映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

原爆投下8年後に製作された映画『ひろしま』第5回ベルリン国際映画祭長編映画賞受賞作

2024-12-18 | 映画イラスト

ひろしま(1953年製作の映画)製作国:日本上映
監督 関川秀雄
脚本 八木保太郎
出演者 岡田英次 原保美 加藤嘉 山田五十鈴 月丘夢路


◼️四コマ映画『ひろしま』
https://note.com/fukuihiroshi/n/n8b86bd99f115












◼️以下リンクから『ひろしま』を観ることができます

https://inoue-tsukioka.com/inoue-tsukioka-movie/hiroshima/
(一般財団法人 井上・月丘映画財団)

『ひろしま』に出演している月丘夢路氏の井上・月丘映画財団のサイトで『ひろしま』視聴ページが公開されています。

ぜひ!今!がんばって観ましょう!

****

「昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、
そうした国民の中の感情に隠れて、
また誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」

by ご先祖様

****

『オッペンハイマー』では広島の原爆投下の惨劇の描写がないorとても少なかったですね。

それには制作意図があって、それに納得する人もいれば、批判もあるとのこと。
もしも原爆の本当の恐ろしさが描かれていなくてその必要があるのであれば、それを補う映画を観ることで解消されるかもしれないし、
原爆を恐ろしさを知れ!と指を刺すのであれば、その指を自分に向けて「俺は知ってんのか」と問うことも大事かと。

****

てことで、映画『ひろしま』観ました。

「原爆投下から7年後(1952年)の広島で映画制作が決定。翌年に撮影開始。

原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、
百数カットに及ぶ撮影を費やして、
克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現した。
そして被爆者たちのその後の苦しみを描いた。」

(wikipediaより引用)

****

この映画の存在は知っていましたが、観たら死ぬんじゃないかと思って手を出せずにいました。。


歳を取るのはいいこともあって、観たら死ぬ(ほどの衝撃を受ける)んじゃないかと思った映画を観ても今まで実際死ななかったという経験を経て、映画『ひろしま』観ました。
何がハードル高いって、メインビジュアルよ。。。



この衝撃。。
「感動とかに消費させねーからな!」という気迫の一枚。
それだけ説得力があるのには理由がありました。

****

「同じ原作を元にした作品として新藤兼人監督・脚本の『原爆の子』がある。
当初、日教組と新藤の協力で映画制作が検討されたが、新藤の脚本は原作をドラマ風にかきかえてしまっていて原爆の真実の姿が伝わらないという理由で、日教組が反発。
結局両者は決裂し、別々に映画を制作した」

(wikipediaより引用)

新藤監督『原爆の子』を観ていないのでアレですが、実際に原爆を体験した方々が納得できるものではなかったんですね。

で、
「原爆投下を直接経験した者も少なくない広島市の中学・高校生、教職員、一般市民等
約8万8500人が手弁当のエキストラとして参加し、
逃げまどう被爆者の群集シーンに迫力を醸し出し」
た、とのこと。

撮影場所は、広島市内外で24ヶ所、シークエンスは168に達した、と。
本気さが尋常の度合いではない。

****

◼️映画表現として優れている傑作

「映画表現として優れている傑作」なんていう上から目線の客観的な評価をするのは大変おこがましすぎて苦しいんですが、
事実映画として素晴らしい出来だし、
この事実を知ったことでこの映画を観る人が増えるならば。。

けしてただただ原爆の悲惨さを資料的に描写しているだけではなく、
一人一人に爆撃を受ける前の人生があり
爆撃を受けた人にもそれぞれ名前があり、その名前を子供につけた親がおり、その子の名前を呼ぶ親の声があり、親を呼ぶ子の声があり、
それらがとても手際よく結構なスピードで描かれていきます。

戦中の軍部、そして敗戦から数年経って変わってしまった社会に対しての批判もあり、社会派の側面もあります。
しかも詩的であり、尚且つ臭くもない。
これがものすごく素晴らしい点。

****

◼️3部構成

3部構成になってまして
1部は現代パート(当時)、
2部は1945年8月6日とそれ以降、
3部はまた現代パートに戻るという構成。


***

◼️第1部 敗戦から数年後の高校

防空壕にいたりして直接爆撃を受けなかったが、その後の黒い雨などで被曝して、何年後かに原爆症と呼ばれた病気が発症する学生が多く出た。

そうかなるほどと思ったのは、
当時はテレビもないし、日本中が敗戦の焼け野原だった時に、原爆についてそもそも日本人がよく知らされていなかったんですね。
それは広島県内であっても。

***

河野(高校生)「いつ原爆症に命を取られるかと思って毎日ビクビクして生きてるんだ。
そんなことをいえば君たちはすぐ「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」

教師「白状するがこの間ラジオで『0 (ゼロ) の暁』を聞いた後で、大場(女子生徒)があんなことになるまでは、原爆がここまで根深くみんなの体に食い込んでるとは知らなかったんだ。
原爆症のことは噂には聞いていた。
でもそんな人はアメリカのABCCが治療してくれていると思っていた。
ところが診察だけで治療はしていないということも2、3日前に知った程度なんだ。
広島に来て原爆のことを勉強しなかったっていうのは全く僕自身の怠慢で、その点諸君にはすまないと思う。」

