ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「罪と祈り」

2020年01月13日 | 書籍関連

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警察官の濱仲辰司(はまなか たつじ)が、隅田川で死んだ。当初は事故と思われたが、側頭部に殴られたが見付かった。真面目目で正義感溢れる辰司が、何故殺されたのか?

息子の亮輔(りょうすけ)と幼馴染み刑事の芦原賢剛(あしはら けんごう)は、死の謎を追い、賢剛の父・智士(さとし)の自殺との繋がりを疑うが・・・。

隅田川で死んだ2人。そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?「辰司と智士」、「亮輔と賢剛」という2組の男達の「絆」と「葛藤」。
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貫井徳郎氏の小説罪と祈り」は、2組の父子の姿を描いている。「父親同士、又、息子で在る自分達も
大親友という関係に在る濱仲亮輔と芦原賢剛が、亮輔の父・辰司が殺された事により、自分達の父親の“死”に付いて調べて行く。」というストーリー。

“辰司と智士の若かりし頃”と“30代の亮輔と智士の今”が交互に描かれているのだけれど、前者に関して言えば、個人的に“異常さを感じていた時代”が舞台となっている。バブル景気真っ只中高騰し続ける土地で儲け様と、狙った土地の住人宅に動物の死骸を投げ込んだり、トラックで突っ込んだりという嫌がらせが、地上げ屋によって“普通に”行われていた時代。」で在り、又、「昭和天皇が病に倒れ、亡くなって大喪の礼が行われるの『何事に関しても自粛せよ!』という不気味な圧力を、皆が感じていた時代。」だ。今振り返ってもぞっとしてしまうし、戻りたくない過去で在る。

そんな時代に発生した未解決誘拐事件、もっと言ってしまえば、そんな時代だからこそ発生した未解決事件が、「罪と祈り」のになっている訳だけれど、“幾つかの死”に付いての動機に少々弱さを感じる。「そんな事で?」と、どうしても思ってしまうのだ。

「結末をどう捉えるか?」は、人によって異なるだろう。“今”に重点を置けば“暗さ”が、でも、“10年後という未来”に重点を置けば、“明るさ”が見出だせなくも無いから。

上で書いた様に、動機の弱さがどうしても気になり、良い評価が付けられない。従って、総合評価は星2.5個とする。


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