映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

ゲイ映画『老ナルキソス』やさしく、あたたかく、いとおしいもの すべてに 

2023-05-29 | 映画感想
老ナルキソス 上映日:2023年05月20日製作国:日本 上映時間:110分
監督 東海林毅
脚本 東海林毅
出演者 田村泰二郎 水石亜飛夢 寺山武志 日出郎 モロ師岡 津田寛治 田中理来 千葉雅子 村井國夫




ダムの放流みたいな映画(褒めてます)。

やっと
これだけテーマをたくさんモリモリに盛り込んで、
しかも混乱もしないで、
しかも映像素晴らしく、
しかも音楽素晴らしく、
しかもお芝居素晴らしく、
「死ぬのかな」っていう奇跡的な名場面もあって、
しかもちょっとイジってる(ですよね?)映画爆誕!

やっとだぜ、マジで。

グングン進みつつ、そのスピードに振り落とされたモノ・ヒトをも掬って描いて撮って残してって欲しいです。
よろしくお願いいたします。

***

LGBTという言葉もなかった時代に生まれ育って
ホモだオカマだと笑われ、

日陰者として生きることが王道だった当事者たちは、
「何故自分はこんなにバカにされ我慢して隠れていなきゃいけないのか」という疑問に対して
「間違った存在なんだから仕方ない」と答えを決めて
諦めながら生きることを選んだ人は多かったんだと思います。

そういうもんだとみんなが思っていた時代だっただろうし
「は?ふざけんな!権利を!」と戦える人は今よりももっっっと少なかったことでしょう。

また、自分が我慢したり諦めたり二重生活を送ってきた当事者が
他人や下の世代にもそれを強いてしまうっていうのも、想像に難くない。

そうやって生きるしかなかったかどうかはわからないけど
そうやって生きてきた多くの人が今は年老いていて、

同性婚が認められる国が増え、
国内でも同性パートナーシップ制度を施行する自治体が増え、
アライ(ALLY)の人たちも増えて大きく変化した世の中で、

全然ついていけず振り落とされてしまう当事者にも、この映画は優しい。
(長々と失礼しました。。↑この一文が言いたかった!)

***

世の中をどんどん進化させて、生きづらさを感じる人が減ることはもちろん大事だけど

そこから振り落とされてしまう人たちを
単純に「恐竜」だの「時代遅れ」だのとそれこそ嘲笑しちゃうのもちょっと違うような気がしていて。

政治やアクティビズムの舞台ではそれくらいの勢いがものを言う場面もあるとは思うので否定はしないけど、
映画はもっと温かく優しいものであって欲しいと思う。

映画には、「権利権利うるせーなぁ」って言っちゃうゲイ当事者にさえ優しく手を差し伸べるものもあって欲しいなと思う。

この『老ナルキソス』にはその優しさ、温かさもあると思う。
(長々失礼しました。。↑この一文が言いたかった!)

***

80年代には日本にもHIV/AIDSの脅威が襲っていて
風評被害による激烈な差別行為を一般からもマスコミから受ける中で
友達がHIVで亡くなっていくし
HIVで亡くなったということも言えない時代だった。


そういうことがあったということをスルーせずに、
この映画では掬い上げいている。


時代の流れに振り落とされたり、忘れられて、なかったことにされそうなコトをちゃんと拾い上げていた。


***


芝居がいい

こういう映画の美男子役ってとにかくルックスだけ良くて(しかもルックスも?って場合もあるし…)芝居が大根すぎるってケースが多かったように思いますが、否っ!

水石亜飛夢がまだ若いんですけど、舞台やら映画やらドラマやらとんでもない量出ていて、、すごい奥行きのある人物像になっていました。
水石亜飛夢の功績が一番大きいと思う。

主演の田村泰二郎は、唐十郎の状況劇場出身の方で舞踏もやられている色々別格の存在感を持った方。
主役としての存在感がすごい。
荒れ狂うように展開していくこの映画の真ん中で、日本のどこかに実際にいるであろう誰かとして存在していたのがすごかった。。

***

音楽もいい

井関真人のシャンソンが劇中とエンドロールで流れるんですけど、、その本物感に圧倒されました
。。
シャンソンについては全然知らないしどう楽しむものなのかもわからないんですけど、
歌を聴いているだけなのに(?)劇中劇を見ているかのように歌の中の物語がグワ〜ッと始まってしまう。

***

映像も良かった

挿入される実景も素晴らしく美しくて語りかけてくるものがあった。

どの要素も良かったし、それでいてつまんない映画になっていない、独特の独特の歪さもある映画で、ほんとに楽しかった。

韓国映画『小説家の映画』新しいフェーズの女性映画誕生!

