バーカバーカバーカ俺のバーカ!
なんでこれを映画館で観なかったんだ!バーカ!
俺じゃねえか俺の映画じゃねえか!
良かったぁぁ。
主人公、おれかと思った。。
実体験じゃなきゃ描けないリアルさですね。
実家を去るときに「バックミラー越しに手を振る老いた母」にじんわり感じる恐怖とか、、いやぁ素晴らしい。。
**
『…ぶっ飛ばせ』じゃなくて
『…ぶっ飛ばす』なんですね。
決定項なわけですよ。
**
ブランチの映画コーナーの〝どんでん返し映画特集〟に取り上げられてもいいほどのどんでん返しですね。。
びっくり。。
ネタバレと
なぜこの主人公は俺だと思ったのかってのは、以下に。。
映画見てて途中で、そういえばシム・ウンギョンが何の背景もないなぁと気づきまして。何の設定も語られない人物。
なんなんだろこの女。。そしてそういえばなんでシム・ウンギョンなんだろう、と。
そしたら、彼女は夏帆が幼少期に生み出した〝想像上の親友〟でしたね。
シム・ウンギョンという流暢な日本語を話す不思議で魅力的なキャラクターだからこそ成立した難しい仕掛けでした。
想像上の親友なんて思春期あたりにはもう消さなきゃいけない存在。
もしかしたら夏帆も思春期には想像上の親友は一時的にいなかったのかも。
でもCM監督として忙殺される毎日の中で焦燥感と孤独感から復活したのかもしれないですね。
**
この主人公はおれだと思ったのは、
僕には想像上の親友ではないけど、想像上のもう一つの人生があったからです。
中学くらいから、1人でいる時はひたすらにもう一つの人生を妄想してました。
登校時、下校時、風呂入ってる時、寝る前布団に入ってる時など
とにかくひとりのときは、建設的なことなんて一切考えずにただただ「もう一つの人生」の世界を想像してそこに没頭してました。
それがほんとうに幸せで。。。
ひとりになれると「またあそこにいける!」ってほんとに思ってました。
ぼくは割とまともな生徒だったりまともな息子だったので、まさかひとりのときこんな妄想の世界に逃げ込んでいるとは誰も思っていなかったことでしょう。
わざわざもう一つの人生を妄想するわけですから、そこでの僕は幸福だし人気者だし、妄想した幸せなエピソードを頭の中で何回もリピートできるわけですから、それはそれは幸せなわけです。
たださすがに高校くらいでもそれをやってたので、、やべぇなぁとは思ってましたが、、なかなかその快楽からは逃れられず。。
大学に入ると、吹奏楽の部活や下宿生活が充実していたので、気づけば「もう一つの人生」を妄想することはなくなってました。
デザインの専門学校に入って、そこの先生が手相を見れる人だったので手相見てもらったら
「福井くんには人生が2つある?」って言われて
先生も自分で言っててどういうことなのか意味がわかんないって感じでしたけど
ぼくは「あぁバレた!」と思いました。
僕の場合は大人になる前に想像上の何かは消えましたけど、
たしかにもうひとつの自分の居場所として存在していたので、
この映画の主人公の気持ちというか、境遇は実感としてわかったのです。
脚本や演出がイマイチでも俳優の力が桁違いにものすごいとここまでの作品になるんだなぁと感動。
**
そんなに背景は描かれていないけど
自分の子供に虐待してしまう狂った人間の苦しみが滲み出てましたね。
この人も相当な社会不適合者だし、
夫もまともな人ではなく
子育てしないどころか外に女作っちゃうし
子供2人いて
誰にも弱いとこを見せられず
自分を助けてくれようとする人すら敵に見えてしまう。
助けられると自分が弱者扱い受けてるみたいで腹立っちゃう人物。
この人自体もそもそもは被害者だった。
でも、自分の意思とは無関係に加害者になってしまった。
その苦しみと悲しみと、その背景にある社会問題まで吉田羊の演技から見ることができた。
**
太賀もすげえ。
よくこのめちゃくちゃな脚本で描かれた人物に血を通わせることができたもんだ!
