四コマ映画『鵞鳥湖の夜』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2494
***
鵞鳥湖という架空の湖の町は、警察の管轄が複雑でちゃんと統治されてなくて、雑多な人種が混じり合って犯罪も多いとこ、という設定。
この映画の一番の魅力は水浴嬢ですね。
水浴嬢という言葉の威力。水辺の売春婦とのこと。海の中でなさったり、泳げない水浴嬢は浜の茂みでなさったりするそうです。
ヒロインのグイ・ルンメイは鵞鳥湖の水浴嬢。
***
この謎しかない美女と、うっかり警察を殺しちゃったイケメンの、逃走劇、でもないんだな。
イケメンは逮捕される前にやらなきゃいけないことがあって、そのために「妻に会いたい」。
美女はその計画に協力するっぽい感じで登場するんだけど、
警察やヤクザたちも絡んできて入り組んできて、一体誰を信じればいいのか、
誰が信用できて、誰が裏切り者なのかが分からなくなってくる。。
***
物語は結構ザンザン進んでいくし、
画面がとにかくずっと素晴らしいので飽きることはない。
いろんな立場の人たちが入れ替わり立ち替わり出てくるけど、それそれのキャラクターの奥行きが素晴らしい。
2時間弱なのに、これだけのことを描けるのかと感嘆しますよ。
***
ただ「この人は誰だろう、敵かな?味方かな?」と一瞬不安になって
ちょっと集中力切れそうになると
ビッッッッッッックリするシーンが何度もバーンとやってきますので。ご安心を。
電飾付きスクーターの行き先にあるものとか、ジンギスカ〜ン♪とか、二人前の麺類を食べるイケメンとか、ワンタッチ傘とか、ボートの上での一夜とか、
これ一つの映画だったのか、と思うくらいに名シーン多すぎ。。
ちゃんとご飯食べるのもいいですね。こういう映画の場合あんまご飯食べませんけど。
あとこの監督、中国のだっさいポップス好きですね、それをBGMにダンスをさせる。。
***
あらすじは読んでから観た方がいいと思いますよ。
話をわかりやすく説明してくれる便利な人はいないし
回想シーンも不意に始まったりするので。
***
まぁ画面はずっとカッコいいし、
社会や時代から切り離されたような鵞鳥湖を舞台に描くことで現代の社会問題をグリグリほじくり出してくるのもいいし
「いや〜映画っていいですねえ」って思いますよ、このレベルの映画を観ると!
四コマ映画『鵞鳥湖の夜』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2494
ネタバレは以下に。
駅。22時52分。腕時計。雨。
男(チョウ)の左頬には傷。
傘をさした女(アイアイ)登場。赤い服。緑の鞄からタバコを出す。
アイアイ:お兄さん火を貸して
チョウ、ライターで火をつけてあげる。
アイアイ:ありがとう。チョウ・ザーノンさんでしょ。ホアとチャンの依頼よ。ヤンさんは来れない。
チョウ:何!
アイアイ:奥さんのヤンさんは来ない。奥さんの変わりを私がしましょうか?嫌なら帰る。私が警察ならあなたを逮捕してる。
チョウ:ホアは?
アイアイ:関わりたくないって。悪い評判が立つから。あなた、本当にチョウよね?
チョウ:●●(地名)に行った。一昨日。眠っていたかったんだ。
<回想シーン>
2012年7月7日です。と語るタクシーのラジオ。
ホテルに到着。ボロくて暗い地下。男たちが集まっている。女たちもいる。
「GPSはシートについている。靴紐を結んでいるふりをしてGPSを外す」
バイクの盗み方講座を開いている。
「GPSを外してバイクを盗むか、バッテリーだけを盗め。次にシマの割り振りをする」
地図を出して割り振り。チョウはシンイエとシエファン。
「チョウがシンイエなのは不公平だ」
「チョウは古参だからな」
「刑務所に入っていたのも含めるのか?」
男たちが喧嘩をし始める。
マー「文句があるならあとで言え」
金髪が猫耳の足を撃つ。大喧嘩。殺し合いくらいのノリ。チョウも参戦。チョウ、めっちゃ強い。チョウが電球を壊して真っ暗になって終わり。
足を撃たれた猫耳、車で搬送。
マー「猫耳、騒ぎを起こすなよ」
猫目「マーさん、不公平だ。兄弟が撃たれた」
マー「あとは俺に任せろって」
ホテルの支配人「マーさんやめてくれ。泊まり客もいるのに。不景気でホテルも上がったりだ」
***
金髪「ネットで買った」
仲間の2人と共に持ってる銃を出す。
チョウ、銃弾を抜き取る。金髪はチョウの舎弟。
銃は没収。猫耳の治療代を払うことに。
マー「けじめをつけろ。試合をしろ。6人ずつで今夜2時間でバイクを盗む数で争う」
バイクの窃盗大会開始。
都会や田舎を駆け回り、バイクを集める。
金髪と猫目が原付でレースを始める。
猫目がピアノ線的なものを道路に張っていて、それを知らずに金髪は全速力で突っ込んで首がピョーンと飛ぶ。
それを見ていたチョウ。
金髪のペンダントが鉄柵に引っかかっている。
金髪の死亡を確認(首ないからね。。)。戻ってきた猫目に撃たれるチョウ。左胸から出血。雨が降ってくる。金髪の原付で逃げるチョウ。雨と血で前が見えない。
前方で道を塞いでいる男たちを発見。とりあえず撃つ。1人死亡。実はそれは警察。警察殺しで追われる身に。
<回想おわり>
駅。
チョウ「まったく。警察だと知っていたら撃ってない」
町の中華料理屋かな。その前で3人の男が立ってるのを見る。
チョウとアイアイ、去る。
空港。検査所をサッと通る二人。
チョウ「俺の妻はどうして来ない。」
テレビのニュース「警官が一人殺害。チョウを指名手配。30万元の報奨金。」
***
チンピラの溜まり場や空き家、森の中にも警察の捜索が行われる。
「動物病院で左胸の弾を摘出したらしい。今は鵞鳥湖の周辺にいる模様。私服警察を30人配置。今後は人員を配して24時間見張る」
リャオ・ファン登場。警官のリーダー。
トラウマ映画
なかなかのトラウマ映画ですね。。
オトナとしてもこれは、、あの、、
今後はある程度の覚悟をして生きていかないとな、と思いました。。
「この時オトナたちは何をしてたんだっ!」って何回も思うんですけど
僕もいいオトナなんでね。。
自分で自分の首を〆るという。。
****
平手友梨奈と長濱ねるしか知らない状態で観ました。
欅坂って言うといろんな意味ですごいグループだな、って程度の認識です。
泣いた泣いた。。
何回泣いたかわかんないし、実際ボロっと涙が落ちましたよ。
残酷描写もすごいんですが、、
泣いたのはそこではなく
主人公が途中でいなくなるんですね。
主人公がいなくなったときに
