ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「記憶に残る」だけの選手ではなかった長嶋茂雄

2007年03月15日 | スポーツ関連
歌手で俳優の鈴木ヒロミツ氏が肝細胞癌亡くなられた。享年60歳とは余りにも若過ぎる。特に彼のファンという訳では無いが、唯、幼き頃より”TV番組でその姿を見るのが当たり前”という有名人の一人で、そういう方が急に消え失せてしまったという事に寂しさを感じる。彼が「モップス」(若かりし頃のユーミンが”追っかけ”をしていた事でも有名なバンド。)のボーカリストだったのは情報として知ってはいるものの、リアル・タイムで見聞した記憶は無い。自分の場合、鈴木ヒロミツ氏といえば役者のイメージだ。*1MobilのCMでのヒッピー姿(動画)、「夜明けの刑事」(動画)や「新・夜明けの刑事」、「明日の刑事」での小林刑事役等が印象深い。合掌

話は全く変わるが、日本プロ野球の歴史は「王貞治選手と長嶋茂雄選手」、即ちONの存在を抜きにして語る事は出来ないだろう。そして、この2人を喩える際に良く使用されるフレーズに「記録の王、記憶の長嶋」というのが在るのは、プロ野球ファンならば良く御存知の事と思う。通算本塁打数868本という世界記録を筆頭に、日本プロ野球の打者記録の殆どトップに王選手の名前が輝いている一方で、長嶋選手の場合にはベスト10に入っているケースが多いものの、突出した数字が無いというのがこのフレーズの根拠。しかし3月13日付け「夕刊フジ」の「野球工学への招待(上) 長嶋は『記録』にも残る男だった」という記事は、長嶋茂雄という選手の別の一面を浮かび上がらせていて、非常に興味深いものだった。

北海道在住のアマチュア野球解析家・道作氏(ハンドルネーム)は、”野球解析”の先進国アメリカで考案された指標を基に、10年以上前から日本プロ野球の各種記録を分析されている。球場も用具も違う30年以上前と今の野球では、1安打、1得点の価値も全く異なる。歴代の選手を打率や防御率等で比較するのは不適切だ。という思いがその根底には在ったからだ。例えば打者で言うと、日本の場合は打率や打点、本塁打等で評価されて来たが、道作氏は「平均打率が2割8分のシーズンの3割1分より、平均打率2割5分のシーズンの2割9分の方が好成績だ。」と異論を呈している。アメリカでは当時のリーグ平均等を基に現役は勿論の事、遥か昔の選手達迄も傑出度を示す指標で再評価しているのだとか。

記事では「RC27」という指標が紹介されている。これは或る打者が1試合の全打席に立った場合、何点取れるか。を測る指標という。長距離砲だろうが安打製造機だろうが、はたまた選球眼の良い打者だろうが、全て同じ土俵で評価される。日本の歴代打者(4,000打席以上)のRC27を算出すると、そのベスト5は次の様になる。

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【RC27傑出度(4,000打席以上)】*2 

1位: 王貞治(11.40)
2位: イチロー(8.64)
3位: 長嶋茂雄(8.62)
4位: 張本勲(8.48)
5位: 松井秀喜(8.25)
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次にリーグ平均の打者より、打撃でチームに何勝多くもたらしたか。を測る指標「バッティング・ウィン」の”通算成績”を、同じく4,0000打席以上の日本の歴代打者で算出してみると、ベスト5は次の様になる。

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【バッティング・ウィン(4,000打席以上、通賛成績)】*3

1位: 王貞治(156.58)
2位: 張本勲(85.88)
3位: 長嶋茂雄(82.59)
4位: 野村克也(73.33)
5位: 山内一弘(73.32)
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このバッティング・ウィンを、1,000打席当たりで算出した場合のベスト5も載っていた。

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【バッティング・ウィン(4,0000打席以上、1,000打席当たり)】*3

1位: 王貞治(13.22)
2位: 中西太(9.61)
3位: 長嶋茂雄(9.07) 
4位: 山内一弘(8.34)
5位: 松井秀喜(8.10)
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”世界のホームラン王”の王貞治選手や、”3,000本安打”の張本勲氏が上位に顔を出しているのは当然とも言えるが、現役のイチロー選手や松井秀喜選手(こんな凄い選手が居なくなったのだから、ジャイアンツが低迷を続けているのもなからぬ事か・・・。)が入っているのは立派。そして何よりも、従来の指標(記録)ではその突出度を感じられなかった長嶋茂雄選手が、”傑出度”を示す指標では上位(今回の3ケースでは全て3位。)に入っているというのは意外でも在った。長嶋茂雄選手は圧倒的な打力で試合を決めて来た、『記憶に残る男』だけでは無く『記録にも残る男』だった。という指摘も頷ける所。

従来の指標(記録)と今回の指標(傑出度)で、長嶋茂雄という選手のイメージがこれ程迄に異なってしまう理由に付いて、道作氏は従来の指標で長嶋が目立たないのは、引退後の1976年から”飛ぶボール”が採用され、打高傾向になった為だ。同様の理由で山内一弘や江藤愼一等も過小評価され、歴史に埋もれそうだ。としている。

