映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

映画『本心』原作者いわくテーマは「最愛の人の他者性」とのこと。

2024-11-25 | ネタバレあり
本心(2024年製作の映画)
 上映日:2024年11月08日
製作国:日本
上映時間:122分 
監督 石井裕也 
脚本 石井裕也 
原作 平野啓一郎 
出演者 池松壮亮  三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 田中泯 綾野剛  妻夫木聡



原作者いわくテーマは「最愛の人の他者性」とのこと。

めちゃくちゃ大事ですよね。。
僕はパートナーとも親や兄弟ともかなり強い他者性を感じてます。

若い頃はとくにパートナーについてはもうちょい自分と近かったけど
ある時から「あれ、どこまでいってもめっちゃ他人だな…」と思ってから
どんどん他者性を強く感じるようになって
だからこそたまに「この人、人生の伴侶なんだ…」と実感すると恥ずかしながらあたたかい気持ちになったりする。

**

などとエッセイを書いたのも、、
公開日に見て感想書くまで3週くらい経ってまして
あんま映画の内容を覚えていないから。。

原作小説が内容てんこもりなのでしょうね。
この映画も内容もりもりで、前半と後半とでテーマが違ってるかのようにやってることが変わってくる。

小説原作の映画だなぁって感じ。
先が読めない感じ。
あっちこっち話が行っちゃう感じ。
映画らしい映画よりも勝手な感じでこれはこれで好き。

**

石井裕也監督が今作ではそんなに怒ってないなぁという印象。
石井監督の怒りにはとても共感はするけど
ちょっと疲れるのも事実。。

近年の石井監督作の中ではライトでロマンチックな印象。
コメディシーンもあるしほんとに吹き出したりしました。

**

田中裕子がやはりすごい。
この人がすごくなかったことがない。


田中裕子のヴァーチャル・フィギュア感が凄い。
特別な演技をしてるわけじゃないのに何故かドットの集合体に見えてくる。
アレクサ感がすごい。
ほんと不思議な人。

**

三吉彩花、化けましたね!
あのビジュアルで石井裕也監督のヒロインにハマれるようになってしまった!
無敵ではないか!

池松壮亮も未だかつてないくらいイケメンに撮られたように思います。
ラブストーリーの側面が強かったからかな。

妻夫木聡の存在感も日本映画に収まってるのがもったいないレベル。

そろそろこのあたりの監督や俳優がガツンとドカンと世界で注目されてほしいなぁ。

**

ラストネタバレは以下に!








ラスト 

母は雨の日 ノラの?黒猫を心配して嵐の日川に近づいていた。 
それが死の原因? 

黒猫は三吉彩花のアバター? 

母の言いたかったことは 
「あなたを産んで良かった 本当に幸せ 死ぬなら今かな」

 「それずっと冗談ぽく言ってたよ本心だったの?」by 池松壮亮 

母を追い求めて伸ばす手(池松壮亮) 
その手を掴もうと震えて伸びる手(三吉彩花?) 

終わり 


さくや(池松壮亮)が学生時代のあやかを好きだったと思えないんよね。
 で、三好彩花のことも好きじゃなかったわけでしよ。 
そうすると、さくや自身が色々揺らいでくるよね。 

さくやって実は…と。

 結局、観客だって主演キャラの本心なんてわかってないのだ。


映画『オールド・ジョイ』「悲しみは昔味わった喜び」の意味

2024-11-24 | ネタバレあり
オールド・ジョイ(2006年製作の映画) Old Joy  
上映日:2021年07月17日
製作国:アメリカ
上映時間:73分
監督 ケリー・ライカート
 脚本 ケリー・ライカート  ジョナサン・レイモンド
 出演者 ダニエル・ロンドン  ウィル・オールダム


『ファースト・カウ』が素晴らしかったので同監督の2006年の『オールド・ジョイ』。


製作にケイト・ブランシェット主演『キャロル』の監督をしたトッド・ヘインズもいますね。


**


だいぶ低予算感の強いロードムービー。
登場人物はほぼ2人。
2人とも30代半ば?


数年ぶりに会う旧友のマークとカート。
一泊二日の車での温泉旅行に出る。


マークの妻は妊娠中。
マークは妻に「旧友から旅行にさそわれた。君が嫌なら行かない。嫌なら行って全然行かないから」と言う。


↑これめちゃ腹立ちますよね。。


「君が嫌なら行かない」って。。
嫌だから行くなって言えるわけないじゃんね。
そもそも行こうとしてる段階でちょっと腹立ってるわけだし
「嫌だって言われたから行かなかった」という事実が生まれることが死ぬほどイヤ。
だから勝手に行けよ、と。


マークが大人になろうと頑張ってる姿だとは思うけど、まぁまだまだだよね。


**


タイトルは「old joy」。


劇中に「悲しみは昔味わった喜び」という謎の言葉がある。


「昔味わった喜び」ってなんじゃいと思って調べてみたら
日本語にも旧歓という言葉が。


きゅう‐かん〔キウクワン〕
昔味わったよろこび。
とのこと。


そこはかとない寂しさは感じますね。
昔はあったけど今はない、というニュアンスを感じる。


**


で、この映画。


昔仲良かった男子2人が数年振りに会ったら
片方は社会に適応しようとしてる段階で
片方はまだまだ社会からはみ出た生き方に憧れてて
2人の間には深い溝ができていた…という話。


まだ感想書けていない空音監督の映画『HAPPYEND』が似ている構図(真逆とも言える)だと思いました。


社会に反抗していたこたで繋がっていた2人が離れていくのがこの映画。


片方が政治的な活動にのめり込むことで2人に溝ができるのが『HAPPYEND』ですかね。




**


ラストネタバレは以下に。










念願の温泉にたどり着いたけれどもはや会話のないふたり。
 なんにも話すことがない。

そこでカートが動く。 
2人とも温泉に入った状態でカートがマークの肩を揉む。 
ギョッとするマーク。 
しかし身を委ねる。 

言葉ではなく イデオロギーでもなく 
ただ友愛の気持ちを持っている人間同士の労わり。 

そして車に乗って帰路。
 家に着き、別れ。
 おわり


名作っ!古典SFコメディ映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』ネタバレあり

2024-10-20 | ネタバレあり

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画) Kin-dza-dza!
上映日:2016年08月20日
製作国:ソ連 ロシア
上映時間:135分
監督 ゲオルギー・ダネリア
脚本 レヴァス・カブリアゼゲオルギー・ダネリア
出演者 スタニスラフ・リュブシン エフゲニー・レオーノフ ユーリ・ヤコヴレフ レヴァン・ガブリアーゼ









名作っ!
コメディの皮を被った政府批判!


