“活字離れ”や“出版不況”等、本を取り巻く厳しい状況が喧伝されて久しい。幼い頃から大の本好きの自分にとって悲しい話だが、アンケートで「1年間に、1冊も本を読まなかった。」と回答する人が上位に来る時代だから、そういう状況になるのも止むを得ないのだろう。昔はあんなにも在った“個人経営の書店”が、今は絶滅危惧種になっている。
だから、「リアル店舗の書店が、どんどん減っている。」というのは“常識”と捉えていた。だが、「週刊朝日」で先日、「書店が増えている!?」という記事が載っていた。唯、書店と言っても「個人、或いは少人数のチームで運営され、新刊と古書を併売する事も在り、小さい乍らも品揃えやイヴェント、空間演出等、其れ其れが独自の光を放つ店。」の事だと言う。所謂“チェーン展開している様な巨大書店”では無いのだ。
記事で紹介されていた書店の中で、自分が最も興味を惹かれたのは「棚貸し書店」という形態。「ボックス型の本棚を1箱ずつ、月額制で貸し出す事により、家賃等の固定費を捻出するスタイルの書店。」だとか。「面白いなあ。」と思っていたのだが、一昨日のTV番組でも取り上げられていた。
記事で紹介されていた書店とは異なるが、取り上げられていたのは「去年3月、神保町にオープンした『PASSAGE by ALL REVIEWS』という棚貸し書店。」で、1棚1棚に店主が居る共同書店だ。「入会金:13,200円、月額料金:5,500円~」という設定で、1棚の店主になれる。「自費出版の本が並んだ棚。」、「書評家が書評した本が、付箋を付けられた状態で並んだ棚。」、「店主が関心の在る本だけが並んだ棚。」等々、1つ1つの棚に個性が宿っている。(歌人・俵万智さんが“店主”として、自身の本を並べている棚も在る。)
「店主になりたい。」という希望者が多く、今は抽選で店主を選んでおり、其の倍率は約20倍というから凄い。他にも棚貸し書店は増えているそうで、コンセプトを工夫すれば、リアル店舗の書店も遣って行けるという証左なのだろう。大の本好きとしては、嬉しいニュースだ。