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「内のクラスの転校生は、何かがおかしい。」。
クラスに馴染めない転校生・白石要(しらいし かなめ)に、親切に接する委員長・原野澪(はらの みお)。然し、そんな彼女に要は、不審な態度で迫る。唐突に「今日、家に行って良い?」と尋ねたり、家の周りに出没したり。やばい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は、憧れの先輩・神原一太(かんばら いった)に助けを求めるが・・・。
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辻村深月さんの小説「闇祓」を読了。
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・闇ハラ:「闇ハラスメント」の略。
・闇ハラスメント:精神・心が闇の状態に在る事から生ずる、自分の事情や思い等を一方的に相手に押し付け、不快にさせる言動・行為。本人が意図する、しないに拘らず、相手が不快に思い、自身の尊厳を傷付けられたり、脅威を感じた場合は、此れに当たる。
・闇ハラ家族:闇を振り撒く人及び其の集合体。何処にでも、誰の傍にも居る。
・闇祓(ヤミハラ):闇を振り撒く人から、逃れる事。彼等の闇を祓う事及び其れを生業にする人々の総称。
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記憶違いで無ければ、辻村作品を読むのは、今回が5作品目。初めて読んだのが10年前で、直木賞を受賞した「鍵のない夢を見る」(総合評価:星3.5個)。そして、「かがみの孤城」(総合評価:星4.5個)、「ツナグ 想い人への心得」(総合評価:星3.5個)、「琥珀の夏」(総合評価:星4つ)と読み、今回の「闇祓」に到る。
「闇祓」は、「かがみの孤城」及び「ツナグ 想い人への心得」とテーストが近い。「此の世とは思えない、不可思議な世界を描いた作品。」だからだ。定義は上記したが、作品の最後になって明らかになるのは、「闇ハラ家族と、闇ハラを闇祓する者達との闘い。」で在る。
内容的には全く無関係なのだけれど、子供の頃に読んだホラー漫画「魔太郎がくる!!」を重ね合わせてしまった。「人が持つ邪悪な部分と、其れに影響されてしまう人々。」というのが、そう感じさせたのだろう。
「立場が変わると、人も変わってしまう。」と言う。「立場が変わった事で、勘違いしてしまう。」というのも在るだろうけれど、「『“其の人”の立場が変わる事で、“其の人の周りの人間”の言動が変わり、結果として其の影響を受け、“其の人”は変わってしまう。』というの“も”在るのだろうな。」と、「闇祓」の中で最も印象に残った「第3章 同僚」で感じた。
総合評価は、星3.5個とする。