ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「汚れた手をそこで拭かない」

2021年03月24日 | 書籍関連

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平穏に夏休みを終えたい小学校教諭認知症の妻を傷付けたくない夫。元不倫相手を見返したい料理研究家・・・始まりは、細やかな秘密。気付かぬ内にじわりじわりと「御金」の魔の手は遣って来て、見逃したの小さな綻びは、彼等自身を搦め捕り蝕んで行く。
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芦沢央さんの小説汚れた手をそこで拭かない」は5つの短編小説から構成されており、2020週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の5位に選ばれた。

風が吹けば桶屋が儲かる」というが在る。「1つの行為が引き金となり、次々と新たな出来事が発生する。」という内容で、「表面的には全く無関係に思える事でも、実は関係性を持っていた。」という譬えだ。「汚れた手をそこで拭かない」は、風吹けば桶屋が儲かる的な話が中心。

悪意が無い、又は悪意が少ししか無かったのに、1つの行為がどんどん悪い方向に転がって行き、最悪の状況となってしまう。良く在る話でも無いけれど、全く無い話でも無い。「埋め合わせ」という作品は「自分のミスで排水バルヴを閉め忘れ、学校のプールの水を全て抜いてしまった小学校教諭。」の話で、決して安くは無い補償額と責任問題になる事を恐れ、悪い考えを実行してしまう。きちんと報告し、責任を取れば済んだ事なのに・・・どんどんと状況は悪化してしまう。程度の差こそ在れ、似た様な事は、少なからずの人が経験しているだろう。結末としては自分が予想していたのと違ったけれど、“人間が持つな部分”を表している。という点では一緒。

又、「意外な関係性が明らかになって行く。」という「忘却」という話も面白かったが、全体としては凡庸な作品揃い。という感じがした。表題の「汚れた手をそこで拭かない」という作品も存在せず、5作品全部通しても、何か無意味で、パッとしない表題だなあ。という思いが。

総合評価は、星3つとする。


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