映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

『プリシラ』(2023)コッポラの方の、しかもソフィアの方の

2024-09-30 | 映画感想

プリシラ(2023年製作の映画)Priscilla
上映日:2024年04月12日
製作国:アメリカ イタリア
監督 ソフィア・コッポラ
脚本 ソフィア・コッポラ
原作 プリシラ・プレスリー
出演者 ケイリー・スピーニー ジェイコブ・エロルディ




ドラァグクイーンが一向に出てこない。。

早稲田松竹で『プリシラ』やってるとのこと。
観たことなかったので勢いで行ってみたらエルヴィス・プレスリー出てきた!ソフィア・コッポラの『プリシラ』(2023)だった。びっっくりした!

最初のシーンで、濃いアイラインを引いて高いヒールでカッコよく歩いてたから僕が見ようとしてた『プリシラ』っぽ買ったんだけど、そっからずっと地味で。。

20分くらいどうやってあの『プリシラ』になっていくんだろうと思いながら観ちゃいましたよ。

さすがに「私ホントにプレスリーと付き合ってるのっ
!?」みたいなことを繰り返し始めたとこで諦めましたよ。

でも結構面白かったよ、地獄で。。。

**

プレスリーの半生をひたすら妻のプリシラから描く。

カメラは妻に張り付いているので
妻がいない時のプレスリーの様子は映されてなかったんじゃないかな?

プレスリーがどういう音楽のバックボーンがあって
どうやってスターになって
大ヒット曲連発してどうなっていくのかはほぼ描かれない。
妻と一緒にいるプレスリーの変化から読み取れる程度。

**

当時のアメリカの裕福な家庭では〝奥さん〟はやることがない。
同時期を描いた『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』でも同様でしたね。
家事・育児は黒人女性に任せて自分たちはカードゲームのみでした。

この映画でも
プレスリーがいるときはプレスリーの相手をして
プレスリーがツアーや映画撮影でいないときはやることがない。。

**

さらに、
大スターであるプレスリーによる支配が恐ろしい。

めちゃくちゃ絵になるようなDVが連発するわけじゃないのが恐ろしい。。
ありがちな有害な男性性の発露くらいにしか扱われないそうで困る。。
スターのストレスを包み込む〝内助の功〟って感じがしてしまう。

もっっとあからさまに酷けりゃ「早く逃げろおおお!」って言えるんだけど。

**

〝この程度〟と思っちゃってる僕もヤバいんですが、、
この程度のヤバさでも十分「逃げろぉぉぉ」レベルになんなきゃいけないし
逃げられる状況でなきゃいけないよね。



映画『チャイコフスキーの妻』 やりたい放題素晴らしい 

2024-09-22 | 映画感想
チャイコフスキーの妻(2022年製作の映画) Zhena Chaikovskogo/Tchaikovsky's Wife
上映日:2024年09月06日
製作国:ロシアフランス
上映時間:143分
監督 キリル・セレブレンニコフ
脚本 キリル・セレブレンニコフ
出演者 アリョーナ・ミハイロワ  オーディン・ランド・ビロン



ここまでやりたい放題の映画久々に観ました。
もちろんハイレベルで。

映像も演技も音楽もずっと素晴らしい。
10回くらい行われた長回しがなんとも素晴らしかった。
長回ししてる間に朝になったり季節が変わっていたり、全裸だったのに次映った時には服着てたり。

**

ラストシーンは良い意味でポカーン。
やりたい放題過ぎてすごい。
調べるとほんとにこの妻はこういう感じの人だったようですね。
彼女の世界観をこういう感じで映像化したんですね。

**

同性愛が禁忌であり女性の社会的地位が著しく低かった19世紀のロシアを背景にして、
ねじれにねじれた愛の激情が描かれるわけですが、
そもそもチャイコフスキーさんがのびのびとゲイライフをオープンに楽しめていたならこんかことにはならんかったんよね。

チャイコフスキーにやりたい放題させてあげらる世の中であればよかったのに。

映画『村の秘密』ラストネタバレあり ムラ社会に溶け込むか脱出するか  

2024-09-02 | ネタバレあり

村の秘密(2015年製作の映画)Wenn du wüsstest, wie schön es hier ist
製作国:オーストリア
監督 アンドレアス・プロハスカ
出演者 ゲアハート・リーブマン ジーモン・ハッツル




「村人は僕の友達だ!」
「全員が?」

原題は『Wenn du wusstest, wie schon es hier ist. 』。
「ここがどんなところなのか知っていたら。」の意味。

YOLOは人生は一度きりの意味。若者の間で。

****

田舎の風景もいいし、家や内装もかわいい。
映像はかなり凝っていて素晴らしいと思う。
狂言回しのハネスのキャラもいいし、主人公としての魅力と求心力もあると思う。
ただ人物が多くて覚えられないし、、
ラストで語られる事件の真相もほぼセリフなのでなかなか全容が掴みづらい。
それがこの低評価の理由かと。

****

村でいじめられて育ったハネスは(おそらくとても頑張って)警察官になった。

好人物だが気弱でドジなハネス。
村の有力者で若く美しい女性バーバラ・プラントルが穴に落ち死亡。
ハネスは事故死とすぐに結論を出したが
隣国の警部がこれは事件だとし、捜索を始める。
(オーストリアの田舎の村の話。隣国ってことはドイツから警部が来たの?ドイツとオーストリアってそういう関係?)
警部に付き添って村人を調べ続ける中でハネスは村人から村八分にされる。
さて、捜査はどうなる。犯人は?




ネタバレは以下に。


バーバラ・プラントルは施設の若い男スラティーと付き合ってた。
村の有力者の娘として施設にいる男と付き合うのは許されないから。
 それを隠すために医者の息子ルイスと付き合ってることにしてた。 
バーバラが祭りの花嫁に選ばれた日、母は頭痛がするってことで先に帰った(ルイスと会っていた)。

父(プラントル)は祭の途中でスマホをチェック(バーバラからバーバラとチャーリーとのカーセックス動画が送られた)。

チャーリーとプラントルは近くの席にいた。
チャーリーはプラントルの秘書。
 チャーリーはプラントルを利用して村を出ようとしている。
 森の中にあるトニ・マレの小屋。
トニはいつも女性を小屋に呼んで酒を飲んでいた。
トニは酒場の店主。
 トニの小屋にバーバラのパスポートが残されていた。
 メリの証言「私とバーバラはトニの小屋に行っていない。 祭りの花嫁は私がなりたかったのにバーバラが父親の力で花嫁になった。私が花嫁になりたがっていたのを彼女は知っていたのに!」 
バーバラと付き合っているという設定のルイスが自殺未遂。 しかしルイスの自殺未遂の理由は他の女性(レナテ)に振られたから。
 レナテ・プラントル。バーバラの母。 
トニの小屋でチャーリーとプラントル氏がセックス。
チャーリーはプラント氏に迫られ関係を持った。
 それをバーバラとメリが見ていた。 
 父親の弱点を掴んだバーバラはチャーリーを脅して 車の中でバーバラとチャーリーがセックス。
それを撮影し、父プラントル氏にその動画を送った。
 祭りの夜、バーバラとプラントル氏が口論。
 プラントル氏が殴るとバーバラ死亡。その後バーバラを穴に落としたのだろう。 
プラントル氏、妻レトナに自供。
自主するため?に外に出るとちょうど警部とハネス。

ハネスは旅に出る。
カートさんに挨拶。
カートさんとキス。
カートさんは施設長。
そのキスを見て、施設の若者たちが拍手。
チャーリーは旅に出るハネスに声をかけられない。
おわり