「日米地位協定」という特集が新聞で組まれていた。知っている様で知らなかった事が結構有った。
先ず、日本にどの位アメリカの軍事施設が在るか御存知だろうか?沖縄に多く置かれているのは知っていたし、他県でも意外な場所で出くわす事が有ったので、多い事は判っていたが、何と135箇所(平成16年版「防衛ハンドブック」に拠る。)にも上るのだ。1都1道2府43県という事を考えると、1都道府県当たり平均2.8箇所の米軍施設が在る事になる。ブロック毎の施設数は下記の通り。
札幌局管内 18箇所
仙台局管内 11箇所
東京局管内 15箇所
横浜局管内 20箇所
大阪局管内 4箇所
広島局管内 9箇所
福岡局管内 21箇所
沖縄 37箇所
合計: 135箇所
面積を考えると、沖縄の施設数が如何に突出しているか判る。数で言えば、日本全体の約3/4の施設が集中し、沖縄本島総面積の2割を米軍施設面積は占めるのだという。軍人、軍属、そしてその家族の数は、5万人を超える。
元々、日本内に米軍施設が置かれる根拠となったのは、「日米安全保障条約」の第6条に拠ってである。一部抜粋すると、「日本国の安全に寄与し、並びに極東に於ける国際の平和及び安全の維持に寄与する為、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国に於いて施設及び区域を使用する事を許される。」と書かれている。そして、これに伴って1960年に「在日米軍の法律上の立場」と「施設の設置や使用に関する原則」を定めたものが、「日米地位協定」(全28条)なのである。
独自の”軍隊”を持たないとはいえ、自立した独立国家に、未だ以ってこれ程の他国軍事施設が置かれているのは異常ではないだろうか?そして、その異常さを際立たせているのは、「日米地位協定」という”錦の御旗”の下に米軍関係者が享受している超法規的とも言える特権と、それに基づく理不尽な暴挙の数々に有る事は言うまでもない。
その幾つかを挙げてみたい。
① 日本の法律は原則適用されない
在日米軍の行為に関しては、原則的に日本の法律は適用されない。とはいえ、日米合意で”米軍機墜落事故の場合”、日本側による捜査権が原則的に認められてはいる。
ところが、今夏、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍ヘリが墜落した際は、「日本は、合衆国軍隊の”財産”に付いて、捜索、差し押さえ又は検証を行なう権利を行使しない。」という「日米地位協定合意議事録」を盾に、日本側の現場検証を拒否した。
又、米国軍人が殺人や婦女暴行等の凶悪犯罪を起こした場合、その犯罪容疑者を日本側による起訴前でも引き渡すと米軍側は約束しているにも拘らず、婦女暴行未遂事件を起こした米軍高官の引渡しは拒否する等、米軍の都合で、「日米地位協定」や「日米合同委員会合意」を使い分けているのが現状なのだ。
② 米軍関係者特権
・ 米軍兵等への課税は基本的に免除されている。自動車税等は課せられるが、かなり優遇されているとの事。
・ 米軍兵等が自動車を運転する際は、日本の免許証は不要。(米軍の免許書は必要。)
・ 米軍は日本の港湾、高速道路、飛行場等を無料で使える。(今後も、無料で使える施設が増加する可能性も懸念されている。)
・ 米軍兵の出入国に関しては、日本の法律は非適用。 等々
この様な不平等な法規になったのには、敗戦後に米軍の占領下に日本があった事も影響している。しかし、同じ様に敗戦国であったドイツでは、勝戦国であるアメリカとの間に「ボン補足協定」というものが締結されており、その中で「駐留米軍にドイツの法律が適用される」事になっているのだという。*1ドイツが出来た事を、何故日本はしないのか?色々複雑な要素は有るのだろうが、ここにも日本の「弱腰外交」の影を見てしまう。
又、施設は日本政府が提供するものの、その維持費はアメリカ側が負担する事になっているのだが、実際には光熱費や従業員の人件費を、日本政府が「思いやり予算」という形で支出している事は知られている所だ。この額は、2003年度では2,460億円という事なので、国民1人当たり約2,000円負担させられている事になる。唯、実際には施設の地主に支払う賃貸料等も日本政府が負担しているので、それ等を併せると日本政府の負担は6,600億円強にもなるのだという。
しこたま金銭の負担をさせられ、自国民への度重なる被害を与えられても、実際的には黙している事しか出来ない日本。自国”軍”を所有するのが現状難しいのであれば、せめてドイツの様に自国に不利益な法規を撤廃する方向で動けないものか?日本の外務省は、「既に友好関係を築き上げた国とパーティー等をして親交を深める能力は長けているが、そうでない国との”真の外交”を行なうのは不得手。」と言われる。それで良いのだろうか?
