ば○こう○ちの納得いかないコーナー

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「北朝鮮の粛清劇」から学ばなければいけない事

2013年12月15日 | 時事ネタ関連

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正恩氏、類例無き非情・・・今後の粛清『万単位』か」(12月13日、読売新聞

 

北朝鮮で、ナンバー2の張成沢国防委員会副委員長(67歳)の粛清は、張氏が解任から僅か4日後に処刑される異例の展開となった。

 

金正恩第1書記は、叔父の張氏でも容赦無く処刑する恐怖政治を見せ付け、張氏勢力を抑え込む狙いと見られる。

 

韓国の柳吉在統一相は13日の国会答弁で、今回の様な迅速な処刑は「北朝鮮の歴史で類例が無い。」と驚きを隠さなかった。

 

消息筋によると、金日成主席が1950年代、政敵スパイ罪で処刑した事実を公表した例が在るが、張氏の様に法廷写真を公開する等、人格貶める手法は取らなかった。

 

金正日総書記は1970年代以降、権力基盤を確立するに、叔父で後見人だった金英柱副首相義母従兄弟を権力中枢から追い遣ったが、政治生命を奪うだけに留めた。北朝鮮メディアは張氏をにも劣る醜悪な人間の罵倒しており、正恩氏の非情さが浮き彫りになっている。

 

聯合ニュース等、韓国主要メディアは、北朝鮮が公開した法廷写真で、張氏の左目等が腫れており、暴行で自白強要された疑いも指摘した。

 

張氏に連なる人脈は、政権上層部から朝の経済協力に従事する企業家及ぶとされる。北朝鮮での粛清は家族に及ぶのが通常で、人数は「万単位に上る。」との指摘が在る。13日付の朝鮮労働党機関紙労働新聞電子版)は1面の論説で、張氏処刑で「革命の敵に、大きな恐怖を与えた。」と強調した。

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今回の一連の粛清劇に、大きな衝撃を受けた方も多い事だろう。「独裁国家だから、何が起こってもおかしくは無い。」と思っていたし、後述する様に「独裁者側近を、次々に粛清して行く。」というのは全く珍しい事では無いので、ナンバー2の張成沢氏の“排除”自体は驚かなかったのだが、血が繋がってはいないといえ叔父(父・金正日総書記の実妹の夫。)を死刑に処すと迄は考えていなかった。「“強制収容所送り”レヴェルに留めるのではないかと予想していたので、「此処遣るか・・・。」と背筋が寒くなってしまった。

 

張氏の解任が明らかとなる少し前、「世界の最凶独裁者 黒歴史FILE」というムック本を購入した。古今東西総勢73人の独裁者達(正確に言えば、72人+2人。プラスの2人はシルヴィオ・ベルルスコーニ首相ウラジーミル・プーチン大統領だが、「独裁者としては、未だ半人前。」という事で、2人で1人扱いされている。)を取り上げている。自分の中では「独裁者の殆ど暗殺等、非業の最期遂げている。」というイメージが在ったのだけれど、意外にも「独裁者ので病死。」というケースが多い事に驚かされた。非業の最期を遂げるにしても、独裁期間は相当長く、「独裁政権が出来上がってしまうと、恐怖政治は極めて長期間行われ、尋常で無い数の人間が惨殺される。」という事なのだ。

 

大量虐殺で知られるヨシフ・スターリン書記長。政敵を虐殺して行った以外にも、誤った政策推し進めた事で、1千万人を遥かに超える国民が死亡したとも言われている。彼が残した有名な言葉に「愛や友情は直ぐに壊れるが、恐怖は長続きする。」というのが在るが、独裁国家の本質端的に表していると思う。

 

多くの場合、独裁国家は超大国エゴから成立している。アメリカソ連ロシア)、戦後で言えば中国等がそうだが、自分達の利益を守る為“だけ”に特定の人物を祭り上げ、資金援助等を行って、独裁国家を作り上げて行く。「最初は其の独裁国家を利用し続けるのだが、独裁者が言う事を聞かなくなると、“反対勢力”に肩入れし、独裁者を見放す。」というのが、良く在るパターン。其の過程で多くの他国民が犠牲になろうとも、「そんなの、知った事じゃ無い。」というのだから、全く酷い話だ。

