君は誰?43

2025-01-23 09:34:29 | 日記
松田は、目を閉じ黙って鏡の前にある椅子に座ると、ゆっくりと目を開けた。

「映ってる」

さっきまで『自分が映らない!』と混乱していた松田だが、今度は落ち着き払って鏡を見つめている。

「な、大丈夫だろ、映ってるだろ!」

「もう、いいから帰ろう!」

「あっ…誰?……誰だ?」

「何?今度はどうした?!」

「オレの後ろに…誰か立ってる」

「え?」

鏡を覗き込んだまま、松田は自分の後ろに映るらしいモノを指差した。

「誰もいないよ。松田の後ろは壁だよ」

「ううん…。誰かいる」

「やめろよ!もう帰ろう!」

正人は無理やり松田を椅子から引き離した。