いや、そもそもコメディとはそういう側面が強いものなはず。

低予算の雰囲気映画かと予想してたが、否っ!
映像も素晴らしく、なんと丁寧に考え抜かれて作った刺激的な作品か!

すぐ2回観ましたけど、2回目観ると演技の素晴らしさもわかりました。
1回目は話を追うので必死(しかもわからない…)でしたが
2回目心を落ち着けて観たらあらあら、抑えた演技の中で繊細な感情表がみなさん素晴らしかった。。

スパシーバっ!

**
SFコメディに仕立てることで検閲をスルリと抜けたとのこと。


なるほど、これがSFの効能の一つか!

中国でもBL映画を撮るために登場人物を人魚にしたりと、
作り手たちは閉じ込められている檻からなんとか両手を出して創造している!



**


『リバー、流れないでよ』に出てくるアレがキンザザ由来である、というのを知って


キンザザは興味はあったものの「眠そう」ということで避けてきたけど、
僕今週風邪で気管支炎で仕事以外ほぼベッドで倒れてて暇なので観ました。

**

1回目は、地球の未来の姿なのかな?と。

違いましたね。
キン・ザ・ザは当時のソビエト連邦の写し鏡だったんですね。


何の正当性もない階級社会。
そして階級社会を「生きる目標がある。上下がない世界では生きられない」と教え込まれている。

警察は暴力&賄賂。

表現活動はがんじがらめで、それはまるで檻に閉じ込められて歌を歌うことのよう。

規制や風潮の檻からなんとか両手を出して創造する様子は滑稽だけど愛おしい。

「地球では檻に入らずに歌っていいのか?」のセリフが切ない。

※地球でもほとんどの場合檻に入らないと歌ってはいけません



**

プリュク人はとにかく嘘をつくし、自己中心的で冷徹。


演じる彼らがキュートなので一見そうは見えないけど、酷いぜアイツら。

しかし厳しい社会構造の中で生きる彼らに、実際同じような社会構造に押し込められている地球人(観客も)は彼らの健気さを認めざるを得ない。


**


1回目観た時はずっと3割〜5割意味がわからず観てました。


それでもすごく面白かった。

だいたいの筋がわかって2回目観ると名作っっ!

省略がクール過ぎて。。
まず瞬間移動がほんとに瞬間。

何のエフェクトもなくパッと移動してるから観客はなんのことだかわからない。
それは主人公2人と同じ。

シーンのカットもクール。
バイオリンを割ったらマッチ棒を見つけた。
次の瞬間宇宙船が飛んでいる。
物語や設定が全部頭に入ってないと理解追いつかないですよ。。

だから後半どんどん、何をするために何をやってるのかが全然わからなくなる。
靴下の男も1回目はわかんなかった。
冒頭の地球に来ちゃってた男だったのね。

そして彼はマシコフとゲデバンが別の場所に移動しててもちゃんとそこに現れてくれる設定なのね。
知らないから、それは。。

**

あ、そうだ。
丸っこいウエフが「うるさい」って言ったんですよ。日本語で。

キン・ザ・ザの「うるさい」 

pic.twitter.com/Q49a7xkmVa


パニクってるっていう演出かと思うんですけど、
「キンザザ 〝うるさい〟 〝日本語〟」で検索しても出てこない。。

ロシア語で音も意味も近しい言葉があんのかね。


**

「ママ ママ どうしよう 寒い冬が来るのに ショールもコートもないよ」


の歌が最初は時代錯誤のものだなぁと思っていた
(映画の中でも〝古い流行歌〟)けど

次第に緊迫感が強まってくると「ママ ママ どうしよう」が切実なものに聞こえてくる。

それはおそらく当時のソ連でもそうだったはず。
この歌は〝古い流行歌〟ではなく、まさに今!厳しい冬を前にあたたかいコードのない子供がいるという貧困問題が、ちゃんと目を向ければあるのに目を向けていない。

それは日本も同じ!
20代や女性を含めた数百もの人が食事を求めて都庁の下に毎週集まっている。

その頭上では何十億もかけた(何十億もかかってるわけのないレベルの)プロジェクションマッピングが映されている。

ディストピア(反理想郷、暗黒世界)じゃんっっ!!
ファッッックっ!!
キューーーーーーー!!!!