※0 (ゼロ) の暁(https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA46838624

河野「先生だけじゃないんです。広島市民の大部分の人たちが知らないんです。
今新聞なんかでは、原爆と平和問題を結びつけて盛んに世界の人たちに呼びかけていますが、
僕は原爆の恐ろしさとあの非人道的なことを世界の人たちに叫ぶ前に、
まず日本人にわかってもらいたいんです。
いえ、それよりか広島の人たちに知ってもらいたい。」

河野「多くの人たちは醜いケロイドを隠して、まるで自分が悪いことでもしたように、こそこそと日陰で生活をしていたり、ケロイドを手拭いで包んで、道路工事の人夫になって働いていたりするのです」

***

びっっくくりするのは「「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」ですね。。


現代日本でもいろんなトラウマや病気や被差別属性を持った人々に対して「鼻にかけてる」「甘えてる」という誹謗中傷する声はありますけど、、敗戦7年後でもこういう声があったとは。。

こういうことがあったのか、というのは映画を観るまでは考えてもみなかったことです。
この映画を作ってくれたから知れたし、
この映画が傑作だからこそ今まで残ってこれたし、
映画を観ることで知れるくらいのことは映画を観て知らなきゃな、と改めて思いました。

***

◼️第2部 原爆投下

そして1945年。
夜中、空襲警報が鳴りそのまま解除されることなく一睡もできずに朝を迎える様子。
子供たちも日本軍か憲兵たちに厳しく指導、訓練、作業させられている。
戦中の厳しさはあるものの、全体的には田舎のちょっとほのぼのした描写も見られる。

そして朝8時15分。画面は一瞬真っ白に。
そこから18分に及ぶ、原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、百数カットに及ぶ撮影を費やして、克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現された映像が続く。

百数カットなんですね。確かにすごいカット数。
18分で百数カットって普通ありえないですよね。。
それくらいすごい速さで原爆投下直後の様子をバンバンあらゆる事象を描いていく。

エキストラ約8万8500人の迫力がここでも。
人数がものすごい。
なんの誤魔化しもない。
圧巻なんですよ。

「原爆ってこういうことだぞ」というのを我々子孫に懸命に伝えようとした方々からの財産ですよ。
校舎が崩れて下敷きになって動けなくなった小学生3年生くらいの生徒たち。
教師も同じく下敷きになっているものの、生存していて声が出せる。

教師「声が出る者は名前を言え」と点呼をとる。
すると生徒たちが苦しそうに一人一人自分の名前を挙げていく。
キノコ雲の下には名もなき群衆があったのではなく、
一人一人名前があり
その名前は多くは親が希望を持って自分の子供につけた名前であり
それを瀕死の子供たちが自分の声で名乗っていく。

***

科学者は「原爆の被害を受けたと公表しましょう」というけど
日本軍は「戦争遂行に不利になる」ということで公表に反対。
「戦争に不利になる言動は断じて許されない。」
こういう情報統制も現代日本で何度も起きてることだし、、もうほんとに。。


****

◼️第3部 現代パート(1955年)

子供の頃、原爆の被害を受けて孤児となった遠藤。
8年経ち、親戚の工場で働き始めるものの
その工場が大砲の弾を作り始めたことで遠藤は工場を辞める。
観光で宮島に来た外国人観光客にある物を売ろうとしていた時に警察に捕まり事情聴取を受ける。

遠藤「僕が勤めてる工場がまた大砲の弾を作り始めたんです。僕はそんなもの作りたくなかったんです。
戦争はまた始まるんですか!
戦争が始まれば、今度は僕たちが戦地に引っ張り出されます!
そしてなんの恨みもない人間どうしで殺し合いをさせられるんです!
またなんの罪もない人たちが、
原爆で、
皆この通りになるんです!
昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、そうした国民の中の感情に隠れてまた誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」


***

◼️ラストの行進

涙無しでは観れないんですよ、ラストの大行進。
1955年の広島市民の2万人くらいいるのでは?という大行進のシーン。

そして、命を落としたシーンを演じた俳優たちもむくっと立ち上がり肩を組んで歩き始めます。
その役の人物なのか、俳優そのものなのかがわからない。

この映画に出るということの相当な覚悟や信念があったはずなんです。
原爆で亡くなった方、苦しんだ方、苦しんでいる方の思いを自分の体に全部詰め込んで、行進している姿が胸に刺さります。

誰も何も言葉は発しないんですが、何を伝えようとしているのかはどんな言葉より伝わる。

『オッペンハイマー』に原爆の描写が足りないというのであれば
この映画観ればいいんです。観る人が増えればいいんです。



映画『彼らは生きていた』兵士たちの膨大なインタビューとカラー化した戦場の映像!ピーター・ジャクソン監督作

2024-12-08 | 映画イラスト
上映日:2020年01月25日

第一次世界大戦の終戦から 100 年を迎え、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と、帝国戦争博物館の共同制作で、帝国戦争博物館に保存されている記録映像を再構築することで誕生したドキュメンタリー映画。

監督ピーター・ジャクソン




第一次世界大戦のモノクロの記録映像を修正、着彩、3D化。
兵士一人一人の表情まで伝わる精細な映像と退役軍人たちの膨大なインタビューで戦争の静かな始まりと地獄の西部戦線、そして、帰還兵への市民の冷遇が描かれる。

