映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

名作!映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』12月31日の21時47分に再生ボタン押すと最高のニューイヤーとなるでしょう

2024-12-30 | 映画感想
2時間13分目にハッピーニューイヤーのシーンが来るから
12月31日の21時47分に再生ボタン押すと最高のニューイヤーとなるでしょう。


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ここまで素晴らしいとは予想してなかったです。
大好き。
素晴らしい。
 
全然テーマは違うけど『ラースと、その彼女』の雰囲気がある。
あとサンドラ・ブロックの『あなたが寝てる間に…』とかね。


アメリカの地方都市の冬ってなんかいいよね。


こういうサイズ感の良い映画って本当に良い。


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帰る場所がなくて寄宿学校に取り残された学生の面倒をみるために
教師と料理長も学校に残ることになり
2週間くらい?の3人だけの生活が始まった、と。


とくに仲がいいわけでもなく
お互いのことを表面的にしか知らなかった。


のが、お互いを知っていって
相手を温かい目で見ることができ
自分を温かく見つめる目があることに気づき
「自分、大丈夫」と自分自身に思ってあげることができるようになる。


↑めっちゃくちゃ王道の物語なんだけど
まだまだやれることはたくさんあるってことだね。


ここまでの素晴らしい映画が今でも作ることができるという衝撃!



映画『ひろしま』第5回ベルリン国際映画祭長編映画賞受賞作 原爆投下8年後に製作

2024-12-18 | 映画イラスト

ひろしま(1953年製作の映画)製作国:日本上映
監督 関川秀雄
脚本 八木保太郎
出演者 岡田英次 原保美 加藤嘉 山田五十鈴 月丘夢路


◼️四コマ映画『ひろしま』
https://note.com/fukuihiroshi/n/n8b86bd99f115












◼️以下リンクから『ひろしま』を観ることができます

https://inoue-tsukioka.com/inoue-tsukioka-movie/hiroshima/
(一般財団法人 井上・月丘映画財団)

『ひろしま』に出演している月丘夢路氏の井上・月丘映画財団のサイトで『ひろしま』視聴ページが公開されています。

ぜひ!今!がんばって観ましょう!

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「昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、
そうした国民の中の感情に隠れて、
また誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」

by ご先祖様

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『オッペンハイマー』では広島の原爆投下の惨劇の描写がないorとても少なかったですね。

それには制作意図があって、それに納得する人もいれば、批判もあるとのこと。
もしも原爆の本当の恐ろしさが描かれていなくてその必要があるのであれば、それを補う映画を観ることで解消されるかもしれないし、
原爆を恐ろしさを知れ!と指を刺すのであれば、その指を自分に向けて「俺は知ってんのか」と問うことも大事かと。

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てことで、映画『ひろしま』観ました。

「原爆投下から7年後(1952年)の広島で映画制作が決定。翌年に撮影開始。

原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、
百数カットに及ぶ撮影を費やして、
克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現した。
そして被爆者たちのその後の苦しみを描いた。」

(wikipediaより引用)

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この映画の存在は知っていましたが、観たら死ぬんじゃないかと思って手を出せずにいました。。


歳を取るのはいいこともあって、観たら死ぬ(ほどの衝撃を受ける)んじゃないかと思った映画を観ても今まで実際死ななかったという経験を経て、映画『ひろしま』観ました。
何がハードル高いって、メインビジュアルよ。。。



この衝撃。。
「感動とかに消費させねーからな!」という気迫の一枚。
それだけ説得力があるのには理由がありました。

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「同じ原作を元にした作品として新藤兼人監督・脚本の『原爆の子』がある。
当初、日教組と新藤の協力で映画制作が検討されたが、新藤の脚本は原作をドラマ風にかきかえてしまっていて原爆の真実の姿が伝わらないという理由で、日教組が反発。
結局両者は決裂し、別々に映画を制作した」

(wikipediaより引用)

新藤監督『原爆の子』を観ていないのでアレですが、実際に原爆を体験した方々が納得できるものではなかったんですね。

で、
「原爆投下を直接経験した者も少なくない広島市の中学・高校生、教職員、一般市民等
約8万8500人が手弁当のエキストラとして参加し、
逃げまどう被爆者の群集シーンに迫力を醸し出し」
た、とのこと。