2023-05-25 | 映画イラスト
上映日:2023年06月30日製作国:韓国上映時間:92分
監督 ホン・サンス
脚本 ホン・サンス
出演者 イ・ヘヨン キム・ミニ ソ・ヨンファ パク・ミソ クォン・ヘヒョ チョ・ユニ ハ・ソングク キ・ジュボン


****

『小説家の映画』四コマ映画




ベルリン国際映画祭 2022年72回 銀熊賞 審査員グランプリ(審査員特別賞)


***


嘘や気遣いを含んだ会話が積み重なって、
しかも相手が変わってって
人数も変わってって。


音声言語ではない手話までもが登場して、
その都度主人公の小説家の人物像がくっきりと見えてくる。


スランプに陥って執筆から離れていた小説家が
「あ、この人だ」「あ、これだ」「今だ」と気づいた瞬間が愛おしい。


それまで小説家として触覚ビンビンで生きてきたはずだし
スランプだからって何もしていなかったわけではなく、
一応網は張っていたはずだけど
「何も来ない」「何も引っかからない」「何も起きない」とに感じる日々だったかもしれない。


そこにキム・ミニが現れて
「これを掴まなきゃ、私」「私にもまだ掴みたいものがあったんだ」と再確認できた喜びもあったでしょう。


***


キム・ミニ演じるギルスも人気だったけど今は出演作が途絶えている女優。


小説家も女優もどちらもちょっとした踊り場にいる状態で出会っている。


休んでいるのもいいし、次に何かするのでもいい、華々しいかどうかなんてどうでもいい。


妙齢に差し掛かった女性同士が
「この人とだったらもう一回私楽しいかも」と思って繋がれるのがとてもうらやましい。


**


これのおじさんver.も観てみたい。


金とか趣味とか
むしろ友情とかでもない連帯。


**


もうホン・サンス映画はお手上げ。
なんでこんなに良いのかわかんない。
なんでサッとこんな良い映画作れるのかわかんない。


「実はサッとじゃなくて十分な準備と話し合いと十分な期間で撮ってます」とかじゃなくて、本当にサッとだからね。。


そんでベルリンだカンヌだで映画賞獲っちゃうんでしょ。。
もう異次元映画なんよね。。



韓国映画『最後まで行く』原題は〝끝까지 간다〟 各国でリメイク! 日本語訳は『最後まで行く』

2023-05-24 | 映画感想
最後まで行く(2014年製作の映画)
끝까지 간다/A HARD DAY
上映日:2015年05月17日
製作国 韓国
監督 キム・ソンフン
出演者 イ・ソンギュン チョ・ジヌン シン・ジョングン チョン・マンシク パク・ボゴム



原題は〝끝까지 간다〟。
日本語訳は『最後まで行く』。

翻訳サイトで翻訳してもこれで出てくるからホントにそのまま『最後まで行く』なんですね。

てことは、映画のテーマは〝最後まで行くこと〟。

**

さすが面白い。
コメディとサスペンスとスリラーとカーアクションと(ちょっとした)スプラッタをリズミカルに並べてくれてます。

そしてみなさん芝居が上手い。
「滑ってるなぁ……」って人、ひとりもいないもんね。

**

とくに主演のイ・ソンギュンがすごい。

そもそも悪徳警官だし
かなりクソな行為をしまくるんだけど
映画始まってからすぐこの人を応援させられてしまう。

これってすごいこと。
だってこの主人公やってることめちゃくちゃだよ。。

「サッサと逮捕されろよ!」
って思うのが自然なのに応援してしまう。。

なので日本版リメイクが岡田准一なのは合点がいく。

**

ラストバトルは好みが分かれるところかもしれないけど僕は好き。

〝最後まで行く〟ですからね。

このリアルなじわじわとしたヌメヌメとしたダラダラとした、対決、最高でした。

**

「いやいやいやいや!!」ってつっこみたくなる箇所は多いけど
そこはコメディのリズムで乗り切っちゃう。

上手い!

これぞ映画だ!!!と思う。
ありがとう!