「兵士たちはカラーで戦争を目撃していた。白黒ではなかった。」

命令されるのはイヤじゃなかった考える必要がないからだ。

入隊せずに町で暮らしていると、「なぜ入隊しないの?」と聞かれる。そして、臆病者を表す白い羽を振られる。

訓練開始。ただの一般市民を軍人に変える訓練。

最初の数日は楽しかったが、その後は地獄だった。これは戦争だ。

六週間の訓練を終えると「明日から海外派兵だ」と突然言われた行き先は知らない。

帰ってこられないだろうと思っていた。

西部戦線の塹壕戦鉄条網に引っかかっている死体の数々。

ある時、話していた仲間の頭が吹き飛んだ。

あの匂いは忘れられない。ネズミの腐ったのよりも何百倍も臭い。食べ物まで匂いが染み込んだ。散らばっている死体にも慣れ、どうせ次は自分だと思っていた。ネズミは丸々と太っていた。理由は明らかだ。

倒れた仲間に目もくれず進んだ。手に痛みを感じて手を見たら、穴があいていた。

ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年でかわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ

戦場に抱いていた憧れは消え去った。

「塹壕を出て突撃」との命令が下る。戻ったら撃つと軍曹に言われた逆らえるものはいない。

左腕と左足を吹き飛ばされた仲間が左目が飛び出た状態で祖母の名を叫んでいた。楽にしてやろうと彼を撃った撃。つしかなかった。辛かった。

投降してきた者も殺した。虐殺は何時間も続いた。

勝ち負けはどうでもよかった。

医者に大丈夫かと聞かれたから、はいと答えると後頭部を撃たれていると言われた。

ほとんどのドイツ兵には復讐心はなかった。大抵は好人物のドイツ人だった。彼らは礼儀正しい家庭人で子供思いだった。ドイツ人と意気投合した。「この戦争は無意味だ」と。ドイツ人は戦争にうんざりしていた。誰もがやめたがっていた。

終戦が発表された。発表時、喝采などなかった。

家に帰って、入隊後初めてベッドで眠った。翌朝、私を起こしにきた母が見たのは床で眠る私だった。

友人が戦死した。彼の母を訪ねると、敵意むき出しだった。私だけ生き残ったからだ。

帰還兵への風あたりは強い。「帰還兵は応募不可」という求人もあった。

皆、戦争に無関心だった。両親は何も言わなかった。感謝の言葉もなかった。たまに父と戦争の話をすると反論してきた。現実を知らないのに。

戦争を避ける努力をすべき。正当化できる理由はない。

理解の範疇を超えていたのだろう。昔のサッカー仲間が横で殺される気持ちを理解できるわけがない。

誰も英雄じゃない。殺されるのは嫌だ。

戦争は恐ろしい。意味のないものだと歴史が裁定するだろう。

仕事に復帰して唯一頭にきたことがあるこう聞かれた。

「ずっと、どこに行ってたんだ?」








映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』多分これが僕の観たかった続編

2024-11-25 | 映画イラスト

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)Joker: Folie à Deux
上映日:2024年10月11日
製作国:アメリカ
上映時間:138分
監督トッド・フィリップス
脚本トッド・フィリップススコット・シルヴァー
出演者ホアキン・フェニックス レディー・ガガ ブレンダン・グリーソン キャサリン・キーナー サジー・ビーツ ハリー・ローティー



目次

  1. 前作『ジョーカー』(2019)の好きなとこ
  2. ②については興味が湧かなかったけど
  3. ネタバレは以下に!



前作『ジョーカー』(2019)の好きなとこ

前作『ジョーカー』(2019)を①、
今作『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を②とします。


①の感想で僕は「自分がジョーカーになる可能性もあるし、自分がジョーカーを生み出す可能性もある。」と書いていました。
てことは、単純にいうと僕はジョーカーが嫌いだったんですね。

絶対なりたくなんかないし、心酔も応援もしない。
同情するし、必要な社会的支援の手が差し伸べられるべきだと思うけど。
で、
①の好きなポイントは「アーサーがあのジョーカーではないかもしれない」点なんです。
これは監督が言っていたかと。

僕はアーサーがジョーカーじゃない方が好きな解釈でした。
ただのおじさんでしかないところに悲しさや恐怖があると思いました。

なので、
続編が作られると知った時、
しかもハーレイ・クインも出てくると知った時、
「嘘だろ、じゃぁ彼はジョーカーだったってこと????」とゲンナリしました。


②については興味が湧かなかったけど

ところがアメリカで公開されるや否やの大酷評!!
からの大コケ!
インスタで繋がってるアメリカの人とかも
「安心して!2がいくら酷くても1は汚されない!」と投稿してました。

てことは観た方がいいのかも、と劇場へ。




ネタバレは以下に!









以下、僕の解釈です。

僕が希望するのは「最後の3分くらいだけが事実であとは全部アーサーが死ぬ直前に見た妄想」。

前作の犯行で捕まって病院入って、アーサーは地味な感じになっていた。
前作での事件でおそらく熱狂的なファンは生まれたし模倣犯も出たのでしょう。

しかしそれもしばらくしたら収まった。
もちろんテレビドラマなんかにはなっていなかった。
みんなで見るテレビはただアニメを流しているだけ。

で、
アーサーに面会が来た(普通に弁護士でしょう。裁判中なはずだから)。
廊下を歩くアーサー。
おそらく数少ない前作の"ジョーカー"に熱狂していた男が後ろから追ってくる。
もしかしたら彼はアーサーがいるからこの病院に入ってきたのかも。

で、
「全然俺の期待と違うんだけど…しょぼ…期待を裏切りやがって!お前なんかジョーカーじゃねえ」
ってことでアーサーを刺殺。
彼はアーサーを刺したナイフで自分の口を裂いた。
ジョーカーっぽい人誕生???