今まで「バックダンサー」(自分で言ってる)だった彼女らが
「ここは私がっ!」みたいな感じでバッと前に出て華やかにパフォーマンスする姿が泣ける。。
それをファンも「うおおおおおおお!」って応援する。
このときの声はやっぱ「うおおお!」がいいですね。
黄色い歓声「キャー!」では意図が伝わらない。
「マジか(涙)!やってくれるじゃねえか(涙)!その根性、買うぜ(涙)!」っていう気持ちのこもった「うおおお!」
高橋栄樹監督
高橋栄樹監督がAKBのドキュメンタリー映画を
「戦争映画のつもりで作った」的なことを言っていましたが、
今作はミステリー映画のようでした。
ミステリー映画
まず冒頭で一人死にます。
(死にませんよ。死にませんよ。死にませんよ。死にませんよ。死にませんよ。死にませんよ。もちろん死にませんよ。全然死なないんです。)
冒頭で主人公が倒れるんです。
なぜこのコは倒れてしまったのか、
それを時間を遡って観ていくのです。
こういう形式のミステリー映画ありますね。
パッと名前出てきませんけど。。
***
で、時間は遡りまして、デビュー直後の彼女らを映します。
残酷。。。。。。。。。。。。
後にぶっ倒れることになるその子が、、
『時をかける少女』の原田知世ばりに純真無垢な顔をしているのです。
笑顔なのです。
こんなにも自然に喋って自然に笑っていたこのコが、、、数年経つとあんなことになってしまうのか。。。
もうこの時点で泣きそう。。
10代後半だもん
欅坂46は
青春の暗部をグロテスクに表現した歌が多くて、
主役のコ、
まぁ平手友梨奈なんですけど、
平手友梨奈がその世界にどんどん飲まれていってしまう。。
デビュー曲の『サイレントマジョリティ』でのグループとしての成功体験もあったし
たぶん個人としても「わたしの得意なこと、これだ」という自信もあったかと思います。
ファンでなくても圧倒されるような楽曲が次々と作られて
その度に平手友梨奈はどんどん追い込まれていく
っていうか追い込んでいく
それが自分の役目のはず…
でもわたしが頑張れば頑張るほど他のメンバーが目立たないこの状況は何…、
という悩みも出てくる
10代後半だもん
普通に生きてたって人生の淵をギリギリ歩いちゃうこともあるのに
この感受性の強さでこの境遇は過酷。。
***
で、まぁ倒れちゃうわけです。
主人公がいなくなるのです。
主人公はいなくてもコンサートはやらなきゃいけない。グループだから。
で、
「よっしゃ!わたしが主人公になるチャンス到来!」って思うのは
おじさん世代なんですね。。
びっくりですよ、最近のコ。。。
主人公の席は空席のままでやろうとするんですよ。
(時間がないってのもありますけど)
センターは平手しかいない
「センターは平手しかいない」
「この曲を表現できるのは平手だけ」
「センターが平手だからわたしはバックダンサーでいられた。他の人の後ろでは踊れない」
的な考えが埋め込まれちゃっている。
結果的には全然センター張れる実力も華もあるメンバーが出てくるわけなんだけど
この時にはそれに気づいていないから
どうやったらいいのかわかんなくなってる。
だって10代後半だもん。。
この時オトナたちは何をしてたんだっ!
さすがに私センターやるわ!
で、たびたび平手が休演することが増えてきて
「さすがに私センターやるわ!」ってな感じで
バーンと飛び出るコが現れてくる。
この瞬間が泣けるのさ。。
「やらなきゃ!」だし「やりたい!」って気持ちもそりゃあるだろうし。
後ろのメンバーには「は?」って思われるかもしれないし
一部のファンから叩かれるかもしれないけど
やっちゃえ私っ!っていうその姿が泣ける。。
で、次々とそうやって花開いていくわけです。
オトナでもそうですけど
ポジションが人を作るってのもあるんで
センターに立って一人だけスポット浴びたら
その人の内側の光が漏れ出てきますよね。
****
で、そうやって今まで「バックダンサー」だった彼女らが
一人一人輝き出す中で、
フッと平手が帰ってくるんです。
で、センターに立ってパフォーマンスをすると、、、
もうこれ以上残酷なことがありますでしょうか。。。。。
蹴散らかしちゃうんですよね。。
その前に輝いていたコたちを。。
もうもうもう個性の強さが段違いなので、、、
両者ともかわいそう。。
こうやって他のメンバーを蹴散らかしてしまう平手もかわいそう。。
****
なんかゴジラを見てるようでした
もはや神なのか、
神とは逆の存在なのかわかんないんだけど
平手は
生と死の両方を司って(しまって)いる存在のよう。
物凄いレベルでの生を謳歌しつつも
同時に殺されてもいる、という。。
アベンジャーズ
平手以外のメンバーはアベンジャーズのように見えました。
サノスを前にしたアベンジャーズたち。。
全員スーパーパワーを持っているヒーローなのに
なぜかサノスを前にすると
一般の地球人に見えちゃう感。
(ヒーローはそうじゃないと親近感持ってもらえないからね)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』あたりの、
「一回全員集まってちゃんと話し合ってください!」って言いたくなる感じ。
『インフィニティ・ウォー』なんかもうほんとに
みんな同じ場所にいるんだけどバラバラに戦ってるから、
人数が多いという利点を使えていなかった。
一回みんなで集まって前もって相談して
「じゃ俺が先殴るわ、でもたぶん避けられるから」
「そしたら私ビーム出すわ、たぶん当たる」
「当たったとこで僕が蹴るわ」
「その間にアタシは…」みたいな感じで話し合って、意見をまとめといてくれればスムーズに解決できたと思うんだけど、
(ま、そんな映画見たくないけどね。。)
欅坂アベンジャーズたちもなんか、、、
強大な力を前にそれぞれバラバラなまま戦ってしまっていたんだなと思いました。
この時オトナたちは何をしてたんだっ!
「大人の責任は?」
高橋栄樹監督、この映画の中でこう問いかけます。
「大人の責任は?」
上記のような残酷劇場は演目としてはそりゃ興奮しますよ。
多くの人の心を捉えるし
これがスイッチとなって輝き出すコドモたちがいるのもわかる。
だけど、今回は、、、、、、マジでギリギリでしたよね。。。。
平手がステージから落ちて怪我しただけでまだ済んだからよかったものの、、、
その事故だけではなくて
取り返しのつかない事態だって引き起こしかねない状況を作り出していたのが
オトナたちなので。。。
残酷状態を作り出した。放置した。改善できなかった。大人の責任は???
