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源氏の物語 30 評釈

2015-12-30 | 源氏のものがたり
源氏物語評釈は花宴の巻までである。萩原広道はここで評釈をとどめた。>さはれ、よの物識人にとひはかりたることにしもあらず、ただおろかなる心ひとつにおもひかまへてものしつるなればかならずひがことはおほからんかし。それが中にも、さばかりつくりぬしの心ふかう物せられたる文の詞どもを、さしいでてさだしこころみ、またむげなるさとび言を、さながらにもくはへてうつしときたるなどは、いとをこがましく、 かへりては道ふみたがふるまどはしぐさともなりて、なつかしき色をさへかいけちなんかなど、つみさりどころなくおぼゆれど、ただとくこころえまほしくするをうな・わらはべどものしるべばかりにと、 くはだてつるなれば、 見ん人さるかたにおもひゆるしてよかし。 美術人名辞典の解説によれば、国学者、岡山藩士であった。通称は小平太、鹿蔵、鹿左衛門、とあって、名は浜雄、号に葭沼、鹿沼、出石居、蒜園等という。岡山生まれ、大坂住まい、大国隆正の門人と、人名辞典にある。著書は、源氏物語評釈、遺文集覧、等多数、文久3年、1863年に歿、49才であった。。 . . . 本文を読む

源氏の物語 26 物語のいきさつ

2015-12-26 | 源氏のものがたり
書き継ぐのは理想の女性をモチーフにしての物語である。それは恋の物語の、現代風の言葉でいえば、男目線であるのか、女目線であるのか。女房達のひそひそ話はそれを語らなかった。それは理想の男性の誕生をまことしやかにあれやこれやと言ってきたにすぎない。はたして、その話の深層にあるのは、物語は舞台を転じて、品定めをした、あの語りを伝える。物語の評者たちは、後世の評釈に見えるところ、それは物語の伏線と伝えてきた語り口調であるととらえた。伏線は、辞書義にあるように、>小説や戯曲などで、のちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと。  というが、すでに源氏物語の作者はその用意をした。推理小説などでも伏線を張るというようだが、近代小説の技法が源氏物語の時代にあったということではないが、ともすればその見方が成り立つように、源氏の物語展開には語りのいきさつがある。 . . . 本文を読む

源氏の物語 25 原本文

2015-12-25 | 源氏のものがたり
源氏物語の本文は文学の成立とその伝播に写字、写本のことがあり、作者が書いたものとそれを写したものとしての関係がある。作者自筆のものが伝えられた、それが現存いしていたわけではないのは古典文学に起こリ得ることである。しかも作品の成立と書写過程のことが時間の隔たりをもって原本の特徴を失ってしまったものはその作品のよりどころとなる本文を仮設する作業が困難である。源氏物語大成本文、別本集成、対校源氏新釈など、河内本そのものに陽明文庫本、御物本とその本の成立に系統を求める作業は膨大である。源氏物語を完本とするのは何をもってするか、巻名をもって54冊を数えることも定かではなかった。 . . . 本文を読む

源氏の物語 24 物語の照応

2015-12-24 | 源氏のものがたり
文章の冒頭と末尾に照応がある。それを読むことで、読者は物語のいわば結束を見る。桐壺冒頭  いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。 桐壺末尾  「光る君といふ名は、高麗人のめできこえてつけたてまつりける」とぞ、言ひ伝へたるとなむ。続く巻を見ると、帚木冒頭  光る源氏、名のみことことしう、言ひ消たれたまふ咎多かなるに、いとど、かかる好きごとどもを、末の世にも聞き伝へて、軽びたる名をや流さむと、忍びたまひける隠ろへごとをさへ、語り伝へけむ人のもの言ひさがなさよ。さるは、いといたく世を憚り、まめだちたまひけるほど、なよびかにをかしきことはなくて、交野少将には笑はれたまひけむかし。 帚木末尾  「よし、あこだに、な捨てそ」  とのたまひて、御かたはらに臥せたまへり。若くなつかしき御ありさまを、うれしくめでたしと思ひたれば、つれなき人よりは、なかなかあはれに思さるとぞ。 . . . 本文を読む