常任理事国入りを焦る前に、先ずはする事が有るのではないだろうか。日本はアメリカの州ではないのだから・・・。
*1 アメリカは韓国等とも「日米地位協定」と同じ様な協定を結んでいるとの事。「米韓地位協定」では、日本同様に韓国の法律が駐留米軍に非適用の様だ。しかしながら、日本が地位協定の改正を40年以上に亘って改正していないのに対し、韓国は改正歴が有る。(ドイツは過去3回改正しているとの事。)漫然と現状を座視しているだけではない様だ。
先ず、日本にどの位アメリカの軍事施設が在るか御存知だろうか?沖縄に多く置かれているのは知っていたし、他県でも意外な場所で出くわす事が有ったので、多い事は判っていたが、何と135箇所(平成16年版「防衛ハンドブック」に拠る。)にも上るのだ。1都1道2府43県という事を考えると、1都道府県当たり平均2.8箇所の米軍施設が在る事になる。ブロック毎の施設数は下記の通り。
札幌局管内 18箇所
仙台局管内 11箇所
東京局管内 15箇所
横浜局管内 20箇所
大阪局管内 4箇所
広島局管内 9箇所
福岡局管内 21箇所
沖縄 37箇所
合計: 135箇所
面積を考えると、沖縄の施設数が如何に突出しているか判る。数で言えば、日本全体の約3/4の施設が集中し、沖縄本島総面積の2割を米軍施設面積は占めるのだという。軍人、軍属、そしてその家族の数は、5万人を超える。
元々、日本内に米軍施設が置かれる根拠となったのは、「日米安全保障条約」の第6条に拠ってである。一部抜粋すると、「日本国の安全に寄与し、並びに極東に於ける国際の平和及び安全の維持に寄与する為、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国に於いて施設及び区域を使用する事を許される。」と書かれている。そして、これに伴って1960年に「在日米軍の法律上の立場」と「施設の設置や使用に関する原則」を定めたものが、「日米地位協定」(全28条)なのである。
独自の”軍隊”を持たないとはいえ、自立した独立国家に、未だ以ってこれ程の他国軍事施設が置かれているのは異常ではないだろうか?そして、その異常さを際立たせているのは、「日米地位協定」という”錦の御旗”の下に米軍関係者が享受している超法規的とも言える特権と、それに基づく理不尽な暴挙の数々に有る事は言うまでもない。
その幾つかを挙げてみたい。
① 日本の法律は原則適用されない
在日米軍の行為に関しては、原則的に日本の法律は適用されない。とはいえ、日米合意で”米軍機墜落事故の場合”、日本側による捜査権が原則的に認められてはいる。
ところが、今夏、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍ヘリが墜落した際は、「日本は、合衆国軍隊の”財産”に付いて、捜索、差し押さえ又は検証を行なう権利を行使しない。」という「日米地位協定合意議事録」を盾に、日本側の現場検証を拒否した。
又、米国軍人が殺人や婦女暴行等の凶悪犯罪を起こした場合、その犯罪容疑者を日本側による起訴前でも引き渡すと米軍側は約束しているにも拘らず、婦女暴行未遂事件を起こした米軍高官の引渡しは拒否する等、米軍の都合で、「日米地位協定」や「日米合同委員会合意」を使い分けているのが現状なのだ。
② 米軍関係者特権
・ 米軍兵等への課税は基本的に免除されている。自動車税等は課せられるが、かなり優遇されているとの事。
・ 米軍兵等が自動車を運転する際は、日本の免許証は不要。(米軍の免許書は必要。)
・ 米軍は日本の港湾、高速道路、飛行場等を無料で使える。(今後も、無料で使える施設が増加する可能性も懸念されている。)
・ 米軍兵の出入国に関しては、日本の法律は非適用。 等々
この様な不平等な法規になったのには、敗戦後に米軍の占領下に日本があった事も影響している。しかし、同じ様に敗戦国であったドイツでは、勝戦国であるアメリカとの間に「ボン補足協定」というものが締結されており、その中で「駐留米軍にドイツの法律が適用される」事になっているのだという。*1ドイツが出来た事を、何故日本はしないのか?色々複雑な要素は有るのだろうが、ここにも日本の「弱腰外交」の影を見てしまう。
又、施設は日本政府が提供するものの、その維持費はアメリカ側が負担する事になっているのだが、実際には光熱費や従業員の人件費を、日本政府が「思いやり予算」という形で支出している事は知られている所だ。この額は、2003年度では2,460億円という事なので、国民1人当たり約2,000円負担させられている事になる。唯、実際には施設の地主に支払う賃貸料等も日本政府が負担しているので、それ等を併せると日本政府の負担は6,600億円強にもなるのだという。
しこたま金銭の負担をさせられ、自国民への度重なる被害を与えられても、実際的には黙している事しか出来ない日本。自国”軍”を所有するのが現状難しいのであれば、せめてドイツの様に自国に不利益な法規を撤廃する方向で動けないものか?日本の外務省は、「既に友好関係を築き上げた国とパーティー等をして親交を深める能力は長けているが、そうでない国との”真の外交”を行なうのは不得手。」と言われる。それで良いのだろうか?