と。
映画の中では
この問いに対してあるオトナが回答するんですけど
僕は全然腑に落ちなかったし
言った本人も腑に落ちてない様子でした。
その全てをそのまま映画で流す高橋栄樹監督の天然の問題意識が面白い。
****
「櫻坂46」
「櫻坂46」に改名しましたね。
観ますよ、そりゃ。
ゴジラを失ったアベンジャーズが何をしていくのか気になるもん。
「見続けるのが大人の責任。点じゃなく線で。」
でも、一回観せられてしまったら、もう線で観続けなきゃいけないの????
点で観て「うわーすごーい」って楽しむのは無責任ってことになっちゃうの????
「アイドル」ってのはそんなに面倒くさい、、観る側にも負荷をかけるようなエンターテインメントになっちゃったの???
それは間違ってんじゃないの???
カナダの話なんですよね。フランス語喋ってるからフランスかと思っちゃうんだけど、、、カナダではフランス語が使われている地域がある。
セリフ以外のことで語る
セリフ以外のことで語る、監督しての力量が凄いですね。
それぞれのキャラが自分の気持ちをストレートに語るシーンってほっっっとんどないんですけど
だいたいのキャラのだいたいの気持ちは伝わってきますよ。
サラッとやってるけどすごいこと。
**
とくにマティアスの彼女の複雑な気持ちが伝わってくるのが素晴らしいですね。
演技自体も素晴らしくて
彼女の知的さや理性があったからこそマティアスの苦悩や一歩踏み入れちゃう様子を観客は観ることができたわけです。
彼女が自分の観念以外を拒絶するキャラクターだったら、
マティアスは自分の心の中の探求をする余裕が得られなかった。
マティアスのあの旅は、彼女の旅でもあったわけよ。
彼女はスクリーンに映ってないとこでどれほどの思案を繰り広げていたか。
ちゃんとそれがわかる演技と演出でしたね。
好きな男がゲイだとわかっちゃった女性キャラ
この映画とは全然違うけど、
「好きな男がゲイだとわかっちゃった女性キャラ」ってのは
映画にとって「便利に」「希薄に」描かれてきました。
ただただ拒絶してその映画から消えるキャラだったり、
突如理解を示してゲイの恋を応援し始めるキャラだったり、
なかなか浅はかな描かれ方が多かったと思います。
今作では、
ほんっとに複雑な感情をセリフなしで
シチュエーションとカメラと表情で伝えてましたね。
映画だねえ。。
**
これはやっぱドラン監督の、ちょっとどうかしてるレベルの技量ですよ。
なかなか観られる映画ではない。
この若さで。。
顔のアザの意味
マキシムの顔の左側には赤い大きなアザがある。
かなり大きいし、結構目立つ赤色。
ドラン監督は「顔に大きなアザがあると、その人本人を見る前にまずアザを見られる」的なことを述べています。
マキシムのアザは触れずにいるのが不思議なくらいなんだけど、友人や家族は一切アザについて触れない。終盤まで一切触れられない。
「アザではなく本人が受け入れられている」という状況なわけで、この場所はマキシムにとってこころ穏やかに過ごせる場所だというのが伝わってきます。
ただ、終盤でついにアザについて触れられてしまいます。。そこからマキシムも改めてアザに苦しむし、アザをいじってしまった人物の苦しみも深まります。。
ジェネレーションギャップ
友人の妹の短編映画のために2人はキスしたわけですが、最初2人は強く拒絶します。
そこで彼女は「あなたたちの世代では抵抗あるかもしれないけど、自然なこと。男2人でもいいし。女2人でもいい。」と。
マティアスとマキシムもそうとう若いんだけど、、さらに若い彼女との世代間格差が面白いし、
これは未来への希望として描かれているんだと思います。人間は進化するんだよ、と。
いいなぁ、進化する国は。。退化してる国は嫌だなぁ。。
地球を救っちゃいそうなレベルの感動アイテム
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のときの作文みたいな
結構、、、古典的な感動アイテムもストレートに出してきますね。。
今作でも、、ラストあたりに
24時間テレビ愛は地球を救っちゃいそうなレベルの感動アイテムが突如出てきて
ゴールへ一直線しちゃいます。。
作家性
これは、、、作家性でしょう。。
彼自身ゲイなので「ゲイ要素」が組み込まれるのは自然なこと。
ゲイ要素が入っていることは作家性と言えるほどのことでもない。
毒でもあり愛でもある「母」という存在や
どこまでが真実でどこまでがウソかわからない描写や
前述のような「地球救いそうな感動アイテム」ってのが
彼の作家性かと。
つーても僕これでグザヴィエ映画は2本目なんで、、ごめんなさい。。
**
たぶんドラン自身が
そういうストレートで真っ当な感動に飢えてるんでしょうね。
6人以上集まると絶対にその場が混乱して崩壊しちゃうのとか、、
おそらくそんなのばっかりを経験してきたから、
こういうのしか描けないし
ほのぼのとした幸せな食卓なんて絵空事っぽくて描いてられない、、
その分実は凡庸な、小っ恥ずかしいような幸せの形への憧れも強いんじゃないでしょうかね。
**
映画監督として、俳優としてバリバリ仕事してるわけですから
まっとうな大人であることはあきらかなんですが、
31歳にしては幼すぎる彼の容姿や
今だ思春期真っ只中のような不安定さが
彼の魅力であり、個性。
それが母性本能をくすぐりまくってるんでしょうね。
やっちゃえ!ドラン!
ドランが主演してるドラン監督映画は今回が初だったんですけど、
クリント・イーストウッドが主演してるイーストウッド監督映画に強く感じる
「ナルチシズム」をちょっっと感じてしまいました。。
これもね、、、しょうがないんですかね。。。
個人的は、、あんまナルチシズム出さないで欲しい。。
でもなぁ、、ここまで作家性のある若手監督なんてそうそういないもんね。。
いいよ、ドランこのままで!やっちゃえ!
