『フレンチアルプスで起きたこと』感がありますね。
日常が崩れていくサスペンスコメディ。
もっとシャープにして欲しかったかなぁ。
なんか散漫な印象。。
グレン・クローズの顔芸は面白いし、見ものだし、
旦那役は『2人のローマ教皇』(僕は好きな作品ではありませんが)でも存在感のあったジョナサン・プライスなので
見ていて一切飽きる時間はないです。
**
老齢の夫婦のもはや憎しみや愛情を超えた繋がりの描写は面白いです。
喧嘩してても孫が産まれりゃコロッと仲直り。
でもすぐケンカ。
また喧嘩してもどっちかが具合悪くなりゃ「愛してるわ!」って。
コントみたいだけどこれが老夫婦かなと思わせる真実味がありました。
ものすごくいいシーンのですよ。
**
もうちょっとハッキリとコメディ寄りにしても良かったのかなあ。
その方がグレン・クローズの演技も引き立ったのかも。
**
男が主夫やることになんの障壁もなければ起きなかった事件です。
女性差別と男性差別は表裏一体です。
El último traje/The Last Suit
外出自粛の3月29日。
映画見まくり。
**
コメディとのバランスがいいですね。
予告編も作りやすそう(笑)。
主役のミゲル・アンヘル・ソラさんが素晴らしい。
顔が怖いし優しいしかわいい。
手のつけられないダメガンコじじい感が溢れてる。
**
父の罪はアコーディオンだ。
叔父の罪はバイオリン。
2人は演奏しただけで銃弾で頭を撃ち抜かれた。
聞いた話じゃない。
この目で見た。
妹の罪は一ヶ月遅く生まれたことだ。
赤ん坊から10歳までの子供は列車に積まれた。
泣き喚く子供たちを天井まで列車に詰め込んだ。
あと一ヶ月早ければ11歳だったのに。
聞いた話じゃない。
この目で見た。
**
回想シーンも多いけど
1番の地獄はセリフで語られる。
このじいさんがいかにドイツを恐れているかが問答無用で伝わる。
しかも、おどろおどろしく語るわけでもない。
「どうせアンタにゃわからんだろ」ってな感じで語る。
だからなおさら胸に突き刺さる。
胸に突き刺さなきゃと思う。
**
ナチスの蛮行を反省し続けるドイツ。
見習いたい。
**
93分。
切れ味も良い。
良い映画!
ザ・ピーナッツバター・ファルコン
The Peanut Butter Falcon
上映日:2020年02月07日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:97分
最高!永久に最高!地球が滅んだ後でも最高!ブラックホールが蒸発しても最高!
ただ、、、、一点どうしても気になるとこがあって。。。。。。
これ気にしすぎな気もするし。。
でも気にしすぎかどうかを判断するのは俺じゃないしな。。
とかいろいろ逡巡しちゃう時点でやっぱイマイチ感出てきちゃうし。。
残念。。無念。。
ってなことについては、下の方に。。
*****
四コマ映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2484
*****
寓話感がいいですね。絵本感がいい。
さらにこれが「いつかは終わる」感もいい。
ザックとタイラーのふたり旅にエレノアが加わって3人で目的地を目指す。
目的地があるってことは、いつかは終わるということ。
この旅路が愛おしければ愛おしほど、期限があることを思って切なくなりましたよ。
****
この映画は『ハックルベリー・フィンの冒険』を下敷きに、現代化しているとのことです。
『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んだことないです。
夕方だか朝だがにやってたアニメは見てましたけど、さすが全然話覚えてない。。
あらすじを読むと「奴隷制度のない州を目指して」「ミシシッピ川を下る旅に出る」とあるんですが、、
北上するんじゃなくて、南下するの??