この映画は刺された後死ぬまでの妄想。
てのが僕の希望。

***

以下は箇条書き。

デントがトゥーフェイスになっちゃったよ。
爆破で顔半分燃えて。あれ冷めたわ〜。
一応アメコミの設定やってみました感はちょっといただけない。
そりゃアメコミファンの方たちが怒っても仕方ないと思う。
***
「歌はもういい。歌わなくていい。」byアーサー
観客みんなの気持ちを主役が代弁してくれた。
冗長でちょっとチープなミュージカルシーンはわざとでしょう。
「もういいよ、歌は」と観客に思わせたかった?
「ミュージカルシーン多いし長い。眠かった〜。期待したジョーカーじゃかなった〜〜。」と観客。
じゃあ、期待したジョーカー像とは?
一体何を観せられているんだ…
いや、違う!
俺が自由意志で観に行ったのだ!
***
レディ・ガガこそ本物のエンターテイナー。
幕が降りても夢を見せる人。
アーサーは違う。
超つまんないギャグを言う人(ジョーカー)。
***
2回以上観る気の起きない映画ではあるし、おススメもしない。
ただ、僕が観たかった②はこれだったんだと思う。
けど、②はなくてよかった。
しかし、制作者側は②を作らねば!と思っただよね、社会的な影響を考えて。
じゃあしょうがない!!!

映画『チャレンジャーズ』 カモーンっ!咆哮の痛快!

2024-06-24 | 映画イラスト

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)Challengers
上映日:2024年06月07日
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督 ルカ・グァダニーノ
脚本 ジャスティン・クリツケス
出演者 ゼンデイヤ ジョシュ・オコナー マイク・ファイスト



こりゃ面白いっ!
面白さで言えば今年一番っ!


『関心領域』同様、もしかしたら何やってんのかずっとわかんなかった人もいるかも。
だとしたら「結局なんなんだ…」って思ったことでしょう。。御愁傷様です。。

それこそ関心領域だよね。。
普段からないものとして扱ってるからこの映画観ても見えてこないのかも。

しかしフィルマークス4.0!高いっ!
さすがフィルマークス民っ!
みなさん好きですねぇぇ。まったくもおぉ。


**


「面白い」という噂は聞いていたものの
この設定で何がどうなれば面白いんだ?と観る前は不安でした。
が、131分ずっと面白かった。。
あぁびっくり。。

僕のパートナーがテニスをやる人なので
テニス描写については微妙とのこと。
テニス界の描き方もイマイチっぽい。

ただテニス関係ないっていうか。

一対一の戦いで、
ひとつのボールを打ち合って
観客は右左と常に首を振りながら〝観戦〟して、
っていうスタイルがまさに!!
っていうことなわけで。

**

めちゃ下ネタを含んだネタバレは以下に!!









西洋のAVでは女優さんがエクスタシーに達する時に 「come on」「I'm coming」とお叫びになる。

ゼンデイヤさんはラストで「カモーンっ!」とお叫びになられました。
つまりは絶頂に達されたんですね。
自分を取り合ってる男2人が抱き合うシーンを見て。
**
そもそも10代の時にキスし合ってる男を観て満足なさったゼンデイヤさんなわけです。
腐女子の才能が萌芽した瞬間だと思いますが それ以降は特にそこに情熱は注がなかった。
あの2人をくっつけようという動きはしなかった。
ただ、 自分は仕事もできて稼げる、 娘もいる、 手伝ってくれる母もいる。
男は?
アートはまるで犬か猫か、ペットのようになってしまった。つまらない。
(嵐の夜。車から降りて歩き出した時「ホテルはこっちだ!」と自分の間違いを正してくれた男である)パトリックにもいわゆる男性的な魅力は感じるけど、
まぁシンプルにウザい。
ヘテロセクシュアルである(っぽい)ゼンデイヤさんにとって男に対するファンタジーはもはやBL的なものにしかない。
おそらくゼンデイヤさんはそれに気づいてなかった。 この試合。
どっちが勝とうが負けようがどっちしても幸せではない。
どうでもいいんだけど、勝ち負けが決まることが一番イヤ。

そうこうしてるうちに パトリックが「ヤッたよ」の合図をアートに送る。
アートはそのメッセージを受けて、試合放棄。
かと思いきや、試合を終わらせない展開に持っていく。

まるで遊びか、愛の行為かのようなボレーの応酬。
試合でボレーがあんなに続くわけがない。
からの抱擁。
そしてゼンデイヤさんの咆哮(カモーンッ!)!
笑ったぁぁ。

**

女性が男性を性的に消費してやるっ!とまでは言わなくても 「私にとって男の役割はそんなもの」っていう痛快さも感じた。

同時に 男性にとってもある種の解放も感じた。
トロフィーのような美女を妻にしなきゃ男としての格が下がるという呪縛からの解放、のような。
(彼らはゲイではないと思うし)
僕は腐女子について詳しくないし 腐女子の精神性についてはちゃんと理解はできてないんだけど
やはりあのラストの「カモーンっ!」の咆哮の痛快さには納得させられました。

男に対して性的なファンタジーはあるんだけど 男が女性に対して性的に欲動している様子は「重い」とか「めんどくさい」などの負の感情があるんでしょうね。

女性が介入しない男同士で性的に欲動し合っている様子なら、自分は安全でめんどくさくもなく楽しむことができるのでしょう。
違ったらすみません。。

***

夫が試合に負けたら離婚する!?とか
パトリックのコーチに!?とかが
あったはずなのに 「カモーンっ!」で全部吹っ飛んで映画終わった!
痛快極まりない!