この映画ではたいじがゲイであることには全く触れられてないけど、仕草や表情で匂わせてる。
ベタベタな寒い寒い演出でも一切恥ずかしげもなくやりきってくれるから、早送りせずに観れましたよ。
ちなみに
『若草物語』も南北戦争時代なので
この『ハリエット』の後半からはあの四姉妹が同じ東海岸で生活をしていることになります。
四姉妹のお父さんは黒人奴隷解放のための北軍の従軍神父でしたし
ハリエットも南北戦争では北軍の「アメリカ史上初の女性指揮官」として活躍したとのことです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/73/6f/b4a8e28ce98e4f6cdceaa39133cb8d9e_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/54/73/d140c20974157b2823a5a3f1c8854885_s.jpg)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/2c/55/c418844dcaa154fc7d96d9a487fad6b9_s.jpg)
2020年に黒人女性としては初めて紙幣の顔に決まった人物、ハリエット・タブマンさん。
(まだ発行はされていません)
勉強不足で(というかまったく知る機会がなかったように思いますが…)、ハリエットさんのことも、「地下鉄道」という言葉も知りませんでした。
この映画の最初の知らせで
奴隷を奴隷州から自由州へと運ぶ地下組織=地下鉄道 というものがあったことを知りまして
しかも一番多くの「乗客」を運んだ「車掌」が黒人の女性だったってことにも興奮しまして
絶対見るーと期待していました。
地下鉄道と言っても、実際に地下に道があったわけではなく、見つからないように森とか川とか湖とか海とかを、逃亡経験のない黒人奴隷たちを引き連れながら安全に自由州へと引率していたということです。
100キロ以上の危険と隣り合わせの道なき道を、自由を求めて進んだんですね。
大体6000人の黒人奴隷が地下鉄道によって解放され、そのうち800人近くがハリエットが車掌を務めていた、とのことです。
(この6000人が全員100キロ歩いたってことではなく、家族のうちの一人が自由州へ逃げてそこで働いて金を貯めて、置いてきた家族を白人の主人から〝買う〟という形で家族全員が自由になるってことも多かったようです)
***
四コマ映画『ハリエット』 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2535
***
時は1800年代中頃から1900年初頭(19世紀中頃〜20世紀初頭)。
この映画が始まる時には奴隷解放のリンカーンもまだ生まれていません。
奴隷制時代の白人の悪魔描写は、様々な映画で観てきましたが今回もなかなか腹立ちます。
(『それでも夜は明ける』ほどの地獄描写はなかったですが)
***
悪魔の白人もそうなんですが、
この映画の面白いポイントが「逃亡奴隷黒人を捕獲する黒人」と「自由黒人」の存在です。
奴隷州で奴隷の子供として生まれたハリエット(最初の名前はミンディ)は生まれながらにして奴隷。
自由州で生まれたマリーという黒人女性は生まれながらの「自由黒人」。
(まぁ自由黒人という言葉があること自体地獄なわけですが)
で、当時は今ほど情報伝達がないので、お互いのことが実はよくわかっていない。
ハリエットからすると同じ黒人なのに綺麗に着飾って都会を闊歩してテーブルでお菓子を食べるマリーたちの存在が信じられない。
自分たちの家族が住んでいた家には床もなく土の上にベッドを置いて寝ていたくらいなのに。
マリーは黒人女性専用のホテルを経営するやり手だし、逃亡奴隷の面倒をみる頼れる女性だけど、奴隷黒人の地獄は話で聞いただけ。
マリーのホテルに着いたハリエット に対して
マリー「まずはお風呂に入って。動物のような匂いよ」と顔をしかめる
ハリエット「恐怖の匂いを知らないのね」
このやりとりが面白い。
マリーも悪い人じゃないので「あ、やべ」とすぐに謝罪するのも可愛い。
***
南部に生きる自由黒人の職業の一つとして「逃亡奴隷の捕獲」があったんですね。
ウォルターという忍者みたいな若者がカッコよくも面白いわけですが
最初はハリエットを捕まえて白人に売ろうとするんだけど、
ハリエットを追ううちに彼女のカリスマに惹かれていってしまう。
白人 VS 黒人図式だけじゃないのが、この映画の面白さですね。
***
女性単独主演、しかも黒人の、となるとなかなかヒットが見込めないとのことで製作さえも危ぶまれたそうですが、
世界興行収入が5000万ドルとのことなので製作費からすると大ヒットではないでしょうか。
正直、、、映画の出来が、、、そんなに突出したものではないので、、この結果は十分かと。。
主演のシンシア・エリヴォは演技経験の豊富な人気歌手ですが
ちょっと今回の演技は、惜しいですね。。
(演技賞にはかなり絡んだようですが。。)
カリスマ性は物凄いんですけど、、なんかずっと基本同じ表情。。ずっとキョトーンとしてるんですよ。。怒りだけでない、ハリエットの多面性が見れたら映画に奥行きがあったかなと思います。
***
でも、話自体が強烈ですしハラハラドキドキもしますし、勉強にもなりますから、ぜひ。
ちなみに『若草物語』も南北戦争時代の話なので
この『ハリエット』の後半にはあの四姉妹が同じ東海岸で生きていた、と思うと感慨深いですね。
ネタバレ、というかすべては以下に。
曇天。次第に雨。農地。
芝生の上に仰向けになって倒れている女性。ミンディ(のちのハリエット)。
ミンディの夢。
家族奴隷として売られていってしまうシーン。
