映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

さざなみ

2017-02-24 | 映画イラスト

























邦題批判ブームが続いていますね。


どうせならいい邦題にはちゃんと褒めて欲しいです。





この「さざなみ」はすばらしい邦題。


原題は「45 Years」。





主人公の夫婦が結婚45周年なので、そのまま。


向こうのタイトルってほんとシンプルですね。





週末に結婚45周年パーティーを控えた熟年夫婦が主人公。





ある朝、夫の元に手紙が。


50年以上前に付き合っていた恋人の遺体がスイスの山で発見された、と。





夫のその恋人がスイスで山登りをしていたら、恋人だけ滑落しちゃってそのまま遺体は発見されることはなかった。


そして、その後今の奥さんと結婚しました。





妻はそんなこと全然知らなかったし(あ、知ってたかも)、夫もほとんど忘れていたんだけど、突然の知らせに夫の思い出がスイッチ発動。





物置から昔の日記や写真を引っ張り出して思い出に耽りまくり。





ひっっっっさびさの夫婦生活の直後にも「彼女と結婚するつもりだった」なんてこと言っちゃう始末。








妻は心の中で「ふっざけんじゃね~~~~~」ってずっと思ってるんだけど、それを表に出して今更この結婚生活にヒビを入れたくもない。





名女優シャーロット・ランプリングがそのあたりの演技が上手い!


目、怖いもん。


(この演技でオスカーノミネートされました)





「私めちゃくちゃ怒ってるし悲しいし不安だけどそれを表現したりはしません。


あなたはそうやって堂々と彼女の思い出にふけって結婚生活ぶち壊そうとしてるけど、私はそういうことしません。」


っていう表情が上手いし、怖い。。





結局は夫に不満を口にするんだけど、夫の方はイマイチ意味がわかってない。


「昔の話じゃん。。」ってな感じ。それにまたワナワナする妻。








しかもその彼女の写真を妻も見ちゃって、そこで衝撃の事実を目撃。。





妻の心はさざなみのようにザワついたまま、それは永久に止まらない。





そして、45周年パーティー当日を迎えるのです。


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あ~怖い、あ~怖い。















フレンチ・ラン

2017-02-23 | 映画感想
映画「フレンチ・ラン
















映画「フレンチ・ラン

 これぞ正しい90分映画。


どうせ知らない人たち(主演の二人知らなかったもので、、)がパリを舞台に走ったり殴ったり困ったり多分誰か死んだりして85分後に事件解決して、「全くお前って奴は!ハハハッ!」って肩でも組んでパート2を匂わせながら知らないラッパーの曲がエンドロールで流れる映画だろうなと思っていたら、

本当にそんな感じの映画でした。


でもいいんです!
正解なんです!

かっこいい凸凹コンビがちょっと笑いも挟みつつ対立しあったり協力しあったりして、「スリ」というポイントも抑えつつ、サブキャラの女性も可愛くて、アクションもほとんどスタントなしでリアルにやって、それだけだと流石に映画として軽すぎるから、実際の世相を反映させたテロに怯えるパリを舞台に、ツイッターで過激なことを呟かれるとすぐにそれに煽られる民衆への風刺も入れつつ、陰謀と裏切りのこんがらがった事件を凸凹コンビが解決したら、あっという間に時間は過ぎて90分。


これだけ楽しんでも90分しか時間経ってないんだからお得お得。

大好き、90分映画。




映画「フレンチ・ラン



映画「フレンチ・ラン




ヨーヨーマと旅するシルクロード

2017-02-23 | 映画イラスト


































ヨーヨーマと旅するシルクロード


シルクロードとは、ヨーローッパ大陸とユーラシア大陸をズバッと横断する陸続きの通商路のこと。



ヨーヨー・マの「シルクロード・プロジェクト」は、シルクロード沿いの民族音楽の音楽家たちを集めて、それぞれの民族の差異、共通項を見出しさらに新しい音楽作り演奏することで、それぞれの伝統音楽を残していこうという、文化人類学的な意味合いで始められた。


このドキュメンタリー映画も冒頭は「シルクロード・プロジェクト」の成り立ちや過程を追っているが、途中から演奏家一人一人にスポットがあてられていく。


イランで革命が起きて家族全員死に自身はヨーロッパを何千キロも歩いて逃げた過去を持つ、イランのケイハン・カルホール。
内戦続くシリアから亡命したキナン・アズメ。
文化大革命で国外に出させるために両親に音楽を学ばされたという中国のウー・マン。
などなど。


故郷を離れて国境を越えて活躍する音楽家たちの、どこにいても“外国人”である自分のアイデンティティを再構築する姿を描いている。


神妙な気持ちにもなるけど、当然ながら世界的な音楽家たちの名演も素晴らしい。



特に最後の全員によるアンサンブルが民族音楽の結晶としてのカタルシスに満ちていて大感動です。

ストロングマン

2017-02-21 | 映画感想







他人より優れていたいという人間心理を描き出し、


第89回アカデミー外国語映画賞のギリシャ代表作品に選ばれた謎のコメディドラマ。




ヨット遊びで休日を過ごしていた中年仲良し6人組。


自分たちの港に帰るまでの暇つぶしで「最高の男」決定戦を始めてみる。




最高の男にふさわしい振る舞いをしたものにはその都度、互いにポイントをつけていく、というシステム。


ジェットスキーを乗りこなせたらプラス。
血糖値が高いとマイナス。
着信音がダサいとマイナス。
掃除が早いとプラス。
寝相がいいとプラス。
助けを呼んですぐ駆けつけてきたらプラス。
などなど。。




単なる遊びだったのにムキになってくるのが男の悲しい性。
とっくに寄港したのに戦いは延長戦へ。。






男が6人も集まるとアホになるのは男なら自認しているでしょう。小さな集団に褒美が一つだけ与えられる時の社会心理実験。








クスクスじわじわ笑えて、見終わった後に「自分はこんな見苦しいことしないけどね〜」と言いたくなるけど(実際僕は言った…)、実際こういう状況になったらムキになるんだと思う…。