**


ラストネタバレは以下に。






終盤、何度も嘘をついてきたプリュク人を救うために、
地球に戻るチャンスを捨てるシーンは泣けるし
プリュク人のふたりは結局マシコフとゲデバンの優しさにはピンと来てなかったっぽいとこも良い。
ラスト。
靴下男が瞬間移動を発動させる(地球人ふたりの許可も得ずに…)と
次の瞬間冒頭のシーン。
マシコフが帰宅するシーン。
これもね、いちいち覚えてないですからね。。
これが冒頭のシーンであることを。。
場所だけじゃなく時間もちょっと戻ってるってことね。
どうやら記憶も消えてるっぽい?
パンとマカロニを買ってきてと頼まれたマシコフは外へ。
ゲデバンから道を聞かれる。
顔を見るが思い出さない。
そこに清掃車。
車の上には黄色いランプが点灯している。
PJ様かと即座に反応してクーするふたり。
当然街の人は誰もクーなどしない。
ふたりが見つめ合う。
「バイオリン弾き」
「おじさん」
名前は忘れちゃった??
微笑んで空を見上げるマシコフ。
宇宙のどこかで今もクーしているであろう彼らを思い出してたのかな。

おわり

❷『死霊館のシスター 呪いの秘密』ネタバレあり そろそろ終わるっぽい

2024-10-15 | ネタバレあり

死霊館のシスター 呪いの秘密 
上映日:2023年10月13日
監督マイケル・チャベス
脚本イアン・ゴールドバーグ
出演者タイッサ・ファーミガ ストーム・リード


目次

  1. ■死霊館ユニバースまとめ(2024年時点)
  2. 『死霊館のシスター 呪いの秘密』四コマ映画
  3. 公開順でいうと9作目で、時系列的には2作目。
  4. グーニーズ化
  5. そろそろ終わるっぽい
  6. ネタバレは以下に!
  7. モーリス、死んじゃうかも知れなかったけど即決問題


■死霊館ユニバースまとめ(2024年時点)

以下時系列順

⓪『 The Nun(死霊館のシスター)』以前
①1952年『 The Nun(死霊館のシスター)』
②1956年『 The Nun Ⅱ(死霊館のシスター 呪いの秘密)』
③1958年『 Annabelle: Creation(アナベル 死霊人形の誕生)』
④1970年『 Annabelle(アナベル 死霊館の人形)』
⑤1971年『The Conjuring(死霊館)』
⑥1972年『Annabelle Comes Home(アナベル 死霊博物館)』
⑦1973年『 The Curse of La Llorona(ラ・ヨローナ〜泣く女〜)』
⑧1977年『 The Conjuring 2(死霊館 エンフィールド事件)』
⑨1981年『 The Conjuring: The Devil Made Me Do It(死霊館 悪魔のせいなら、無罪。)』
➓?年『The Conjuring: Last Rites(原題)』2025年秋公開?


死霊館ユニバースまとめ(2021年時点)
http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2775




『死霊館のシスター 呪いの秘密』四コマ映画







公開順でいうと9作目で、時系列的には2作目。

死霊館ユニバースにはアナベル人形ラインもありますけど、これは本筋の死霊館の方。

ウォーレン夫妻が『死霊館』(2013年)で戦ったヴァラクがどうやって生まれどうやってウォーレン夫妻の近くまで来たか?を『死霊館のシスター』『死霊館のシスター 呪いの秘密』でやったわけです。
で、
公開順の次の作品(10作目)は『The Conjuring: Last Rites(原題)』2025年秋公開予定でありまして、
こちらがウォーレン夫妻の〝最後の事件〟を扱うらしく、アイリーンも恐らく回想シーン的な感じで出演するっぽい、とのこと。


グーニーズ化

『死霊館のシスター』からアクションホラーになっているので、続編である今作もまさにそう。
終盤グーニーズみたいになるから、もうUSJとかでホラーアトラクションにすればいいんだよね。


そろそろ終わるっぽい

次の『The Conjuring: Last Rites(原題)』でウォーレン夫妻の筋は終わるっぽいですね。

実際のウォーレン夫妻はダークな存在なので、大ヒットしたからといってこんな風に元気にフランチャイズして大丈夫なものではなかったと思います。

特に『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』はもっと冷静に客観的に描かなきゃいけない(それでも無理だったかも)実際の事件だったのに、監督曰く「これは宗教映画」としてウォーレン夫妻側の一方的な視点で描いたエンタメ作になっていました。

で、このシリーズで僕が好きだった点は「結構冷静」で「宗教に対しても距離があった」からなんです。

『死霊館』『死霊館 エンフィールド事件』でもウォーレン夫妻は割と証言者を疑ってかかっていたし「そんなに超常現象なんてないよ」というスタンスでした。
それでそのまま超常現象はありませんでしたじゃホラー映画にならないので、そこはジャンル映画として〝あるのかも知れない〜〜〟というテンションで楽しむようにしていました。
また

前作『死霊館のシスター』でのアイリーンの「宗教は盲信じゃない。疑っていい。」というセリフがあってとても好きでした。
なのに、今作でのアイリーンはめっちゃ信仰心を強めていたし、結果信仰心が強いことで事件を収束させました。
なんだよ、全然好きじゃないよ。。

もちろん次作『The Conjuring: Last Rites(原題)』はとても心配。
でも終わるならそれはそれでめでたいかも知れない。
恐らく『アナベル』ラインは続くと思います。
いっそホントに『チャッキーVSアナベル』をPART6くらいまでやりゃいいんだよ。
チャッキーとアナベルが手を組んでゴジラを倒せばいいんだよ。



ネタバレは以下に!







モーリス、死んじゃうかも知れなかったけど即決問題

モーリスが「シスター、救ってくれたのか?」って言うけどアイリーンは悪魔を退治するためにフレンチーが死んじゃってもしょうがないと思ってたからね。
モーリスを殺さずにヴァラクを倒すにはどうしたらいいのかの逡巡せずにモーリスの命よりもヴァラクを倒すことを瞬時に優先したことが恐ろしい。

(モーリスに乗り移っている状態でもヴァラクだけを倒せると分かっていたのなら、聖ルチアの目をヴァラクに突きつけるシーンでアイリーンが泣いてるのはおかしいからね。悪魔祓いのためなら人殺していいの?)