婚約者のジョンがミンディを起こす。
ミンディは睡眠障害で寝てしまっていた。
ジョン「何を手に入れたと思う?」
パティソン氏の遺言を確かめたという弁護士からの手紙。
ミンディが生まれた時ミンディの母は奴隷としての期限が切れていたので、ミンディは生まれながらにして自由黒人であったことを証明する手紙。
ジョンとミンディは喜びキスする。それを迎えるミンディの父。
舞台は1847年。メリーランド州。
***
ミンディたちが使える白人の家。ポーチに優雅に座る白人家族。主人(ブロデス)とその妻(エリザ)と息子(ギデオン)。
グリーン親父が黒人奴隷たちに向かって歌う。
「働け〜♪」
神父「奴隷たちよ、永遠に主人に従え」
グリーン神父も黒人。
神父の歌が終わり、奴隷たちは自分らの部屋に戻るが、ミンディの家族たちは残る。
「タテついて殴られたら今度こそ殺される!」
主人ブロデスに申し立てをするジョンたち。
ジョンはトンプソン家のプランテーションで働いている。ジョンは自由黒人。
ジョンはミンディを子供を作りたい。弁護士からの手紙もあるので、我々の子供は奴隷ではないと認めて欲しい、と主人に申し立てる。
手紙を破るブロデス。
****
森の中。
大木に向かってミンディ「私の主人は悪魔です」
それを聞いていた息子ギデオン。
「俺がチフスで倒れた時、お前がずっと看病してくれていた。目覚めて初めて見た顔がお前の黒い顔だった。恐怖でチフスの痛みが消えたよ。」
「弁護士だと?奴隷は豚と同じだ」
とミンディを殴る。
***
その夜、ブロデスが急死。
翌日、葬式。
白人たちは皆泣いている。黒人たちは目カラッカラ。
息子ギデオン、ミンディを睨む。
ギデオン「黒人女性を売ります。名前はミンディ」という張り紙を通りに貼る。
それを察知して逃げるミンディ。南部に売られたら今よりひどい生活が待っている。
ジョンが心配でやってきた。
ミンディ「ジョン、今すぐ逃げなきゃ」
ジョン「睡眠発作が出たら?」
馬に乗った白人たちがミンディを追う。
ミンディ、農地で働く家族たちに向けて歌を歌う。
「さようなら、朝が来たら会おう」と。
逃げるときの歌。
部屋で逃げる準備をするミンディ。
ナイフで床にハートマークを刻む。床じゃない。土。奴隷の部屋には床がない。
***
その夜。
ギデオンがジョンを捕まえる。
「止まれ、黒人野郎。ミンディはどこだ」と銃を向ける。
ギデオン、ジョンを銃で殴る。ジョンは片目を失明する。
その頃、ミンディはトンプソン家にいる父に辿り着く。
「父さん、奴らは私を南に売るつもりよ」
「グリーン牧師を訪ねろ」
黒人の顔の木彫りをミンディに持たせる。
「いつも一緒にいる。行きなさい」
「愛してる」
外は満天の星。
「愛してる」
父、涙。
***
グリーン牧師を訪ねる。真夜中。
「旅の無事を祈ってください。南へ売られたら家族離れ離れです」
「逃げてもウサギのように捕まる。字は読めるのか」
「いいえ。自由になりたい」
「恐怖心は敵だ。北極星を辿って走れ。遠くへ行け。数日歩くと、港町につく。そこにトーマス・ギャレットがいる。彼を頼れ。私から連絡しておく」
***
北極星に向かって走るミンディ。森の中。
眠ってしまうミンディ。
犬がミンディの匂いを追って走ってくる。ギデオンたちがミンディの近くまで迫る。
広い原っぱを走るミンディ。後ろにギデオンたち。
急流にかかる橋の真ん中。前にも後ろにも白人。追い詰められたミンディ。
「母さんたちが泣いてるぞ。飛び降りる気か?自殺は神への冒涜だ」
欄干に登るミンディ。
「わかった。お前は売らない。大人しくしていれば痛い目に合わせない。」
「自由か死か、よ」と飛び降りるミンディ。
激流に飲まれ、消える。
ギデオンたち、下流を捜索するも見つけられない。
***
翌朝、河岸に打ち上げられるミンディ。生きている。立ち上がる。
ポケットには父からもらった木彫り。
ある白人の農家。黒人たちが働いている。
そこの馬車に乗り込む。干し草に隠れる。
馬車は走る。
さらに朝方。
馬車が止まる。
馬車の御者(白人のおじさん)が「いるんだろ?ここでおりな」とミンディを下ろす。
ミンディに気付いていてここまで乗せてくれていた。
***
港で船頭をしている黒人男性に
「ギャレットという鍛冶職人は?」と尋ねる。
「4丁目にいる」
ギャレットを見つける。
「グリーン牧師を知っていますか?」
ギャレット「知ってる」
それを聞いて安心して気絶するミンディ。
翌朝、真っ白でフッカフカのベッドで目覚めるミンディ。こんなベッドで眠るなんて人生初。
ギャレットが馬車で森の手前まで送ってくれる。
「ペンシルバニアの奴隷反対教会を訪ねなさい。ここから40キロだ」
もうちょっと近いとこまで送ってくれても良さそうだけど、自由黒人証明書を持たないミンディは鉄道にも乗れないし、バレないようにするにはしょうがないか。。
「神と共に歩きます」と歩き始めるミンディ。
森を進んでく。
****
フィラデルフィアのペンシルバニア。
大きな町。都会。黒人もお洒落な服を着て堂々と歩いている。
果物売りの黒人男性に尋ねる。
「反奴隷協会は?」
「5丁目だ。ここには我々のようなものが多い。堂々としていれば目立たない。」と果物を一つくれる。
反奴隷協会に着く。協会長のウィリアム。黒人男性。ビシッとスーツを着てる。
ミンディを暖かく迎える。
ミンディの話を聞く。
「出身はメリーランド。主人のブロデスは死にました。今の主人は奥様のエリザです。」
「違う。君は自由だ。160キロ逃げ切った。奇跡だ。」
ミンディはハリエット・タブマンに改名する。
ハリエットは母の名前。タブマンはジョンの苗字。
「怪我は?」
「13歳の時に額を割られました。そのおかげで神の声が聞こえるようになりました」
ノートに、脳に後遺症ありと書くウィリアム。