ネタバレは以下に。
映画の撮影でのキス以降、マキシムとマティアスはほとんど接点がなかった。
それぞれがバランスを崩して生活をしていたし、おそらくお互いそれに気づいていた。
うっすら気づいてた彼女に背中を押されてマティアスはマキシムのいるパーティーに参加。
いっぱいいっぱいになってるマティアスはそこで「めんどくさいやつ」を発動させてしまって、大喧嘩に。
思わずマキシムに「アザ野郎が」と吐き捨てるように言ってしまう。
全員が「あ、それは一番ダメなやつ…」的なリアクションの中、マキシムは殻に閉じこもってしまう。
反省しつつも謝りにいけないマティアスを友人が「お前は邪魔だからリビングに行け」とマキシムのいるリビングへと誘導する。
マティアスは普通に会話しようとするも、マキシムは逃げる。
少々追いかけっこしたのち、誰もいない部屋でマティアスはマキシムの手を握る。
お互いの気持ちを解放させて、マキシムはほとんど泣いているような顔でマティアスとキスする。
隣の隣の部屋では友人たちが変わらず盛り上がっている。
カメラが横パンすると、マキシムとマティアスのいる部屋。
二人は抱き合い下半身を触り合う。
これ以上はさすがにと思ったであろうマティアスが離れる。
マキシム「オーストラリアに行く日を遅らせる。週末を一緒に過ごしたい。話し合わなきゃいけないと思う」
お前に彼女がいるのも知ってる、お前が混乱してるのも知ってる、俺も混乱してる、踏み出していいのか、これがなんなのか、2人で話し合って何かしらの答えを出したい。
とマキシムは提案したわけですが、マティアスは無言で去る。
マキシム、オーストラリアに旅立つ当日。
マティアスの家でたしかキャリーバッグを借りに行く。
マティアスの父の推薦状がないとマキシムはオーストラリアで働けないんだけど、一向に推薦状がもらえないという状況が続いていた。
で、結局、実は推薦状(メール)はマティアスのアドレスに届いていたんだけどマティアスはそれをマキシムに転送しなかった。
おそらく、オーストラリアに行って欲しくなかったから、でしょうね。
マキシムはマティアスの家の引き出しに子供が描いた絵を見つける。
マティアスの母の目を盗んで、サッと見る。
それは幼いマティアスの絵。マティアスとマキシムの2人が「M」と冠した農場を経営してるほのぼのとした絵。
それを見て涙するマキシム。
そろそろ行かなきゃいけない時間。
外には友人が待っている。車でマキシムを送ってくれる。
家を出る。友人が左方向を指差している。
そこにはマティアスが仁王立ちしている。
すべての悩みや迷いが消えたような表情のマティアス。手を振る。
おわり
この2人が何を選択するのか、しないのかはまっったく見えないですね。
このあと結局核心には触れずにただ見送るだけなのかもしれないし。
2年後マキシムが帰ってきてからもあのキスのことは話さないかも。
10年以上経ってお互い家族を持ってからやっと話せるようになるのかも。
マティアスが突然「オーストラリアに行かないでくれ!」と言い始めて、このあと2人仲良く暮らしました、かも。
誰にもわからない、本人たちにもわからない。
女性として史上2人目となるアメリカ最高裁判事に任命されたルース・ベイダー・ギンズバーグさんが2020年9月18日、膵臓(すいぞう)がんのため死去したと。。
世界中が悲しんでいるし、そのショックは本当に大きい。。
リベラル派のリーダーだった彼女の後任をトランプ大統領が選ぶわけよ。。。
一番恐れていたことが現実に。。。
母からの教え
母からの教え
「淑女であれ」→怒りなどの不毛な感情に流されるな
「自立せよ」→白馬の王子さまに出会うのもいいけど、自活する力も必要
この教えを胸にRBG(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)さんはハーバード大学のロースクールへ。
入学式で「その席は男子学生が座るはずだった」と言われ、
図書館に入ろうとすると「女子学生は入れない」と入館を断られたり。
成績優秀で卒業したけど、
女性であることを理由に連邦高等裁判所やニューヨークの法律事務所には就職できず、
地区裁判所判事の助手として働く。
その後、性差別と戦う法律家として頭角を現していき、
大統領から連邦最高裁判事に指名され就任。
史上2人目の女性最高裁判事となりました(現在は3人)。
彼女の活躍はここからものすごいことに。。
*****
四コマ映画「RBG 最強の85才」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2260
*****
彼女のキャラクター
彼女のキャラクターが面白いですね。パッと見普通のおばあちゃん。。
威圧的だったり辛口だったりすることなく、
少しのユーモアで包みつつ淡々と静かに仕事を進めていく。
「権利を!」って声を上げる人物像って
どうしてもいつも怒ってる感じがしちゃうのですが、、、
彼女は母の教えそのままに、怒りに振り回されない「淑女」。
しかし、反対意見はビシバシと本質を突いてくるので
若者を中心に彼女は大人気でファッションアイコン的な存在に。
*****
旦那さんも面白い。
奥さんの活躍を妬むことなどなく自分が率先して家事をして
夕食どきになると仕事に没頭している奥さんを呼びに行く。
柔和でコメディセンスあふれる夫と仕事にのめり込む妻のバランスが、実にほのぼのしていて愛らしいです。
旦那さんの病気もあったりしてなかなか悲しい気分にもなっていくのですが。。
*****
『ビリーブ 未来への大逆転』はRBGの映画化だったんですね。
そっちも観なきゃ。
*****
四コマ映画「RBG 最強の85才」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2260
珠玉の音響エピソードが108個くらいあって後半から裏方魂に泣けてくる。。
これを観た後は映画体験が大きく変わりますよ!
「ハリウッド映画はほとんどアフレコである」
というのはなんとなく知識として知っていたけど
それがどういうことなのかわかってませんでした。
セリフだけ、あのフワフワのマイクで環境音を排しながら録音。
その他の音はほとんど「作って」後から「重ねて」いる。
……って言われてもピント来ない。。。
****
四コマ映画「ようこそ映画音響の世界へ」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2575
****
観るしかないんですよね。。
映画音響パートも大きく7パートに分かれてて
それを一個一個やっていくし、
(映画音楽について今回は少なめ。『すばらしき映画音楽たち』をどうぞ。)
無声映画からトーキー、5.1chとか、素人にはよくわからない領域まで歴史をたどるし、
スピルバーグ、デヴィット・リンチ、ソフィア・コッポラ、アルフォンソ・キュアロン、ジョン・ラセターなどなどなどの
インタビューも挟まれるので
情報量がとんでもないんですよ。。
***
(映画館行けない人もいるでしょうから言いづらいですけど…)
やっぱ映画〝館〟で観た方が良い作品だと思うので
映画館に行って、観るしかないんですよ。
予想を遥かに超える緻密で壮大な映画音響の世界を
浴びるしかない。
***
2、3回通う人もいると思います。
情報量がすごいから、全然記憶できないので。。
いつかDVDやら配信やらになったときに
もう一度観たいですね。
***
これを観ると
これ以降の映画鑑賞体験が変わりますよ。
音響スタッフを目指す人も増えるだろうなぁ。
四コマ映画「ようこそ映画音響の世界へ」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2575
【第31回東京学生映画祭】は日本で最も長い歴史を持つ、国内最大規模の学生映画の祭典です。
第31回目の今年は渋谷にて10/15,16,17に開催!クラウドファンディングで集まった費用は、コロナ延期によって増大した会場費約50万円、フライヤーやパンフレットの印刷費約10万円などに使用します。
ぜひご協力ください!!
***
とのこと! コロナによって会場のキャンセル費も嵩んでかなりまずい状況。。。
大学にも行けずバイトもできず。。
おっちゃんにできることは少しだけど、、、、、 頑張って欲しい!!
