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「ギリシャ緊縮策に『反対』61%・・・国民投票」(7月6日、読売新聞)
ギリシャで5日、欧州連合(EU)等が金融支援の条件に示した構造改革案を受け容れるかどうかを問う国民投票が行われた。
開票の結果、反対票が61.31%と賛成票の38.69%を大幅に上回った。EU側は6日から対応を協議するが、債務減免を求めるギリシャのツィプラス首相との間で、支援再開に向けた交渉が難航するのは必至で、ギリシャがユーロ圏から離脱する恐れが高まっている。開票結果を受け、金融市場ではユーロ安、株安が進んでいる。
ツィプラス氏は5日夜、テレヴィ演説を行い、「困難な状況下で、皆さんは勇気在る決断を下した。」と語り、反対派の勝利を宣言した。ツィプラス氏は、増税や年金カット等の緊縮策を伴う改革案を「屈辱的」と批判し、改革案を拒めば「(EUとの)交渉上の立場が優位になる。」と訴え、支持持を集めた。演説で、ツィプラス氏は「明日から交渉のテーブルに戻る。」と述べ、債務再編(借金の減免)をEU側に求める方針を強調した。
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2009年10月、政権交代によって巨額の“借金”が隠されていた事が明らかとなったギリシャ。「2009年度の財政赤字は約2兆4千億円。」とされていたのに、新政権が調べた所、「本当は約4兆8千億円もの財政赤字だった事、そして累積では約38兆円もの“借金”を抱えている事。」が判明。以降、ギリシャは財政破綻の危機に瀕している。
ギリシャがこんなにも莫大な財政赤字を抱える事になった要因は幾つか挙げられるが、「高給料の公務員の数が多い。(総人口の約1割を占める。日本の場合は約3%。)」と「高過ぎる年金水準。(年金の所得代替率[現役時代の所得に対して、年金で受け取れる割合。]は96%。因みに、ドイツは43%。)」というのは大きいと言われている。
「現役世代の保険料負担だけでは年金給付が賄えない為、政府が不足額を補填し続けて来た上、公務員の給料は毎年上げていた。」という、言わば“政府の人気取り政策”によって、“借金”は際限無く膨らみ続けて来た訳だ。」
今回の国民投票、開票前の予想では「賛成と反対が拮抗している。」と報じられていたが、「反対多数となってしまうとEU等から金融支援が受けられなくなり、ギリシャは“完全に”財政破綻してしまう。恵まれた年金水準を手放したくないという気持ちは判るけれど、国が崩壊してしまっては如何しようも無いので、結果的には賛成が上回るのではないか。」と考えていた。なので、今回の結果は意外。
ギリシャ国民は概して、「深く考えても仕方無い。」といった“ケセラセラ的思考”が強いと言う。莫大な借金を抱え、融資して貰う立場では、日本ならば「(融資してくれる)相手の言い分を呑むだけ。」となり、国民投票を行ったら、今回とは逆の結果が出た事だろう。「改革案を拒めば「(EUとの)交渉上の立場が優位になる。」なんていう考えは、間違っても出ない様に思う。
近代ギリシャ建国史~「ギリシャ王国」史~「ギリシャ共和国」史を知るとあまりそうは思わなくなります。
「ギリシャ」という作られた近代国家を誰が作ったのか。
誰が支配したのか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E6%88%A6%E4%BA%89
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E7%8E%8B%E5%9B%BD
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3#.E8.BB.8D.E4.BA.8B.E7.8B.AC.E8.A3.81.E6.94.BF.E6.A8.A9.E6.99.82.E4.BB.A3
なぜEUに入れたのか(申し訳ないが紙面を見てください。日本のマスコミにしては結構ちゃんと書いていた)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO89075710Y5A700C1NNS000/
ロシアとのつながり
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%8A
ビザンチン皇室の傍系の皇女を妻とした関係からロシア皇室は「ビザンチンの後継」を自称していた
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B4%A5%E4%BA%8B%E4%BB%B6
大津事件でのちのニコライ2世になる皇太子と同行したギリシャ王子は父王がデンマーク王子で、母親がデンマーク王女というニコライのいとこであり、正教徒という共通点を持っていた。更にこの人たちは英国のジョージ5世ともいとこにあたる(母親がデンマーク王女)。更にジョージ5世の孫のエリザベス2世の婿が2代目ギリシャ王(デンマーク王室出身)の孫かつ、母系では母親の母方の祖母が英国ヴィクトリア女王、というわけでギリシャ王国約100年、「ギリシャ王室」には一切「ギリシャ人」がいなかった。
IMFやEUの独仏のような「大国」の植民地を見るような視線には慣れっこなわけです。
紹介して戴いたリンク先、非常に参考になりました。特に日経の記事には、「へー。」と思わされました。
大国のエゴにより、他の国が翻弄されるというのは大昔から見受けられる事ですが、其のエゴによって、後に大国が不利益を被るというのも又、良く在る事ですね。
日本の様な島国の場合、他国からの“直接的な干渉”を受ける機会が少なかったので、陸続きの国が“経験から得て来た処世術”という物には、概して思いが行かない物なのかも。