中国産食品の安全性 その２

中国製冷凍餃子に農薬が混入していた事で、「何でもかんでも中国製品は危ない」と言うような風潮が出て来ている。
一部の報道では、「製造工程での混入ではなく、流通段階での混入」と言う疑いも出てきている。
「流通段階で混入」と言う事になると、「日本で混入」と言う可能性も否定は出来なくなる。
中国での品質（安全）管理の甘さが指摘されているのだが、振り返ってみて、「日本の品質（安全）管理」は大丈夫と言えるのだろうか？。
工業製品に対する品質管理は「世界に誇れる」と言うレベルであるが、食品に対する安全管理については、「中国と大同小異」と言うレベルではないだろうか？。
ＪＴフーズにしても、日本での受け入れ検査を「納入先に任せていた」と言う事実がある。
納入先にすれば「ＪＴフーズでしているだろう」と言う思いがあったのではないだろうか。
よく言うところの「責任のなすりあい」である。
それでは何故このようなことが起きるのであろうか？。
言わずと知れた「無理なコストダウン」がもたらしたもので、「価格破壊」が元凶になっていると思う。
また、「トヨタのカンバン方式」と言うことも大きく影響しているであろう。
「徹底した在庫管理」により、「無駄な在庫を持たない」と言う事は、「十分な検査をする時間も人員もない」と言う事につながってしまう。
日本の一部の商品で行われている「メーカー直送」と言うことが、今回も行われているのである。
「メーカー直送」であれば、「無駄な在庫」を持たなくてよいばかりか、「倉庫も必要ない」と言う事になり、あわせて「在庫管理の人員が要らない」と言う事で、「一石三鳥」になり、「価格を下げる」と言う効果も合わせると「一石四鳥」にもなるのではあるが、その「代償」として「品質に責任が持てない」と言う事になってしまう。
「価格が低くて品質が良い」と言うのが理想では有るが、両立させる事は「非常に困難」ではないだろうか？。
「良いものを安く買う」と言うことが出来れば言う事はないので有るが、その陰に「多くの犠牲」がある事を忘れてはならない。
「価格破壊」と言う「消費者にとって魅力的なこと」が、「諸刃の刃」となって襲い掛かってくる事も忘れてはいけないだろう。
「因果応報」と言うではないか。

中国産食品の安全性

中国産冷凍餃子に、有機リン系の農薬が混入して中毒事件が起きたが、この問題は「ある程度予測されていた」事ではないだろうか？。
過去に日本以外の国でも、数多くの「有害物質の混入事件」を起こしているのだから、「起きて当り前」と言う意識が必要ではなかったのか？。
しかし、この問題を「中国だけの問題」と言ってよいのであろうか？。
３０年ほど前から、「価格破壊」と言うことが言われる様になったことも、一つの要因ではないだろうか？。
「価格破壊」、消費者にとっては、民主党が言うところの「ガソリン価格の引き下げ」と同じ様に「非常に魅力的」な事であるのだが、これも「諸刃の刃」以外の何物でもないと言う事に気が付いて欲しい。
当時から私は、「価格破壊を喜んでいる同僚」に、「後でツケが回ってくるからね！」と言っていました。
「価格破壊」とは、「従来より大幅に安い価格に設定する」と言う事で、当然の結果として「利益の減少による採算性の悪化」と言う問題が出てくるのである。
「採算性の悪化」を放置すれば、これも当然の結果として「倒産」と言う事態が待っている。
会社が倒産をしてしまっては「元も子もない」ので、「コストの削減」と言う事になるのであるが、この「コストの削減（企業努力）」で一番先に槍玉に上がるのが、「人件費」や「直接利益につながらない部門」の削減である。
「直接利益につながらない部門」とは、「品質や安全性をチェックする部門」ではないだろうか？。
私も一時期、「品質管理」と言う仕事をした事があるのだが、常に問題になるのが「採算性」と言う問題で、経営者に採算性を言われると逆らう事は難しくなってしまう。
逆らう＝退職、と言う事になるので、とても出来る相談ではない。
私も含めて、「少しでも安いものを欲しがると言う消費者心理」が有る以上、避けて通る事は難しいのではないだろうか？。
今、日本の市場から「中国製品」がなくなってしまったら、一体どのようになってしまうか考えてみて欲しい。
１００円ショップはもとより、一般的な衣料品のお店も、成り立たなくなってしまうはずである。
食品スーパー、コンビニエンスストアーなども、多くの食品が売る事が出来なくなってしまうであろう。
今回の事件で、昨年問題になった、「日本のメーカーによる食品偽装問題」などが忘れ去られてしまうような気がしてならない。
一部のメーカーでは、「シメタ！」と思っているのではないだろうか？。
中国の問題にばかり気を取られていると、気付かないうちに「足元に火が着いていた」などと言う事がなければよいのだが・・・・。
今でも一部の農家では、「出荷用の野菜」と、「自家用の野菜」を、別々に作っていると言う。
平気で「出荷用の野菜は怖くて食べられない」と言う人もいると聞く。
中国製品＝価格が安い、と言う考え方ばかりしていると、「安物買いの銭失い」ならぬ、「安物買いの命失い」と言うことにもなり兼ねない。
「食料自給率の低さ」も問題の根底にあることは確かで、少しでも安全性を高める為には、「食料自給率を高くする」と言うのも一つの方法ではあるが、それには「それなりの負担」が必要になるだろう。
いずれにしても、「少しでも安いものを」と考えれば、「それなりのリスクが伴う」と言うことを忘れてはならないだろう。