<iframe src="https://camp-fire.jp/projects/315421/widget" width="245" height="365" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>
https://camp-fire.jp/projects/view/315421
【第31回東京学生映画祭】学生映画に希望を...!!
【スター VS ファン】
ヤバイファン映画その2
『ミザリー』→『ザ・ファン』→『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の順でやってます。
***
デ・ニーロがもう『タクシードライバー』のトラヴィスそっくり。。
『ザ・ファン』のギルも世直ししようとしてる。
スターの間違いを訂正させたい。
俺が正しさってやつを教えてやる、という姿勢。
スター VS ファン
ヤバイファン映画の構図は、スター VS ファン。
『ミザリー』ではファンが100%ヤバイやつで、スターは普通以上にまともな人。
『ザ・ファン』では、
ファンもめっちゃ最初っからヤバイやつだけど
スターもちょっとヤバイ。
ま、普通のヤバさですけど、そんなに立派な人ってわけではない。
スター(ボビー)のセリフ
「ファンはアホだ。女と同じだ。打ってる時は〝愛してる〟と言い、打てなくなるとツバを吐く。」
ファンを嫌いになる気持ちは理解できる。
プロスポーツ選手なら成績によって掌返しするファンへの愛憎の気持ちがきっとあるんだろうな、と。
その悲哀はわかる。
ただ、
「ファンはアホだ。女と同じだ。」はヤバイ。
ファンは女と同じでアホだって言ってるわけですから、だいぶ男尊女卑のクソ男。
でも、マッチョ主義の男なら普通?
マッチョ主義(の批判?)
このマッチョ主義(の批判)がこの映画の肝かと。
ファン(ギル)の仕事はナイフの営業マン。
調理用ではなく完全なる武器としてのナイフ。
ナイフが何度も出てきますが、描写がいちいち怖い。
なんで普通に生活する中で武器としてのナイフを携帯しなきゃいけないのか、
切れ味や貫通力を求めなきゃいけないのか。
それを恐怖演出で描いています。
**
監督がトニー・スコットで、サスペンス演出がずっと素晴らしい。
大したこと起きてないんだけど、ずっと緊張感が張り詰めていてじわじわ怖い。
それがホント素晴らしいんだけど、、、
この演出が
暴力やマッチョ主義、
「男だぜ!」「力だぜ!」というノリに対する批判なのか、、どうかは、ハッキリしない。。
僕はそう捉えましたけど、、
ただただ映画をスリリングにするための演出方法だったのかな??という心配もちょっとあります。。
トニー・スコット作をそんなに真剣に観てきていないので、ごめんなさい。
「お前はトニー・スコットを理解していない!」と怒ってくれる人がいたら、これからトニー・スコット作をノリノリで見始めますよ!
スターの悲哀
ウェズリー・スナイプスの演技もいいですね。
「ホームラン打たないと息子が殺させるかも!」っていう終盤の盛り上がりはちょっとアホっぽくてかわいそうでしたが、、、
全体的にはプロスポーツ選手の悲哀が感じられる素晴らしい演技。
あの強靭な肉体に隠されてる弱い心みたいなものも見えてきて、素晴らしかった。
ホームラン問題
「ホームラン打たないと息子が殺させるかも!」っていうサスペンスはちょっと上手く行ってなかったですね。
雨降ってきて試合中止になっても「ホームランを打てなかった」ってことになるってことも知らないし、
敬遠されても「ホームラン打てなかった」ってことになるっていう設定も知らないから。
敬遠されたら「逆によかったじゃん。ホームラン打たなくて済むじゃん」と思ったけど、打たなきゃいけないみたいな感じで、みんなドキドキしてんだけど、敬遠されたらしょうがないよね。。
あと
ランニングホームランもホームランのうちだ!って感じでみんな盛り上がってるけど
これは逆に観客も「いや、ランニングホームランはダメでしょうよ、そういうとこだよ!」って思うわ。
ここはギルと観客は同じ意見ですよ。
「アウト!アウト!」って叫びますよ。
で、ホームラン打ちさえすれば息子が帰ってくるっていう確証もないわけだから、、、
ホームランどうこうよりもサッサとファンを捕まえようよ、ってことになる。
なんか大事なとこなのにグダグダでした。
***
エレン・バーキン、
ジョン・レグイザモ、
ベニチオ・デル・トロ、
クリス・マルケイ、
チャールズ・ハラハン、
あと本当に一瞬のジャック・ブラックたちの
演技、存在感は素晴らしかったです。
ヤバイファン映画その1
『ミザリー』→『ザ・ファン』→『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の順で行きます。
まぁこの『ミザリー』が断ッッットツで名作でしたね。
最初からキャシー・ベイツの演技を中心にしようとしているし、それが成功してる。
でもキャシー・ベイツはこれの前はヒット作があったわけでもないんだけど、
監督やプロデューサーが見抜いたんですかね。
****
スターVSファン
ヤバイファン映画を3本観ましたけど
構図はどれも、スターVSファンでした。
ヤバさの比率が映画によって異なります。
『ミザリー』で言うと
ファン…アニー(キャシー・ベイツ)
スター…ポール(ジェームズ・カーン)
ファン(アニー)が100%ヤバイ。人格的にもヤバイし、行動もそれに呼応してヤバイ。実際今までやってきたこともずっとヤバイ。
スター小説家であるポールは一貫してまともな人物。全く破綻しない。
『ミザリー』は
スターには全く非がないところで、ファンの逆恨みを買ってしまって、ヤバイことになっちゃうという話。
そこが怖いとこ。
「一個も非がないのに、ヤバイ人物に引っかかってしまった!」という避けられない事故みたいな感じの怖さ。
マッチョ主義を否定した世界
このスターは小説家っていうことで
最初からそんなに体力ないし
車の事故で肩を脱臼、右腕骨折、両足複雑骨折してるので
とにかく弱い。
反面、
脱出方法をいろいろ考えたりファンの行動を操作したりと
小説家らしい頭脳派。
(後半、隠れて筋トレし始めるのも可笑しい)
これは『ザ・ファン』とは正反対です。
『ザ・ファン』はアメリカ男のマッチョな世界。
このマッチョ信仰こそが悪だと言いたいんじゃないかってなくらいに、一貫してどす黒いマッチョ感を描いてました。
****
『ミザリー』にはこのマッチョ感はないし
とても意図的だと思ったのは、
老保安官の存在。
どう見ても全く役に立たなそうだし
普段から全く役が立たない存在として扱われているであろうバスター保安官。
(演じるのはリチャード・ファーンズワース。『赤毛のアン』のマシューだ!)