**

あと、これの女性版作って欲しいなぁ。
日本だったら、尾野真千子と小池栄子とか。








映画『FLEE フリー』 ドキュメンタリーアニメーション LGBTQの未来を照らす

2023-05-20 | 映画感想

何を書いたらいいやら。。
何を書くことがあるというのやら。。

同じ地球で、この星で行われていることなのかと知ってゾッッとした。。

『トゥルーノース』でもそうだったけど
比較的簡易なアニメーションで語られるこらこそ恐怖が倍増する。。。

ごめんなさい、観れなかったもん。。
コンテナのくだり。。
早送りしました、ごめんなさい。。
60人以上でしょ。。
無理っす。。
観れないっす。。。

**

あんなにも地獄を見て体験してトラウマを抱えながら亡命した先が
セクシュアルマイノリティを差別する国じゃなくて良かったですね。

「差別禁止」じゃなくて「不当な差別禁止」っつってセクシュアルマイノリティを差別する余地を必死で残す国じゃなくて良かったですね。

**

亡命苦労話、
亡命成功話、
で終わってないのが素晴らしい。

もっと先を照らす。

これよ、これ。

映画『流浪の月』ホントにそうやって生きてくしかないの?

2023-05-20 | 映画感想

感動させようと必死。
心揺さぶろうと必死。

**

よぉ喋るなぁ。。
これだけ自分の気持ちを言語化できて、しかも相手にも伝えられるって、、全員健やかだなぁ。。

音楽も説明的だし
モブもめちゃくちゃ喋って状況を説明してくれる。

**

予告編見て「こういう映画なんだろう」と予想した範囲を全然超えてこないし

広瀬すずはどん底に落ちても肌ツヤツヤで眉毛ばっちりリップグロスで唇ふっくら髪もサラサラ。

**

ジョー・スワンバーグ監督の『ギャンブラー』の方がずっと
「この人たちのこれからの人生どうなっちゃうの???」ってホンキでハラハラしましたよ。

**

また母親だけに責任負わせて。。
父親はどこいったんよ。。
いないモン勝ちじゃん。

**

やっと話が始まったとこで終わった。
2時間半やって。。

「オチはこれでしたぁ」じゃないんよ。
実在するわけでしょ、こういう方が、実際に。。

「なんとも珍しい人間でございましたぁ」ジャーン!エンドール!
じょないんよ、、、いらっしゃるわけでしょ、、こういう難病の方が。。。

ここからでしょ、話は。
人生は。。。

ネタバレあり 異能力ヒーロー映画『フリークスアウト』

2023-05-14 | ネタバレあり
フリークスアウト   Freaks Out
上映日:2023年05月12日
製作国:イタリア ベルギー
上映時間:141分
監督 ガブリエーレ・マイネッティ
出演者 フランツ・ロゴフスキ エリック・ゴドン クラウディオ・サンタマリア アンナ・テンタ エミリオ・デ・マルキ



四コマ映画『フリークスアウト』




大人気イタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のガブリエーレ・マイネッティ監督の新作。


『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は2015年ですから満を持してた新作。
そして怪作。
名作。


前作同様こちらもスーパーヒーローもの。

超人パワーを持った主人公たちの苦悩と戦いの物語。
主役はサーカスの団長のイスラエルと団員たち。
●光と電気を操る少女マティルデ
●アルビノの虫使いチェンチオ
●多毛症の怪力男フルヴィオ
●磁石人間の道化師マリオ



そして敵はナチス!

何してもいい相手。なんの擁護もできない悪。
で、さらにナチスに対抗するレジスタンスたちも加わって話はややこしいことに。


さらに複雑な敵の能力

あんまり書くとネタバレになっちゃんですけど、敵(フランツ)が「ジョジョの奇妙な冒険」っぽいと思いました。
危機的状況になるほどに、知られざる能力が開花してくるんですよ。
ジョジョのアイツなんですよ。スマホなんですよ。ナチスなのに、スマホ。


強力な反戦映画

まっすぐな反戦映画であることが嬉しい頼もしい大好き。
「反戦」って言うと「自分勝手」「いい人だと思われたい」みたいに言われる世の中になってきて、本当になんて最悪なんだろうといつまで最悪を更新し続けるんだろうと思っているところに、このエンタメヒーロー映画での力強い反戦メッセージはありがたい。


エンドロールですよ

エンドロールがまた感動。
第二次大戦が終わった後の人間の歴史がイラストで紹介されていくんですが、あれも描いてくれてる、これも描いてくれてると感動してしまうのです。
あのヒーローも出てくるし。






ネタバレは以下に!

