ネット・サーフィンしていると、面白いサイトにしばしば出くわす。今回見付けた「テレビ番組・放映カレンダー」もそんな一つで、「テレビ番組の放送開始日及び終了日を、カレンダー方式で確認出来る。」というもの。「この年に、あの番組が放送開始となったんだ。」等、何とも懐かしい思いに浸れる。膨大なデータを収集&整理するのは生半可な事では無いと思うが、「こういう方が居らるからこそ、懐かしい思いに浸れる。」と唯々感謝。
閑話休題。
先月発表された直木賞では、受賞者の一人・白石一文氏が「同賞初の親子受賞者」という事が話題になった。彼の父・白石一郎氏は1987年に「海狼伝」で第97回直木賞を受賞したが、受賞迄の道程は非常に険しかった。と言うのも、1970年に初めて候補に挙がって以降7度落選し、8度目でやっと栄冠を掴み取ったのだから。そんな父親の姿を間近に見ていただけに、一文氏はずっと「直木賞が嫌いだった。」と語っていたとか。候補となって2度目での受賞となった彼が、「(「直木賞が嫌い。」という思いは)変わらざるを得ないですね。」と苦笑いを浮かべて語っていたのには、思わず笑ってしまったが。
直木賞を受賞した作品「ほかならぬ人へ」を、この程読み終えた。
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名家の三男として生まれた宇津木明生は、優秀な父母と2人の兄に囲まれ、自身の能力にずっと劣等感持ち続けていた。両親や兄達はそんな明生を慈しんでくれるのだが、そうされればされる程彼の劣等感は増すばかりだった。
大学を卒業し、スポーツ用品メーカーの営業マンとなった明生。彼の周りには「キャバクラで知り合い、そして結婚した美人妻・なずな」と「親が決めた嘗ての許嫁・山内渚」、そして「外見は冴えないが、男勝りで頼れる上司・東海」という3人の女性が居り、自分を強く打ち出せない明生は「自分にとって『他ならない人』が、彼女達の中に居るのだろうか?」と自問するのだった。
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以前にも書いた事だが、世の中には「黒で無ければ白。白で無ければ黒。」と、「全ての事象は、二者択一で捉えなければならない。」とでも思っている様な人が居る。「右翼で無ければ左翼。」、「左翼で無ければ右翼。」等と決め付けをするスタンスには辟易とさせられるのを通り越して、「何だかなあ・・・。」と苦笑するしかない。恋愛一つ取ってみても、その形は色々在って然る可きで、「御前達は毎日エッチをしていないから、恋愛関係では在り得ない。直に別れろ!」と無理強いされたとしたら、それがどれだけ余計な御世話か判るだろうに。その言動が好きか嫌いかは個人の自由だけれど、他者に無理強いして迄“自分色”に染めようとする権利は誰にも無い。
明生の妻・なずなの思考回路は、ハッキリ言って自分には受け容れ難い物が在る。良く言えば「自分自身に忠実。」なのだろうが、悪く言えば「本能のままに生き、周りの事を全く顧みない。」人間としか思えないので。でも嫌いでは在るけれど、そういう生き方しか出来ない人が居るのも事実。特に恋愛に関しては、理屈が介在し得ない面も在るし。
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「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ。」
「だからさ、人間の人生は、死ぬ前最後の一日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。言ってみれば宝探しとおんなじなんだ。」
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思いを深く寄せる相手からは歯牙にも掛けられないのに、別に思いを寄せてもいない相手からは思いを寄せられる。そんな経験をした人は少なくない事だろう。恋愛体質の薄い自分ですら、そういった経験は過去に在ったし。そういう複雑な関係が、この小説の登場人物達には存在する。
そして「別に思いを寄せてもいなかった筈の人間が、結局は自分にとっ『他ならぬ人』だったと知るシーン。」には、思わずグッと来てしまった。
直木賞受賞に恥じない作品で在る。総合評価は星4つ。
閑話休題。
