中学生の頃だったか、雑学本で「八百長」の語源を知って「へー。」と唸ってしまったもの。「まさか『八百屋の長兵衛』から生まれた言葉とはねえ・・・。」と。
1月31日付け東京新聞(朝刊)のサンデー版には、「言葉のルーツ 語源遺産」という特集記事が組まれていた。「語源遺産」とは放送作家のわぐりたかし氏が提唱した用語で、「言葉の語源・由来に縁の在る地域・場所や人物、事物等を指す。」と言う。「発生源そのものだけでは無く、その言葉が広まる切っ掛けとなったり、纏る事物が受け継がれて残っていたりする場所等も含む。」とも。元記事では国内外併せて23ヶ所の語源遺産が紹介されていたが、その中から幾つか紹介してみたい。尚、文中の略語に関しては「(意味)=言葉の意味。」「(語源)=言葉の語源。」、「(遺産)=言葉を生み出した語源の遺産。」を指すものとする。
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① 阿漕(あこぎ)
(意味)度重なる事。欲深く、厚かましい事。無情に扱う様。
(語源)三重県津市の海岸・阿漕浦は伊勢神宮の供え物を捕る漁場で、一般の漁は禁じられていたが、平治という猟師が度々密漁し捕まって海に沈められたという伝説による。能・浄瑠璃等の題材にもなっている。
(遺産)平治の亡霊が寄進を約束したとの伝説が在る上宮寺の「雨宝童子立像」。
② 泥棒
(意味)盗みをする事。又、その人。
(語源)土呂(とろ。現在の愛知県岡崎市福岡町。)に在った御寺の土呂坊(とろぼう)から。三河土呂の一向宗が党を組んで徳川家康に立ち向かった事による。
(遺産)一向宗の信仰拠点だった土呂坊「本宗寺」は16世紀後半の一向一揆で焼失。土呂八幡宮の一角に「土呂御坊跡」の碑が在る。現在、本宗寺は場所を移し、美合町に在る。
③ チンタラ
(意味)遣る気無く、だらだらと物事を行う様。
(語源)薩摩地方に伝わる伝統的な焼酎蒸留法の機械「カブト釜式蒸留機」に由来。釜を加熱すると「チンチン」と音がして、御酒が筒から「タラーリ」と滴り落ちて来る。その工程が鈍々と見える様から。「チン」は鹿児島弁でゆっくりを意味する「チンチン」からという説も。
(遺産)通称「チンタラ蒸留機」と言われるカブト釜式蒸留機。
④ 金字塔(きんじとう)
(意味)後世に伝わる様な偉大な業績。
(語源)ピラミッドの形が「金」の字に似ている点から。
(遺産)エジプトのピラミッド。
⑤ 土壇場(どたんば)
(意味)切羽詰まって、進退窮まった場面。
(語源)江戸の伝馬町牢屋敷内にて斬首の為土で築いた台を「土壇」と言う。土壇場、即ち処刑場の事で在り、追い詰められた状態の喩えとなった。
(遺産)江戸伝馬町牢屋敷(現在の中央区日本橋小伝馬町。)跡は現在、十思公園や大安楽寺等になっている。
⑥ びびる
(意味)気後れして、尻込みする事。
(語源)鎧が触れ合う音を「びんびん」といった事に由来。源平の富士川の戦いで、平家が水鳥の羽音を源氏の奇襲の「びびる」音と勘違いして退却した。軍記物等で広まった。
(遺産)平家が陣を張った事を示す「平家越」の碑。現在の和田川(静岡県富士市)の橋の袂に在る。
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普段何気無く使っている言葉にも、それぞれ濃密な歴史が在る。その他に載っていた用語の語源もなかなか面白かったので、興味を持たれた方はこちらから当該版を購入されてみては如何か。

1月31日付け東京新聞(朝刊)のサンデー版には、「言葉のルーツ 語源遺産」という特集記事が組まれていた。「語源遺産」とは放送作家のわぐりたかし氏が提唱した用語で、「言葉の語源・由来に縁の在る地域・場所や人物、事物等を指す。」と言う。「発生源そのものだけでは無く、その言葉が広まる切っ掛けとなったり、纏る事物が受け継がれて残っていたりする場所等も含む。」とも。元記事では国内外併せて23ヶ所の語源遺産が紹介されていたが、その中から幾つか紹介してみたい。尚、文中の略語に関しては「(意味)=言葉の意味。」「(語源)=言葉の語源。」、「(遺産)=言葉を生み出した語源の遺産。」を指すものとする。
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① 阿漕(あこぎ)
(意味)度重なる事。欲深く、厚かましい事。無情に扱う様。
(語源)三重県津市の海岸・阿漕浦は伊勢神宮の供え物を捕る漁場で、一般の漁は禁じられていたが、平治という猟師が度々密漁し捕まって海に沈められたという伝説による。能・浄瑠璃等の題材にもなっている。
(遺産)平治の亡霊が寄進を約束したとの伝説が在る上宮寺の「雨宝童子立像」。
② 泥棒
(意味)盗みをする事。又、その人。
(語源)土呂(とろ。現在の愛知県岡崎市福岡町。)に在った御寺の土呂坊(とろぼう)から。三河土呂の一向宗が党を組んで徳川家康に立ち向かった事による。
(遺産)一向宗の信仰拠点だった土呂坊「本宗寺」は16世紀後半の一向一揆で焼失。土呂八幡宮の一角に「土呂御坊跡」の碑が在る。現在、本宗寺は場所を移し、美合町に在る。
③ チンタラ
(意味)遣る気無く、だらだらと物事を行う様。
(語源)薩摩地方に伝わる伝統的な焼酎蒸留法の機械「カブト釜式蒸留機」に由来。釜を加熱すると「チンチン」と音がして、御酒が筒から「タラーリ」と滴り落ちて来る。その工程が鈍々と見える様から。「チン」は鹿児島弁でゆっくりを意味する「チンチン」からという説も。
(遺産)通称「チンタラ蒸留機」と言われるカブト釜式蒸留機。
④ 金字塔(きんじとう)
(意味)後世に伝わる様な偉大な業績。
(語源)ピラミッドの形が「金」の字に似ている点から。
(遺産)エジプトのピラミッド。
⑤ 土壇場(どたんば)
(意味)切羽詰まって、進退窮まった場面。
(語源)江戸の伝馬町牢屋敷内にて斬首の為土で築いた台を「土壇」と言う。土壇場、即ち処刑場の事で在り、追い詰められた状態の喩えとなった。
(遺産)江戸伝馬町牢屋敷(現在の中央区日本橋小伝馬町。)跡は現在、十思公園や大安楽寺等になっている。
⑥ びびる
(意味)気後れして、尻込みする事。
(語源)鎧が触れ合う音を「びんびん」といった事に由来。源平の富士川の戦いで、平家が水鳥の羽音を源氏の奇襲の「びびる」音と勘違いして退却した。軍記物等で広まった。
(遺産)平家が陣を張った事を示す「平家越」の碑。現在の和田川(静岡県富士市)の橋の袂に在る。
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普段何気無く使っている言葉にも、それぞれ濃密な歴史が在る。その他に載っていた用語の語源もなかなか面白かったので、興味を持たれた方はこちらから当該版を購入されてみては如何か。

泥棒の語源が岡崎にあったとは知りませんでした 世の中知らないことだらけですね~!