駐車場運営会社他を所有する持株会社「パーク24」が昨年5月、ドライヴァー向け会員制サーヴィス「タイムズクラブ」の会員を対象に実施した、「運転免許証」に関するアンケート結果を発表している。其れによると、「60代以上で、運転免許証の返納に付いて考えた事が在る人は約2割。」、「運転免許証を返納する年代は、『70代』と考える人が半数以上。」、「34%が、運転免許証を返納した家族や親族、友人が居ると回答。」したとの事。
2019年に発生した「池袋暴走事故」は、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた事によって車を暴走させた事により、合計11人を死傷させた、実に痛ましい交通事故。」だったが、何よりも世間を驚かせたのは「暴走車両を運転していたのが(当時)87歳の高齢男性で、彼のよぼよぼとした歩き方(身体の動き)からは、『絶対に運転せては駄目だろ。』と誰しもが思ってしまう様な状態だった。」事だろう。
其れ迄にも「高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えた事による交通事故。」は少なからず発生していたけれど、「池袋暴走事故」は余りにも衝撃的で、以降、運転免許証を自主返納する高齢者がどっと増えたと聞いていた。実際、母方の伯父&伯母も自主返納したが、「万が一事故を起こして、他人様を巻き込んでしまったら大変だし、又、其の事で子供や孫に迷惑を掛けてしまう。」というのが理由だった。2人共に頭も身体も確りはしているが、大きな決断を下したと思っている。
池袋交通事故を受けて、運転免許証の自主返納がどっと増えたものの、2020年以降は自主返納数が年々減っているそうだ。2019年には「60万件」を超えていたが、2023年には「38万2,957件」と(2019年よりも)約36.1%も減っている。「心身共に衰えは感じているけれど、自分が車を運転しなければ、移動手段が確保出来ない。」という高齢者"も"居るだろうし、悩ましい問題で在る。
「女性が運転免許証を取得するのが非常に稀有だった時代」に、母は運転免許証を取得した。祖母(母の母)は大反対したが、祖父(母の父)は「此れからは女性も車を運転する時代に成るだろうから、是非取りなさい。」と大賛成したそうだ。(余談だが、運転免許証取得の為に通った自動車教習所で、1人の絶世の美女が化粧直しをしているのに出会した事が在るそうで、彼女は何と女優の水野久美さんだったとか。)
で、運転免許証を取得して運転をしていると、「えっ!女が運転しているよ!!」と通りすがりの人から言われる・・・そんな時代だった様で、女性が当たり前の様に車を運転している今とは、全く違う状況。父は運転免許証を取得していなかったので、車での家族旅行は毎回、母が運転者。東北だ九州だと、遠距離運転も普通に熟す、大ヴェテラン運転手の母。
運転免許証を取得して、60年を軽く超えた母が、先日、遂に運転免許証の自主返納をした。何年か前から考えていたそうだが、「運転技能は自信が在るけれど、咄嗟の判断能力に自信が無くなって来たから。」というのが理由。年齢を考えたら「潮時だろうな。」と自分も思ったので、「近くの警察署で手続きをするので、付いて来て欲しい。」と言う母に従い、警察署に同行した。
警察署に入り、行った手続きは「指定された端末で『自主返納』のボタンを押した後、運転免許証を挿入口に入れ、打ち出された書類を窓口に持って行き、そして自主返納完了の書類を貰う。」という感じ。端末操作自体は1分も掛からず、又、自主返納完了の書類も1分足らずで貰え、「呆気無い程にあっさりと終わってしまったなあ。」というのが正直な感想。
運転免許証のコピーは取っていなかったし、「別途料金を支払わなければいけない。」という事も在って運転経歴証明書の発行は求めなかったので、「母が運転免許証を取得して60年以上経つ。」という証明書は手元に皆無。「こんなにも長期間運転をされ続けて来て、本当に御疲れ様でした。」なんていう言葉が貰えるとは全く思っていなかったものの、「こんなにも呆気無く、あっさりと終わってしまうんだなあ。」という一抹の寂しさを、自分は感じてしまったのだ(母は、何とも感じていなかった様だが。)。
母の運転歴からすれば、自分の其れは半分位。将来、自分が運転免許証を自主返納する時、どういう思いが脳裏を過る事だろうか?