国策映画&無声映画&モノクロ映画『警察官』(1933)ラストネタバレあり

2024-10-11 | ネタバレあり
警察官(1933年製作の映画) 
製作国:日本
上映時間:91分 
監督 内田吐夢 
脚本 山内英三 
出演者 小杉勇 中野英治


1927年にアメリカでは『ジャズシンガー』が初のトーキー映画として上映される。

日本では1931年『マダムと女房』が初のトーキー映画。
1938年まではサイレント映画は作られていた。

この『警察官』(1933)はサイレント映画。
劇版も効果音もセリフもなし。
黒地に白文字のセリフが映像と映像の間に表示されるシステム。

てか普通に画面の下にセリフの文字を表示しなかったのはなんでたろ。
映像に文字を乗せる技術がなかったのかな?
映像とせりふ文字を同時に見る習慣がなかっただけかな。

**

トーキー映画がで始めた頃のサイレント映画ってどういう立ち位置だったんだろう。

時代遅れ感もありつつも
老舗感というかホンモノ感はあったんじゃないかな。

特にこの『警察官』はだいぶ本格ノワールだし、
大衆向けって感じはしない。

**

ただ、この映画は国策映画なんですね。

現代の自衛隊モノのドラマや映画に似た雰囲気がある。

「みんなを守るんだ!!」感でねじ伏せてくる感じ。

**

さて、この映画の話。

指紋鑑定の手順を丁寧に映す

銃撃シーンすごい
おそらくスタントなし、命綱とか安全対策なしで
壁をよじ登って屋根の上を走るのと怖い
迫力
カメラワークと編集もテンポ良く。
モノクロならではの光の強烈さ。
カット数がものすごく多い。
ラストの全速力で走るシーンはもはや芸術的ですよ。
ガリガリ博士感があります。

**

言われているほどBL感は感じなかったです。


酔っ払って頭を近づけて畳に寝転がって、富岡が伊丹の髪を撫でながら話すシーンはなかなかのもんだなとは思いましたけど。

ただ1927年のアメリカ映画『つばさ』でも男性の親友同士が
今キスしたよねってくらい顔が近く抱き合ってたりするので
昔って男性同士でもこれくらい距離感近かったのかなぁ、とか。


ラストネタバレは以下に








ラスト。 
伊丹は旧友の富岡がギャング強盗の犯人の1人と睨む。
 指紋を取るために富岡のライターを自分のポケットに入れる
 富岡は返せと言うが伊丹は返さない。 

ていうか、富岡は警察官である伊丹に無邪気に近づきすぎるなんよね。。
 伊丹から警察の情報を聞き出そうとするわけでもないし、 やっぱただただ伊丹のことが好きすぎたのかな? 

指紋が一致。

 伊丹は苦悩しつつも富岡たちを捕まるために警察官を総動員。
 鉄橋の上から飛び降り(自殺ではなく逃げようとしたんですよね?)ようとする富岡の右手を伊丹が射撃。
 富岡は右手を撃たれて貫通。 富田は逃げるのを断念。
 伊丹は自分の袖を引きちぎって 富岡の右手に包帯のように巻く。
 そして両手に手錠をかけ、手を優しく握る。
 弾が手を貫通してんだから骨とか砕けててめっちゃ痛いだろうに富岡は大人しくしている。
 伊丹は富岡を抱きしめる。

 おわり

映画『村の秘密』ラストネタバレあり ムラ社会に溶け込むか脱出するか  

2024-09-02 | ネタバレあり

村の秘密(2015年製作の映画)Wenn du wüsstest, wie schön es hier ist
製作国:オーストリア
監督 アンドレアス・プロハスカ
出演者 ゲアハート・リーブマン ジーモン・ハッツル




「村人は僕の友達だ!」
「全員が?」

原題は『Wenn du wusstest, wie schon es hier ist. 』。
「ここがどんなところなのか知っていたら。」の意味。

YOLOは人生は一度きりの意味。若者の間で。

****

田舎の風景もいいし、家や内装もかわいい。
映像はかなり凝っていて素晴らしいと思う。
狂言回しのハネスのキャラもいいし、主人公としての魅力と求心力もあると思う。
ただ人物が多くて覚えられないし、、
ラストで語られる事件の真相もほぼセリフなのでなかなか全容が掴みづらい。
それがこの低評価の理由かと。

****

村でいじめられて育ったハネスは(おそらくとても頑張って)警察官になった。

好人物だが気弱でドジなハネス。
村の有力者で若く美しい女性バーバラ・プラントルが穴に落ち死亡。
ハネスは事故死とすぐに結論を出したが
隣国の警部がこれは事件だとし、捜索を始める。
(オーストリアの田舎の村の話。隣国ってことはドイツから警部が来たの?ドイツとオーストリアってそういう関係?)
警部に付き添って村人を調べ続ける中でハネスは村人から村八分にされる。
さて、捜査はどうなる。犯人は?




ネタバレは以下に。


バーバラ・プラントルは施設の若い男スラティーと付き合ってた。
村の有力者の娘として施設にいる男と付き合うのは許されないから。
 それを隠すために医者の息子ルイスと付き合ってることにしてた。 
バーバラが祭りの花嫁に選ばれた日、母は頭痛がするってことで先に帰った(ルイスと会っていた)。

父(プラントル)は祭の途中でスマホをチェック(バーバラからバーバラとチャーリーとのカーセックス動画が送られた)。

チャーリーとプラントルは近くの席にいた。
チャーリーはプラントルの秘書。
 チャーリーはプラントルを利用して村を出ようとしている。
 森の中にあるトニ・マレの小屋。
トニはいつも女性を小屋に呼んで酒を飲んでいた。
トニは酒場の店主。
 トニの小屋にバーバラのパスポートが残されていた。
 メリの証言「私とバーバラはトニの小屋に行っていない。 祭りの花嫁は私がなりたかったのにバーバラが父親の力で花嫁になった。私が花嫁になりたがっていたのを彼女は知っていたのに!」 
バーバラと付き合っているという設定のルイスが自殺未遂。 しかしルイスの自殺未遂の理由は他の女性(レナテ)に振られたから。
 レナテ・プラントル。バーバラの母。 
トニの小屋でチャーリーとプラントル氏がセックス。
チャーリーはプラント氏に迫られ関係を持った。
 それをバーバラとメリが見ていた。 
 父親の弱点を掴んだバーバラはチャーリーを脅して 車の中でバーバラとチャーリーがセックス。
それを撮影し、父プラントル氏にその動画を送った。
 祭りの夜、バーバラとプラントル氏が口論。
 プラントル氏が殴るとバーバラ死亡。その後バーバラを穴に落としたのだろう。 
プラントル氏、妻レトナに自供。
自主するため?に外に出るとちょうど警部とハネス。