■ナチス
兄……?
弟……フランツ
フランツの恋人?……イリーナ
■サーカス団
団長……イスラエル
光と電気……マティルデ
磁石……マリオ
多毛症の怪力……フルヴィオ
虫操り男……チェンチオ
■レジスタンス
リーダー?……オズワルド
女性……サラ
義足……ガンバレット
背曲がり男……ゴッボ
一つ目の狙撃手……グエルチョ
***

サーカス団のショー。それぞれの技能の紹介。
「見えるものだけが真実ではない」byイスラエル
「ローマの聴衆が待っています」

**
ナチス、フランツと恋人。
イリーナ
フランツ「彼を三枝kなければ。そうとうへの贈り物にする。超人的な力の持ち主だ。イリーナ、戦争に勝つにはこれしかない」
イリーナ「戦争に勝者はいません。敗者のみです」
***
サーカス団、ローマに着く。馬車で。
イスラエル「ニューヨークに行く。シチリアから船で。一人300リラが必要。」
フルヴィオ「アメリカに行ったところでサーカスか?戦争はじきに終わる」
イスラエル「私はユダヤ人だ。ドイツでサーカスができると?」
フルヴィオ「あんたは普通でいいな。俺にはサーカスしかないんだ」
マティルデ「私も人に触れられないのに?」
**
ベルリンサーカス。
「ベルリンサーカスへようこそ!」
ナチスお抱えのサーカス団。
フランツが6本指でピアノを弾いている。
**
イスラエル「お前は特別だ、自信を持て」
マティルデ「電球をつけられるのが特別?私は本物の化け物よ」
イスラエル「過去を受け入れろ」
マティルデ「アメリカに行ったらみんなバラバラになる」
イスラエル「戦争も私たちを引き離せない」
**
アメリカに行く旅費(一人300リラ)をイスラエルに渡す。
フルヴィオ「アメリカでサーカスをやる!」
通行証(偽造)を買ってくると言ってイスラエルは帰ってこない。
マティルデ「彼は泥棒じゃない」
フルヴィオ「戦争は善人を悪人にしちまう」
マティルデ「そんなの心がけよ」
フルヴィオ「イスラエルを見つけられなかったらベルリンサーカスに入る」
***
ベルリンサーカス。
エラ呼吸男で人体実験をしている。
フランツ「完璧ではないが水中に20分くらいいることができる」
はずが、呼吸できなくなってフランツがエラ男を殴り殺す。
兄「3年も待ってる!」
フランツ「ヒトラーは死ぬ!拳銃自殺だ」
兄「そいつ人なら威厳を持て。大事な公演まで1週間だ。彼らを連れてこい!」
**
ローラー作戦。ユダヤ人がり。ユダヤ人がトラックに乗せられる。逃げた男が射殺される。
フルヴィオとマリオとチャンチオがトラックに乗せられる。
虫や怪力を使って、ユダヤ人たちと共に逃げることに成功。
そこになぜはマティルデも合流。
フルヴィオ「ベルリンサーカスに行く」
結局男3人はベルリンへ。
チェンチオ「夜道でも安全だ」と蛍入りの瓶をランタンとしてマティルデに渡す。なティルではベルリンに行かない。
***
マティルデがドイツ兵二人に襲われそうになる。心臓あたりが光、マティルデ覚醒!二人を撃退。マティルデも森の中で気絶。
レジスタンスたちに助けられる。
♪パルチザンよ、連れていいてくれ、僕らは死ぬだろう♪
レジスタンスたちの歌。
***
ベルリンサーカスに3人党略。カバやラクダ、たくさんのサーカス団員もいる。大きなサーカスだ。。圧倒される。
フランツ、ピアノを弾いている。オーケストラもいる。
フルヴィオ「これで生活は安泰だ」
3人は大歓迎を受ける。女たちから体を洗われたりセックスしたり。
でも毒ガスで気絶させられる。
***
マティルデ眼を覚ます。森の中で隠れて暮らすレジスタンスたち。
ゴッボ「電気ショックの力があればナチを何人も殺せる。べりらに参加すれば楽しいぞ!これは戦争だ」
マティルデ「人を殺すの?ユダヤ人はどこへ?」
ゴッボ「殺される。電気は遠くに飛ばせる?お前の力は神からの贈り物だ。人さがしに協力してやる。人を殺すのに罪悪感が?すぐ慣れる。」
***
3人は箱に入れられたり、氷漬けにされたり、くるくうr回されたり、人体実験される。
「出しやがれこのやろー」
***
マティルデ、トラックに乗せられているイスラエルを見つける。マティルデ「私もユダヤ人よ」とトラックに乗り込もうとする。
レジスタンスのサラが助けに来る。
レジスタンスたちがナチたちを射殺。
しかしトラックは発車。
イスラエルを含むユダヤ人たちは連れられてしまった。
ゴッボ「役立たずはいらん!」
マティルデ「人殺しはしない!」
ゴッボ「理由をいえ」
マティルデ「母さんを殺したから!」
流石のレジスタンスたち「え……そりゃ無理か」的な神妙な面持ち。
***
グエルチョ「フランツは父や兄みたいに兵士になりたかったが、今は見せ物だ。ヒトラーに自分が率いる超人集団を贈るつもりだ」
***
フランツが未来の映像を見る。
ヒトラーの映像。
「この運動にくらい影が刺している」byヒトラー
スマホが鳴る。この時代におかしい。
フランツの能力発現!! スマホで未来が見える。ナチスが負けて連合軍が勝つ未来。
後光が刺してシルエットになっている4人の映像。マティルデたちか?
***
マティルデもベルリンに来た。
フランツの部屋に入り毒ガスで気絶。元気能力がバレる。
**
フランツ、ヒトラーたちの前で演説。
「私が見たドイツの未来は明るいものではない。3人の男と一人の少女がドイツに明るい未来をもたらします」
檻にマティルデと虎。
フランツ「私の話を証明してみせろ!」
マティルデ、虎を手懐けて仲良しになる。
フランツは退散。
フランツ「4人を殺せ!」
焼却炉に入れられる4人。
マティルデが遠隔操作で施設の電灯を破壊していく。電気エネルギーを右手から発してドアを破壊。逃げる。
フランツ「私はドイルの予言者だ!」
**
人間大砲で3人が飛んで逃げる(何これ)。
フルヴィオはちょっと親しくなったサーカスの女性に助けられる。馬も二頭もらって3人に合流。
**
兄「お前はおしまいだ」
フランツ、兄を殴って気絶させる。首を絞めて殺害。
フランツ、6本指の一本を切り落としてハイルヒトラーのポーズ。
**
4人、イスラエルが乗ってる列車の前方に上から屋根を破って入る。
ドイツの偉い軍人ばかり。力を合わせて全員を倒す。
**
列車を止めてイスラエルたちユダヤ人を列車から降ろす。
そこにナチたち。
フランス「わたしといればより良い未来が開ける!」
レジスタンスたちが火炎瓶や手榴弾を矢で打ってくる。
ナチたち退散。
ナチスとレジスタンスの戦い。
まだ中にユダヤ人が乗っている列車が燃えて、それをチェンチオが虫たちを操って消火。多くの虫が犠牲に。神妙な面持ちのチェンチオ。
イスラエル死亡。レジスタンス側も割と死ぬ。
マティルデ、電気バリアで銃弾を弾き、火の玉みたいになる。
さらに爆発してナチスを焼き殺す。
フランツは戦車に隠れていて無事。
フランツの恋人イリーナもしぼう。
フランツ、ものすごい銃員の長い拳銃で自殺。
フランツ「ゲームオーバー」
マティルデがフルヴィオに触れても抱き合っても電気が発生しない。4人で抱き合う。
救われたユダヤ人たち。
「私たちが命を救ったんだわ」明るい表情。
マティルデとチェンチオは付き合うっぽい。