撮影場所は、広島市内外で24ヶ所、シークエンスは168に達した、と。
本気さが尋常の度合いではない。

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◼️映画表現として優れている傑作

「映画表現として優れている傑作」なんていう上から目線の客観的な評価をするのは大変おこがましすぎて苦しいんですが、
事実映画として素晴らしい出来だし、
この事実を知ったことでこの映画を観る人が増えるならば。。

けしてただただ原爆の悲惨さを資料的に描写しているだけではなく、
一人一人に爆撃を受ける前の人生があり
爆撃を受けた人にもそれぞれ名前があり、その名前を子供につけた親がおり、その子の名前を呼ぶ親の声があり、親を呼ぶ子の声があり、
それらがとても手際よく結構なスピードで描かれていきます。

戦中の軍部、そして敗戦から数年経って変わってしまった社会に対しての批判もあり、社会派の側面もあります。
しかも詩的であり、尚且つ臭くもない。
これがものすごく素晴らしい点。

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◼️3部構成

3部構成になってまして
1部は現代パート(当時)、
2部は1945年8月6日とそれ以降、
3部はまた現代パートに戻るという構成。


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◼️第1部 敗戦から数年後の高校

防空壕にいたりして直接爆撃を受けなかったが、その後の黒い雨などで被曝して、何年後かに原爆症と呼ばれた病気が発症する学生が多く出た。

そうかなるほどと思ったのは、
当時はテレビもないし、日本中が敗戦の焼け野原だった時に、原爆についてそもそも日本人がよく知らされていなかったんですね。
それは広島県内であっても。

***

河野(高校生)「いつ原爆症に命を取られるかと思って毎日ビクビクして生きてるんだ。
そんなことをいえば君たちはすぐ「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」

教師「白状するがこの間ラジオで『0 (ゼロ) の暁』を聞いた後で、大場(女子生徒)があんなことになるまでは、原爆がここまで根深くみんなの体に食い込んでるとは知らなかったんだ。
原爆症のことは噂には聞いていた。
でもそんな人はアメリカのABCCが治療してくれていると思っていた。
ところが診察だけで治療はしていないということも2、3日前に知った程度なんだ。
広島に来て原爆のことを勉強しなかったっていうのは全く僕自身の怠慢で、その点諸君にはすまないと思う。」

※0 (ゼロ) の暁(https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA46838624

河野「先生だけじゃないんです。広島市民の大部分の人たちが知らないんです。
今新聞なんかでは、原爆と平和問題を結びつけて盛んに世界の人たちに呼びかけていますが、
僕は原爆の恐ろしさとあの非人道的なことを世界の人たちに叫ぶ前に、
まず日本人にわかってもらいたいんです。
いえ、それよりか広島の人たちに知ってもらいたい。」

河野「多くの人たちは醜いケロイドを隠して、まるで自分が悪いことでもしたように、こそこそと日陰で生活をしていたり、ケロイドを手拭いで包んで、道路工事の人夫になって働いていたりするのです」

***

びっっくくりするのは「「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」ですね。。


現代日本でもいろんなトラウマや病気や被差別属性を持った人々に対して「鼻にかけてる」「甘えてる」という誹謗中傷する声はありますけど、、敗戦7年後でもこういう声があったとは。。

こういうことがあったのか、というのは映画を観るまでは考えてもみなかったことです。
この映画を作ってくれたから知れたし、
この映画が傑作だからこそ今まで残ってこれたし、
映画を観ることで知れるくらいのことは映画を観て知らなきゃな、と改めて思いました。

***

◼️第2部 原爆投下

そして1945年。
夜中、空襲警報が鳴りそのまま解除されることなく一睡もできずに朝を迎える様子。
子供たちも日本軍か憲兵たちに厳しく指導、訓練、作業させられている。
戦中の厳しさはあるものの、全体的には田舎のちょっとほのぼのした描写も見られる。

そして朝8時15分。画面は一瞬真っ白に。
そこから18分に及ぶ、原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、百数カットに及ぶ撮影を費やして、克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現された映像が続く。

百数カットなんですね。確かにすごいカット数。
18分で百数カットって普通ありえないですよね。。
それくらいすごい速さで原爆投下直後の様子をバンバンあらゆる事象を描いていく。

