ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「風に恋う」

2018年11月05日 | 書籍関連

昨年の時点で、日本人男性の平均寿命は「81.09歳」を記録したそうだ。そうなると自分は、其の半分を軽く超えてしまっている。気持ち的には20代の頃と変わらない積りだが、頭髪や鼻毛等に白い毛がチラホラ出出したし、年齢を意識する事も増えて来た。

 

数年前より学園祭を見に行く様になったが、高校生や大学生の姿を間近で見掛けると「若いなあ。」と眩しく感じたりする。自分が彼等位の年齢だった時は、あんな感じだったのだろう。又、“当時の自分”が“今の自分位の男性”を小父さん”として見ていた様に、彼等も“今の自分”を小父さんと見ているに違い無い。キラッキラとした眩しさは、若さの迸りだ。

 

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嘗ては全国大会連続金賞、其の象徴的存在としてマスコミにも頻繁に取り上げられた黄金時代を持つ、名門・千間学院高校の吹奏楽部。子供の頃に演奏会で魅了された幼馴染みの茶園基(ちゃえん もとき)と鳴神玲於奈(なるかみ れおな)は其の吹奏楽部に入部したものの、嘗ての栄光は見る影も無い現状其処へ突然、黄金時代の部長だったレジェンド・不破瑛太郎(ふわ えいたろう)がコーチとして戻って来て、1年生の基を部長に任命した。

 

部に渦巻く嫉妬プライド、大学受験のプレッシャー、才能への不安と選抜オーディションの恐怖。1年生部長を擁する名門吹奏楽部は今年、全国大会開催の地・名古屋への切符を手にする事が出来るのか?

 

「『高校時代が一番輝いてた。』なんて言う大人にはなるなよ。」。コーチとして部活の真剣な舞台に戻って来た瑛太郎は、高校生との時間に何を見付けられるのか?

 

悔いの無い高校生活とは。部活動に全てを賭ける「今」は、どんな未来へと繋がっているのか?

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青春小説旗手額賀澪さんの「風に恋う」は、名門として嘗ては知られた吹奏楽部を舞台に、「中学時代、吹奏楽部で頑張って来たものの、“結果”を残せなかった茶園基。」と「高校時代、吹奏楽部で輝き続けたものの、卒業後は“進むべき道”を見付けられず、20代半ばになってもフリーター生活を送っていた不破瑛太郎。」という燃え尽き症候群の2人の姿を描いている。

 

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君達も、よく覚えておくといい。今日という時間がどれだけいいものだったかを決めるのは、明日以降の自分だ。だから、今日のためだけに生きるなよ。明日の自分のために生きろよ。

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高校生と社会人という違いは在れど、「先が見えない日々を送っている。」という点では、同じ境遇に在った基と瑛太郎。でも、憧れの人・瑛太郎がコーチとして目の前に戻って来た事で、基は“自分が本当にしたい事”に気付かされる。又、そんな基や吹奏楽部の生徒達と触れ合い、彼等の“迸り”を感じる中、瑛太郎も“自分が進むべき道”を見出だして行く。

 

ほろ苦さも在り、爽やかさも在る、“典型的な青春小説”と言って良いだろう。其れは其れで悪くは無いのだが、予定調和的にストーリーが進み、予定調和的に終わる。」という感は否めない。「10年後に此の作品の事を覚えているだろうか?」と問われれば、自分の場合は「。」と答えるだろう。

 

総合評価は、星2.5個とする。


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