てのひらの迷路 石田衣良
帯には、著者初の掌篇集とあります。
昨年漢字検定の勉強をしてからというもの、それが幸いして読書をする習慣を身に着けつつある今年の私。
確実に読むペースが落ちてきていますが(苦笑)。
掌篇集(=ショートショートっていうらしいですね)という言葉もこの本で初めて知ったくらい、読書に関しては初心者でおはずかしい限りですが、読み終えての感想は、こっち(あくまでも私個人)に通じないオシャレなフレーズが多いかな、という印象でした。
かといって、話がオシャレすぎて、私の生活の範囲では理解できないものかというとそうではなく、『うまいこと言うなぁ。』と関心させられる視点で書かれた作品もありました。
あと、なにより良かったのが、読むのに負担がなかったことです。
長編小説だと、登場人物の名前と構図が一致せず、前のほうを読み返すこともあるのですが、一話が短いのでそんな心配がなく読みきれました。
作家という職業の方からしてみれば、折角膨らんできた話を、限られた原稿用紙の枚数に収まるように削っていくことのほうが骨の折れる作業だったりするのだろうかと思ったりしながら、作品を読みました。
印象に残った作品は、『書棚と旅する男』『終わりのない散歩』は、どちらも年配の方が登場するお話です。
どちらの人物も、語り手である人物をハッとさせることをするのですが、一方は悲しいファンタジーのようであり、もう一方は現実そのものを見せつけられるものでした。
もうひとつは『地の精』。
第六感で理屈抜きで感じる”何か”を体験したことがある人には、通づるものがある作品だと思います。
今日の記事のように読んだ本を振り返るとき、まだその作品を読んだことのない人に伝えようと思いながら書くのと、自分だけがわかる言葉で感想を書くのとでは、全く言葉選びが違ってきます。
私にとっては前者の方がはるかに困難で、ブログの性質上、内容を暴露しないように伝えるというのはやっぱり難しいですね。
読書感想文だと思って書けば、独り善がりでもいいのかなぁ。ムムム・・・。