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「米ロケットの残骸、月に衝突の恐れ・・・7年前打ち上げ宇宙漂った果て」(2月6日、読売新聞)
「7年前に打ち上げられたロケットの残骸が、3月に月に衝突する恐れが在る。」と、複数の米メディアが報じた。役割を終えた探査機等を月面に落下させる事は過去に在ったが、意図せずに人工物が月面に衝突するのは極めて異例と見られ、注目を集めている。
衝突が予測されているのは、米スペースX社のロケット「ファルコン9」の上段部(重さ約4トン)。米海洋大気局(NOAA)の観測衛星を搭載し、2015年2月に打ち上げられた。其の後、上段部は地球の大気圏へ落下する事無く、残骸として宇宙を漂っていた。
米メディアによると、此の残骸を追跡していた米国の専門家が、「3月4日に、月の裏側に衝突する可能性が高い。」との軌道計算結果をインターネット上で公表した。他の複数の専門家も、同様の見解を示したと言う。
運用を終えた月探査機を月面に落下させるケースは在り、日本の「かぐや」も2009年、月面へ落とされた。
「今回、仮に残骸が衝突しても、月の環境に深刻な影響を及ぼす可能性は低い。」と見られているが、米紙ワシントン・ポストは「(地球から離れた)深宇宙への参入者が増える程、其処に放置される塵の問題に、もっと注意を払う必要が在る。」という天文学者の警告を紹介している。
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今回の記事で、初めて「深宇宙」なる用語を知った。「宇宙空間に於て、地球からの距離が非常に遠い所。」を意味し、具体的に言えば「電波法施行規則第32条では『地球からの距離が200万km以上で在る宇宙」(大気圏の外側)と規定されている。」のだとか。一般的には「銀河系の外部の宇宙や、通常の天体望遠鏡では観測する事の出来ない、更に遠方の宇宙。」という“曖昧な意味合い”で使われる事が多いとも。
宇宙塵(スペース・デブリ)に付いては、2007年の記事「カーナビが使えなくなる!?」等で、其の危険性に付いて取り上げた。当時の情報によると、「宇宙空間には3,500万個のスペース・デブリが存在していると言われ、打ち上げロケットの残骸という大きな物から、小さな金属片、更にロケットや人工衛星から剥離した塗料や微小な煤迄と、大きさも色々。低軌道に在るスペース・デブリは空気抵抗により何れ自然落下&大気圏内で燃え尽きるが、其れ迄には非常に長い時間を要す。高度600kmのスペース・デブリで25~30年間、1,000kmだと2,000年後とか。此れ等のスペース・デブリは宇宙空間をプカプカ浮遊している訳では無く、軌道上を秒速8km(分速480km)という猛スピードで飛んでおり、衝突すると非常に危険。」との事。
今回、月面に衝突するとされる「ファルコン9」の上段部に付いては、重さが約4トンも在るそうだ。「今回、仮に残骸が衝突しても、月の環境に深刻な影響を及ぼす可能性は低い。」という事だが、物事に絶対は無い。地球上同様、「塵は出来るだけ出さない。どうしても出てしまう塵に付いては、自然環境に出来るだけ影響を与えない形で処理する。」というのを、人類は忘れてはいけない。
今回も飛びつかざるを得ない面白い内容をありがとうございます(笑)。
星雲や星団などの天体撮影をしていると、ひと昔前に比べ人工衛星がよく写るようになってきました。特に天の赤道に近いオリオン座など、人工衛星の写っていない画像を見つける方が難しいぐらい。それだけ人工衛星が増えてきたということでしょうね。
携帯の基地局を増やすため今後数年のうちに万単位の小衛星が打ち上げられる予定とかで、天文学者も宇宙観測への悪影響を危惧しているそうです。
衛星の打ち上げが増えればスペースデブリと呼ばれている宇宙ゴミも必然として増えるわけで、今後無視できなくなるのは確実。
さて、この宇宙ゴミが秒速8kmで飛んでいるということは時速に直せば約29万km! ごく小さなビスや破片でもとんでもない凶器になりますね。
でも約400km上空のISS国際宇宙ステーションが地球を1周するのに要する時間が約90分といいますから、4万km/90分=時速約2.7万km・・・宇宙ゴミの速度がけた違いに速いのはなぜでしょう?
地球への落下速度(引力)と地球からの脱出速度の関係は、地球から遠くなるほど引力が弱くなり、脱出速度も遅くなる、つまり遠くにあるほどゆっくりとした速度でも地球に落ちてこないということですよね。約38万km先にある月が約28.5日かけて地球を1周する、(38万kmx2x3.14)/(28.5x24)=時速約3500kmのはそのため。
地球の周囲の宇宙空間がスペースデブリで危険というのは確かですが、元記事はちょっと大げさに書いているような気もしますが。
天体撮影を屡々行われていると、実感として“人工衛星の多さ”を痛感させられるのですね。便利さを求め過ぎる余り、其れ迄には無かった(乃至は少なかった)問題が、大きなデメリットとして生じてしまう事は良く在りますけれど、「今後数年の内に万単位の小衛星が打ち上げられる。」という事で在れば、間違い無く大きなデメリットを生じさせる事でしょう。
スペース・デブリの飛ぶ速度、確かに速過ぎる感じは在りますね。実際問題としてはもっと遅いのかも知れませんが、小さな金属片で在っても、相当のスピードで飛んでいるので在れば、銃弾が飛んでいる様なもので、本当に危険ですね。