ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

亀田三兄弟的な売り込み方

2006年08月07日 | スポーツ関連
八百長と言われても仕方ない」という記事を書いた所、想像していた以上に多くの御意見を頂戴した。星野仙一氏*1が「亀田(興毅)はヒーローで在りヒール。」とコメントしていたが、いみじくも言い得た表現で、それだけ良くも悪くも亀田三兄弟への一般の関心度が高いとも言える。そこで今回は、「プロボクシングというスポーツ」及び「亀田三兄弟的な売り込み方」に関しての私見を、追記的に書いてみたいと思う。何時もの如くあくまでも私見で在り、一般的なコンセンサスを得た捉え方等と思い上がってはいない事を御了承戴きたい。

プロボクシングは面白い位置付けのスポーツだと思う。選手の人格の高潔さが”嫌味な迄に”求められる訳でも無く、寧ろ不良がかった個性の方が魅力的にすら感じられる。真剣勝負という大前提の上で、加えてショー的な要素も求められるが、かと言ってプロレスの様に何でも在りといった所迄は許容されていない。プロボクシングの選手には、パフォーマーとしてどの程度迄”演じる”かといった力量も必要で、演じ方が弱すぎても、逆に強過ぎても台無しにしてしまう危険性を抱えている様に思う。

斯くいう自分も、不良性を漂わせたプロボクサーに惹かれる所が在る。故に亀田三兄弟の様なキャラクターは決して嫌いではないのだが、幾らパフォーマーとしての力量が必要とはいえ、何でも在りといった雰囲気は受け容れ難い。プロレスならば相手選手が同席する会見場にハンバーガーを頬張りながら入って来て、挑発の限りを尽くすというスタイルを採ったとしても、”御約束”として許容されようが、プロボクシングにはそこ迄のパフォーマンスは許されないと思う。相手選手を挑発するのが悪いと言っているのではない。パフォーマーとして挑発行為も在りだと思うが、其処には同じプロボクサーとして、相手選手に対する最低限の敬意が必要ではなかろうか。試合前後を問わず、相手選手の人格すらも否定する様な野卑な言動*2をするのは、ボクシングを愛する自分としては到底看過出来ない。

亀田一家を強烈にサポートしているTBSでは、彼等の家族愛を前面に押し出した放送を垂れ流している。家族愛は大いに結構だし、近年の様に親子間の殺人事件が増えて来た中では、亀田一家の家族愛に共感を覚える気持ちも理解出来る。だが考えて欲しい。家族愛を大事にする一方で、他者に対する最低限の敬意も感じられない野卑な言動を繰り返すのでは、その挑発行為が”演技”で在るのは判っていても、結局は身内だけ上手く遣っていれば他人の事なんかどうでも良いという身勝手さしか感じられない。

先日、日本テレビの「NNNドキュメント’06」という番組で「子供たちの心が見えない・・・」という放送をしていた。教師生活17年目の男性教師が、学級崩壊してしまった小学6年生のクラスを途中から引き継ぐも、クラスを纏め上げられずに悩んでいる姿が映し出されていた。これ迄の経験が全く活かされず、どうすれば良いのか悩み苦しみ、挙句には教師になって初めて「辞めたい。」と思う迄追い込まれてしまった彼。

知り合いに教育関係者が多い関係、学級崩壊の現状も或る程度は理解しているつもりだったが、実際に映像として目にすると強烈な衝撃を受けた。自分が小学生だった時代を思い返すと、教師の話を聞かずにペチャクチャ御喋りしている子は確かに居た。でも、それは数人レベルの話だったし、教師から怒られれば黙るのが普通だった。しかし今回のクラスでは、大半が横や後ろを向いて、のべつ幕無しに大声で喋っている。教師が怒っても、黙るのはせいぜい一瞬。直ぐにペチャクチャと御喋りを再開してしまう始末。教師が真剣な話をしていても、次々に大人びた、それも下品な言葉が投げ掛けられる。「どうして先生の話をきちんと聞かないのか?」という(他教師からの)質問に対する彼等の答えには、自らの権利ばかりを声高に主張し、義務を一切負おうとしない未熟さばかりが感じられた。

学級崩壊に到る要因は数多く在ろう。子供達だけでは無く、彼等の親や教師の未熟さも挙げられ様が、此処ではそれに付いて触れるつもりは無い。この話を持ち出した理由は、学級崩壊に悩む教師達が、飲み会の席で交わしていた会話に興味を惹かれたからだ。

「最近の学園ドラマ(「GTO」や「ごくせん」等。)の影響を、子供達はそのまま受けちゃう。」

「教師と生徒は対等。」とか「教師は生徒と友達感覚なのがベスト。」といった考え方が、子供達の頭に”常識”として擦り込まれて行ってしまう点を、半ば冗談めかして話していたのだが、これはあながち否定出来ないと思う。大の大人ですら、マスメディアの”誘導”で、一気に一方向に思考が流されてしまう御時世。況や子供達をやで在る。

話を元に戻す。挑発行為はあくまでも”演技”と理解し、それをプロボクシングというスポーツのスパイスとして捉えている内は良いが、あれが演技では無く格好良いものとして真剣に子供達が捉えてしまったら。否、こんな御時世だから、大人ですら真剣にそう思ってしまう人間が出ないとは言えない。その事が教育的に好ましくない等と、似非教育評論家の様に指摘するつもりは無いが、唯それが良い風潮とはどうしても思えない。