ミシシッピ州から南下したルイジアナも奴隷州じゃん。。だめじゃん。。
そういうエンディングなのかな。
読んでみないと。
****
『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』では
ザックはこの旅が終わると今までよりもキツイ施設に送られることになっている。
タイラーは自業自得だけど最低でも半殺しに遭うことになってる。
エレノアはザックを施設に連れ戻さなければいけない。
絵本のような旅路の終わりには結構辛い現実が3人にはある。
手作りのイカダでゆっくりと海を下るという、楽園シーンがあるんですが、
あそこは地形的に波がほとんどない海らしいです。
あそこでしか実現しない夢のイカダ旅。
過酷な現実を生きる「オトナ」たちに奇跡的に与えられた楽園ですよ。
束の間の楽園。
その後には現実がやってくる。
罪を犯せば罰がやってくる。
コドモでいた〜い ずっとトイザラスキ〜ッズ って歌ってみたところで、俺たちはもうすでにオトナ。。
だからこそたま〜〜にはこういう楽園に浸りたっていた〜い。
****
主題歌『Running for so Long (House a Home)』も最高。
〜
長い夜が明けて 分かってきたんだ
ぼくは皆んなが言うほど壊れていないと
ずっと 逃げ続けてきたけど
君にあって 離れられなくなって
ぼくに家ができた
きっと ここがぼくの家
〜
****
ラストと上記については以下に。
タイラーは半殺しに遭います(自業自得かな)。
で、3人でフロリダで暮らすっぽいですね。
ラストまで楽園物語にしてくれました。ありがとう!
でも、映画は終わるのです。
映画館を出れば現実です。コロナです。クソ政治です!!!ケッ!ファック!!
一個気になるのは、マジカル・ニグロの存在。
白人の主人公を助ける謎の黒人キャラクターのこと。
突然出てきて突然消える。
だいたい「何らかの形で外面あるいは内面に欠陥を抱えており、差別を受けているか、身体が不自由であるか、社会的に抑圧されているかのいずれか」である、とのこと。
「そしてここにマジカル・ニグロの最も厄介な問題があるといわれている。
つまり黒人を肯定的なキャラクターとして描いているようにみえても、結局このわかりやすい見取り図の中で黒人は白人に従属的であり続けているのである。
この「好ましい」黒人は、『手錠のまゝの脱獄』というマジカル・ニグロの先駆的な映画でシドニー・ポワチエがそうであったように、白人の主人公を救うためなら自らを犠牲にすることもいとわない。
しかし当のアメリカ人男性には「黒人も個人としてなら好ましいが黒人の文化一般はそうではない」ことをよしとする存在でもある。
マジカル・ニグロの定義には、黒人だけでなく、ネイティブ・アメリカンなど、その他の有色人種もしばしば含まれる。」
wikiより引用です。
途中で盲目の老いた黒人が出てきて、ザックに洗礼の儀式をして、イカダも作らせてあげる。
だいぶ「マジカルニグロ」感強い。
ま、ただ今回のこの老人はあんまりマジカルパワーないんですよね。
洗礼はしたけど、3人は「はいはい…」ってなリアクションだったし
イカダは自分らで作ったわけだし。。
でも、上記の「マジカルニグロ」の条件に当てあはる項目の方が圧倒的に多い。。。
これが「アメリカの大人たちの子供心を満足させる映画」に出てくるキャラクターとしてはだいぶ危険ですよ。。
ディズニーの『ダンボ』(1941)を楽しくみてたら、顔もない黒人たちが嵐の中テントを貼るシーンが出てきて黒人はそれ以外のシーンでは出てこないってのがあるんですけど、それのよう。。
う〜〜〜ん。。。。。
やっぱ、、こう言うキャラクターやシーンがあると心から楽しめなくなっちゃうなぁ。
ザ・ピーナッツバター・ファルコン
保管所から抜け出して逃亡。
この手には視覚も聴覚もある。
知能も記憶もあり
何かに触れると以前の記憶を思い出す。
***
何処かへ向かおうとする手と
記憶の中の自分が交互に描かれます。
記憶の自分は悲しい過去を背負いつつも淡い恋の話もあったりします。
手はなかなか大変で
鳩やネズミや犬と戦ったり
凍った池にハマったり。
あったかい風呂に浸かって束の間の休息を得たり。
中々のアクションの連続。
***
手の感情表現がものすごい!
