今日は次回撮影の準備と落語三昧。まずは円生の「吉住万蔵」。人情噺と言われているようだが、怪談めいたところもあり、サゲはカラッとしていて悲惨な筋の割に後味は悪くない。約120分の長い話だが、飽きることなく聞きほれてしまった。
鳴物師の万蔵、旅先の熊谷で逗留した宿の娘お稲に稽古をつけてやるが、その夜二人は結ばれる。再会を約束して江戸に戻った万蔵だが、おいらん花遊の元に通い詰める間にお稲を忘れ懐具合も悪くなる。ある日、花遊の部屋で悪夢を見て、お稲のことを思い出す。只事ではないと思った万蔵、熊谷へ早速出かけるが、お稲は父親の事業が失敗したことで家族とともに江戸へ引き移ったという。江戸へ戻った万蔵、吉原を冷やかしていると、そこでおいらんになっていたお稲と再会。なかばヒモのようになってお稲の元に通う。お稲は万蔵を遊ばせるために無茶な稼ぎを余儀なくされ、起請を乱発。しかしお稲から貰った起請を真に受けた生真面目な客勝吉は万蔵の存在を知り激怒、お稲を殺し自分も死ぬ。通夜の支度を整え、お稲に別れの言葉をかけていた万蔵だったが、その戒名が燃え上がる。驚いた万蔵だったが、翌朝その戒名があべこべだったことが判明。サゲは「勝吉がそれを聞いちゃ、焼ける(妬ける)のは当たり前だ」。
そして十代目金原亭馬生十八番名演集(九)(十)から、「お富与三郎」。馬生の芸は枯淡の美がある。淡々とした口調で、決して押しつけがましくなく、それでいて心に染み込んでくるような魅力がある。木更津~島抜けまでは昭和51年11月15日から17日まで、三日連続で新橋演舞場の稽古場で収録されたものだが、与三郎の死は昭和55年12月に本牧亭で収録されたもの。与三郎を殺したお富の独白につい涙。
そして本日のメインイベントは春野百合子「おさん茂兵衛」のビデオ鑑賞。NHKソフトウェア発行で全29分。収録年は不明だが、春野百合子はまだ若々しい。曲師は大林静子、琴は小泉栄子。近松の名作を浪曲化したもので、舞台は京都。商家のおかみであるおさんは、奉公人のお玉から主人が寝間に忍んでくることを涙ながらに訴えられる。おさんは主人に意見してやろうと、お玉の寝間と自分の寝間を取りかえる。夫が忍んでくるのを待つおさんだったが、忍んできたのはなんと手代の茂兵衛だった。早朝、主人が帰り、過ちを犯してしまったことを知る二人、おさんを探す番頭の声が近づいてくる。窮地に立たされた二人は、手に手をとって丹後へと落ち延びる。旅を続けるうちに、おさんは茂兵衛に本当の愛を感じ始める。それは茂兵衛も同じこと、深い愛情に結ばれた二人だったが、おさんの胸には年老いて世間を狭くして生きているであろう両親の姿が気になって仕方がない。命を捨てる覚悟で二人は京へ舞い戻る。おさんの訪問を予期していた老夫婦、「とんでもないことをしてくれた」と口では言うものの、やはり娘の無事を願う気持ちは抑えられるものではなく、親子の情愛が堰を切ったように溢れ出る。両親の声を後に、夕闇に消えていくおさんと茂兵衛だった・・・。粗筋を思い出しているだけでも目頭が熱くなる。春野百合子の声はただただ「凄過ぎる」。琴線に触れると言うような生易しいものではなく、身の毛がよだつような艶と透明感があって、感動というよりも衝撃を受ける。濃密な29分。もっと聞いていたかった。
夕飯は阿佐ケ谷のタイ料理レストラン、サワディー。爽やかな辛さがやみつきになるグリーンカレー、ブロッコリーとイカのオイスターソース炒め、生春巻と牛スジヌードル。どれも高得点。
鳴物師の万蔵、旅先の熊谷で逗留した宿の娘お稲に稽古をつけてやるが、その夜二人は結ばれる。再会を約束して江戸に戻った万蔵だが、おいらん花遊の元に通い詰める間にお稲を忘れ懐具合も悪くなる。ある日、花遊の部屋で悪夢を見て、お稲のことを思い出す。只事ではないと思った万蔵、熊谷へ早速出かけるが、お稲は父親の事業が失敗したことで家族とともに江戸へ引き移ったという。江戸へ戻った万蔵、吉原を冷やかしていると、そこでおいらんになっていたお稲と再会。なかばヒモのようになってお稲の元に通う。お稲は万蔵を遊ばせるために無茶な稼ぎを余儀なくされ、起請を乱発。しかしお稲から貰った起請を真に受けた生真面目な客勝吉は万蔵の存在を知り激怒、お稲を殺し自分も死ぬ。通夜の支度を整え、お稲に別れの言葉をかけていた万蔵だったが、その戒名が燃え上がる。驚いた万蔵だったが、翌朝その戒名があべこべだったことが判明。サゲは「勝吉がそれを聞いちゃ、焼ける(妬ける)のは当たり前だ」。
そして十代目金原亭馬生十八番名演集(九)(十)から、「お富与三郎」。馬生の芸は枯淡の美がある。淡々とした口調で、決して押しつけがましくなく、それでいて心に染み込んでくるような魅力がある。木更津~島抜けまでは昭和51年11月15日から17日まで、三日連続で新橋演舞場の稽古場で収録されたものだが、与三郎の死は昭和55年12月に本牧亭で収録されたもの。与三郎を殺したお富の独白につい涙。
そして本日のメインイベントは春野百合子「おさん茂兵衛」のビデオ鑑賞。NHKソフトウェア発行で全29分。収録年は不明だが、春野百合子はまだ若々しい。曲師は大林静子、琴は小泉栄子。近松の名作を浪曲化したもので、舞台は京都。商家のおかみであるおさんは、奉公人のお玉から主人が寝間に忍んでくることを涙ながらに訴えられる。おさんは主人に意見してやろうと、お玉の寝間と自分の寝間を取りかえる。夫が忍んでくるのを待つおさんだったが、忍んできたのはなんと手代の茂兵衛だった。早朝、主人が帰り、過ちを犯してしまったことを知る二人、おさんを探す番頭の声が近づいてくる。窮地に立たされた二人は、手に手をとって丹後へと落ち延びる。旅を続けるうちに、おさんは茂兵衛に本当の愛を感じ始める。それは茂兵衛も同じこと、深い愛情に結ばれた二人だったが、おさんの胸には年老いて世間を狭くして生きているであろう両親の姿が気になって仕方がない。命を捨てる覚悟で二人は京へ舞い戻る。おさんの訪問を予期していた老夫婦、「とんでもないことをしてくれた」と口では言うものの、やはり娘の無事を願う気持ちは抑えられるものではなく、親子の情愛が堰を切ったように溢れ出る。両親の声を後に、夕闇に消えていくおさんと茂兵衛だった・・・。粗筋を思い出しているだけでも目頭が熱くなる。春野百合子の声はただただ「凄過ぎる」。琴線に触れると言うような生易しいものではなく、身の毛がよだつような艶と透明感があって、感動というよりも衝撃を受ける。濃密な29分。もっと聞いていたかった。
夕飯は阿佐ケ谷のタイ料理レストラン、サワディー。爽やかな辛さがやみつきになるグリーンカレー、ブロッコリーとイカのオイスターソース炒め、生春巻と牛スジヌードル。どれも高得点。