ハネスは旅に出る。
カートさんに挨拶。
カートさんとキス。
カートさんは施設長。
そのキスを見て、施設の若者たちが拍手。
チャーリーは旅に出るハネスに声をかけられない。
おわり

映画『生きる』ラストネタバレあり 死に近い人間の異形さ 

2024-06-15 | ネタバレあり

生きる(1952年製作の映画)
上映日:1952年10月09日
製作国:日本
上映時間:143分
監督 黒澤明
脚本 黒澤明 橋本忍 小国英雄
出演者 志村喬 治日守新一 田中春男 千秋実 小田切みき 左卜全 山田巳之助






『生きる LIVING』を先に見まして
元のこちらも観ねば、と。

主役の渡邊は無為に生ききた、という設定だけど
まったくそんなことないじゃんね。

妻を早くに亡くし、幼い息子を男手1人で育てて、勤め先も無欠勤で働き続けてた。

**

戦後日本の必死に享楽的に生きようとしてた社会の背景もいい。

ヒロインの小田切みきの存在感が素晴らしい。
(顔が飯島直子に激似ですね)

渡邊と親しくしつつも
死期間近だと知ったときに
〝死に近い老いた人間〟を気持ち悪く、おぞましく、哀れな表情で
渡邊を見るのが生々しくて素晴らしい。

優しく励ましたり同情したりするのではなく、
軽く「キモっ……」って思ってそう。。

**

死に近い人間の、ちょっと人じゃなくなったかのような不気味な存在である渡邊。

〝志村が『ゴンドラの唄』を歌うシーンでは、黒澤から「この世のものとは思えないような声で歌ってほしい」と注文され〟たとこと。

**

終盤は渡邊について役所の人間たちが語り合い、
渡邊という人がどういう人間だったのかを形作っていく。

オチがいいですね。
オチは以下に書きますか。



ラストネタバレ


通夜の終盤で「渡邊さんの意思を継ごう!」と役所の人間たちは熱くなったのに
後日、今までと同じように市民を別の課へたらい回しにする。

日守新一が抗おうと立ち上がるも誰も賛同せず、日守新一も諦める。

結局何も変わらない。

いや、渡邊が作った公園に子供たちの元気な声が今日も空に響いている。






映画『市子』ネタバレあり 船の甲板の上で大事な写真見ないで欲しい

2024-04-21 | ネタバレあり

市子(2023年製作の映画)上映日:2023年12月08日製作国:日本上映時間:125分
監督 戸田彬弘
脚本 上村奈帆 戸田彬弘
原作 戸田彬弘 
出演者 杉咲花 若葉竜也 森永悠希 渡辺大知 宇野祥平 中村ゆり
脚本 上村奈帆 戸田彬弘
原作 戸田彬弘 
出演者 杉咲花 若葉竜也 森永悠希 渡辺大知 宇野祥平 中村ゆり


船の甲板の上で大事な写真見ないで欲しい。
風で飛んじゃうかもしれないし
風で飛んだら海に落ちて100パー取り返せないじゃん。

大事な写真甲板の上で見ないで欲しい。

**


無戸籍児の問題については、ドキュメンタリー映画『愛と法』で知ってはいたけど、
やっぱ問題の源泉は性差別、男女の不均衡だなと改めて思った。

〝法務省によると、
無戸籍となる原因の多くが、
前夫との婚姻中又は離婚後300日以内に子どもを出産した場合、
民法第772条の規定により、
戸籍上、前夫の子どもと推定されることを避けたり、
前夫に子どもの存在を知られたくないなどの理由から、
出生届を提出されないことが原因とされています。〟

とのこと。


その離婚後300日問題に関わる改正民法は、この4月施行。


**


複数の証言によって市子という人物の輪郭を描いていく、
という仕組みなので複数の証言者が出てくる。

それを演じる俳優さんたちが
「この数分で私の力全部見せたるねんっ!」と気合いが入った演技を全員が見せてくる。

その中で杉咲花の浮遊感が際立つ。

ラスト、20代の男女2人が乗った自動車の海への転落事故のニュースを宇野祥平が知るシーンも素晴らしかった。
動作としてはほぼ無反応。
「あ、市子がやったんだ…」って思ったかも知れないと思わせるシーン。

それまでがとても説明過多だったのでより際立って良いシーンでした。

 映画『異人たち』ネタバレあり 大絶賛の中、申し訳ないんですが

2024-04-20 | ネタバレあり

異人たち(2023年製作の映画)All of Us Strangers 上映日:2024年04月19日 製作国:イギリス アメリカ 上映時間:105分
監督 アンドリュー・ヘイ
脚本 アンドリュー・ヘイ
原作 山田太一
出演者 アンドリュー・スコットポール・メスカル




「LGBTQ物には食傷気味です…」
みたいな言葉を最近見まして、

は?
LGBTQプラスは
大衆を満足させるために提供されるコンテンツではなくて
単にやっと可視化されて
語られてこなかったことが
やっと語られ始めただけで
今後もこれくらいの量で語られるんだけど!?

