負けても全然な感じ、負けても全然、な

日本語誤百科　737 負けても全然な感じ　を、例題にしている。全然　が副詞であるので、全然な　のように、形容動詞としては使えないので、正しくないとする。全然です　という答え方があるなら、これは副詞か、形容動詞か、名詞か？はっきりです、たぶんです、とてもです、という語法を説明することになると、この漢字熟語は、全然、決然、判然、に対して、自然、天然、当然、とあわせて、この語の構成によらなければならなくなる。負けても全然平気だ、という表現であるとすると、負けても全然悔しくない、との違いで、この語の用法に新たに加わる、あるいは、もとよりあった用法であるかを考えることになろう。

日本誤百科というコラムに、日本語新百科をこしらえようとして、日本語はどうなっているかと、日本語珍百科を書いてしまいました。コラムの著者には解説を簡潔に書いていくという制約があるでしょうに、ご苦労を思いつつ、このようなブログを書くきっかけをくださって感謝いたします。

ネット検索で、この語の例が出てくる。

惨敗の福島、足取り重く「全然な感じ」 - ロンドン五輪2012特集 ...
www.sanspo.com/london2012/news/.../ath12080710360009-n1.html
2012年8月7日 – ロンドン五輪第１１日（６日）ミックスゾーンへ引き上げてくる福島の足取りが重い。「想像していたより全然な感じ。何でこうなっているのか。うーん…」 惨敗した理由に…

元の記事から続きを引用する。

＞惨敗した理由についてひとしきり考え込んだが、答えは見つけられなかった。
　ここ最近の福島には見られなかった２４秒台。それもそのはず。北海道・帯広南商高３年時、全国高校総体で３位になった際の２３秒８１よりも遅いのだから。
　日本女子で５６年ぶりに北京五輪１００メートルに出場。翌年から短距離２種目で日本記録を計６度塗り替え、それまでは日陰の存在だった女子短距離に光を当てた。
　中村宏之監督が掲げた野望は「ロンドン五輪で準決勝進出、リオでファイナリストに」。だが、不調を引きずる今季の状態からいえば高すぎる目標だった。
　ともに不本意な結果に終わった個人種目。「何をやってきたんだろう、とは思わないけど…」。４年間の頑張りがよぎったのか。沈痛な面持ちがショックの大きさを物語っていた。（産経新聞）

この　全然　は、全然だめ　の省略だろうか。想像していたより、まったくよくなかった、と言う。あるいは、ぜんぜんちがう、ちがった　のであろう。

意味用法をとらえて、副詞、形容動詞のカテゴリーに照らして考えれば、コラムの説明する通りだ。
その一方で、この言い回しが、あの、チョー気持ちいい　というコメントと対比して、激しいレースが生みだす感懐にある強い気持ちだと思うと、ここもまた、想像していたより全然ちがうというような感じ、と言っているのだろう。


期待と全然違った素敵なホテル　のような、コピーもあったりする。

しばらく検索すると、

ハマってる・ハマってたのに今は全然なバンド
激似！？それとも全然！？な
恋愛が全然な俺は、可愛い転校生に告白をされた