終わり

エンドロールにモノクロのスケッチイラスト。
戦後のシーン。
ウッドストックとか、終戦を知ってキスする男女(有名なやつ)、ウーマンリブとか、マンデラとかベルリンの壁崩壊とか、キュリーっぽい女性とか、ポルポトとか、ベトコンとか、原発とか、貧富の差とか、モハメドアリとか、天安門事件とか、鋼鉄ジーグとか、カセットテープとか
のイラストが出てくる。
ラストは4人がこっちに向かってくるイラスト。

終わり

映画『帰れない山』ラストネタバレあり ラストのカラス3羽めっちゃ自然の摂理…

2023-05-07 | ネタバレあり

帰れない山(2022)Le otto montagneThe Eight Mountains 上映日:2023年05月05日 
製作国:イタリア ベルギー フランス 上映時間:147分
監督 フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン シャルロッテ・ファンデルメールシュ
原作 パオロ・コニェッティ
出演者 ルカ・マリネッリ アレッサンドロ・ボルギ




■原作は世界的ベストセラー『帰れない山』(原題:「LE OTTO MONTAGNE」八つの山)

本作の原作は、イタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」、フランス「メディシス賞」外国小説部門、 「英国PEN翻訳小説賞」などを受賞し、世界39言語に翻訳された国際的ベストセラー小説「帰れない山」。