〝存在しない映画〟映画『リア・デ・メイは書くのをやめない』(2023)

2024-06-15 | 映画イラスト

リア・デ・メイは書くのをやめない(2024年製作の映画) The pen is mightier than the sword.
上映日:2023年11月25日
製作国:コロンビア
上映時間:84分

監督 フアン・ビジョーロ
出演者 ミシェル・オーモンド アルム・ランドルフ ガス・C・ポッツ クリス・ライト


あらすじ


政情不安が続く某国。市民の声を代弁する女性作家のリア・デ・メイが謎の失踪。
担当の編集者たちが彼女を心配して、リアの著作をめくっていると何とじわじわと文字が現れてきた。どうやら本の中に入り込んでしまったリアが、暗闇の中から書いた文字らしい。
本の中に入ってしまって絶望していたリアだったが、逆に自分の思い通りの世界が書けると開き直り、自分を資産家にして島でのバカンスを楽しむ日々を送る。
その〝連載〟を読んだ編集者たちは、苦しむ市民をよそに気楽に楽しんでいる彼女を憎むようになり、ある編集者が勝手に彼女が没落していく様子を本に書き込んでしまう!
それに怒ったリアは本の中から復讐を図るが…。



ほぼ密室劇なんですよね。

メインの登場人物も3人しかいない。リアも写真だけだし…。
原作は舞台『La pluma es más fuerte que la espada』(2016)で、これを書いた劇作家のフアン・ビジョーロ自身が映画用に脚本を書いた、と。

正直もうちょっと社会情勢とかリアルな外の世界の様子も映して欲しかったんですけど、まぁこれは敢えてなのかな…。

編集者3人の一方的なセリフからしか政治状況がわからないんだけど、おそらくそうやってわざと〝閉じた世界〟を作って、作家が〝書くこと〟でその閉じた界を壊していこうとする構造を作ったのでしょう。

後半は結構なグロ描写が続くんですが…、
編集はリズミカルですしラストの切れ味も僕は好きです。




個展で配布した『四コマ映画 BEST16』を Wineバル ワインの森 大塚さんのカウンター席に数冊置いていただいています!

2024-06-15 | 映画イラスト
ご興味ある方はぜひ行ってみてください。
ひとりでも行きやすいお店ですよ!









〝存在しない映画〟映画『えぇ、彼女は斧を持っていました』(2020)

2024-04-11 | 映画イラスト
※この映画は実在しません。〝ない映画〟です。

****


映画『えぇ、彼女は斧を持っていました』
(2020年製作の映画) Carrie Nation 上映日:2020年11月25日 製作国:アメリカ 上映時間:118分
あらすじ
禁酒法時代のアメリカの禁酒主義活動家の実在の女性、キャリー・ネイションの生涯を描く。
元夫をアルコール依存症で亡くしたことを契機に禁酒主義活動を始めた彼女は、バーに乗り込んでは斧で店を破壊して回った。
この破壊活動により逮捕もされたが、アルコール依存症患者の妻や子供を保護する施設を設立したり、女性の体を縛るコルセットの着用に反対するなど、女性や弱い立場の人々を救う活動もしており、彼女の名声は高まっていく。
監督 ダグラス・ムーア
出演者 ミシェル・オーモンド アルム・ランドルフ ガス・C・ポッツ クリス・ライト




『三日前の犬』でラ・スペツィア映画祭のグランプリを獲得したダグラス・ムーア監督の新作!



キャリーの生涯を時系列をバラバラに描いているのでちょっと難しいところもあるんですが…、猛女という印象のキャリーの多面的な人間性が伝わってとにかく最初から最後まで面白かった!


なんと言っても主演のミシェル・オーモンドの演技が素晴らしくて、


酒瓶を割るシーンもちょっと楽しそうというか、活動のためだけじゃなくちょっと自分のストレス発散もあるんじゃない?と思わせるような、複雑で人間的な表情でした。

元夫役のサスキア・ベルカドのアル中演技も凄まじかった…。『北極VS南極 どっちも寒い』で潜水艦の艦長を演じてた人!全然違うので最後まで気づきませんでした…。





キャリー・ネイションは実在の人物であり、エピソードも事実ですが、この映画はありません。。
彼女を描いた1分間のサイレント短編映画『Kansas Saloon Smashers』(1901)や ブロードウェイミュージカル『Carry Nation』(1932)はありますが 長編映画は存在しません。
共感しづらい破壊行動と現在に通じるフェミニズムの両面を描くと とても豊かで面白い映画になると思うのですが。

『ALERT失踪者緊急警報』相関図 本格クライム・ミステリー

2024-03-18 | 映画イラスト
【Dlifeにて日本初放送】3/25 22時〜 本格クライム・ミステリー『#ALERT失踪者緊急警報』はただの犯罪ドラマじゃない?… 
FILMAGA(フィルマガ) 


こちらの記事の相関図 イラスト を描かせていただきました!
 てか、キースじゃなくね?