人間はみんな結構無表情なんだけど、
手は顔もないのにものすごく感情を伝えてくる。
ナウフェルの元へと帰りたくて仕方ない。
ただただ本能に従って、元の体へ帰ろうとする手が本当にせつない。。。
素晴らしい。
素晴らしいんだけど、
よくわからない。。。。。。
なんなのこの話。。。
ネタバレは以下に。
手を保管してた施設は何なの?
全体の雰囲気は病院っぽいし
業務用の掃除機をかける従業員っぽい人もいるし
メスなどの手術用具も手術台的なものもある。
普通に考えたら病院。
でも
ちゃんとした病院が
切り落とされた手をビニールに入れて冷蔵庫で保管します?
目玉もいっぱい冷蔵庫に入ってたし。
脳や心臓的なものも結構雑にビニールに入れられてる。
冷蔵庫に入れる?
怪しい茶色の帽子かぶった謎の男も出てくるし。
ガラス越しにシルエットのみで登場してまるでマフィア。
この男、全然医者っぽくないし、施設の人間っぽくない。
BGMもスリリングだし、殺人者のように映してる。
部屋の中であんな帽子かぶるかね、まともな人間が。
犯罪者組織なの?
臓器売買?
手とか目も売れるの?
つーか誰がこの『手』をこの謎の組織に渡したの?
この謎の組織が手を盗んだのかな。。。
ま、普通考えれば、医療施設なんだろうね。。
変な点が多すぎるけど。
てことは、
手は冷蔵庫から抜け出さなければナウフェルの元に帰れたのでは?
なぜわざわざ逃げ出したのか。
しかも、結局ナウフェルと再会しても、元の体に戻れなかったし。
そのまま冷蔵庫に入っていれば元に戻れたのに。。
***
そうそうラスト、結局ナウフェルは右手がない状態で、元気を取り戻して前向きに生きていくんよね。。
せつない。。。。。
悲しいじゃん、、これから手はどうやって生きていくの。。
ほんとに悲しい。。
なんなのこの話。
Bombshell
上映日:2020年02月21日 / 製作国:アメリカカナダ / 上映時間:108分
ジャンル:ドラマ伝記
あんま邦題に文句言うのは避けてますけど、
これはちょっとなぁ。。
セクハラをスキャンダラスに報じること自体に問題があるってのに。。
原題は『Bombshell』。
爆弾,
砲弾,
(通例不快な) 人を驚かすような事,
突発事件,
魅力的な女性,
かわいこちゃん
などの意味があるとのこと。
この映画を言い得てますね。
***
シャーリーズ・セロンが死ぬほどかっこいいし、やっぱ上手い。
顔に気合が満ち満ちている割に、結構ずっとどっちつかずで揺れ動いているのが人間らしい。
正しさを見極めようとする人ほど揺れ動くものよ。
まったく動かないあの先輩女性アンカーはどっぷりガッツリ保守派でしたね。
***
マーゴット・ロビーを演技うまいと思ったことがなかったんですが、上手いね!
セリフが少ない方がこの人は力出せますね。
表情が素晴らしい。
主役3人でエレベーター乗ってるシーン。
セリフはないけど
マーゴット・ロビーの「私はこれから恥ずべき行為をしにいく」感が溢れてて悲しかった。。
電話で友達に事件のことを話すシーンも良かったですね。
「わたしはなんて穢らわしいの…」と号泣。
この役の人も保守派で福音派のクリスチャンなわけですから、どれほど苦しいか。
***
FOXは、とんでもないセクハラ人間を退治しました!
って話になってるけど、
FOXニュースは保守メディアであることが売りで
トランプを全面的に支持している。
この映画でも、
同性愛者の女性スタッフは結局、恋人とのツーショット写真を引き出しの机に隠す。
「ビアンがFOXにいわれるわけがない」と自分を隠し続ける。
「こういう問題を提示しているこの映画は素晴らしい」
と言う人もいれば、
「そうだ!同性愛者は隠れて生きていればいいんだ!」
と言う人もいる。
どっちも喜ばせられる。
上手い映画だねぇ。。
脚本 アリ・アスター
出演者 フローレンス・ピュー ジャック・レイナー ウィル・ポールター
予想もし得ないことが起こった!びっくり!