とのこと。


2022年2月現在は1年の半分をアルプス山麓で、残りをミラノで過ごしながら執筆活動に専念する。
ともあるので、原作者と主人公ピエトロはかなり重なってるんでしょうね。


■小説が原作なだけあって物語が強い。


映像に頼った雰囲気映画ではなくちゃんとキャラクターがあるし
映画化を考えてなかったからだと思うんですけど、結構いろんな国に行くので、、ロケ大変そうでした。。

***

映画予告編の四コマ漫画
■四コマ映画『帰れない山』
https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2934






****

■とはいえやはり山の映像すご

アルプス山脈の2番目に高い、イタリア北部モンテ・ローザの映像がすごい。
夏は気持ちよさそうな風と美しい緑なんですけど
冬は軽地獄ですね。雪地獄。

「やっぱ自然っていいよね」なんて軽々しく言えない。
途中、都会からピクニック気分で若者数人が来るんですけど彼らの異質っぷりが際立つ。

自然からも、自然と同化している主人公のひとりブルーノからも彼らは拒絶されるそりゃそうだ。



■ブルーノとピエトロの友情の物語

話の主題は男二人の友情の物語。
監督が「この友情をラブストーリーのように撮った」と言っているのが合点がいく。
その「愛してる」は友情由来のもの?それとも??
っていうシーンの連続。
どこへ行くの?ふたりはどこへ向かっているの?全然いいんだけど、行っちゃうの?
ってハラハラドキドキしながら観れて、もう本当に楽しかったです!


■都会っ子ピエトロ、自然っ子ブルーノ、それぞれの父

この映画には、ピエトロとブルーノと、存在感の大きいピエトロの父、そして不在のブルーノの父の4人の比重が大きいです。
こう考えると「強い父に押し潰される息子ふたり」の物語な感じがします。
「父との和解」?
父の押し付けてくるものや期待からなんとか逃れようとしたり、飲み込まれたりして大人になって
父の死後、父という存在を受け入れる、受け流す儀式をしたんだろうね。
それを一人ではなく、ふたりですることができたんだ、ピエトロとブルーノは。


■男女の差

性差について原作者や監督がどれほど自覚的に描いているのかわからないけど、、めちゃくちゃ描かれている。
とにかく「母・妻」と「父・夫」の差異が大きい。大きい。大きい。
あ、原作者パオロ・コニェッティ、僕と同い年だ。1978年生まれ。
39歳の時に小説『帰れない山』を発表。
2022年2月現在は1年の半分をアルプス山麓で、残りをミラノで過ごしながら執筆活動に専念してるとのことなので、都会が疲れちゃう人なんですかね。特に人間関係。


■自然は逃げ場ではない

ピエトロとブルーノがある約束を果たすために「家」を作りまして、そこが二人の桃源郷のようになりまして、
そこでの暮らしはロマンチックだしロバは可愛くてほのぼするんだけど
そこに「現実」や「社会」がじわじわと降り積もってくる。
いつまでもビオトープみたいに生きていきたいけどね。。




ラストネタバレは以下に。。






ブルーノは、以前ピエトロが連れてきた友達の中の1人の女性と結婚。
女児も生まれ〝自然と融合した暮らし〟を実践。
動物と自然と人間の理想的な暮らしを追求。

「あ、へぇ、ブルーノって結婚とかするんだ…」と思ったかどうかはわかりませんが、
都会っ子として生きてきたピエトロは路線変更してカトマンドゥ的な場所(どこでしたっけ…??)で観光客向けの通訳ガイドと地元の学校の英語教師をやりつつ、本を書きそれがヒット。
その地で女性と結婚。

お互い結婚し家族を持ち、それぞれの生き方を確立した(っぽい)状態になったものの、
ブルーノの理想的な山暮らしは破綻していく。
借金は増えていく一方だし女児の教育費もままならない。

家族を窮地に追いやっているのに山での理想的な暮らしを捨てられないブルーノを、経理も担当している妻が三行半を突きつける。
妻と娘は出ていく。

自暴自棄になっているブルーノをピエトロが尋ねる。
喧嘩別れをしていた2人だったが次第に打ち解け合う。

家族、社会、金。
自然の中で生きることを難しさを誰よりも知っていたはずのブルーノだったが、結局は〝社会〟の重さに押しつぶされてしまう。

「俺の心配はするな。山が俺を傷つけたことはない」これがピエトロに向けて言ったブルーノの最後の言葉。

ものすごい積雪で心配した従兄弟が救助を要請。
救助ヘリが山小屋に到着。
ブルーノとピエトロが作った屋根をチェーンソーが真四角の穴を開ける。ブルーノはいない。
写真立てには子供の頃のブルーノとピエトロ。

「周囲を捜索したがブルーノは見つからなかった。それ以上探しても無駄だという結論に。雪が溶けたら見つかるだろうと。これはあの人が望んだこと?」by ブルーノの妻

春になり雪が溶けて所々土が露わになる。
そこにカラスが3羽。
「わ〜い♪」みたいな感じで肉をついばんでいる。
めっちゃ自然の摂理。
これがブルーノの望んだことだろうか?