イラン映画『熊は、いない』 熊とは何か いないんだよね、熊…いないよね… 

2023-10-08 | 映画イラスト

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)Khers nist/No Bears / خرس نیست
監督 ジャファル・パナヒ
脚本 ジャファル・パナヒ
出演者 ジャファル・パナヒ ナセル・ハシェミ




息子であるパナ・パナヒ監督の『君は行く先を知らない』と同時期に日本で公開される、
父、ジャファル・パナヒ監督の新作!

***

ジャファル・パナヒ監督は
反体制だってことでイラン政府から
「イラン国内での映画制作禁止」と
「イラン国外への出国禁止」を言い渡されています。

そんな中にあって
「脚本を読むのは映画製作ではない」という持論のもと、パナヒ監督が、軟禁生活の中で脚本を読みながら構想中の映画を再現した
『これは映画ではない This Is Not a Film』(2011年)や

監督自身がタクシーの運転手に扮し車内に設置したカメラが偶然町の人たちを撮影してたという設定の
『人生タクシー Taxi』(2015年)など

血気盛んに、検閲との闘い自体を映画に包含させてきたパナヒ監督。

***

新作!そりゃ気になるでしょう。


国外出ちゃダメで国内で映画撮っちゃダメ。

てことで、リモートで映画を撮影します。
撮影クルーは隣国。監督はノートパソコンで指示をします。
国外に出てない!国内で映画撮影してない!セーフ!というコントのような撮影方法。

しかしこの「リモート撮影」がこの映画の根幹ではない。

説明もめんどくさいくらいに
ドキュメンタリーとフィクションが入り組んでるというか侵入し合ってるし
メタ構造っていうか第四の壁っていうか、
どれが事実でどれが物語なのか。

ていうか映画なんだからフィクションだし、でも話自体は全部現実社会で起こっていることだし。

観客は自分がどこにいたらわからなくなることでしょう。

***

ただし、話自体はわかりやすい。
何やってんのかわかんないことにはならないと思う。

緊迫感が強く、面白い。

古い因習に縛られたムラのお話。
イランだけの特別な話ではないですね。

とても日本っぽいなぁと思う展開でした。

***

「熊がいるから気をつけろ!」と言ってくる人物がいます。
そう言われると「気をつけよう」って思っちゃうのが人間。

自分自身で行動を制限してしまいます。
「熊がいる」って言われただけなのに。

行動を制限させたい時には「熊がいるぞ!」って言えばいいんですね。
勝手におとなしくなってくれる。

本作のタイトルは『熊は、いない』
英語タイトルの『No Bears』
原題『خرس نیست』もNo Bears。

熊とは何か。
熊がいる設定だと都合がいい人たちとは誰か。


シャークネード ラストチェーンソー4DXを楽しみ切るためのコツのようなもの

2023-09-11 | 映画イラスト
星5個つけたんですけど、「落ち着け、おれ」と思って4.5にしときました。
(5でもいいじゃねぇかと思うんですけどそれをやったら人類としてどうなのかと心配にもなって…)

***

シャークネードシリーズの6作目。完結編。
1〜5は観ていません。(だってDVDになってないんだもん…)

なので突然6作目を観て、突然完結したのですが、無問題!
僕はこの『シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX』を楽しみ切ることに成功しました!

冒頭で知らない人たち(映画の主人公たち)が〝シャークネード1号〟を倒すために恐竜時代にタイムスリップして、プテラノドンに乗りながらシャークネード と戦い始めるのです。

ここで僕は思いました「脳ミソいらない」。
脊髄だけでいい。
観るんじゃない浴びろ、と。

俳優さんたちはいたって真剣でこのシャークネードワールドを愛して嬉々として真面目にこのワールドの住人になっています。
なので、少なくとも「みんなやる気ないけど作ることになったから作った映画」などではなく、ものすごい熱量で作られた映画だというのはビショビショ伝わるのです。

****

主人公の元妻がサメに喰われながら目からレーザービームを出すのには驚きました。
僕知らなかったので。元妻が目からレーザービーム出せるって。
(予告編にはありますね)

****

中学生の頃に自分でレンタルビデオの会員になって『三銃士』を借りたとことから自分の映画歴が始まっているのですが
『シャークネード』を観てから自分の〝映画観〟というのが変わったように思います。

何がどう変わったのかを真剣に考えるつもりもないんですが、、何かが確かに良い方に変化しました。
きっと何年後かに「俺が変わったのはシャークネードを観た2018年10月だったなぁ」って思うんでしょうね(たぶん思わない)。

イラン映画『君は行く先を知らない』ラストネタバレあり 隠喩家族はどこへ行く 

2023-09-04 | 映画イラスト
君は行く先を知らない(2021年製作の映画)Jaddeh Khaki/Hit the Road
製作国:イラン 上映時間:93分
監督 パナー・パナヒ
脚本 パナー・パナヒ
出演者 モハマド・ハッサン・マージュニ パンテア・パナヒハ ヤラン・サルラク アミン・シミアル