先月発表された直木賞では、受賞者の一人・白石一文氏が「同賞初の親子受賞者」という事が話題になった。彼の父・白石一郎氏は1987年に「海狼伝」で第97回直木賞を受賞したが、受賞迄の道程は非常に険しかった。と言うのも、1970年に初めて候補に挙がって以降7度落選し、8度目でやっと栄冠を掴み取ったのだから。そんな父親の姿を間近に見ていただけに、一文氏はずっと「直木賞が嫌いだった。」と語っていたとか。候補となって2度目での受賞となった彼が、「(「直木賞が嫌い。」という思いは)変わらざるを得ないですね。」と苦笑いを浮かべて語っていたのには、思わず笑ってしまったが。
直木賞を受賞した作品「ほかならぬ人へ」を、この程読み終えた。
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名家の三男として生まれた宇津木明生は、優秀な父母と2人の兄に囲まれ、自身の能力にずっと劣等感持ち続けていた。両親や兄達はそんな明生を慈しんでくれるのだが、そうされればされる程彼の劣等感は増すばかりだった。
大学を卒業し、スポーツ用品メーカーの営業マンとなった明生。彼の周りには「キャバクラで知り合い、そして結婚した美人妻・なずな」と「親が決めた嘗ての許嫁・山内渚」、そして「外見は冴えないが、男勝りで頼れる上司・東海」という3人の女性が居り、自分を強く打ち出せない明生は「自分にとって『他ならない人』が、彼女達の中に居るのだろうか?」と自問するのだった。
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以前にも書いた事だが、世の中には「黒で無ければ白。白で無ければ黒。」と、「全ての事象は、二者択一で捉えなければならない。」とでも思っている様な人が居る。「右翼で無ければ左翼。」、「左翼で無ければ右翼。」等と決め付けをするスタンスには辟易とさせられるのを通り越して、「何だかなあ・・・。」と苦笑するしかない。恋愛一つ取ってみても、その形は色々在って然る可きで、「御前達は毎日エッチをしていないから、恋愛関係では在り得ない。直に別れろ!」と無理強いされたとしたら、それがどれだけ余計な御世話か判るだろうに。その言動が好きか嫌いかは個人の自由だけれど、他者に無理強いして迄“自分色”に染めようとする権利は誰にも無い。
明生の妻・なずなの思考回路は、ハッキリ言って自分には受け容れ難い物が在る。良く言えば「自分自身に忠実。」なのだろうが、悪く言えば「本能のままに生き、周りの事を全く顧みない。」人間としか思えないので。でも嫌いでは在るけれど、そういう生き方しか出来ない人が居るのも事実。特に恋愛に関しては、理屈が介在し得ない面も在るし。
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「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ。」
「だからさ、人間の人生は、死ぬ前最後の一日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。言ってみれば宝探しとおんなじなんだ。」
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思いを深く寄せる相手からは歯牙にも掛けられないのに、別に思いを寄せてもいない相手からは思いを寄せられる。そんな経験をした人は少なくない事だろう。恋愛体質の薄い自分ですら、そういった経験は過去に在ったし。そういう複雑な関係が、この小説の登場人物達には存在する。
そして「別に思いを寄せてもいなかった筈の人間が、結局は自分にとっ『他ならぬ人』だったと知るシーン。」には、思わずグッと来てしまった。
直木賞受賞に恥じない作品で在る。総合評価は星4つ。
・・・としたがる人。
ありますね、いますね、そういう風潮や人。
黒白正邪(こくびゃくしょうじゃ)っていうんでしょうかねえ。
困り者ですね。
ベストが見つかったら成功・・・。うんうん。^±^ヾ コックリ
地獄があるというのよりよほど合点がいきます。
才能の遺伝はさて置き、今回の様に父親が受賞に到る迄散々苦労した姿を間近で見て来た場合、子供は「こんな稼業は嫌だ!」と思うか、それとも苦労した姿に心を揺り動かされて「俺も同じ道に進んでみたい。」と思うかのどちらかの様に思います。