***
黒人女性専用の宿へ連れられる。豪華な部屋。ドレスを着た黒人女性たち。
そこのオーナーであるマリー。
マリー「私は自由黒人としてここで育ったの。」
マリーは美人で素敵で自信に満ちている。
マリー「まずはお風呂に入って。動物の檻の中の匂いがする」
ハリエット「恐怖の匂いも逃げる匂いも知らないの?」
マリー「知らないわ。失礼を言ってごめんなさい」
風呂。
ハリエットの背中の傷。無知で打たれてミミズ腫れになっている背中を「何度見ても辛い…」ってな感じで目を背けるマリー。
マリー「恋人は」
ハリエット「いるわ」
***
翌朝から宿でメイドとして働くハリエット。
メイドのドレスが似合わない。
きれいな食器をセットする。きれいなベッドを整える。
ハリエットの流した涙が銀盤に落ちる。
先輩メイドがそれを見る。
***
一年後。
船頭に「私の家族は元気?」
船頭「元気だよ」
ハリエット「夫から伝言は?」
船頭「ないよ」
不穏な予感がして、ジョンと家族を助けに行くことを決意するミンディ。
ウィリアム「君が捕まったら、この反奴隷協会について吐くまで拷問されるぞ!」
ハリエット「南へ戻るわ。マリー、力になって」
マリー、ハリエットに自由黒人らしい振る舞い方を教える。
そして銃と銃の撃ち方を教える。
また、他人の自由黒人証明書を持たせてくれる。
「詳しく見られることはないわ。警戒されるのは南から北へ行く黒人。」
キャサリン・ディクソンという名の証明書。
***
鉄道に乗る。駅に着く。
駅には鎖に繋がれた黒人奴隷たち。
ドレスを着たハリエットを彼らがじっと見る。
保安官「証明書を見せろ。160cmと書いてあるが、165はあるだろ」
ハリエット「ヒールを履いてます」
***
ブロデスの家。
経営がうまくいっていない。親戚たちに金の無心の手紙を書く息子ギデオンと妻エリザ。
ギデオン「奴隷を売ろう」
エリザ「奴隷の数で家の格が決まるのよ」
ギデオン「奴隷を売って、残った奴隷を同じだけ働かせよう」
エリザ「奴隷を売るわ」
***
ハリエット、ジョンの家にたどり着く。
片目を失明しているジョン。
ハリエット「自由の地であなたが着るスーツを持ってきたわ」
ジョン「君は死んだものと…」
ハリエット「伝言は聞かなかった?」
ジョン「伝言を聞いた時にはもう。…結婚したんだ」
ハリエット「そうよ、私と」
ジョン「別の女性と。子供も生まれる。君は僕を残して消えた。川から落ちて死んだと。」
ハリエット「よくも他の女と!」
ジョン「ここは危険だ。愛してる。」
ハリエット「出て行って!」
ジョン「君が望むなら」
ジョン、自分の部屋から出ていく。
ハリエット泣く。
***
夜。森の中を歩くハリエット。
「なぜ私を生かす?」と神に祈る。
発作で倒れる。
そこに父。
父は目を布で覆っている。自ら見えないようにしている。
父は正直者なので娘を見たら、正直にそのことを話してしまう。
だから見ないようにして布で目を隠している。
父「弟たちが売られそうで納屋に隠れている」
3人の男と女性と赤ちゃんが納屋から出てくる。
弟たちとその妻とその赤ちゃん。
母はミンディが死んだと思って、その日から頭がおかしくなってしまった模様。部屋の中をフラフラと回遊している。
父と母はここに残る。
一人の妹を残して、きょうだいたちはハリエットに逃してもらうことに。
他の家族も合流。
父と抱き合う家族たち。父はここでも決して見ない。
父「全員が解放されるまで見張っているよ。誰の姿も見てないからな!」
***
牧師を訪ねる。
ミンディを見えて驚く牧師。
「君か。戻ったと聞いて耳を疑ったよ」
***
翌朝。
エリザ「2000ドルよ5人もどれが逃げたわ!」
一人のこった妹レイチェルが詰問される。
「何も知りません!」
ギデオンがレイチェルの首を絞める。
レイチェルの幼い子供が恐怖の顔で見ている。
ギデオン「黒人の子供を二人売れ!」
レイチェル「…ミンディーです!」
***
逃げる奴隷たちを追う白人グループ。
中に黒人のウォルターと大男のロン。
「男3人の女ひとりと赤ん坊だ。先導する女もだ」
***
森の中を逃げるハリエットたち。
白人グループがハリエットたちを見つける。
「追い立てられてこっちへ逃げるはず!ハサミうちだ!」
この先に進むと挟み撃ちに遭う!っていうところでハリエットが発作。
止まっています。
「神と話している!」
ハリエット「危ないわ!前は進まない」
横に逸れて、川を渡ることを決意。
「溺れるぞ!」と嫌がる仲間たち。
ハリエット彼らに銃を向ける
「自由か死よ。」
ハリエットが川に入っていく。
水深はちょうど首くらいまでで、水流も穏やか。ハリエットスイスイ進む。
仲間たちも心を打たれて、後をスイスイ進む。
全員渡きった。
それを木の上から見ているウォルター。心を打たれている。
****
ウォルター、白人たちの元へ行く。
ウォルター「見失った」
白人たちに殴られる。「役立たずめ!」
***
自信を持ったハリエット「私はハリエット。自由になった私の名前よ。あなたたちのリーダーよ。」
***
反奴隷協会にたどり着く。宿でご馳走を貪り食う。
マリーがハリエットの背中を流す。
「新しい妻と子供を作ったって…」
「あなたは今まで見たどんな男より強いわ。神に愛されている女に男が必要?」
「髪はたわしを夫を迎えに行かせた。でもそれはきっかけに過ぎなかった」
***
ウィリアムがハリエットをある部屋へ連れていく。
黒人地下鉄道世話人たちが集まる場所。黒人も白人もいる。
黒板に
車掌 ハリエット
乗客 9人
死亡 0人
とウィリアムが書く。
みんな拍手。
***
車掌は奴隷が働いている畑に向かって、林から歌う。
「逃げる時が来た〜」みたいな歌詞。
その歌に気づいて、みんなササっと準備をして、車掌に連れられて森の中を逃げる。