自分の奥さんが保安官補佐で、そのコンビも面白かったですが。
足腰弱いしのらりくらりとしてるけど
勘や知恵でアニーの凶行に唯一近づいていける人物。
「パワーだぜ!」「男だぜ!」「マッチョだぜ!」というノリとは正反対の映画の作り。
ファン(アニー)への観客の共感
あとは、
ファンに対して観客がどれほど共感するかもポイント。
キャシー・ベイツ演じるアニーの
愛嬌や孤独さはかなり観客の心を掴むものだと思います。
このファンがあまりにも観客の気持ちと離れちゃうものだと
「サッサと死んでくれ」と思っちゃうから
映画に深みが出ない。
ラストでアニーが再び出現するときに
「うわ!怖い!」と思う反面、
「また会えた!」という喜びもちょっとある。
キャシー・ベイツの演技がまぁまぁ素晴らしいんだけど、この演技を映画の中心に置いたこの映画自体も素晴らしい。
ネタバレは以下に。
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小説家ポールはミザリーシリーズで大成功。
大金持ちに。
しかし、
自分の小説家人生がミザリーシリーズに乗っ取られるのはイヤだってことで、
小説の主人公ミザリーを殺して
ミザリーシリーズは終わりにすることに。
コロラドの冬山に篭って新作を書き上げる。
(ミザリーが死んじゃう内容の小説)
新作を書き上げて車で帰ろうとしたものの
吹雪で事故。
結構な重症。
それを助けだす1人の女性。
シルバークリークの近くの家。
町からかなり離れている。
アニー、看護士。
ポールの両足の複雑骨折も治療。
雪で病院に連れて行けないという設定。
(ホントは行ける)
アニーはポールのナンバーワンのファンだと主張。
**
出版エージェントのシンデルがポールの行方を探して
シルバークリークの保安官に通報。
あんまり活躍してくれなさそうな老保安官。。
**
アニー:
あなたがあのロッジに泊まっていることはみんな知ってた。
私は時々ロッジに行って窓の明かりを見ていたわ。
初稿を読ませて欲しいの。
ポール:
初稿を見せる人は決まってる。
編集者とエージェント。
そして命の恩人だ。
アリー、初稿を読み始める。
**
アニー:
文章はいいけど、言葉が下品だわ!
そんな汚い言葉を使うわけない!
と怒り出して、スープをベッドにこぼしてしまう。
アニー:
ごめんなさいポール。愛してるわ。
ポール、こいつやっべえな、、と窓の外を見る。
**
保安官もおじいちゃん。
保安官補佐もおばあちゃん。
2人は夫婦。
木が折れているのを発見。
雪の重みのせいか、腐っていたのか。
車の事故を疑い、周辺を捜査するが
事故現場は雪で隠されていて発見できない。
しかし一応新聞社に連絡に行こうとする。
そこにアニー。
「なぜ保安官が事故現場に?」
**
アニー、エージェントに連絡したとポールにウソをつく。
ポールの部屋に豚登場!
アニー:
ミザリーよ。会わせたかったの。
ポール:
可愛い豚だ。
アリー:
初稿を800ページ読んだわ。傑作という言葉では足りないわ。
**
アニーの夫は出て行った。
看護師の仕事に集中した。
そのとき『ミザリー』がアニーを救った。
**
アニー:
ミザリーを殺したわね!
ポール:
僕が殺したんじゃない。彼女は死んだんだ。
アリー:
お前が殺したんだ!
あんたもみんな嘘つきだ!
明日からは変わるからね。
ちなみに誰にも連絡はしていない。
私に何かあったらあんたも死ぬ。
**
ポールは脱走を試みるが、両足骨折してるし腕も折れてるし、全然無理。。
痛々しくて見てられない。。
なんとかドアまでたどり着いたが、ドアが開かない。。絶望。。
**
保安官と保安官補佐:
クレジットカードを使った形跡もない。
誰も彼を見てない。
**
アニー:
証言台に立たされた時も私は混乱した。
でも今は大丈夫。
神にこう言われたの
「彼に正しい道を示しない」と。
アニーの首には十字架のネックレス。
**
アニーは原稿を焼こうとする。
「辛いでしょうけど」
ポール:
辛くない。原稿のコピーがエージェントにある。もう出回ってる。
アニー:
じゃ焼いて。
マッチとライターオイルを渡す。
ポール、原稿を焼けない。
アニー:
24歳の時処女作が売れた。
そのときコピーはなかった。
それ以来縁起を担いでコピーは作らない。
11年前テレビで言ってたわね。
神様がお望みなのよ。
アニー、ライターオイルをポールのベッドにかける。
アニー:
私はあなたを助けてるの。
ポール、マッチに火をつけて、原稿を焼く。
アニー:
オーマイグッドネス!オーマイグッドネス!
カーテンにまで燃え移っちゃう。
水で消火。
アニー:
火事になるとこだったわ。
**
保安官、ヘリで捜索。
アニーの家の上を飛ぶ。
保安官:
65年型のムスタングはない。この先は家がないし、戻ろう
ヘリは行ってしまう。
それを見て落胆するポール。
**
アニー、テレビを見ながらスナックを食べてコーラを飲んでいる。
ポール、ベッドで食事。
アニーから与えられる薬を疑ってベッドに隠す。
**
アニー:
『ミザリーの生還』を書いて。
傑作を期待してるわ。
机とタイプライターを用意。
(nがないタイプライター)
ポール:
この紙じゃ文字が滲むんだ。
試し打ちする。
アリー:
ホントだ。滲むわ。
高い紙なのに。
作家先生に必要なものは?
来客用のスリッパ?
こんなに尽くしてるのに!
この紙じゃ書けないだと!?
と、紙の束をポールの足に殴りつける。
で、アニーは車で町へ買い物に。
**
ポール、床に落ちてるヘアピンを拾う。
ヘアピンでドアの鍵を開けようとする。
「小説では開くのに!」
開く。
「本当に開いた!」
電話をかけようとする。
が、電話はハリボテ。普段から電話ん使っていない。
ポール:
狂ってる……
夫の写真や思い出のアルバム。
そしてポールの本と写真。
自分のサイン。
が部屋に飾られてる。
ペンギンの置物を落としそうになり、元に戻す……
いつも飲まされてる薬を服に隠す。
車椅子を降りて這いながら勝手口から逃げようとするも、ドアが開かなくて無理。。
キッチンのナイフを見る。
そこにアニー、帰宅。
急いで車椅子に乗り部屋に戻る。
ヘアピンで鍵をかける。
ここのサスペンスすげえ。。。
アニー:
どうしたの?汗もすごいわ。。顔も赤い。
ポール:
痛いんだ!痛み止めをくれ!
お願いだ。
アニー:
そんなあなた、胸が痛むわ。
痛み止めの薬を飲ませる。
アリー:
私の癇癪は問題なの。
誰にも好かれない。
あなたもいやでしょう。
メモ帳とえんぴつを渡して
アニー:
構想を書いて!