じゃあ
「男女物には食傷気味です…」って声が出たらどうぞ男女物を縮小させてくださいな。

と腹が立ちました。


**

で、この映画。

大絶賛の中、、申し訳ないんですが、、、、、、、、、
ちょっと乗れなかった。。。。

まず、2部屋しか住んでない高層マンションで、もう設定わかっちゃうよね??
外に全然人がいないし。。
なので終盤でもとくにびっくりもしなかったし、、
「うん、だから、、死んでるってことだよね」ってなっただけ。。

**

テーマは好きですよ。

両親の演技も素晴らしくて
ほんとに幽霊を連れてくることに成功したのかと思いましたよ。
孤独の被害者のつもりでいた主人公が
実は「孤独にさせる」という加害者でもあった、というひっくり返しも良かったです。

ただ、その素晴らしいテーマを伝えるには
ちょっと演出がくどすぎませんか。
くさすぎませんか。

でもねぇ僕は同監督の『ウィークエンド』もそんなに好きではないので、、
これは好みなのかも。。

結構セリフで喋っちゃうし
映像もくどくて。。

もうちょっとドライさ、クールさというか、登場人物に対する突き放し感が欲しかったかな。

映画『哀れなるものたち』 これを2000円で観れるのは安い。。

2024-03-06 | ネタバレあり

哀れなるものたち(2023年製作の映画)Poor Things
監督 ヨルゴス・ランティモス
脚本 トニー・マクナマラ
原作 アラスター・グレイ
プロデューサー エド・ギニー ヨルゴス・ランティモス アンドリュー・ロウ エマ・ストーン
出演者 エマ・ストーン マーク・ラファロ ウィレム・デフォー



これを2000円で観れるのは安い。。


6000円ですって言われても「…わかりましたよ!」って払いますよ。
それくらいものを観ました。

演技から映像から音楽から美術から、僕が気づかないような何から何まで、目から耳から極上体験でした。

サウンドもほんと良かったんだよな。
美術もホント素晴らしかった。
眼福とはまさにこのこと!

『カリガリ博士』感ありましたね、美術が。

**

ただ、ランティモスファンとしてはちょい物足りない。。

前作同様ランティモス監督の中ではかなりわかりやすい。
何をやってるのか何が言いたいのかが常にわかりやすい。

2023年はマーゴット・ロビーが『バービー』を作り、


エマ・ストーンは『哀れなるものたち』を演じた、
っていうくらいにフェミニズム的にも語れる。

が、
主役の女性ベラが一番強く泣き叫ぶのは「格差社会を知った時」です。
語りたいのはフェミニズムだけではなさそう。

**


ラストネタバレは以下に。


夫がヤギにされてしまったことについては、、
そこまでしなくても……
男だって戦争に行かされたりして辛いんだから……
とちょっと思ってしまった自分の男脳に気づいたことも含めて面白かった。

『夜明けのすべて』 『ラースと、その彼女』感あり

2024-03-06 | ネタバレあり

夜明けのすべて(2024年製作の映画)上映日:2024年02月09日
監督 三宅唱
脚本 和田清人 三宅唱
原作 瀬尾まいこ
出演者 松村北斗 上白石萌音 渋川清彦




珍しい人たちを映画に引っ張り出して

珍しい人たちを映画に引っ張り出して
マジョリティに苦しめらる様子をさんざん描いといて
ラストで死ぬ、

で何故か観客は「感動したー」と感想を書く、

みたいな映画がずっと作られてきたし
日本では数年前まであったけれども、、
いやはやようやくここまで来たもんだ。

原作小説があってのことだけど
監督によって原作がよくても映画でズタボロにしちゃうパターンもあるもんね。

**

原作は未読だけど
おそらく原作がこのトーンなんでしょうね。

このトーンを映画にするのって本当に難しいと思う。
単なるほっこりあたたか雰囲気癒しムービーになりかねないもんね。

映像がとにかくずっと素晴らしい。
フィルムかなぁ。
音楽も素晴らしい。

俳優も全員すごいけど、特筆すべきは松村北斗!

何なのこの人。
なんでこんなことが軽々とできちゃうの。。

これこそ雰囲気だけでやっちゃって大失敗しそうなのに。
(なのにファンだけは「美しい涙だったぁ」とか言いそう)

マジでとてつもないレベルの演技をなさったと思うんですけど。。
何なの天才なの?

**

『ラースと、その彼女』感がありますね。


〝ヘンな人〟を周りが優しく受け止める感じ。
基本的には嫌な人が出てこない感じ。

それで言うと僕の好みなのかこれは、
今作はちょっと周りが善人過ぎな感じがありました。

露骨に嫌な人が出てこなくてもいいけど
もうちょい社会構造的な生きづらさみたいなものも描いても良かったかな、と。



ちょいネタバレは以下に

栗田科学の社員さんたちがみんな温かいんだけど、、 申し訳ないんですが、、
足立智充さんにどうしても狂気を感じてしまいまして。。。
だいたい僕が観てきた足立さんは後半で狂ってくるんで。。
そう言う意味もあって全体的にこの映画は温かく優しいだけすぎたかなぁ、、と。。


↓狂気の足立さん。




ドラマ版シーズン2『きのう何食べた』 劇場版からの起死回生!

2024-01-03 | ネタバレあり
※ 『劇場版 きのう何食べた?』のラストに触れます。

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2021年の映画『劇場版 きのう何食べた?』のの問題点を解消するために生み出されたのかのようなこの素晴らしいシーズン2!!