エキストラ約8万8500人の迫力がここでも。
人数がものすごい。
なんの誤魔化しもない。
圧巻なんですよ。

「原爆ってこういうことだぞ」というのを我々子孫に懸命に伝えようとした方々からの財産ですよ。
校舎が崩れて下敷きになって動けなくなった小学生3年生くらいの生徒たち。
教師も同じく下敷きになっているものの、生存していて声が出せる。

教師「声が出る者は名前を言え」と点呼をとる。
すると生徒たちが苦しそうに一人一人自分の名前を挙げていく。
キノコ雲の下には名もなき群衆があったのではなく、
一人一人名前があり
その名前は多くは親が希望を持って自分の子供につけた名前であり
それを瀕死の子供たちが自分の声で名乗っていく。

***

科学者は「原爆の被害を受けたと公表しましょう」というけど
日本軍は「戦争遂行に不利になる」ということで公表に反対。
「戦争に不利になる言動は断じて許されない。」
こういう情報統制も現代日本で何度も起きてることだし、、もうほんとに。。


****

◼️第3部 現代パート(1955年)

子供の頃、原爆の被害を受けて孤児となった遠藤。
8年経ち、親戚の工場で働き始めるものの
その工場が大砲の弾を作り始めたことで遠藤は工場を辞める。
観光で宮島に来た外国人観光客にある物を売ろうとしていた時に警察に捕まり事情聴取を受ける。

遠藤「僕が勤めてる工場がまた大砲の弾を作り始めたんです。僕はそんなもの作りたくなかったんです。
戦争はまた始まるんですか!
戦争が始まれば、今度は僕たちが戦地に引っ張り出されます!
そしてなんの恨みもない人間どうしで殺し合いをさせられるんです!
またなんの罪もない人たちが、
原爆で、
皆この通りになるんです!
昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、そうした国民の中の感情に隠れてまた誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」


***

◼️ラストの行進

涙無しでは観れないんですよ、ラストの大行進。
1955年の広島市民の2万人くらいいるのでは?という大行進のシーン。

そして、命を落としたシーンを演じた俳優たちもむくっと立ち上がり肩を組んで歩き始めます。
その役の人物なのか、俳優そのものなのかがわからない。

この映画に出るということの相当な覚悟や信念があったはずなんです。
原爆で亡くなった方、苦しんだ方、苦しんでいる方の思いを自分の体に全部詰め込んで、行進している姿が胸に刺さります。

誰も何も言葉は発しないんですが、何を伝えようとしているのかはどんな言葉より伝わる。

『オッペンハイマー』に原爆の描写が足りないというのであれば
この映画観ればいいんです。観る人が増えればいいんです。



中山美穂主演 映画『Love Letter』渡部博子は出てこない予定だった?

2024-12-13 | 映画感想

Love Letter(1995年製作の映画)
上映日:1995年03月25日
製作国:日本上
映時間:117分
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
出演者 中山美穂 豊川悦司 酒井美紀樹 范文雀 中村久美 加賀まりこ 柏原崇樹 

そういえば観ていなかったので拝見しました。

**

95年の映画ですね。
90年代の日本映画界は今と違って洋高邦低。
洋画が強くて邦画は弱い状態。
ジブリとかゴジラとかガメラとか『息子』とか『シコふんじゃった。』とか『学校』『居酒屋ゆうれい』とかの時代。



とくに2〜30代あたりの若者に刺さるような邦画ってほとんどなかった。
そんな中で岩井俊二のオシャレさに当時の若者にヒットしたのは想像できる。
ずっと夢見てるような柔らかな照明と
こんな喋り方の人間いるかな?というセリフ回しなど、、
全体的に浮世離れしていて
わざわざ映画館で日本の俳優を見に行く付加価値を感じさせる映像世界なんだと思う。

**

そして、中山美穂の強烈な魅力。

14歳のドラマデビューから注目されて
ずっっっと歌も主演ドラマも大ヒット連発。
95年当時は芸歴も長いし押しも押されもせぬ大スターのはずなのに、
この映画では嘘だろっていうくらいに瑞々しい。初々しい。不思議っ!

