ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「MILK」

2015年11月10日 | 書籍関連

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アローントゥゲザー

一人息子を妊娠して以来、夫とはセックスレス。「此の儘では30代の10年間を一度もセックスしないで過ごす事になる。」と思った皆子(みなこ)は、同じ様な境遇の男性と関係を持つ事を決意する。

 

[いれない]

結婚して7年になる直哉(なおや)は、何気無く食事に誘ったアルバイトの女性と帰り道でキスをしてしまう。初め驚いていた彼女は、次の瞬間、思いも掛けぬ提案をして来た。

 

[水の香り]

アメリカブルー・フィルムを上映している映画館で、年上の女性と出会った男子高校生の一志(かずし)。彼女は脚本家で、AV脚本を書く参考に、一志の話を聞きたいと言う。

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以前に書いたけれど、「小説や映画の作り手の中には、『執拗なセックス描写=人生を深く描いている。』とでも思っている様な人達が結構居る。」様に感じている。エロ系の事柄は決して嫌いじゃないので、そういった作品を完全否定はしないけれど、“普通の”小説や映画を期待している際に、執拗なセックス描写を読むのは辟易としてしまう。

 

冒頭に記したのは、石田衣良氏の小説「MILK」の梗概。10の短編小説で構成されているのだが、全ての作品の軸に据えられているのは「セックス」。石田作品と言えば「池袋ウエストパーク・シリーズ」や「4TEEN」等、非常に魅力的な物が少なく無いのだけれど、近年は執拗なセックス描写の作品が目に付く

 

“セックス”は人が生きて行く上で重要な要素だし、其の描写によってキャラクターに深みを与える事も在るとは思うけれど、(近年の)石田作品のセックス描写は余りに執拗。セックス描写が“主”で、肝心なストーリーが“脇”に追い遣られている感じさえしてしまう。

 

エロを主目的とした作品という事ならば、宇能鴻一郎氏や川上宗薫氏等の様に“徹底”した方が心地良い。彼等程の徹底度が感じられない、実に“中途半端な執拗さ”からは、「人生を深く描いてます。」的な言い訳が見え隠れする石田作品は、今後どういう方向性を求めているのだろうか?古くからの石田作品ファンの中には、近年の作風に辟易とさせられている人も多そう。

 

総合評価は、星2つとする。


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2 コメント

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Unknown ()
2015-11-10 09:27:10
セックスといえば、大人は忌避するものでありますが、規制をかける前に、思春期の自分がどうであったか、性を望んではいなかったか、という事を、俺様視点ではなく、公正に描き出すべきでしょう。

若いから交わるのであって、交渉を拒む事から、先の観えなさや、老いは始まるのだと思います。つまり、セックスを描けなくなる事によって、変わるのは自分中心の世界であって、若者視点なのでしょうね、これは。

だから、若さが真実の一側面かといえば、そうだと思います。人は争うものかも知れないし、それを超えるのが、セックスや交渉による、互いの秘密の吐露だと思いますから。
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>隆様 (giants-55)
2015-11-10 13:22:11
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

“セックス”は“快楽を得る手段”だけでは無く、或る意味“ボディー・ランゲージ”で在るとも思っています。「肌合いが合う(乃至は合わない)」という表現が在るけれど、其の肌合いにはセックスから得られる物も在るでしょうね。だから、小説に於いてもそういう描写を否定する気は無いのですが、余りにも執拗に描かれてしまうと、個人的には「又かあ・・・。」という思いが。「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」を始めとして、石田作品には「セックス描写に重点が置かれていなくても、十二分に魅力的な物が少なく無い。」ので一層に。

唯、ティーン・エイジャーが絡むセックス描写に関しては、自身が同年代だった頃を思い起こさせるほろ苦さが在るのも確かですね。
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