◼️映画『人生タクシー』のイランの名匠ジャファル・パナヒ監督の息子のパナー・パナヒのデビュー作。







検閲の厳しいイランにあって映画作りはとても難しく、
同じくイランの監督アスガー・ファルハディ監督はイランという国の特異性をうま〜く滲ませて傑作サスペンス映画をたくさん作っています。


父のジャファル・パナヒはイランの政治体制を批判する映画を作ったとして上映禁止からの逮捕、
そしてイラン国内では映画撮影が禁止され、
さらに2022年7月11日に再び逮捕。


てな感じで、
検閲との闘い自体を映画に包含させてきたとも言えそうなイラン映画。
1984年テヘラン生まれのパナー・パナヒ監督はちょっと違う。


***


隠喩的な表現や見えないところで描かれるイラン社会の特異性などは引き継がれているものの、
全体としてはとても軽やか。


中盤までは予告編の印象そのままにオフビートな笑いに満ちたロードムービーとしてただ楽しいだけで観れちゃうかもしれない。




◼️父、母、兄、弟、犬という隠喩家族


主人公はこの4人家族(プラス犬)。
まず彼らには役名がない。
Mom 、Dad、 Little Brother、Big Brotherでしかない。
特定の誰かではないということ。




父は、前世代の男性。
足を骨折してギブスをはめています。
母曰く「もう治ってるはず」とのこと。
社会の中で動きづらい男性。
でも偉そうにはできる。


母、女性。
女性はこの母だけということ自体メッセージがありそう。
泣いて笑って家族の面倒を見てこまごまと動き回り常に心配をしている。


兄は、現代の若者。
この兄は謎。
あまり喋らないし覇気もない。
ボ〜ッとしているし何も先のこと考えていないように見える。
けど「ここにいてはいけない」という本能なのか、現代的な価値観なのか、それに突き動かされている。


弟は、生命が原初的に持っている自由の象徴に思えました。
とにかく元気。エネルギーの塊。うるせーしウザいことも多い。
でもこれが人間がそもそも持っている自由さなんだと思いました。
しかし、すぐ上の世代の兄はボ〜ッとしてるし、父世代は動けない。この子もそうなってしまうのか。


犬は、病気で死にそうという設定なので、弱い立場の人間ということでしょうか。
老人を含めた社会的弱者。
そもそもこの車に乗せる予定ではなかったとか、終盤の展開などを思い返すと、社会的弱者に対してどういう社会構造なのかが描かれているように思います。




あと、父&母と弟が年齢差ありすぎ。
なんか理由があるのかと思ったら、ない。。
失礼ながら相っっっ当な高齢出産ってことになっちゃうと思うんだけど。。
なので、やっぱりこの家族は隠喩としての存在でしょうね。


****


コメディとしてずっと面白いですし、
ディテールもこだわっていて、霧のシーンがあるんですが霧もすごいいい演技をしてましたよ。
スタッフに霧を操る能力者がいたんでしょうか。
エンヤ婆がいたんですかね。


バイクのシーン。
シーンの佳境でほぼ霧で真っ白になってシーンも終わりでは霧がさ〜っと去っていく。
シーンも意味とも合いすぎていて、、誰かスタンド使いがいたか、映画の神様が微笑んだんでしょうね。扇風機でどうにかなる広大さではなかったし。。


***


あとは、毎度イラン映画を見ると思うんですが、俳優さんが演技素晴らしい。


詳しくは知らないんですが、国内でドラマとか演劇とか演技する場が豊かなんでしょうね。
ものすごく自然に、だけどちゃんと俳優としても重厚さもあって凄いんですよね。。


アスガー・ファルハディ監督作はもちろん、ジャファル・パナヒの『人生タクシー』でも全員うまいなぁと感動していました。




映画イラスト『君は行く先を知らない』→https://note.com/fukuihiroshi/n/n1e85ea995b87






ラストネタバレは以下に!



ネタバレっつってもこの映画全然ハッキリしたことは教えてくれてないのですが、、、
まぁ兄は亡命業者を使って近隣国に亡命したんでしょうね。

マスクの男と羊飼いの男が亡命業者。
かなりルールがしっかりしているようで同じような家族が8組くらいいましたね。

それぞれ車で見送りに来ていて、近くの野営地でキャンプしてました。

で、結局どこに行くか父と母には知らされずに兄はバイクに乗せられて去って行きました。
最後の挨拶もできぬまま。

「あの子が行ってしまった!」と母が嘆きました。
悲しみを振り払うように懐メロを3人で歌いながら、昔は湖だった砂漠を車で走ります。

途中、犬の容体が急激に悪化し、
(死んでないように見えたんですけど…)死んだ犬の死体を砂漠に埋めます。
犬が動いちゃっただけ?死んでないように見えたんですよね。。
だとしたら生き埋め?安楽死的な?