正直、〝映画〟というものにピタリとハマっている感じはあまりしないですかね。
その所在なさげな存在感がこの映画に大量の魅力を注ぎ込んでいるんだと思います。

このような映画が一本でもあるってことは芸能人生としては素晴らしいものなのではないかと、観客の1人としては思いました。

***

サムソン高橋氏が出てきた!と思ったら篠原勝之氏でした。



映画『彼らは生きていた』兵士たちの膨大なインタビューとカラー化した戦場の映像!ピーター・ジャクソン監督作

2024-12-08 | 映画イラスト
上映日:2020年01月25日

第一次世界大戦の終戦から 100 年を迎え、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と、帝国戦争博物館の共同制作で、帝国戦争博物館に保存されている記録映像を再構築することで誕生したドキュメンタリー映画。

監督ピーター・ジャクソン




第一次世界大戦のモノクロの記録映像を修正、着彩、3D化。
兵士一人一人の表情まで伝わる精細な映像と退役軍人たちの膨大なインタビューで戦争の静かな始まりと地獄の西部戦線、そして、帰還兵への市民の冷遇が描かれる。

「兵士たちはカラーで戦争を目撃していた。白黒ではなかった。」

命令されるのはイヤじゃなかった考える必要がないからだ。

入隊せずに町で暮らしていると、「なぜ入隊しないの?」と聞かれる。そして、臆病者を表す白い羽を振られる。

訓練開始。ただの一般市民を軍人に変える訓練。

最初の数日は楽しかったが、その後は地獄だった。これは戦争だ。

六週間の訓練を終えると「明日から海外派兵だ」と突然言われた行き先は知らない。

帰ってこられないだろうと思っていた。

西部戦線の塹壕戦鉄条網に引っかかっている死体の数々。

ある時、話していた仲間の頭が吹き飛んだ。

あの匂いは忘れられない。ネズミの腐ったのよりも何百倍も臭い。食べ物まで匂いが染み込んだ。散らばっている死体にも慣れ、どうせ次は自分だと思っていた。ネズミは丸々と太っていた。理由は明らかだ。

倒れた仲間に目もくれず進んだ。手に痛みを感じて手を見たら、穴があいていた。

ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年でかわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ

戦場に抱いていた憧れは消え去った。

「塹壕を出て突撃」との命令が下る。戻ったら撃つと軍曹に言われた逆らえるものはいない。

左腕と左足を吹き飛ばされた仲間が左目が飛び出た状態で祖母の名を叫んでいた。楽にしてやろうと彼を撃った撃。つしかなかった。辛かった。

投降してきた者も殺した。虐殺は何時間も続いた。

勝ち負けはどうでもよかった。

医者に大丈夫かと聞かれたから、はいと答えると後頭部を撃たれていると言われた。

ほとんどのドイツ兵には復讐心はなかった。大抵は好人物のドイツ人だった。彼らは礼儀正しい家庭人で子供思いだった。ドイツ人と意気投合した。「この戦争は無意味だ」と。ドイツ人は戦争にうんざりしていた。誰もがやめたがっていた。