アニー、投げキッス💋
**
保安官、ヘリからやっと事故車を発見。
ニュース番組。署長の会見。
署長:
彼は死亡したと見られる。
車から這い出たが雪に埋もれているだろう。
雪解けを待っても動物に死体を食べられる恐れが。
捜索しろよ。
てか雪が少ないのかもね。
実際はもっともっと雪深い設定なのかも。
保安官補佐:
彼は生きてると?
保安官:
とにかく署長たちの推理とは違う
**
ポール、メモ帳を小さな紙袋状に組み立てる。
そこにいつも渡されてる赤い薬の中身を入れていく。
**
ポール、タイプライターで小説を書き始める。
アニー、数枚読んでから
書き直して!
インチキよ!
ミザリーにインチキはダメ。
書き直させる。
**
ポールが書き直した『ミザリー』にアリーは感激!
めっちゃ感動する。
ポール:
今夜の食事は一緒にどう?君のおかげでミザリーは生還した。
**
保安官、ポールの本をいっぱい買ってくる。
**
オシャレしたアニー。
ダイニングで2人で豪華な食事。
ポール:
高級店より美味い。
乾杯しよう。ミザリーに。
グラスになみなみとワインを注ぐ。
アニー:
ミザリーに。
ポール:
待って。ロウソクはあるかな。
アニー、ロウソクを探しに行く。
ポール、その隙にアニーのグラスに薬を入れる。
アニー:
ポールとロウソクディナーができるなんて。
乾杯しようとしたら
アニーがロウソクを倒してしまって
あわててグラスも倒してしまう。
薬の入ったワインはこぼれ、ワインを注ぎ直し、乾杯。
アニー:
ミザリーに。
ポール:
ミザリー(惨めだ)…
(Miseryには惨めという意味が)
**
翌日からめっちゃ書くポール。
12章。
それを読むアニー。
カットバックで過去作を読む保安官の映像。
19章。35章…
ポールは書きながらも、重いタイプライターで筋トレをする。
嵐の夜。
アニー、元気がない。
アニー:
あなたが来たときわたしはあなたの作家の部分だけ愛していた。
いまはあなたすべてを愛してる。
でもあなたはわたしなんか愛さない。
あなたは洗練された才能豊かな有名人。
わたしはキレイでもないし何もない。
愛する人を失う気持ちなどわからないわよね。
ポール:
失う?
アニー:
本は完成する。
足も治る。
ポール:
ここが気に入ってる
アニー:
それはウソよ。
アニー、ポケットから銃を取り出す。
アニー:
いっそこれを使えば…。
弾を入れてくるわ。
アニー、車で外出する。
**
保安官
ミザリーの中の
〝人間の正義を超越した正義。わたしはそれに従います〟
という文章をメモる。
**
ポール、包丁を装備。
アニーの思い出のアルバムを開く。
そこにはポールの死亡記事の切り抜き。
他にも
銀行員カールが転落死の記事
看護師の優等生(女性)転落死の記事
アニー・ウィルクス、優等で卒業の記事
救急病棟の看護師長に昇進
小児科部長が急死
産科病棟に新看護師長
生後5週間の乳児、郡病院で死亡
軍病院で2人目の乳児死亡
看護師事情聴取される
豚の写真
乳児の死亡は看護師に
疑惑の看護師ついに逮捕
**
ベッドに戻るポール。
包丁をサッと出す練習。可笑しい。
アニーが帰宅。
ポールの部屋に入ってこない。
自分の部屋にそのまま入ってしまった。
包丁はベッドの下に隠す。
ポール:
朝まで待とう
ポールの作戦はいつも失敗する。。
**
深夜目を覚ますとアニーの顔。
雷に照らされる顔。
ポールに注射を打つ。
翌朝。
ポール、ベッドに縛り付けられている。
アニー:
ペンギンの置物は南向きに置いてるの。
部屋の外に出たのね。
ポール、包丁を探す。
アニー:
これを探してるの?
包丁を見せる。
アリー:
鍵(ヘアピン)を見つけたわ。アルバムも観たのね。
でかいカナヅチでポールの足を殴り折る。
ポール:
ギャア!!!!!
アリー:
愛してる
**
アニー、車で町へ。
他の車とぶつかりそうになり、口論に。
常軌を逸したアニーの言動を
保安官が見て、ん?と思う。
保安官、メモを持って図書館へ。
新聞記事を読み返す。
アニーの記事。
アニーの言葉「人間の正義を超越した正義。わたしはそれに従います」
アニーとポールが結びついた。
**
本屋。
保安官:
アニーはポールの新刊を買ったか?
本屋:
いつも予約して誰より先に買うさ
保安官:
他に彼女が最近買ったものは?
本屋:
特に何も。紙以外は。タイプ用紙。
保安官:
そりゃ何でもないな。
保安官、アニーの家へ向かう。
**
保安官の車がアニーの敷地内に入る。
それを見たアニー、ポールに注射。
ポールは地下室に隠される。
車椅子を折りたたむ。
保安官:
ポールを?
アニー:
心配だわ。ナンバーワンファンだもの。
保安官を家に入れる。
アニー:
ひざまづいて神に祈ったわ。
祈ってたら神の声が聞こえた。
後を継げと。
それでタイプライターを買ったの。
彼に似せてこの1ヶ月書いたわ。
でも難しい。
ココアでもいかが?
保安官:
ココアは結構。一人暮らしは寂しい?
アニー:
自分と付き合って初めて人と付き合えるのよ。
保安官:
なるほど。
保安官。他の部屋を捜索。
アニー、ココアを入れてきた。
絶対毒入りココア。
保安官。飲まずに家を出る。
外に出ると。ガシャーンという音。
ポールがバーベキューセットを倒した音。
保安官、家に入る。
ポール:
ここだ!
保安官、地下室のドアを開ける。
保安官:
ポール!
アニー、保安官を狙撃。
アニー:
わたしも死んで、あなたも死ぬの
愛してるわ
ポール:
愛してる
僕らは結ばれる運命だ
その前にミザリーを生き返らせる
アニー:
すぐ誰かがくるわ
ポール:
朝までに書き上げる
彼女を蘇らせよう
**
ポール:
そろそろ書き上げる。
儀式の用意を。
アニー:
もちろん知ってるわ。
普段吸わないタバコとマッチとドン・ペリグノン。
**
タバコとマッチとドンペリを持ってきたアニー。
ポール:
これじゃ足りない
今夜はグラスが2つだ
アニー:
オー、ポール❤️
アニー、グラスを取りに行く
その間に
書き上げた小説にライターオイルをかける。
マッチを握る。
アニー、戻ってくる。
ポール:
ミザリーの父親が本当は誰なのか
その父と出会えるのか
ミザリーとイアンは結ばれるのか
知りたいか
ポール、小説を燃やす
アニー:
やめてっ!