常任理事国入りを焦る前に、先ずはする事が有るのではないだろうか。日本はアメリカの州ではないのだから・・・。
*1 アメリカは韓国等とも「日米地位協定」と同じ様な協定を結んでいるとの事。「米韓地位協定」では、日本同様に韓国の法律が駐留米軍に非適用の様だ。しかしながら、日本が地位協定の改正を40年以上に亘って改正していないのに対し、韓国は改正歴が有る。(ドイツは過去3回改正しているとの事。)漫然と現状を座視しているだけではない様だ。
明治の不平等条約を思い出しましたし、太平洋戦争でアメリカに敗れてから日本はずっと占領されたままなのだなと思いました。自民党はアフガンやイラクの傀儡政権と同じですね。。アメリカは日本占領をモデルに考えているようですし。
フィリピンの方が国として日本よりよほど立派だと思ってしまう。アメリカからの脅しに負けずに自国から米軍基地撤退させて、イラクからも撤退して。。
僕は左翼でもなんでもないですが、ただむかつきます。
第一師団は米国本土外に対する師団ですので、日本の国内に前線の後方司令部が来る可能性があります。現状では何も決まってないようですが、米軍の立場で考えれば日本に司令部置くのは非常に魅力ですね(地理的要因・インフラ等々)。
運用がこれほど難しいものは無いでしょう。
米軍基地については1つ本で読んだ話があります。
横田基地の話なのですが
着任した米軍人をまず迎えるのは日本庭園と橋なのだそうです。
「ココは確かにアメリカだが日本国内に作られたアメリカだという事を忘れてはならない。日本人と日本の事を一層考えねばならない」
確かこんな感じの事を米軍将兵に再度考えさせるのが目的だとか。
私は必ずしも「安保破棄、米軍出て行け」の思考は持っておりませんが、国連への多大な負担金や思いやり予算、そして地位協定の運用改善等が外交を通じて言明される前に常任理事国入りや憲法改定へ邁進する政治には若干の疑問が残ります。
giants-55様の言われる様に
「真の外交」に全てかかっていると私も思います。外交というのは国の存亡をかけたせめぎあいだと思います。黙しているばかりの外交姿勢をそう受け取れるのでしょうか。
難しい問題ですね。
小泉首相になって日本の外交はますますYesないしは見て見ぬふりが増えたような気がします。
国家としては、アメリカ軍に撤退をしてもらい、治外法権なしで横須賀などへの寄港を認める、軍事同盟の関係が良いように思います。
また、アメリカの核で守られている側面は否定できなわけですし、日本も常任理事国入りするのであれば、日本も核装備も含めて検討するべきでしょう。
全ての常任理事国は核を持っていますし、おそらく中国とロシアは今でも核を日本に向けているでしょうし、北朝鮮もそうやって脅しをかけています。
この三国、日本の左翼や左翼メディアが大好きな国家ですが、日本の反戦運動家が好きな国は、日本に核ミサイルを向けているとは、日本の思想は分裂症だと言っても良いように思います。
いずれにしても、アメリカに資金を出しても、アメリカ軍が日本人を守るために血を流すことなどありえないのですから、我々は自国防衛を自力で行う覚悟を持つ必要があるだろうと確信しています。
基本的に、書き込みして下さった方のブログへ、直接レスを付けさせて戴く形を取っているのですが、貴ブログが見当たりませんでしたので、こちらに書き込む失礼の段を御許し下さい。
日本は敗戦と同時に、「矜持」というものも失ってしまったのではないかと思います。それ迄の価値観が全て否定され、精神や思考の基盤を失ってしまった大人達。そして、戦時中はその大人達によって「こうあるべきだ」という価値観を教えられていた子供達は、唯呆然と立ち尽くすだけの大人達の姿を”悪い意味で”反面教師にしてしまった。つまり、「権利だけを享受し、義務を負わない」という、民主主義の良い所取りをして育ったのではないかと。そんな子供達に、基盤喪失した大人達は何も言えず、その流れは次の代にも受け継がれて・・・。そんな悪循環を感じてしまいます。
記事の中でも書きましたが、今直ぐに”自国軍”を所有するのは難しいと思いますので、先ずは不平等法規を撤廃する方向で、外務省が真の外交を行なって欲しい。良し悪しは別にして、敗戦前迄の日本には、国のプライドを背負った”独自外交”もどきが有ったと思います。
これからも宜しく御願い致します。
基本的に、書き込みして下さった方のブログへ、直接レスを付けさせて戴く形を取っているのですが、貴ブログが見当たりませんでしたので、こちらに書き込む失礼の段を御許し下さい。
戦前の日本に付いて、全てが立派だったとは思いません。”特高(特別高等警察)”や大政翼賛会等が、結果的に言論や思想の自由を国民から奪い、泥沼の戦争に突き進んでいった要因の一つで有るからです。
でも、生活は貧しくとも、精神面に於いては今よりも豊かだったのではないかなあと思います。(言論&思想思想の抑圧は有ったにせよ。)
他国侵略の為の軍隊は支持出来ませんが、防衛の為の軍隊を保有していないのは、独立国家としてはおかしな話だと思います。
これからも宜しく御願い致します。
一応、米軍の訓練だったのでは!?みたいな空気で、「真実は闇だ。。。」と大半は納得せざるえない状況です。