又、パフォーマーとしての演技で在ったとしても、相手選手に対して人格否定としか思えない様な野卑な言動を為すのは、演技では無く単なる猿芝居になってしまうだろう。

何度も書くが、亀田三兄弟のボクサーとしての資質は決して低くは無いと思っているし、彼等が真剣に闘っているのは評価している。今回の判定に妙な”圧力”が加わっていたとしても、それは彼等を取り巻くマスメディア等が自らの利益の為に為した事だと信じたい。だからこそ亀田三兄弟には、くだらない演技よりも試合内容で勝負して欲しいのだ。

*1 予想通りとはいえ、星野仙一氏と和田アキ子さんが亀田擁護をぶち上げた。自己アピールの為、流行りモノにすぐさま小判鮫宜しく貼り付く姿勢は相変わらずだが、彼等のハイエナの如き嗅覚の鋭さには脱帽の一言。

特に星野氏は「亀田を虐めるな!」と素晴らしい”愛の言葉”を口にしていたが、「嘗て『ジャイアンツ・ファンは馬鹿だ!』といったコメントを繰り出し、その事で”普通の”ジャイアンツ・ファン迄が他チームのファンからバッシングを受け、肩身の狭い思いをさせられた事」や、「審判や弱き立場の選手達を、”愛の鞭”の名の下にいたぶって来た事」等、綺麗サッパリ頭から抜け落ちているとしたら、流石”男・仙一”で在る。一度、虐めの概念に付いて彼に聞いてみたいものだ。

*2 今朝のTV番組で、漫画家のやくみつる氏と亀田三兄弟の父・史郎氏が”バトル”を演じたそうだ。下記サイトでその動画が見られるが、「自分達は他者に対して幾ら野卑な言動をしてもOKだが、他者から自分達が野卑な言動をされるのは許さない。」というので在れば、これは説得力が無いと思うのだが・・・。
 やくみつる氏v.s.亀田史郎氏(1)
 やくみつる氏v.s.亀田史郎氏(2)
 やくみつる氏v.s.亀田史郎氏(3)

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4 コメント

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三尺去って師の影を踏まず (まなぶ)
2006-08-07 05:42:51
giants-55さん、おはようございます。



人は等しく平等。

とは云え、昨今、教師と生徒という立場を理解していない教育現場の実情を耳にすると、

“嘆かわしいと”思わざるをえません。

教えを乞う姿勢という謙虚さ、人の言葉や気持ちに耳を傾けられない人間には、自己主張する資格などないと私は考えています。

これには大人も子供もありません。

どんな商売、身分であろうが同じだと思います。

喩え「奇麗事」であろうが「理想論」であろうが、

教育の現場には、その主義だけは揺るぎ無く死守して頂きたいと心から願っています。

私には亀田選手親子の実力のほどは分かりませんが、

涙を流して勝利を分かち合う姿と、居丈高に相手選手や世間を嘲笑うかのような態度とが一致しません。

いえ、ちぐはぐで不細工な印象が拭えないのです。

我が子を思い、我が親を慕い、互いを誇りに思い合う心があるなら、他者の生き方、人生にも敬意を払って然るべきではないでしょうか?

ボクシングのショー、パフォーマンスの要素を理解できぬ私などには、最早観る資格もないスポーツなのかも知れませんが、

何をしても「シャレ」「ジョーク」「間違い」で済まされる世の中ではないと考えております。

若き亀田選手には“敬天愛人”という言葉を知って頂きたいと思います。



いつもコメントをありがとうございます♪

ちなみに私が理解できず、愕然とした作品を2つほど知って頂きたいとおもいます。

「梟の城」

象印夫人のご主人=篠田正浩監督の作品です。

監督自身がどこを見せ場として企画されたのか、面白さを微塵も感じられませんでした。

「パッション」

ジャン=リュック・ゴダール監督の作品ですが、私は故淀川長治さんの“この作品と格闘して下さい”というコメントに一念発起(?)劇場へと繰り出しましたが、

“あえなく玉砕”

芸術映画とは知っていましたが、私には理解できませんでした。

いゃぁ、世の中って広いものですネ~(笑)
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子も子なら (破壊王子)
2006-08-08 00:34:09
親も親。打たれ弱いのですねえ(笑)



亀親父にはやくみつる氏に文句をいうなら、勝谷誠彦氏にも言えばいいのにと思います。同じ早大出身のコメンテーターながら、勝谷氏の方がさらにキツイコメントでしたから。

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WBA疑惑と学級崩壊と (のぶ)
2006-08-10 03:27:01
> 「最近の学園ドラマ(「GTO」や「ごくせん」等。)の影響を、子供達はそのまま受けちゃう。」



> 「教師と生徒は対等。」とか「教師は生徒と友達感覚なのがベスト。」といった考え方が、子供達の頭に”常識”として擦り込まれて行ってしまう点を、半ば冗談めかして話していたのだが、これはあながち否定出来ないと思う。大の大人ですら、マスメディアの”誘導”で、一気に一方向に思考が流されてしまう御時世。況や子供達をやで在る。



 マスコミの情報に翻弄されて健全な発育が阻害されている子供が増えていますね。この番組、放送後に知りました。見たかったですー。



 ボクシングの八百長疑惑は、今日のとある報道では思わぬ方面にも疑いの目がかけられているようで。。。



 こちらも、子供の夢を壊さない結果であってほしいものですが、真相やいかに。。。





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遅まきながら (かんちゃん)
2006-08-19 11:38:35
門外漢ではありますが、この試合について思ったことを自分のサイトにて書いてみました。



http://03.members.goo.ne.jp/home/kanchan42195/diary/a/114.html



「vol.2」に書きましたが、亀田親子の態度の悪さやテレビ局の視聴率第一主義を非難するだけで済む問題ではないと思います。これを機に「膿み」を出し切る努力をして欲しいと思いますが、そういう方向に動くでしょうか?
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