道作氏は「日本プロ野球記録統計解析試案」というホームページを運営されている。こちらには思わず唸ってしまう様な興味深いデータが掲載されているので、プロ野球大好き人間ならば覗かれて損は無いだろう。

*1 リアル・タイムで見聞した記憶は無いものの、モップスの「たどりついたらいつも雨ふり」はほのぼのとした曲調が心地良い。又、「夜明けの刑事」のエンディング曲と言えば石橋正次氏の歌う「夜明けの街」は名曲だが、鈴木ヒロミツ氏の歌う「でも、何かが違う」も結構好きな曲だった。

*2 RC27傑出度の6位以降は、こちらで確認出来る。

*3 バッティング・ウィンの6位以降は、こちらで確認出来る。

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5 コメント

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悲しいですね。 (ロッソ)
2007-03-15 16:36:45
私は、鈴木ヒロミツさんがバンドを組んでいたとは知りませんでした。本当に素敵な俳優さんでしたよね。
ニュースで聞いた時は、ビックリしました。最期を家で過ごしたというお気持ち、すごくよく解ります。そして、最期に息子さんの名を呼び続けたと聞いて、息子さんへの深い愛情に涙がこぼれそうになってしまいました。
思わず、私が60歳の時…息子カーロは何歳?と。
若過ぎる死でした。本当に…。ご冥福をお祈りします。
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Unknown (tak_123)
2007-03-15 23:01:50
RC27、バッティング・ウィンという指標が合ったんですね。また昔と今とではボールの飛び方に差もあったんですね。参考になります。
歴代大打者がずらりと名前と並べている中、記憶だけでなく記録でもちゃんと名を連ねているのは流石ミスターですね。
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偉大なるミスター (ぶりゅーわー@ソレイタだ木田)
2007-03-16 00:00:29
お勧めのサイト、拝見しました。こういう指標があるんですねえ。王さんの数字は別格として、長嶋さんは記憶のみの打者ではなく、プロ野球の歴史に残る大打者だったということがよくわかります。ついでにいわせてもらえば、右打者で首位打者6回というのは長嶋さんのみであります。かの落合も5回しかとっておりません。
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>ぶりゅーわー@ソレイタだ木田様 (giants-55)
2007-03-16 00:32:04
書き込み有難うございました。

以前にも書いた事なのですが、自分は長嶋茂雄氏が選手だった時代の記憶が皆無に等しいんです。長嶋氏と言えば、苦悩に満ちた表情での監督時代(第一次政権)がやはり印象に強い世代なので、これ迄にはあくまでも「歴代ホームラン記録ランキング」やら「通算打率ランキング」等でその選手時代のイメージを膨らますしか無く、そうなると必然的に(他選手と比すると)突出したものがなかなか無い為に、「やはり記憶の選手なのかなあ。」という思いが在りました。これはこれで凄い事なのですけれどもね^^。

しかし今回の新しい指標によって、長嶋茂雄という選手の新しい一面が見えた思いがし、自分が王貞治選手に入れ揚げていた(いる)様に、自分よりも上の世代の人達が長嶋茂雄選手に対してあれ程迄に夢中になった要素が”新たに”判った気がしました。

落合博満選手を上回る、首位打者獲得6回というのは凄いですね。特に1951年から3年間連続で獲得していたというのは特筆されるでしょうね。(落合選手も1981年から3年連続で獲得されていますが。)思えばV9時代はONがタイトルを独占していた様なもので、それを考えると改めてONというコンビの凄まじさを感じると共に、「この頃の”強かったジャイアンツ”をハッキリと認識出来る年代だったらなあ。(生まれてはいたのですが、認識するには未だ幼過ぎました。)」と残念でなりません。
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Unknown (kihara)
2007-03-17 02:43:12
順位表を見ましたが、王さんはやはり凄いですね。

それから長嶋さんもカッコだけでなく、実力的にも大変な選手だったという趣旨ですね。

>自分が王貞治選手に入れ揚げていた(いる)様に、自分よりも上の世代の人達が長嶋茂雄選手に対してあれ程迄に夢中になった要素が”新たに”判った気がしました。

なるほど。いわゆる団塊世代の人の間での長嶋人気には理由があるわけですね。

>それを考えると改めてONというコンビの凄まじさを感じると共に、

ONが対話形式で書いた野球の教科書を今もってないのが悔やまれます。神田の古本屋にでもあれば、一度見てみてください。

>この頃の”強かったジャイアンツ”を

小学3年の年でしたか。日本シリーズの日に、授業がお休みになって教室でみんなで野球を見ていたことが懐かしいです。二塁土井、センター高田、レフト柴田など渋い名選手、
末次、阿波口といった頼もしい代打陣が強いジャイアンツに対する印象でした。長嶋さんは翌年から見ました。

>江藤愼一等

太洋の江藤。これも懐かしいなあ。

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