと思う。


地元の地理はその人の方が強いわけだし
その人と主人公たちが協力して立ち向かって欲しかったかな。


あまりに住民たちがモブ過ぎた。。



ドキュメンタリー映画『はりぼて』選挙制度をハリボテにしないようにしよう

2024-10-02 | 映画感想
はりぼて(2020年製作の映画)
上映日:2020年08月16日
監督 五百旗頭幸男 砂沢智史 
ナレーション 山根基世 
出演者 佐久田修



このドキュメンタリーを小中高の社会科の授業で毎回流して欲しい。
必須科目にしてほしい。

そうじゃなくても、
県議会とか市議会とかの様子を抜き打ちで学生たちに配信して欲しい。