奴隷たちには靴が配られる。靴なんて!嬉しい!とみんな喜んで履く。
冒頭で助けてくれた馬車の白人おじさんが匿ってくれる。
そして大きな箱に入れられて、船に乗せられ、フィラデルフィアにつく。
ハリエットは何人も何人も逃す。
「私はモーゼよ」
****
妹レイチェルを訪ねるハリエット。
抱き合う二人。
ハリエット「逃げるわよ」
レイチェル「子供と引き離されたの。どこにいるかもわからない。私を無理やり連れていくなら大声を出すわ」
レイチェルを呼ぶエリザの声。
「全員逃げられるわけじゃないの」
レイチェルはここに残ることに。
****
しょんぼり帰るハリエットの後ろに追跡者ウォルター。
ウォルター「君は神と話せる。俺も神と話したい」
ハリエットを追う白人から、ウォルターはハリエットを逃してくれる。
***
「モーゼはハリエットらしい。ミンディのことだ!」
***
逃亡奴隷法が可決されてしまった。
南部から北部へ逃げた奴隷は誰でもすぐに逮捕されてしまう。
どの州でも奴隷狩りが合法化してしまった。
自由黒人の身も危険にさらされる。フィラデルフィア混乱。
***
追跡者の黒人大男ロンがマリーを襲う。
「ハリエットはどこだ」
「彼女には神の使命があるのよ」
マリーはハリエットの所在を言わない。何度も殴られる。
それを陰から見ているハリエット。
マリーはハリエットが陰から見ていることに気づきつつも、助けに来ないように
「彼女は賢いからここには現れない。使命のために」。
ロンが最後の一発マリーの顔を殴って部屋から出ていく。
マリーに近寄るハリエット。
マリー死亡。
****
港。
ハリエットは船に乗る。
そこにウィリアム。
ハリエット「マリーが死んだ」とウィリアムに告げる。
ショックを受けるウィリアム。
船はカナダへ。
****
カナダのどこかの家庭でチェリーパイを作るハリエット。
直後、発作。悪い知らせが来る兆候。
レイチェルの訃報が届く。
****
ニューヨークでレイチェルの葬式。
その後、白人の上院議員の家でみんな集まる。
自由黒人たちが熱く話し合っている。
「逃亡奴隷法を撤廃しよう!」
「奴隷黒人をカナダまで逃亡を手伝うのはもう無理だ!」
「戦争だ!」
ハリエット「遠いから諦めるの?
あなたたちは生まれながらに自由を知ってる。
働く意味も知らずに働かされて、初潮を迎える前に犯される。
できるだけの多くの奴隷を自由まで運ぶわ!
奴隷制度という悪魔が消えるまで!」
みんな納得。
****
父と母も逃す。
ハリエット、母の口を塞ぐ。
母びっくり。
ハリエット「手を離すけど、声を出さないでね。」
手を離すと母は大声を出して娘の登場に喜ぶ。
「私が奴隷泥棒のモーゼよ」
****
エリザとギデオンが他の白人たちに詰め寄られている。
「あんたのとこの奴隷娘がモーゼだそうだ。俺たちはあんたらのせいで損害を受けた。賠償してもらおう!」
エリザ「私も被害者よ!」
白人たち「ハリエットたちを捕まえよう!」
***
ハリエットの家族たちは森を抜け、小さな船に乗る。船頭はウォルター。
後ろには追跡者たち。
ハリエットは船に乗らない。
白人たちの囮になる。
ギデオンとロンを船から離れた場所に誘う。
ロンがハリエットを撃とうとすると、ギデオンがロンの頭を撃つ。ロン即死。
「生け捕りだ」
白人についていたロンだったが、ギデオンにとっては奴隷と同じ黒人に過ぎなかった。
ハリエット、ギデオンに銃を向ける。
「馬から降りなさい。膝まづいて」
「行儀の悪い女だ。お前も俺が好きなんだろ」
「私は所有されないわ。誰にも所有されない。自由か死か。どちらかを手に入れる
あんたの周りでたくさんの若い奴隷が死んだ。その声が聞こえる?人を所有するのは神は望んでいないわ
私たちの時代がくす。
私の民は滅ぼされない。
私たちは自由だ。」
***
南北戦争開始 2年目。
サウスカロライナ州。
黒人部隊を率いるハリエット。
南部の奴隷たちを逃亡させる。
***
ハリエットは91歳で亡くなる。
最後の言葉は「みんなの居場所は用意するわ」
70人以上の奴隷を救ったハリエット 。
南北戦争中には750人を。
1913年永眠。
終わり。
もうベスが最初に映った段階でウルッときて
それからベスが映るだけでウルッときて
いよいよってときはもう涙拭うのも無駄ってくらい涙出て
ついにはMr.ローレンス単体だけでも泣けてきて
最終的にはピアノが映っただけで泣けて。。。
****
150年前の原作小説『Little Women』の強度がさすがだし
現代アレンジも効いていて
演じる女優自身の強さ(シアーシャーローナンエマワトソンローラダーンメリルストリープだぜ!明らかな意思を感じる)もあって
大昔の、何度のリメイクされているのを、また、今、リメイクする意義がちゃんと作品のテーマとして提示された素晴らしい映画だと思います。
現在と過去行ったり来たりしすぎ問題
ただ
「誰もが知ってる若草物語」だと思いすぎて
ちょっと話複雑にしすぎじゃないですか。。。
現在と過去が行ったり来たりしすぎでしょう。。
しかも現在と過去の見分けがつきにくいし。。
この時空の歪みが
ベスの見せ場ではいい効果を与えたわけだし
まんまと泣かされたんですが、、
ちょっと凝りすぎかな。。
「家族とは過去の記憶と共に進行するもの」という暗示なんだろうけれども。
初めて若草物語を観る人はちょっと難しいのでは。。
あと、現在と過去が交互に見せられると「あの男さっきまでA子のこと好きって言ってたのに、もうB子に行っちゃってる!」ってなっちゃって、あの男が軽い男に見えちゃう。
A子とB子の間には7年あるんだけど、それが感じられない。
グレタ・ガーウィグが若草物語をっ!問題
『フランシス・ハ』『レディ・バード』の
グレタ・ガーウィグ監督の味があんまないなぁと思いました。
グレタ・ガーウィグが若草物語をっ!!
