**********************************************************
「中国の元警官がウイグル拷問証言 『殴って蹴った。』、米CNN報道」(10月9日、共同通信)
米CNNテレヴィは9日迄に、「中国新疆ウイグル自治区で、ウイグル族への拷問に関与した。」とする中国の元警察官の男性に対するインタヴューを報じた。男性は「痣が出来て腫れ上がる迄殴り、蹴った。」と証言。中国政府は新疆での人権侵害を否定しており、波紋が広がりそうだ。男性が拷問に関与した詳細な時期は不明。
男性によると、男性等警察官は夜中に家を回り、テロに関わった疑いで数百人のウイグル族の男女を逮捕した。
其の後、拘置施設で尋問。性的暴行や電気ショックの他、睡眠を許さなかったり、食事や水を与えなかったりした。「自白」する迄拷問し、刑務所等に移送した。
**********************************************************
「『2009年ウイグル騒乱』以降、新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族に対し、中国政府が苛烈な弾圧を行い続けている。」という話は、以前よりチラホラ報じられていたが、今年になって具体的な内容が明らかになって来ている。中国政治が専門の平野聡教授(東京大学大学院法学政治学研究科)は、「『ニューヨーク・タイムズ』が2019年11月にリークした新疆極秘文書、実際に伝えられた報道や画像、当事者の証言、中国の正式な国家統計で在る『中国統計年鑑』の数字等から、新疆ウイグル自治区でジェノサイドが行われているのは明らか。」としている。平野教授によると、「近年、中国の他の少数民族地域では総じて少数民族人口が漸増しているにも拘らず、新疆ウイグル自治区のみ、2017年~2019年に掛けて、総人口が2,444万6,700人から2,523万2,200人へと78万5,500人増加した一方、少数民族人口は1,654万4,800人から1,489万9,400人へと、164万5,400人も激減しており、此れはジェノサイドが行われた結果。」だとも。
半年程前、ウイグル族の人達の証言を集めた本を読んだが、“強制収容所”の実態やウイグル族根絶を目的とした中絶強要、各家庭に配置される“監視員”等、ぞっとする様な話が紹介されていて、「異常な状況だな。」と痛感させられた。今回の元警官の証言は、そういう状況を裏付ける物と言って良い。
**********************************************************
「中国が言論統制を強化、民間の報道事業への参入禁止へ」(10月9日、読売新聞)
中国政府は8日、民間企業のテレヴィや新聞、ネット・メディア等、報道事業への参入を禁止する方針を示した。
国家発展改革委員会が、8日公表の市場参入の制限分野を定めた2021年版リスト案で打ち出した。民間企業が出資して報道機関を設立、経営する事を禁止する。ニュースの取材・編集・配信の他、政治や経済、軍事、外交等の分野で世論誘導に関わる活動や事件の中継も禁止する。海外メディアのニュース引用も認めない。14日迄意見を募り、最終決定する。
中国の新聞、テレヴィ等主要メディアは、中国共産党や政府機関の統制下に置かれているが、ネット企業が運営するウェブサイトやSNSが、文化や経済関連の情報を伝え、事件の実況を手掛ける実態が在った。今回の方針には、報道や言論の統制を更に徹底する狙いが在ると見られる。
**********************************************************
ウイグル族の人権のみならず、(他の民族も含めた)自国民の正当な権利をも蔑ろにし様としている中国。とても真面な国家とは思えない。