という映画ではないですね。
フラグ立ちまくりで「えぇ、絶対この後こうなるじゃん。。」って思ってるとこうなる。
「こんなことしちゃってコイツ絶対ああなるじゃん。。」って思ってるとああなる。。
そのジワジワ感が怖い映画です。
引きずり込まれていく。
それは登場人物たちも同じ。
ウルトラ本気出せば逃げられるけど、一般人はウルトラ本気出しませんからね。
やばいと思いつつも、そこにいる。
で、指示通り動いて、ああなる。。
*****
四コマ映画『ミッドサマー』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2478
ミッドサマーはフィクションのホラー映画です。
*****
映像も美術も舞台もキレイだし、頻繁にびっくりすることがおきますけど
全体的にはゆったりと進みます。それが怖い。
ザーンッと話が進んでくれた方が怖くない。
*****
なので、結構自分のこと考えながら観ました。
*****
僕は大学の時に宗教学ゼミを取っていました。
僕自身は無宗教ですが、家族には結構な強めの宗教を信じてる人がいます。
家族五人のうち二人がその宗教を信じていて、僕を含めた三人はノータッチです。
ただ、家がそんな感じだったので宗教には客観的な興味があり、向き合わねばならない題材だったので、大学で宗教学ゼミに入りました。
****
そのゼミはフィールドワークに重きを置いていたのも、僕には合っていました。
日本のある地方のコミューンに、教授と生徒6人で、5泊6日くらいで調査に行きました。
この調査はそのコミューン(詳細は明かしませんが)からの依頼でもあり
「自分たちは何も悪いことしてないのでちゃんと調査して内情を広めてほしい」とのことで調査に行きました。
行く前は「飲み込まれたらどうしよう」という恐怖があったのですが、行ってみたらそこの人たちは至って普通で優しく、はっきり言って、居心地良かったです。
でも教授は「お前らは絶対ケンカをする」と予言していました。
僕を含めたゼミ生6人は「ケンカするほど仲が良くなかった」ので、全員がケンカをするわけないと思っていました。
が、3日目くらいにゼミ生6人でケンカになりました。
やはり普段と違う生活環境、思想に全員ジワジワとストレスを受けていたのでしょう。
ここで暮らしている人たちは確かに幸せそうでストレスなさそうだし食べ物も全部びっくりするほど美味い。
頭が切り替わって飲み込まれてしまえば、ここで生きるのも幸せだろうなとは思っていました。
ただ僕自身はここで生きていけるほど、いわゆる「理想の生き方」ができる人間ではないので、100パー無理だったのですが。
****
なので『ミッドサマー』に出てくる人たちはちょっと見覚えがあったんです。
全然こんな犯罪者集団でもないし、猟奇的な初体験も(たぶん)ないんですけど
この「数十人集まってひとつの生命体」みたいな存在には見覚えがありました。
「個」と「集団」のバランスがおかしいというか。
バランスをとろうという考えすらなく、完全にどう考えても「個」よりも「集団」の方が優位に立っている集団。
僕はもうこういうのが死ぬほど怖いんです。
そういう集団にいる個人を見るのも怖い。怖いというか恥ずかしくなる。
人間の物凄く恥ずかしい部分を見せられている気になる。
ただ、同時に物凄く人間的にも見える。
で実を言うとちょっと興奮する。。
「うわぁこの人飲み込まれてるぅ」と興奮する。。
「さっきと言ってること全然違うじゃん。飲み込まれてるぅ」とアガる。
ちょっと憧れもあるのです。
それは集団の中で生きる技術のひとつでもあると思うので。
自分の中で「個」と「集団」のバランスを取りながら生きる技術。
僕にはそういうのがないので。
だからひとりで仕事してま〜す。
おわり
*****
四コマ映画『ミッドサマー』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2478
ネタバレは以下に。
ダニーはグルグル永遠ダンスゲームで勝利して「メイクイーン」に輝く。
大屋政子みたいな豪華な服を着せられる。
みんなに崇められてちょっとノリノリなダニー。
***
コミューンの住人マヤは初Hできる状態になって、
クリスチャンのことをイケるって思って、クリスチャンに陰毛入りのパイを作ってあげます。
人肉でも入れてるんじゃねえかと思いましたけど、ただ陰毛を入れただけでしたね。