というニュースを聞いた時の衝撃が
作品自体にはあまりなかった。。
もっともっとヒリヒリした、ジリジリした、嫌〜なコメディ感を期待していました。
ただ、ラストですね。
ラストいいですねぇ、嫌味ですねぇ。
グレタ・ガーウィグ感出てますねぇ。
**
今作を観ながら
「あれ?そういえばジョーってラストで…」って心配してました。
原作通りのラストだと今作のテーマがぶれてしまうけど、どうすんだろうと。
さすがグレタ・ガーウィグですよ。
笑わせていただきました。
これですね、このラストのための今回のリメイクでした。
キャスティング最高問題
結婚こそ女の幸せだと姪たちに押し付ける役をあのメリル・ストリープがわざわざ演じるのさ。
フリフリのドレスに憧れて内助の功に徹する役をあのエマ・ワトソンがわざわざ演じるのさ。
ただ、エイミー役は前作のように2人が演じた方が良かった。エイミーの変化がわかりにくかったし。エイミーのことを好きになるあの人物の心の変容についていけない。。。これはシャラメのせいでもピューのせいでもない。
**
僕はウィノナ・ライダーの『若草物語』世代ですので
ウィノナが演じたジョーの輝き、計算のなさ、ノーコントロールさをどうしても思い出してしまうんですが。
今の世代にとっては
シアーシャ・ローナンのジョーが『若草物語』のジョーになるわけですからね。
そうやって時代に合わせたジョー像が更新されていけばいいんですね。
ラストネタバレは以下に。
ラストネタバレ
最愛の妹ベスが亡くなってしまったし、一回はローリーからのプロポーズを断ったけど「結局わたしにはテッド(ローリー)しかいないんだわ」と思い直して「次にテッド(ローリー)からプロポーズされたら受けるわ」と母に相談。
一方その頃ロンドンでは。ローリーとエイミーがいい感じに。
元々エイミーは小さい頃からローリーのことが好き。でもローリーからするとエイミーはあまりに幼なすぎて眼中に入っていなかった。
※ちなみに『若草物語』(1994)では、幼少時のエイミーをキルステン・ダンストが演じて、大人になったエイミーをサマンサ・マシスが演じているので、「あ、エイミーがレディーに変身した!」って感じが強かったんですが、今回は、フローレンス・ピューが最初っから全然13歳には見えないし、レディーになってからもそんなに印象が変わっていない。。コロッとエイミーに行っちゃうローリーが変な感じになっちゃう。。
一応、エイミーはもはや子供ではなく美しきレディーになったという設定なので、ジョーに振られて7年間傷ついてきたローリーは愛する対象としてエイミーを選択する。エイミーもそれを受け入れる。
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ベスの葬式には間に合わなかったけど、ローリーとエイミーが帰国。
ジョーは子供の頃に湖畔に備え付けた秘密の郵便受けにローリーへの愛の手紙を投函しちゃう。
しかし、帰ってきたローリーはエイミーのことを「妻」と紹介。めっちゃショックを受けつつも、まぁそもそもプロポーズ断ったの私だしってことで、感情を隠して、二人を祝福する。
エイミーはジョーの反応が怖かったけど、ジョーがもちろん祝福するわと言ってくれたから、安心してエイミーとジョーがハグ。
「辛いわよね、ジョー」ってな表情でジョーを見つめる母。
ジョー、湖畔の郵便受けから手紙を回収。破いて川に不法投棄。
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ジョーは落ち込んで自分が書いてきた小説を一枚一枚燃やし始める。しかしその中にベスに宛てて書いた文章を見つける。
お金のために殺人事件とかの小説を書いてきたけど、違うわ、私は私の物語を書けばいいんだわ、と思い、いきなりめっちゃ書き始める。
何枚も書いては床に並べてインクを乾かす。
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タイトルは「LITTLE WOMEN」。父が四姉妹をリトルウーメン(複数形)読んでいた。子供の女の子たちではなく、まだ小さいけど立派な女性たちという意味を込めて。
「LITTLE WOMEN」を持って出版社へ持っていくが、あっさり断られる。
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帰宅するとそこにはジョーがニューヨークで出会ったイケメン教授フリック(ベア教授)。
ここからちょっと全員のテンションがおかしい。たぶん、小説「LITTLE WOMEN」の世界に突入。
ジョーはそんな気はないんだけど、家族たちが異様にフリックを受け入れて「彼はイケメンね」とか言ってジョーといい感じにさせる。
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出版社の編集長の自宅。こどもたちが「LITTLE WOMEN」の続きを読みたい!と騒ぎ出す。
「え〜、そんなに受けがいいなら出版するか」と編集長はその気になる。
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マーチ家。ピアノも引けるフリックはベスのピアノをたおやかに弾く。みんなメロメロ。
で、雨の中フリックは帰宅。駅まで徒歩。
おわり。
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出版社。再度「LITTLE WOMEN」を読んでいる編集長。
「え、主人公の女性がラストで結婚しないのか?」「はい」
「女性が主人公ならラストは結婚させるか、死なせろ」「結婚させれば出版してくれます?」