ネタバレあり 映画『EO イーオー』映画音楽も素晴らしくて

2023-05-06 | ネタバレあり

EO イーオー(2022年製作の映画)EO
上映日:2023年05月05日
製作国:ポーランド イタリア
上映時間:88分
監督 イエジー・スコリモフスキ
脚本 エヴァ・ピャスコフスカ イエジー・スコリモフスキ
出演者 サンドラ・ドルジマルスカ  イザベル・ユペール  ロレンツォ・ズルゾロ  マテウシュ・コシチュキェヴィチサヴェリオ・ファッブリ






第95回アカデミー賞国際長編映画賞候補作

『異端の鳥』っぽい作りだと思いました。
戦時下で少年が安住の地を求めて各地を転々としながら大人に保護されては逃げて保護されては逃げて、、という『異端の鳥』。

『EO イーオー』はロバのEOちゃん(オス?)が人間の都合でどっかへ連れて行かれたりEOちゃんの自由意志で逃げたりして各地を転々しながら、
天国のような地獄のような人間たちの様子を映し出していきます。

ロバ視点ではありますけど登場人物が割と多いし、
各地で行われるイベントがなかなかインパクトがあるのでグッと惹きつけられたまま最後まで観れます。


動物愛護だけではない

冒頭かサンドラとの蜜月を引き裂くのは動物愛護団体ですからね、動物愛護だけを言いたい映画ではないでしょう。
人間の性差別の描写も多いし、人間の残酷さや愚かさや冷酷さもあるし、逆に人間の温かさ優しさもある。

単に各地で嫌な目に遭うだけではないので、次の土地ではEOちゃんが何に遭遇するのかがホントにハラハラします。。



映像と劇伴が素晴らしい

主役はしゃべらないわけです、ロバだから。さすがに。

なので全体的にはセリフが少ない。
そうすると映像と音楽の責任が重くなるわけです。
てことで映像は素晴らしく刺激的。

劇伴は特に素晴らしいですね。
EOちゃんの心情に寄り添っているような、突き放しているような、天空から客観視しているような、複雑で美しい音楽。
映画体験として素晴らしいものだと思います。



ユペール先生

イザベル・ユペール先生が突如どアップで登場します。
ちょうどコーラとか飲んでる時だったら吹き出すと思うので注意してくださいね。

顔力。存在感がすごいのよ。
EOちゃんに負けない存在感。命同士の対決(戦ってないけどね全然)でユペール先生の勝利なんですよ。

僕は自宅のPC画面で観ちゃったんですけど、これは映画館で大音量大スクリーンで観ることで価値が何倍にもなる映画だと思います。





以下、ラストあたりネタバレ





街。
商店のディスプレイの水槽の中を見て興奮するEO。
消防の男女に捕獲される。
消防の男女を含めたメンバーがサッカーをやっている時に、おっさんが「かわいそうに」みたいな感じでEOの綱を外す。
でもEOは逃げない。
PKで蹴る前にEOはいななく。ボールはゴールポストに弾かれる。
試合が決まり暴れる男たち。フーリガン。怖い。
負けた方はロバのせいだと言う。
勝った方はロバのおかげという。
女性審判に強く抗議するフーリガン。女性だからと舐めてるっぽい。
バー。
EOを中心にして踊る。EOは酔っ払いたちにキスをされたりタバコの煙を吹きかけられたり、酒を飲まされそうになり、EOは外へ。
敵チームが襲撃に来た。バットで店を壊しまくる。敵チームはさっていく。
EOもバットで何度も殴られる。
「忌々しいロバだ!」