自分の陰毛を口に入れて「うえ、陰毛だ!」っつって吐き出したクリスチャンを見て、マヤはニヤッと笑います。
どういう儀式なんですかね。
あの陰毛に媚薬的な効力があったとは思えないんですが、クリスチャンは離れの建物に導かれます。
そこでウ●コ混ぜましたみたいな飲み物を飲まされて、マヤのバージンを奪います。
クリスチャンのお尻にぼかし入ってるのは本当に興醒めでしたね。。
なんで女性のは映して良くて男の尻はダメなの。。
このぼかしは本当に邪魔だった。
周りには全裸の女性たち。
自分で胸を揉んで「アンアン」言ってます。
正常位で感じているマヤの手を握って「大丈夫よ」的な顔をしているのはマヤのお母さん。
今セックスしてる女性のお母さんが目の前にいることにギョッとしたクリスチャンですが
クスリでキマッてるので問題なし。
見事射精しまして、無事コミューンの中に外部の血が入りました。
賢者タイムを迎えたクリスチャンは、映画始まって以来初めて、正気に戻ります。
賢者タイムは強力ですね。
男は賢者タイムでしか正気を保てないのか。笑いました。
逃げようとするも捕まり、熊の中に入れられるクリスチャン。
***
ちなみに
アンアンやってる声を聞いたダニーはこの建物に近寄り、ことの次第を全て見てしまう。
少女とガンガンやってるクリスチャンのお尻を後ろからバッチリ見ます。
大号泣するダニーの周りに女性たちが集まり、ダニーに負けじと号泣します。
大共感。極共感。
ここまで共感されると逆に冷静になれるかも。
***
祝祭のラストは9人の生贄を捧げる儀式。
冒頭で飛び降り自殺した老人2名と
外部から来た5名と
志願者2名。
精子を提供したクリスチャンにはチャンスが与えられて
ダニーがクリスチャン以外の男を生贄に選べばクリスチャンは生贄にはならずに済むというシステム。
つってもクリスチャンが生きて帰れるとは思えませんけどね。
殺人現場見てるわけですから。
で、ダニーはクリスチャンを選択。
クリスチャンは生贄に。
自分に冷たくして、ついには裏切ったクリスチャンに恨みをはらしたワケです。
****
すでに死亡した4名の遺体(もしくは人形)
志願者2名とクリスチャンが、黄色の三角形の建物に入れられます。
クリスチャンはもう脳ミソが機能していない状態なので、これから何が起きるのかわかっていない。
志願者二人には猛毒の果実(イチイでしたっけ?)をジャム化させた物を舐めさせます。
「これで恐怖が消えるから」と。
そうですかってな感じでペロリとする志願者二人。
火が放たれても、落ち着いていたけど
いよいよ熱いってことになると
恐怖がこみ上げてきて絶叫する志願者。
これが正常な反応。
これが人間の反応。
やはりこのコミューンは異常であると教えてくれる表情。
猛毒の果実の効果を生きてる人間は知りませんからね。
実際に恐怖が抑えられたのかどうか知ることは出来ませんから。
冒頭で飛び降りて、石に当たりそびれて足が明後日の方向に折れたおじいちゃんの絶叫。
あれが人間の正常な反応。
それ以外は異常でした。
****
燃える建物を見て、ニヤッと笑うダニー。
ダニーは死ぬまでここから出られません。
おわり。
****
観客の女性が「ねえ、なんの映画だったの?」と言っていて、「確かに」と思いました。
1917
上映日:2020年02月14日 / 製作国:アメリカイギリス / 上映時間:110分
ジャンル:ドラマ戦争
照明弾のシーンは素っっっっっっっっ晴らしいですね。
闇の中で、照らされることの恐怖。
強烈な光に晒される恐怖。
影がグォーっと大きく動いて、映っているもの全部が悪魔のように見える。
このシーンだけでも観る価値ある。
ていうか映画館で観とかないとね。
***
これの前に
『彼らは生きていた THEY SHALL NOT GROW OLD』https://filmarks.com/movies/81845
を観てしまったのは失敗だったなぁ。。。
どちらも西部戦線の地獄を描いているけど、
『彼らは…』は実際の映像や写真、そして帰還兵のインタビューのみで作っている。
そのソリッドさと比較すると
『1917 …』は情報過多でテレビドラマ『JIN-仁-』観てるみたいだった。。。
『1917 …』観た方は『彼らは生きていた THEY SHALL NOT GROW OLD』をぜひ。
すごいので。。。
***
音楽うるさいね。。
はい、ここからスリリングパートです
ドキドキしてね!死人でるかもよ!
