日本史、特に近現代史が好き。なので、BS-TBSで放送されている「関口宏のもう一度!近現代史」を、良く見ている。8日は第112回として、「昭和21年(1946年)日本国憲法公布・夜の女」というタイトルで放送された。
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パンパン:戦後混乱期の日本で、主として在日米軍将兵を相手にした街娼の事。戦争で家族や財産を失って困窮し、売春に従事する事を余儀無くされた女性が多かった。
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戦争は、数多の人間を不幸にする。中でも弱者への不幸さは、苛烈を極める。親兄弟を亡くした子供達は浮浪児となり、「救いの手を差し伸べられる事も無く、亡くなって行った者も少なく無かった。」と言われてる。又、同様に家族を失った女性の中には、上記したパンパンとして生きて行かざるを得なかった者も。
菊池章子さんが歌い、大ヒットした曲「星の流れに」【動画】は、「元従軍看護婦だった女性が、奉天から東京に帰って来たものの、東京は焼け野原で、家族も全員亡くなっていた事から、“夜の女”として生きるしか無い我が身を嘆く手記を新聞に投稿し、其れを読んだ作詞家の清水みのる氏が作詞した作品。」だ。戦争に対する遣り切れない思いが感じられる詩に、哀愁を帯びた曲調がマッチした名曲で、自分も大好き。
で、8日放送の「関口宏のもう一度!近現代史」で、“ラクチョウのお時”さんなる人物の事を、自分は初めて知った。
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ラクチョウのお時:戦時下、東京の女子商業学校在学中に空襲で両親や兄弟と離別し、戦後は空襲による破壊の為に廃墟となっていた“ラクチョウ”(有楽町の通称)の日劇地下で寝泊まりし、パンパンとして生きていた実在の女性の通称。1947年4月22日、パンパンを纏める“遣り手”となっていた彼女が、NHKのラジオ番組「街頭録音」で、アナウンサーの藤倉修一氏からインタヴューを受けた「ガード下の娘達」が放送され、其の発言内容が大きな反響を呼んだ。
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インタヴューを受けた頃、「彼女は、500人程のパンパンを纏めていた。」と言われている。
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「『ガード下の娘達』の中でラクチョウのお時さんが語った言葉」
そりゃ、パン助は悪いわ。だけど、戦災で身寄りも無く、職も無い私達は、どうして生きて行けば良いの。好きでこんな商売をしている人なんて、何人も居ないの。其れなのに、苦労して堅気になって職を見付けたって、世間の人は『彼奴はパン助だ。』って指差すじゃないの。私は今迄に何人も、此処の娘を堅気にして送り出して遣ったわよ。其れが皆(涙声)、虐められて、追い立てられて、又、此のガード下に戻って来るじゃないの。世間なんて好い加減。私達を馬鹿にしてるわ。
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「好きでこんな商売をしている人なんて、何人も居ないの。」という言葉に、パンパンとして生きて行かざるを得ない女性達の悲しみが窺い知れる。