終戦が発表された。発表時、喝采などなかった。

家に帰って、入隊後初めてベッドで眠った。翌朝、私を起こしにきた母が見たのは床で眠る私だった。

友人が戦死した。彼の母を訪ねると、敵意むき出しだった。私だけ生き残ったからだ。

帰還兵への風あたりは強い。「帰還兵は応募不可」という求人もあった。

皆、戦争に無関心だった。両親は何も言わなかった。感謝の言葉もなかった。たまに父と戦争の話をすると反論してきた。現実を知らないのに。

戦争を避ける努力をすべき。正当化できる理由はない。

理解の範疇を超えていたのだろう。昔のサッカー仲間が横で殺される気持ちを理解できるわけがない。

誰も英雄じゃない。殺されるのは嫌だ。

戦争は恐ろしい。意味のないものだと歴史が裁定するだろう。

仕事に復帰して唯一頭にきたことがあるこう聞かれた。

「ずっと、どこに行ってたんだ?」








ドキュメンタリー『大麻と金と宗教~レバノンの“ ドラッグ王 ”を追う~』「そんなこと誰ができる?農家にはできない。じゃぁ誰が?」

2024-12-01 | 映画感想
大麻と金と宗教~レバノンの“ ドラッグ王 ”を追う~(2021年製作の映画)
 製作国:レバノン
上映時間:56分 
青々と茂る、腰の丈ほどもある大麻草。
延々と続く畑は、端がかすむほど広大だ。
中東の小国レバノン。
東部にある標高1000メートルの高原では、いたるところに大麻畑が広がる。
全て違法だ。
多くの密売人たちが豪邸を構える村に、カメラが潜入した。
取材を進める我々に対して、目を光らせるのが、イスラム教シーア組織ヒズボラだ。
軍事部門を所有するため欧米からはテロ組織として敵対視されるが、れっきとした政治政党でもあり、レバノンの国政にも深く関わっている。
レバノンの政治システムは複雑だ。
イスラム教とキリスト教を含む18の宗教・宗派別に、建前上は権力が分散されている。
しかし水面下では、政権内でより多くの利権を得るため、宗教・宗派同士で常に駆け引きが行われている。
ヒズボラと対立するキリスト教の国会議員に、質問をぶつけた。
「多くの大麻畑をヒズボラの村で目撃した。あまりにあからさまだ。ヒズボラは、闇の大麻ビジネスで利権を得ているのではないか」
僅かに笑みを浮かべたあと、議員は口を開いた。
「ヒズボラの村に行ったのでしょう?でしたら、あなたはもう答えを知っているはずです」
監督 須賀川拓 



『アフガン・ドラッグトレイル』(2023)、『戦場記者』(2022)の須賀川拓監督の2021年の作品。

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一応映画として発表されてるのかな?
55分だしニュース映像のたっぷり版という印象。

編集は映画畑の人にやってもらって欲しいんですよ。。
取材はすごい、インタビューもすごい、トータルとしての作品の威力もすごい。
ただ〝映画〟として発表するにはちょっと映画感が足りないのがもったいない。

低予算であろうことは想像できますが、
〝映画〟になることで作品の寿命が伸びるし、観る層が広がるとは思うので、
映画にしていくことは諦めないで欲しいので
一回、編集を映画のプロに頼んでみては!!

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レバノンの複雑な社会背景がほとんどナレーションの説明だったので難しかったです。

政治家や学者などいろんな視点で語られて、誰が真実を言ってるのか!!のが面白いとこではあるんだけど、結局正直ハッキリとはしないので、、きっとそういう感じなんだろうなくらいにしか思えず、、難しい。。

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ただ普通のニュース番組の中での放送だったら切り落とされているであろうシーンがたくさん入っていたので
現場の空気感とか多種多様な人の多種多様な語りが聞けてとても深みを感じました。

大麻畑のオーナーが嬉々として大麻畑の撮影を快諾して家に招いてバンバン喋る様子に驚いた。

ドラッグ王の家を探していると近所の住人が「あっちだよ」とカメラが回ってのにサラサラ答えるのも不思議。

そして村長?がドラッグ王の家まで取材班を案内するという謎の展開。

家っていうか町ですか?ていう豪邸の中にもカメラは何故かすんなり入って、ドラッグ王の背中を撮影することに成功!

安全は担保しているとは言え何が起きても不思議ではない状況なのに
ヌルヌルとサラサラとカメラが入っていくのが痛快でもあり、やはり不気味。。

逆にいうと、これくらいの取材では何も揺るぎもしないしヒビも入らないくらいに、強固な社会システムになっちゃってるんでしょうね、、大麻ビジネスが。。

難民問題とも絡んで、
貧しい人が生きるために大麻栽培をしてそれで富裕層が儲ける。

「大麻を輸出するには船も飛行機も必要。そんなこと誰ができる?農家にはできない。じゃぁ誰が?」by大麻農家

ドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)オシャレだしカッコいいしかわいい

2024-12-01 | 映画感想
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)
 Knockin' on Heaven's Door  
上映日:1999年10月23日
製作国:ドイツ
上映時間:90分
  監督 トーマス・ヤーン 
脚本 トーマス・ヤーン  ティル・シュヴァイガー 
出演者 ティル・シュヴァイガー  ヤン・ヨーゼフ・リーファース




90年代のドイツ映画。
国内で火がつき世界的なヒットへ。
日本でもミニシアターで大ヒット。

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もっと渋いノワール的な映画かと思ったら
結構ライトなコメディアクション。

余命モノではあるけど、もはや余命モノに重さは感じなくなってるし。。

話もめちゃくちゃ。
ただ、オシャレだしカッコいいしかわいい。
4Kリバイバル上映とかやれば人気出そう。

終盤の娼館のシーンは現代ではだいぶひく。