50代の人気実力ともにみなぎっている俳優2人が主演をした映画の割にはとてもノーテンキな内容でした。

長期間のパートナーシップや
それぞれの家族との関係や
仕事のキャリア、
お互いの健康や病気について
そして結婚制度から外されている同性愛者パートナーの老後について
などには重きを置かず20代俳優が演じてもなんとかなりそうなくらいでした。

この作品が好きな人に向けて作られた映画でしょうし
この作品が好きな人たちはとても楽しく観れたようなので
この両者にとっては良かったことと思います。

**

が、
この劇場版ではシロさんの母は息子のパートナーであるケンジを拒否するとこから始まって拒否したまま終了します。

さらに上乗せして「それでも2人が幸せならそれで良いよね」的な空気感で終わり。

実際劇場出た時に観客の1人が「あんなにいい彼氏がいれば十分だよね」と言っていた。

性的マイノリティの差別問題が「贅沢な悩み」「権利権利うるせーな」になっちゃうので、ほんとやめてほしい。

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って劇場版の問題点を挙げていましたが、
なんとも素晴らしいこのドラマ版シーズン2!

シロさんとケンジもいつか別れるかもしれない、というリアルさまで含みつつ、
ゲイの老後、親の世話、キャリアなどにも踏み込んで語られていました。

しかもコメディを交えて軽やかに。

ほら、できるんですよ!
ここまでのことが!
やりゃできるんよ!
ありがとうございます!

日本のエンタメ界をよろしくお願い申し上げます!

**

一点、
食費月2万という縛りが甘くなって
妙に豪華な食事が続いたし
「今日はいいか!」みたいな感じで糖分と脂質を気にせず摂取する回が多かった。
スポンサーの影響かと思いますが。。

映画『そばかす』ネタバレあり 題材への素晴らしいリスペクト!! 

2023-12-31 | ネタバレあり
そばかす(2022年製作の映画) 上映日:2022年12月16日製作国:日本上映時間:104分
監督 玉田真也
脚本 アサダアツシ
主題歌/挿入歌 三浦透子
出演者 三浦透子 前田敦子 伊藤万理華


良かったぁ。セリフがずっと良かった。


どんどん話が展開していってもうラストではと思うシーンが来てもそこからまだまだメリメリと物語が進んでく。

この映画に出会うべき人にきちんと出会ってほしい。

**

【作り手】
映画何作ろう
LGBTQとかいっとくか
(ちょっと調べて)なんか不幸そうだから不幸に描いとこ
【観客】
泣いた感動した役者最高!
【役者】
栄誉ある賞をいただき感謝します
【当事者】は?

っていう映画じゃないっ!
そんな映画ではない!

**

脚本はアサダアツシさん。素晴らしいですね。


まだ描かれていないアセクシャル・アロマンティックを持ってくることにも覚悟が必要だろうし
題材に対するリスペクトがハンパない。
リスペクトがあっても熱意と技能がなければムリ。
全てが揃っている。。
すごいアサダアツシ。。

**

この映画がアセクシャル・アロマンティックの全てを掬いきれているのかはわからない。

それは当事者の声を聞かなきゃいけない案件。
外の人間が査定しきっていいことではなさそう。

だからもっと何度も描かれていくべきですね。

「こういうアセクシャルのひともいるんだね」
「人によって違うよね、そりゃそうか」
「でも共通の悩みはあるかも」
ってなるにはまだまだ描かなければ。

**


ネタバレは以下に。




前田敦子と二人暮らし始めそうになったとき、「あ、そういうオチかぁ」と心配になった。
女性同士の連帯かぁ。
大事なことだけどアセクシャル・アロマンティックと結びつけていいのかな…と。。
しかしさすがのアサダアツシ。
前田敦子は同棲に最初からそれほど乗り気ではなかった。 そして前田敦子の結婚により同棲話は消滅。
ま、唐突感は否めない。。
三浦透子は前田敦子の結婚を祝う。
結婚に興味ないからって結婚したくて結婚する人を白い目でみたりはしない。 (そういう人もいるかもしれないけど、それはアクシャルじゃなくてもいる)
この映画の惜しい点。あのチェロの演奏が。。。音はプロの演奏家の方なんだけど。。
で、児童館の新入りとして入ってきた北村匠海。
クールな男子。

三浦透子を映画に誘う。同じ映画館で別の映画観る。
「終わったら集合しましょう」 映画終わって 「なんで私を誘ったんですか」と三浦透子。
北村匠海はシン・シンデレラのデジタル紙芝居を観ていた。 「自分と同じ人がどこかで生きてるんだって。」的なことを言う北村匠海。
あの時空気に負けて中断したシン・シンデレラ。
でも誰かに届いていた。
作って発表するってことはエネルギーの消耗も多いけど、遠くの誰かと繋がれてお互いエネルギーチャージができる。
手持ちカメラで画面がブレブレ。
イキイキした画面。
三浦透子走る。走る。笑顔。私全然生きていける。
終わり

映画『非常宣言』ネタバレあり 日本とアメリカと自国である韓国の描き方

2023-12-20 | ネタバレあり

非常宣言(2020年製作の映画)비상선언/EMERGENCY DECLARATION
上映日:2023年01月06日
製作国:韓国
監督 ハン・ジェリム
脚本 ハン・ジェリム
出演者 ソン・ガンホ イ・ビョンホン チョン・ドヨン キム・ナムギル イム・シワン キム・ソジン パク・ヘジュン ウ・ミファ ヒョン・ボンシク ムン・スク




面白っ!怖っ!


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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経験もあるし
隣国(日本とアメリカ(グアム))ならではヒリヒリ感もあり
センシティブなとこを突かれて、
通常のパニック映画よりも観客の反応は強めですね。

**

日本とアメリカと自国である韓国の描き方についてはコメント欄に。


**

申し訳ないけど、この映画は今くらいに観て良かったと思いました。。
新型コロナでヒリヒリしている時に観たらもっともっと辛かったことでしょう。。

今でも後遺症で苦しまれている方も多いと聞きます。
僕も友人の甥が重めの後遺症で苦労なさってると聞いたので、新型コロナも全然終わった話ではないという思いはあります。

**

なのでこの映画は十分な体感を持って恐怖を感じました。。


なんかどの人の行動も責められないというか、、
クソみたいに描かれている男もいるけど果たして…って感じするし。。

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で、どういうわけだか韓国を代表する実力派スターが集結してんのさ。

イ・ビョンホンとソン・ガンホ!
キム・ナムギル!
女優さんもみなさん存在感あって素晴らしい演技と思って調べてみたら演技賞取ってる方ばかり!
スター大集合なのね。

映像も音響も素晴らしいから、今飛行機がどっち向いてどんな角度でどうなっちゃってるのかがハッキリわかるし、
そのことでサスペンスがちゃんと生まれる。

話も二転三転、四転五転するわりにわかりやすいし、少なくとも迷子にはならない。。

**


た〜だ、、、話の着地がどこなんだろうと、、映画の終盤になるとそればっか気になるわけさ。


それはつまり燃料の残量によるわけよね、本来は。
なのに、燃料の残高を全然見せてくれないのでハラハラ感が削がれる。。

**

ネタバレは以下に!