源氏の物語 23 語りだすに

2015-12-23 | 源氏のものがたり
物語りの始まりは語りだしである。いつの御代であったか、あるいはまた、巻き巻きの冒頭においてはどうか。どの帝の御代のことであったか、女御や更衣たちが大勢お仕えなさっていたなかに、たいして高貴な身分ではないで、きわだって御寵愛をあつめいらっしゃる方があった 渋谷栄一訳、それをまた、光る源氏と、名前だけはご大層だが、非難されなさる取り沙汰が多いというのに、ますます、このような好色沙汰を、後世にも聞き伝わって、軽薄である浮き名を流すことになろうかと、隠していらっしゃった秘密事までを、語り伝えたという人のおしゃべりの意地の悪いことよ。とは言うものの 同氏訳、というふうに、取沙汰する様に語るのか、瘧病みに罹りなさって、いろいろと呪術や加持などして差し上げさせなさるが、効果がなくて、何度も発作がお起こりになったので、ある人が、 「北山に、某寺という所に、すぐれた行者がございます。去年の夏も世間に流行して、人々がまじないあぐねたのを、たちどころに治した例が、多数ございました。こじらせてしまうと厄介でございますから、早くお試しあそばすとよいでしょう」などと申し上げるので、呼びにおやりになったところ 同氏訳、と、ことの発端を語りだすのが、その物語の始まりか。桐壺に続く帚木三帖に、若紫の巻はそれぞれが物語の始まりなのである。 . . . 本文を読む

源氏の物語 22 種姓

2015-12-22 | 源氏のものがたり
源氏物語を読んで何を得るか。宮廷のささめごと、古女房の伝える素性である。素性が知れるとは、その語によって、すじょう 素性、素姓、素生、種姓 であって、まさに血筋、家柄、また、生まれ、育ちなのである。グーグル検索による。その次に見える、伝わった由緒であるとする。例文に、素性正しい名器というのも、この語が語るところである。いまにおもえば、すじょうをしる、というのは、辞書義にあるような、三省堂 大辞林 > ①人の生まれた家柄や血筋。生まれや育ち。 「 -が知れない」 「氏(うじ)-」、②人の生まれ育った境遇や歩んできた道すじ。 「 -を明かす」、③物の由緒や由来。 「 -のはっきりしない刀」 〔本来は「種姓」で,スは「種」の呉音〕 そ せい  本来の性質、すじょう、なのである。その素性を持つこと、源氏姓を賜ることがまた、限られた物語であるゆえんである。平氏物語があればそれも同じことであったか、しかし古典文学作品のその名は平家物語である。かたや女房の語り伝えならば、かたや琵琶法師の弾き語りである。 . . . 本文を読む

源氏の物語 21 謹訳

2015-12-21 | 源氏のものがたり
リンボー源氏物語、謹訳を手に入れた。アマゾンで全冊を発注して一冊ずつのように届いたのはまいった。アマゾンが一つの店舗のようでそうでない、ネットの仮想店舗であることを思う。仮想とは言わずともサイバーの一部にある書店のことである。さてそれはともかくも、祥伝社の綴じがまた、気になるところ、丁合でばらけるかの紐綴じで、それが接着剤によるものとなるから、どう扱えばよいのか。リンボーさんにはかかわりがないし、謹訳にも何ら影響しないことで、ここまでを費やすことになった。どうも手に取ってこの一冊はどこから舞い込んできたかと思わざるを得ない。源氏物語が所与のものでないかのように、ばらばらのをどうしたものか。しばらくながめて、玉上訳、今泉訳、谷崎訳を、通訳として脈絡もなく思った。通釈と逐語訳と解釈とである。口語訳と言うも、現代語訳であっても、それぞれにまた、与謝野訳があり、円地訳があり、村山訳があり、並外れた田辺訳、橋本訳があったりする。 . . . 本文を読む