***

AIの四足歩行ロボットの映像。転んでも何度も立ち上がって草むらを進む。

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獣医。EOは運び込まれる。
獣医「治すのが俺の仕事だ」
治ったEOは動物たちの殺処分場?で働くことに。
怯えて威嚇する狐や犬たち。悲しい。
殺された動物たちを運ぶのがEOの仕事。
EOは後ろ脚で男を蹴って逃げる。
しかし捕まり、馬たちと一緒にトラックに乗せられる。
ヘビメタの男たち。
運転手の男。店の前でお腹を空かせていた黒人の女性に食べ物をあげる。
「セックスもどう?」と女性に言うと
女性は逃げた。
「冗談なのに、いつもこれだ。。」
パーカーの男が現れて、運転手の男の喉をハサミできる。
パトカー来る。殺人事件。警官などがたくさんいる。
帽子の男「どうしたんだ?お前?何かあった?俺と帰るか?家に帰るのは久しぶりだ。旅の仲間だな。よしいくぞ。胴部保護かな?窃盗かな?お前はいい子だな」
EOが連れて行かれる。
「今まで大量の肉を食べていきた。何百キロも。サラミも。ロバの肉ってことだ」

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イザベル・ユペール先生、ドアップで登場。びっくり。
男は司祭?神父?の修行中。「我らの生贄が届くように」
それをユペールが凝視してる。
ユペールに電話。
「彼が問題を起こすと私の義理の息子と呼ぶのね。あなたの甥でもあるのよ。今日は何をしたの?」
庭にEO。炎の。
ロバのいななき。EO逃げる

***

「ギャンブル?停職処分に?」
ユペールがさらを何枚も割る。
「もう尻拭いはしない。フランスに帰るから。あなたにも相続はあった。賭け事で失うまでは。あなたにもあなたの父にも私は正直だった。なぜ逃げたの?」
ユペールと男がキス。
(唇が触れ合う前に場面転換)
ユペールは男の義理の母なのかな。男の父は死んだのでその遺産相続がどうのという話が出てきてる。電話の主は男の父の兄弟。司祭?神父?の職を継ぐように義理の母であるユペールに頼んだ電話だったのかな。しかしなんとユペールと男には体の関係があったっぽい。複雑!

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EO、庭にいる。サーカス団でカサンドラと別れた時に映像。
門が自然に開き、EO、外に出る。
ダムの水流。滝壺・水が逆再生される。
(時間が巻き戻った??)
牛たちのお尻。歩いている。そばにEO。どこかの牧場。
牛と共に舎の中に入る。
銃声。画面真っ黒。終わり。
「本作は動物と自然の愛から生まれました。撮影でいかなる動物も傷つけていません。」


映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ラムは〝お客さん〟 

2023-05-04 | 映画感想

監督 押井守 
脚本 押井守
原作 高橋留美子
出演者 古川登志夫 平野文 鷲尾真知子 藤岡琢也


マンガペディアによると
「押井氏はラムと云うキャラクターが理解できなかったと言っているが、実際に押井氏の話ではラムが『お客さん』として脇役に回っていることが多く、「ビューティフル・ドリーマー」などまさにそれである(その代わり世界がラムの夢の中になっているが)。」
とのこと。

たしかにラムが全然出てこない。
前半はメガネなどのクラスメイトばかり映っている。

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もちろん原作者は高橋留美子。
少年漫画の覇者ではあるけど、
やはりこの漫画の主役はあたるではなく、
女性キャラのラムちゃんだと思う。

というのも、あたるという男はとにかく空虚で実態がない。

あたるは
〝浮気者だけど最後は私(ウチ)に帰ってくる男〟であり
〝私(ウチ)にだけわかる魅力のある男〟の象徴。

うる星やつらは
どんなに浮気をしても俺のことを好きでいてくれる女と
結局は私に帰ってきてくれる私にしか魅力のわからない男。
の物語。

これを基本に、
めっちゃ無茶苦茶なSFと、
唐突に新キャラを出してくる無節操さでギャグ漫画として全34巻突っ走れた鬼才高橋留美子の怪作。

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さてこの映画。

〝人生の中で一番楽しい学園祭前夜を繰り返す〟というモチーフは
『うる星やつら』じゃなくてもできたように思う。

ラムちゃんを〝お客さん〟にしてまでこれをうる星やつらでやる理由はなかったかと。

が同時に、『うる星やつら』が諸々の理由でこれをやるのに適していたのもわかる。
(高校の話であるとか、SFであるとか、ギャグ漫画であるとか、成長しないタイプの漫画であるとか)

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『うる星やつら』自体は別に好きじゃないけどビューティフルドリーマーは好きという人は多そう。

『うる星やつら』を満喫しきった挙句ビューティフルドリーマーもテーマ的な楽しめたって人も多そう。

(僕のような)
なんとなく『うる星やつら』の世界観好きだったくらいの人にとっては
『うる星やつら』ってこんな雰囲気だっけ???と思っちゃった。