***
マーチ家。フリックは雨の中を帰宅。駅まで徒歩。
「ジョーったら追いかけなさいよ!」と家族みんなが推してくる。
エイミー「ローリー!馬車の手配を!」ローリー「まさかジョーの恋を応援することになるとは」
ジョー、馬車で駅に着く。大雨。フリックは徒歩だったからジョーよりも後に駅についた。ひとつの傘の中で抱き合う二人。
おわり。
***
出版社。
「お金のために結婚させたんだから、売上の配分は○%で!著作権も譲渡はしないわ」
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ジョーは本のもうけで学校を開く。場所はマーチおばの大きな屋敷。
父も母も姉妹たちもローリーも、生徒たちに自分の得意分野を教えている。
微笑むジョー。
本当におわり。
『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』(2020)の中でこの映画の話が出ていて
僕この映画大好きなもんで
四回目くらいに見直しました。
まだ観てない人はぜひ観てね。
とくに若い人。
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僕は20歳手前あたりで初めて観たかと。
ナチス風味の映画だなぁとは思っていたけど、
全体としてはロマンチックな胸キュンストーリーとして受け取っていました。
事実、「好きって言っちゃえよっ!」って背中押したくなるようなラブロマンスではあるんですが、
ナチス風味がここまで色濃かったっけ??と驚きました。
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この20年で世界が変わったんでしょうね。。
20年前は「ナチス=悪」だったのに今ではグレーな感じになってしまっている。。
どっかの国の副総理は「ナチスの手口を学んだら?」と言うし
世界は右傾化に歯止めが効かない。
「ヒトラーだって人間なんだから批判したら傷つく」とか言い出しかねない風潮に。
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まさに状況はこの映画の時代と似ている。
第二次世界大戦前夜。
アンソニー・ホプキンス演じる執事の主人は、ナチスドイツの擁護派。
個人としてはむしろ善人なのだが、ナチスドイツの対ユダヤ人政策を知りつつも、丸め込まれて飲み込まれていってしまう。
**
そんな主人に心根としては疑問を持ちつつも、執事という仕事を全うするために主人の政治的立場とは距離を置くことに決めているホプキンス。
対して、
エマ・トンプソン演じる女中頭は抵抗する。
ドイツから逃れてきた2人若い女中がユダヤ人だということで主人がクビにしようとするが、
「彼女らをクビにするなら私も辞めます」と抵抗する。
ホプキンスは驚く。
結局その若い女中2人はクビになったし、エマ・トンプソンは仕事を辞めなかった。
「私の理念なんてこんな程度なのです」とエマは苦しむ。
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そして時は進んで戦後。
主人は自分がナチス台頭に加担したことに強い後悔を持ったまま寂しく死去。
ホプキンスは悪名高きその主人に仕えていた事実を隠して生活をしている。
エマもまたあの若い女中2人のその後を気にしている。
誰もが戦争に少なからず加担したことを悔いている。
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20年前はこの映画はここまでヒリヒリする映画じゃなかったのに。。
過去の話なのに予言の書のよう。。
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屋敷で行われた晩餐会の恐ろしいこと。。
第二次世界大戦への扉が開いたかのような一夜。
しかもあの晩餐会の裏ではある人物が亡くなっている。
しかし晩餐会の出席者にそれが知らされることはない。
国民ひとりの死など彼らにとって取るに足りないもの。
自分たちの宴席の邪魔にしかならないもの。
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それを目の当たりにしてもホプキンスは主人に仕える。
こうやってぬるぬると飲み込まれていく。
素晴らしいですね、さすが湯浅監督。
吉田玲子の脚本力もあるかな。
これまでの作品よりかなりリアルめなので、どうなのかなと思ってましたが、いやはや失礼いたしました。
ラストの無人ビル火災での水のシーンは圧倒されたし、楽しい。
頑張ればCGやら特殊効果で映像化できるだろうけど、あれをリアルでやられると恐怖の方が強くなって、たのしさが減りそう。
そもそも、水の中にイケメンが現れるってのも実写でやられたら気持ち悪いと想うんですよね。。
今回だと片寄涼太がコップの中に入ったり、便器の中に入ったりするわけでしょ。。
コメディ色強くなるし、ちょっとグロいかも。。
だからこれはやはりアニメならではの物語なわけです。
やはり絵が動くというアニメ本来の悦びが伝わってきて
僕も喜びましたし
ジェネレーションズのファンの皆様も歓びましたでしょうし
すべてひっくるめて大変お慶び申し上げます。
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川栄李奈も松本穂香も声優として素晴らしいですね。
なんの心配もないし、個性的だし。
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ラストはベタ中のベタ。
極ベタなのに、、泣いたぁ。。。