さて、打って変わってほっこりパートです。
人間性感じてね!
とかなんとか言いつつ激戦パート始まり!
で、ラストはチェロで泣かせます♪ハンカチどうぞ〜
ってのがうるさい。。
それはこっちが判断するからっ
(同作曲家の『キルトに綴る愛』は素晴らしいスコアですよ)
***
カメラもグリグリ回ってうっとおしい。。
カメラに存在感があり過ぎて「これは映画です」感が増しちゃう。
「あ、今真っ暗になったここでカットだな」とか
「この岩、CGか。じゃここでカットね」とか意識しちゃう。
全然没入できなかった。。
もっとうまくワンカット風にできたはずです。
***
「うわぁすごい没入感ある〜!」って楽しめる若い人を劇場に呼び込んで
席に座らせて
死屍累々の西部戦線地獄を見せつける、というのが目的なら成功していますよ。
若い人に「戦争は地獄だ」と教え続ける義務がありますからね。
***
説明台詞も多いですね。
2人しかいないのにすんごい喋るから
観客のためにわかりやすく喋ってんだなぁって思っちゃう。
ネタバレは以下に。
ブレイクが亡くなってスコが1人で進み始めると、途端に面白さがアップしますね。
もっと1人のシーンが多かったら良かったなぁ。
フランス美女パートはいらなかったかなぁ。。
いくらイギリス軍の兵士っつっても、彼女にとってはどっちにしても恐怖のはずですよ。
このラブ要素入れました感はだいぶ良くない。
たまにワープしますね。
全然いいんですけど。
前線と野外病院があんなに近いわけない。
ワープ。
ブレイクが死んだあとも急に仲間のイギリス軍ゾロゾロが出てくる。
ワープ。
ワンカットにするためにはしょうがない。
ワンカットが売りの映画だから。
ベネカンが出るなんて全く知らなかったので、ラスボスとして出てきたときは拍手しそうになりました。
ただまぁここでも突如叙情的なセリフを喋り始めますね。。
やる気満々だったを急に攻撃中止されられたのに、数十秒後には初めてあったスコに心情吐露し始めるもんね。。
製作費1億ドルかけてるんでね。
わかりやすい映画にしないと。。
3億ドルは稼がないと!
あと1億6000万ドル!
頑張って!
どうせ途中でワープするのなら、兵隊に志願するところからやって欲しかったなぁ。
「兵隊に志願しない男は臆病者扱いされて笑われる」という空気の中で、どういう戦争なのかも分からずに、扇動されて、若者たちがノリノリで志願しちゃう。
そんで、訳もわからず訓練受けて、「あ、マジか」と気づいた時にはもう西部戦線に送り込まれてる、という流れが欲しかった。
イントロの、牧歌的な芝生の風景からトボトボ歩いてるうちに塹壕がどんどん深くなっていく、というシーンがそれに当たるんだろうけど、
これ以降の情報過多さに比べると、ここは流石に説明不足では?
戦争って意外とぬる〜っと始まっちゃうってのが本当の恐怖なのに。
それを若い人に教えとかないと、またぬる〜っと戦争行かされるよ。。
1917 命をかけた伝令 ブルーレイ+DVD