 

「独裁国家の殆どは、国民の反対を押し切って成立したのでは無い。」というのも、留意すべき点だろう。「長引く不況等、国内に閉塞感漂う。→仮想敵を作り上げ、其れを激しく“叩く”人物が現れ、多くの国民が其の人物を支持する。→其の人物に対する支持が広がって行く過程で、言論統制図る法律が次々に成立。→最初は“明らかな政敵”が次々に粛清されて行き、続いて少しでも反対を示す国民が粛清されて行く。→大粛清を行った事で『次は自分が粛清されるのではないか。』と疑心暗鬼となり、最後は側近迄も次々に粛清する。」というのも、独裁国家成立の過程で良く在るケース。

 

話を今回の粛清劇に戻すが、「張氏は解任の4日後では無く、解任直後に死刑に処されていた。」という話も在る。解任の理由も最初は「女性問題やら不正な金銭問題。」とされていたのが、最後には「クーデター企んでいた。」なんて話に変わって来ている。「特定秘密保護法案」の問題点の1つに、「何故、其れが秘密扱いになったのか判らない。」どころか、「何が秘密になったのかすら、国民は判らない。」というのが挙げられていたが、張氏の場合も「本当に問題点が在ったのかどうか?」すらも判らないのだから、「知る事が出来ない。」&「知らされない。」というのは本当に怖い。

 

一説には、「張氏は銃殺刑だったらしい。」と。至近距離にて、複数の銃を乱射するという話も在り、そういう場合、銃殺された人間は無数の“肉片”に化す。法廷に引き摺り出された張氏には拷問が見受けられたし、金第1書記の叔父に対する異常な迄の憎しみが窺える。

 

毛沢東首席の4番目の妻で、四人組の1人として大虐殺に手を染め江青女史は、嘗て女優だった時代の知り合いを次々に粛清していた事でも知られている。「昔の自分を知っている人間が、余計な事を言うかもしれない。権力維持をする上で、彼等は邪魔なだけ。」という思いが強かったのだろうが、金第1書記が張氏を粛清した背後には、そういう思いも強く在ったのではないだろうか。

 

北朝鮮のメディアが“敵”を口汚く罵倒するのは何時もの事だが、最近迄“国家のナンバー2”だった人物、其れも金第1書記の叔父に対して、「犬にも劣る醜悪な人間の屑。」と迄言い放つとは・・・。

 

又、恐怖政治の中、“本音”を言えないのは判るが、街頭インタヴュー平然と「(張氏の)死刑は当然。八つ裂きにして、塵箱に捨てても、未だ足りない。」なんぞと答える市民の姿は、寒々しい物を感じた。治安維持法等で“縛られ”、特高警察隣組等の監視目のを恐れ、戦地へ子供を送り出す際、本当は『行かないで欲しい。生きて帰って来て欲しい。』と思っているのに、『御国の為、天皇陛下の為、立派に死んで来い。』と言わざるを得なかった親達の姿。」を重ね合わせてしまうし、常軌を逸し野卑な言葉で罵倒するという点では、「朝鮮人を皆殺しにしろ!」等と得意気にヘイト・スピーチしている連中と同質な気がする。

 

金正日総書記の葬儀の際、彼のが乗せられた霊柩車の周りを囲んで歩いていたのは、金正恩第1書記の他に、張氏を含む7人だった。彼等は金第1書記を支える7人衆と言われていたが、其れから2年を迎え様としている今、今回の張氏の粛清で、5人が粛清された事になる。

 

独裁者的な顔を見せ始めた安倍晋三首相を“盲目的に”支持し続けている人の中には、ヘイト・スピーチに興じている様なが結構見受けられるし、そんな彼等には「安倍首相は、私達の“仲間”。仲間が虐められているのだから、守るのは当然。」といった“勘違い”をしている様にも感じられる。「仲間を守る為だったら、どんな“嫌がらせ”をしても構わない。」というのならば、とんでもない思い上がりだし、そういう事を煽って平気で遣らせる様な人間は、軈ては“支持者達”をも平然と粛清して行くで在ろう事を、歴史から学ばなければ駄目だ。


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