それまでが結構淡々としてるというか、
そんなに過剰に盛り上げたりしない上品な話の進み方だったので、
ラストでの感情の暴発も受け入れられます。
そりゃそうだよね、と。
そりゃそうなるよね、と観てるこちらも泣いちゃうわけです。
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アニメとしての精度だけでなくストーリーテリングも上手いってことですね。
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彼女がある歌を歌うと
彼氏が水の中に発現するわけなので
その歌が何度歌われる。
その曲は
GENERATIONS from EXILE TRIBEの
「Brand New Story」(ブラン・ニュー・ストーリー)。
まずその歌が2人にとっても思い出の曲であることを植え付けるためにすでに結構たっぷりと聴かせている。
で、そっから彼氏を発現させるために何度となく歌われる。
で、エンドロールで朗々とご本人登場みたいな感じでシングルバージョンが流れる。
これをもっとスマートに、うまくやってくれてたらもっと好きな映画になりました。
2人が接近するシーンで
BGMとして
川栄と片寄涼太がイチャイチャして笑いながら歌うのは可愛らしくて良かったですけどね。
我是証人/The Witness
上映日:2016年04月01日 / 製作国:中国
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韓国映画『ブラインド』の中国版リメイク。
日本版リメイクの『見えない目撃者』(https://filmarks.com/movies/83988)は吉岡里帆主演のやつ。
日本版はフィルムノワール感があって、残虐描写も凄かったですよ。
ただ説明台詞が多かったり、情緒的すぎるきらいがありました。
さて、中国版はどうでしょう。
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てか大元の韓国版観なきゃしょうがないわな。。
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弟の描写が多いですね。
〝不良〟とされていて音楽活動に熱心。
姉とは血が繋がっていない、とか物語性を増してる。
弟の手を車のドアの上に縛ってうごけないようにする。
で、事故っちゃって、手を縛られた故に弟は逃げられず死亡。
姉の罪悪感が強まる設定も良い。
事故の原因は弟が助手席から運転席のアクセルだかブレーキを踏んだことにあるので
「お姉さんは悪くないよ!」と観客に思わせる余地もあるのがまた上手い。
この弟とスケボー少年を重ねるのも上手いですね。
また、きょうだいを愛しているのに殺してしまったという罪で犯人と姉が繋がっちゃうところも面白い。
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犯人の顔が序盤で分かりますね。
こっちのほうが面白い。
というのも、主人公である姉は唯一の目撃者だけど見えていない。
それを知ってる犯人は姉の隣にスッと立ったりする。
でも姉は顔を知らないので何にも察知できない。
余裕な行動ができる犯人の不気味さが高まって良い。
犯人を最初から明かしていた方が顔も全身も写せるし、
犯人のサイコさを丁寧に描けるのでこの事件の残忍さが伝わる。
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ただ、、
大事な事件の残忍さがあまり伝わらない。。
描写がソフトなんですよね。。
日本版は見えられないくらい悲しくて悔しくて気持ち悪くて残忍な事件としてバッチリ描いていたんだけど、
この中国版はなんだかクリーン。
年齢制限のこと考えたのかな?
物足りないっちゃあ物足りない。
ラストについては以下に。
ラストの対決は
まず犯人の家での刑事との対決があって
そのあと姉の実家に移動して対決。
これがちょっともたつく。
姉の実家がどれくらいの距離かわかんないし。
そもそも姉とスケボー少年がわざわざ実家に行ってのんびりと思い出にふけるというのもリアリティがない。
少年は殺されかけた直後でドキドキもするだろうし、
姉は有力な目撃者であり正義感も強い人物で、女子大生連続殺人事件の犯人がまだこうのうと反抗を続けているかもしれないのに、
あんなにのんびりしますかね。
ここは
姉と少年が独自に頑張って犯人の家に乗り込む、という日本版の設定の方がキャラにあってるし、話がスムーズ。
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大ラス。
これは、、中国版の1番の特徴ですね。。
まさかノリノリのライブ会場で終わるとは。。
スケボー少年はEXOの元メンバーで歌手のルハンさんなんですね。
だから、まぁ歌いたかったわけですね。。
あのライブで弟の夢が少しは叶ったと言えるわけだし、
姉も母も喜んでいたし、
瀕死だったおじさん刑事と若手刑事も楽しそうにしてたし。
ほのぼのとしたエンディングでした。
好き嫌いがわかれるラストかな。
あと、大事なこと。
ラストの姉と犯人とのバトルで、家の電気を消して暗闇対決するんですが、
犯人はライターの明かりとか、窓からの月明かりとか、あと目も慣れてくるのでだんだん見えてくる。
んで、姉が追い詰められて犯人が襲い掛かるんだけど、それ実は鏡で、ガシャーンってなって犯人は怪我をする。
姉は目が見えないので鏡の存在に気付いてなかっただろうから偶然。
でも視覚に頼った犯人は自らミスを犯して姉を逃してしまったのでした。