そもそもこの旅の前に、病気だから安楽死をさせる予定だったし。。

前述の通り、犬が社会的弱者の隠喩だとしたら、なかなかキツイ描写です。。
そして車は走り出す。

映画は終わり。


映画『この空の花長岡花火物語』原爆投下本番前に 模擬原子爆弾 が30都市49本投下された

2023-08-06 | 映画イラスト
映画 
この空の花長岡花火物語
 製作国:日本 / 上映時間:160分 
 監督 大林宣彦  脚本 長谷川孝治  出演者 松雪泰子 髙嶋政宏



原爆投下本番前に(本番の原爆の弾道と慣性能率などのデータ取得のために) 模擬原子爆弾 が30都市49本投下された。
 原爆投下予定地では「原爆の正確な威力を測定するため」に事前の空襲が禁止されていた。  



 映画『七人の侍』ネタバレあり 農民が怖くて怖くて・・

2023-08-06 | 映画イラスト
 七人の侍(1954年製作の映画)上映日:1954年04月26日 上映時間:207分
監督 黒澤明
脚本 黒澤明 橋本忍 小国英雄
出演者 三船敏郎 志村喬 津島恵子 藤原釜足 加東大介 木村功 千秋実 宮口精二 小杉義男 左卜全


恥ずかしながら初めて見ました。

めちゃくちゃ面白いですね。
何がって、ほぼ全要素が。

箇条書きにしていくと
⚫︎農民の怖さ
⚫︎各キャラの奥行き、面白さ
⚫︎アクションの凄さ(何人か骨折してるはず)
⚫︎画面の面白さ
⚫︎話の面白さ
⚫︎サスペンス
⚫︎どんどん死んでく悲しさ
⚫︎そして、やはり農民の怖さ


下足の男(多々良純)の感動セリフ

「お侍、これ見てくれ、こいつぁお前さんたちの食い分だ。 ところがこの抜作どもはヒエ食ってんだ。 自分たちはヒエ食って、お前さんたちには白いめしを喰わせてんだ!」

多々良純演じる下足の男は、それまで、護衛のために侍を雇おうとしている農民たちを馬鹿にしてきた。
気位の高い武士たちが、以下に浪人になろうとも、白米を恵んでくれるからって百姓に雇われるなんてそんなこと受けるはずがないと。

しかし実際に侍である官兵衛が「やっぱ微妙だなぁ」みたいな空気出してきたら、一転!
上記のセリフですよ。農民の苦しさを涙ながらに代弁してくれる。
ストレートに感動しましたし、話が上手い。うますぎる。。


【宣伝】

サンエイムックス『映画大解剖シリーズ』Vol.7 アクション映画大解剖 にて七人の侍の 映画イラスト描かせていただきました。よろしければどうか。。
https://www.blogger.com/blog/post/edit/8596378005524649551/7565900008755784596




◾️日本語字幕版をぜひ


三船敏郎が大声で話すとほとんど何喋ってんのかわかんないし、、左卜全は普通に喋ってても全部何言ってんのかわかんない。。

『七人の侍』噂通り聞き取りにくいけど暫くすると慣れてくる。
しかしそれでも三船敏郎の叫び声はどんなに頑張っても何回巻き戻しても聞き取れないよ。。ちきしょー。。ちきしよー!! pic.twitter.com/6vbWyN1mKC


— フクイヒロシ (@fukui164) June 22, 2023

勢いやリアルさを優先したんだろうし実際聞き取れなくても話はわかるので、字幕なくても大丈夫です。
ただ、聞きたいのに聞き取れないってのは結構なストレスなのでレンタルDVDなどで日本語字幕がついているバージョンを観れるのならそれをオススメします。
(僕は後日ツタヤで字幕ついてる版をレンタルしました)
あとは『七人の侍』の名台詞集がweb上にあるので、それを見れば「あ〜こう言ってたのか」と知ることができますよ。



農民の怖さ

『七人の侍』について今更あそこが良かったとかを僕なんかがダラダラと書く気にはならないんですけど、やっぱ書きたいのは「農民の怖さ」。




ネタバレは以下に






志村喬演じる官兵衛がラストで
「勝ったのは百姓たちだ。ワシたちではない…」と言います。
このセリフは知っていましたが、もっとスカッとしたセリフなのかと思っていました。
侍たちが農民を讃えるような意味合いで言っているセリフかと。
違いましたね。
まぁはっきり言って農民たちはずるいというか、
うまく侍たちを雇って侍のほとんどが死んで、
野武士は40人全部退治できたから
あ〜良かったなぁて感じでノリノリで田植えして映画終わり。
「あ〜全部農民たちの思い通りだったなぁ…」みたいな意味での
「勝ったのは百姓たちだ。ワシたちではない…」だったんですね。
「弱者でございますぅ」みたいな雰囲気(実際弱者だし大変だんけど)バリバリ出してるけど、
実は野武士を殺したり、その鎧などを隠し持っていたり、
半殺しの野武士をおばあちゃんが鍬でトドメを刺したりと
映画の前半でも農民たちの不気味な怖さは描かれていました。
愚直という言葉は農民にぴったりだけど、
愚直という言葉には末恐ろしさもありますよね。。
結局はこの農民像を描きたかったのでは?と思いました。
もちろん話の大筋は活劇なんだけど、
ただの素直で弱い農民でも良かったはずなのに、
この恐ろしい農民像。。
これがいいですよね。
これは傑作映画だ!(←みんな知ってる)

福士蒼汰 さん出演ドラマ 「THE HEAD」Season2!  キャラ紹介 イラスト はコンプリート

2023-06-23 | 映画イラスト
一番近い陸からも2700キロ離れた海の上で起きた連続密室殺人事件!
  6/17(土) Hulu 独占配信        
福士蒼汰 さん出演ドラマ       
「THE HEAD」Season2!           

キャラ紹介 イラスト はコンプリート! まだまだ続きます!