わたしのミザリーを。
火を消しに来たアニーをタイプライターで殴る。(普通これで死ぬ)
アニー、銃でポールの肩を撃つ。
ポール、アニーの目を潰して鼻を殴る。
アニーの口に小説の燃えかすを詰める。
反撃し起き上がったアニーの足を引っ掛けて転けさせる。
置いてあったタイプライターに頭を打って死んだ
……かと思ったら、アニー、ポールに馬乗り、
ポール、アニーの腕を噛む。
豚の鉄の置物でアニーの顔を殴る。
血だらけのアニー。
死亡。
**
一年半後。
編集者のシンデル:
文学賞の候補になるわ
ポール:
これは自分のために書いた。
アニーのおかげだ。
シンデル:
アニーの事件を書いたら?
ポール:
金と引き換えにまたあの恐怖を呼び起こせと?
給仕係が近づいてくる。
アニー。
アニーが怒りの表情で近づいてくる。
ポール:
今でも記憶がこびりついてる
給仕係はアニーではない。
ポールの幻影。
給仕係の女性:
私はナンバーワンファンです
ポール:
それはどうも…
おわり
映画『アルプススタンドのはしの方』
野球場のアルプススタンド(観客席)の端っこにいる〝冴えない〟4人の生徒たちの物語。
野球部の甲子園の応援に駆り出された演劇部員2人ともと野球部員と帰宅部。
***
この映画の冒頭では、
この生徒たち同様
「声だして応援したところで意味ないっしょ」
「応援とかダルいよね…」
という立場で僕も見始めていました。
もうそれからそれから、
脚本、演技、演出に見事に乗せられまして、
この映画の思うがままに最後は声出したくてたまらなかったです。
もう、ホントに素晴らしかった。。泣いた泣いた。。
矢野っっっっ!
****
この4人、はしっこだけど〝いる〟んですよ。
〝来た〟んですよ、バス乗って。
そして、友達の話聞いて、自分の心開いて、ぶつかり合ったんですよ。
〝はし〟だからって舐めんなよ。
そして実はこの4人は〝はし〟じゃないってこともわかってくる。
****
もうね、、、この映画の思うがままにされてしまったので、客観的なことが全然書けない。
感想が思い浮かばない。。。
こんなことないですよ。。
****
てことで、「俺もあそこにいたわ」と思い出したことを。
四コマ映画『アルプススタンドのはしの方』を観て思い出しだこと→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2571
20年以上前、この映画の撮影が行われた平塚球場に僕はいました。
吹奏楽部の野球応援で。
この映画で言うところの「アルプススタンドの真ん中」でホルン吹いてました。
吹奏楽部も夏は全国吹奏楽コンクールなんですよ。部の大イベント。
7月頭くらいから野球部の県内の予選が始まるし、同じ時期にコンクールの練習も佳境に入るんですよ。
だから、
「野球の応援行かずにコンクールの練習に集中するか」「野球応援も行くか」で多数決を取るんです。
正直、うちの吹奏楽部は県大会にも行けないレベルだったので、大体の部員は野球応援行きたいんです。
(もちろんコンクールの練習はするし、コンクールも出るんですよ。)
3年生は「最後のコンクール!」ってことで一回くらいは金賞取りたい!っつって、
「今年は応援行かずにコンクール練習に集中しよう!」って言う圧をかけて来ます。
でもま多数決で野球応援行くことになるんです。
すると泣くんです、3年が。
アンタらも去年は野球応援行きたい派だったろと思うわけですが。
***
野球応援の当日。土曜か日曜。
学校は吹奏楽部のためにバスなんか出してくれませんからね。
確か電車代とかも自腹だったと思います。
重い楽器を持って電車乗ってバスも乗ったりして、炎天下の中、球場へ。
親に作ってもらった弁当とか持っていって。
県内の予選ですからそんなにお客さんもおらず、
野球部の親兄弟や野球部のOBとかくらいがスタンドにいる感じ。
あとは野球部の補欠組が応援団を組んで、学ラン着て頑張って応援します。
***
球場ってのは風が強いんですよね。
楽譜が飛ぶんです。なので洗濯バサミで楽譜を固定します。
あ、そういえば映画の中では譜面台使ってなかったですね。
全部暗譜してたんですかね。
相当優秀な吹奏楽部ですね!
だから予告編で「ヒエラルキートップの吹奏楽部」って言うテロップ入ってたのか。
吹奏楽部がヒエラルキートップだって思ったことは一度もないし、そんな事実も多分ないと思っていたけど、学校によってはそうなのかな。
***
あと映画内では吹奏楽部の部長が「ちょっと音高いから気を付けて」って他の部員に注意してましたけど、野球応援でピッチに気にしますかね。。
ちょっと全体的には吹奏楽部のリアリティがないように感じました。
吹奏楽部の描写は映画版から大きく追加された要素のようですし、ちょっと手が行き届かなかったのかな。
吹奏楽部にリアリティを感じなかったので4.5になりました。
もし「私の部活では野球応援でもピッチ気にしてました」って言う人が出てきたら5にします。
***
で、野球部自体もそんなに強かったわけでもないし、神奈川県は野球強いですから、甲子園なんて行けないわけです。
県のベスト8に入れば素晴らしいって感じだったと思います。
つまりは負けるわけです。
泣いちゃうんですよね。。
自分は全然野球やってないんですけど、勝てば嬉しいし、負けると泣いちゃう。
野球部員も泣いてるから、「あ〜本気だったんだなあ」と思って泣ける。
そんな、アルプススタンドの風や日射や空気を思い出しました。
***
で、吹奏楽部は文化部ですから、文化祭で演奏会があリました。体育館にて。
そこに「応援のお礼として」野球部が聴きにくるんですよ。
これが嫌で嫌で。。。
もうね、義務なんです。ずっとそうやってきたんだろうし、監督に言われて「めんどくセー」ってな感じで野球部が最前列にブワーっと座ってんすよ。
「早くおわんねーかなー」みたいな空気を隠さずに。
マジで来んなよと思ってました。
しかも「来年の応援は軽音(学部)がいいわ〜、キャハハッ!」って笑いながら帰っていったんですよ、あいつらは。あ〜も〜腹立つ。
****
だから
あすはの言う「野球部って偉そうじゃない?」って言うのに同意しましたよ!
てかあれがギャグとして成立するってことは他の学校でも野球部って偉そうなんですね。
野球部がそんな感じだって知った後も応援したんですよ、俺らは。
『アルプススタンドのはしの方』観ても、やっぱ声出しそうになるほどに応援したくなったんですよ。
腹立つけど応援すんだよ!お前らをよ!
四コマ映画『アルプススタンドのはしの方』を観て思い出しだこと→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2571