子供の頃、父親が購入していた青年漫画雑誌を、エロ漫画目的でこっそり読んでいた。記憶違いで無ければ「週刊漫画アクション」だったと思うが、エロ漫画では無く、コミカルな内容で、且つ登場人物達の顔の輪郭が特徴的な作品が在り、毎回、真っ先に読んでいた。其れが、西岸良平氏の作品との出会い。
「三丁目の夕日」や「たんぽぽさんの詩」等と並び、自分が好きな西岸作品で在る「鎌倉ものがたり」。「DESTINY 鎌倉ものがたり」というタイトルで映画化されたので、観に行って来た。
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鎌倉に住むミステリー作家・一色正和(堺雅人氏)の下に亜紀子(高畑充希さん)が嫁いで来るが、様々な怪奇現象が起こる日常に、彼女は戸惑ってしまう。犯罪研究や心霊捜査にも通じている正和は、迷宮入りが予想される事件の折には、鎌倉警察に協力する名探偵でも在った。或る日、資産家が殺害され・・・。
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「鎌倉は、人間と魔物、そして妖怪が共存する世界。」という設定に基づき、其処で起こる摩訶不思議な事件の数々を、ミステリー作家の一色正和が、心霊捜査にて解決するというストーリー。河童や鬼等が普通に街中に登場し、正和と共に捜査する警察関係者も人間と妖怪の間に生まれた者だったりするという、実に不思議なテーストの作品だ。
「作品の肝と言って良い、此の不思議なテーストを、どう映像化するのだろう?」と興味が在ったのだが、VFXを十八番とする山崎貴監督だけ在って、見事に再現している。河童がひょこひょこ道を横切って行ったり、風見鶏がパタパタ飛んで行ったりするシーンには、思わず吹き出してしまった。
又、堺雅人氏や高畑充希さん、安藤サクラさん、中村玉緒さん等、キャスティングも良い。特に堺氏の場合は、漫画から伝わって来る一色正和の雰囲気其の物だ。
前半のテンポの良さからすると、後半はスローさを感じてしまうが、全体的に言えば、観ている側の集中力を切らさせない展開だと思う。
総合評価は、星3.5個とする。
妻を助けに行く一色の意志の強さと、夫婦の絆と愛が感じられるものでした。面白かったです。
記憶違いで無ければ原作は、「正和の父と“謎の作家”のとの関係性が中々判らず、其れが故に父に対する複雑な思いを持ち続け、悩む正和。」というのが、此の作品の肝の1つだったと思います。だからこそ、1本の作品の中で“種明かし”されてしまった事には「うーん・・・。」という複雑な思いが在りましたけれど、全体的には良い作品でした。
「多様性の中で共生し乍ら、『異世界に呑まれない。』という事は、人間主体の今の時代への教訓も在ると思いました。」、凡人なので其処迄は考えが及びませんでしたが、言われてみるとそういう部分は在るかもしれませんね。「生と死を隔てている“壁”は、非常に高くも在り、逆に低くも在る。」というのを、自分は感じもしました。