中盤までは、さすが韓国映画!
パニック映画に社会派と人間ドラマ、さらにはコメディとカーアクションまで入れ込みながらもスピーディーで分かりやすい展開!さすがです!と感動していたけれど、、
終盤、
重めの人間ドラマを大味で描いている割に、
全員が「着陸やめます」と同意し出すとか
効かないと思ったワクチンが実は効きましたとか
通信切られたけど家族経由で連絡取れましたとか
ソウル空港OKからの軍の空港に降りますとか
風向き悪くなったり良くなったりとか
国民投票YESが急に優勢になってくるとか、、
なんかポンポン変わりすぎて、、ちょっと話に乗ってるの大変でした。。
ま、、言うてもエンタメパニック映画ですからね。。
**
まずアメリカがグアムの空港に着陸することを拒否しましたね。

次に日本が成田空港の着陸を拒否。
副機長が「非常宣言」を布告したのに自衛隊の戦闘機が威嚇射撃してきました。
結局成田空港の着陸は断念。
日本の首相は「ワクチンがあるから大丈夫って言ってるけどウィルスは変異してるんだからそのワクチンは効かないんじゃないの?日本としては日本国民を守る義務がありまして…」と主張。

韓国側も「確かに。日本側の言い分もわかる…」とある程度納得してくれた。

韓国国民の中でも、ウィルス感染した飛行機の着陸を反対するデモがソウル空港に集結。
「いつ書いたの?」っていう横断幕やプラカードを持って自国民の着陸を拒絶するデモ隊を描いた。

そうこうしてる間に乗客全員感染。

「家族にうつしたくない」ってことで着陸しないことを決断。(海に墜落するつもりだったのかな…。それはそれでどうなの…)
機内に妻が乗ってる刑事がウィルスを打って感染してワクチン注射!ワクチン効いた!

飛行機に連絡して「ワクチン効いたよ!」っつって乗客とCAたちは「じゃあ着陸しようよ」っつって着陸成功。

刑事はかなり体調悪い様子だけどどうやらほとんど乗客は健康な状態になった模様。
「え、ホントは全員死んだの??」と逆に不安になるくらいに幸せそうなほっこりした屋外パーティーの様子で映画終わり。

ま、全然良いんだけど、ラストあたりで一応日本とアメリカの言い分というか、あれもしょうがなかったよね的な、いきなりのことで対応ムズかったですよね的なカバーがあれば、、批判は少なかったんだろうな、と思ったりはします。


ネットフリックス映画『ノーウェア:漂流』ネタバレあり 年間一万個のコンテナが船から海に落ちてしまっているとのこと

2023-12-20 | ネタバレあり

ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)Nowhere
製作国:スペイン
上映時間:109分
監督 アルバート・ピント
脚本 アーネスト・リエラ ミゲル・ルス インディアナ・リスタ シアニー・ウィンスロー テレサ・デ・ロセンド
出演者 アンナ・カスティーリョ タマル・ノバス トニー・カルビーリョマリ アム・トーレス イリーナ・ブラボ ビクトリア・テイへイロ ルーシア・ソリア メアリー・ルイス


年間一万個のコンテナが船から海に落ちてしまっているとのこと。
もしその中に亡命者たちが隠れて乗っていたら??

**

国外脱出(亡命)しようとコンテナに潜り込んで船に乗せられたものの
荒波でコンテナが海に放り出されてしまう。

そもそもコンテナにはたくさんの亡命者が乗っていたけど、ある出来事により主人公1人になってしまっていた。

しかも妊娠中!

海の上にぷかぷか浮いたコンテナに閉じ込められた妊婦の運命は!?

**

ドキュメンタリーアニメ『FLEE フリー』でアフガンから難民がコンテナに潜り込んだあとの惨劇を観ていたので、、
冒頭のコンテナ乗り込みパートが観てて苦しかった。。
もう怖い怖い。。怖かった。。

でも、、
他に観るべき映画がたくさんあった。。


ネタバレは以下に!








いやいや、産まれちゃったよ。。
食べちゃったよ。。
 クジラが赤ちゃん助けたよ。
 女優さんが頑張ってるので言いにくいんだけど、、 何がつまんないって「偶然助けが来る」か「偶然陸地に流れ着く」しか助かる方法ないんよね。
 その偶然ゴールに向かって、 いろんなサスペンスやスリラーを順番にやっていくんだけど 主人公ひとりしかいなくて途中で死ぬわけねーんだからそんなハラハラしないよね。。 
ラストはコンテナが沈んで発泡スチロールで浮かんだ赤ちゃんがどっかながれてったけどクジラが近寄って赤ちゃんが泣いた声で母が赤ちゃんを見つけて、 発泡スチロールで浮いてたらカモメが寄ってきてていうことは陸地が近いじゃんっつってたら 漁船が来て赤ちゃん助けて 紐で繋がってた母を海から引っ張りあげたら 心停止してたのを漁師の女性が人工呼吸して息を吹き返してメーデーメーデーっつって陸地見えてきて良かったね!って終わり。