語彙の研究 語の意味 意味変化 語構成 語源 語の発生と派生、語の廃棄 そして、文法と語という 語とかかわりあう語彙である。国語学で1950年代から2000年代まで語彙論が議論されている間に、語の集まり、集合としての語彙の見方に、語のまとまりとする見方を、いわば、本来の語彙の捉え方として、語の体系を議論するものが出てきた。もともとに、語彙の体系を主張とするのは、語と意味のことがらであった。語の意味と用法を語彙論に位置付けるか、言語分析として意味論の課題とするか、日本語学の意味論とするものであった。国語学での語彙論はそのままに日本語学の意味論に含まれるようになる。
これからの語彙論
2016-10-29 | 語彙論
まえがきによると、読者には大学生、大学院生を想定しているそうだ。これからの語彙論、齋藤倫明・石井正彦編を入手した。刊行の5年前に企画があり、ひつじ書房によって出版された、2011年12月の前書きである。いま、それを思えば、この書物を10年前のものとして受け止めることになる。それは、第3部の語彙論の可能性をこの時点で読むことになる。その第1章、1語彙論の位置に続く、2これからの語彙論である。その述べるところは、語、語彙のの有する様々な性質を明らかにすることだ、とあり、丹念に分析しなければならない、という。どうも研究分野における語の位置づけが影響しているようである。諸分野とのかかわりを個別に議論してのことで、第2章にある隣接諸分野と語彙研究に、これからの語彙論がある。
講座 言語研究の革新と継承
2016-10-20 | 語彙論
講座ものが出た。講座ものとの物言いは、書き下ろしの論文を内容としたシリーズということである。叢書という意で、テーマの共通項に基づいた著作をまとめあげたとみることもできる。それは、漢籍の分類のひとつであったので、多くの書物をひとつにまとめたものというような、イメージにはない。さてその講座名が、標題の、言語研究の革新と継承 である。その最初に、語彙論、これからの 2016-10-18 21:48:32 | 語彙論 で触れた語彙の2冊である。アマゾンに注文をしたら昨日のうちに届いた。一目にしてシリーズの構成が目について、文法の3分冊、認知言語学の2分冊、語用と、手にした語彙の2分冊を合わせて、その取り合わせであった。それなりに編者を見て然らしむるところなのであろう。
まずは語彙論の興味に応じたものであるから、それに注目をして、前書きに著わすことを編集経緯に納得するのは次であった。いわく、語彙研究が言語研究のうちで、その名を留めなくなりつつあることである。語彙また語彙論の章が、入門書また概説書でみられなくなっていることの危惧である。言語学では語彙が意味論に含められることがあるので、まったく語彙の研究が言及されないということではなかろうけれど、その言語研究の趨勢には故なきことではない。
語彙論は国語学に展開をしてきたものであるからである。言語研究と国語研究で何ほどのことがあるか。それが語を単位とした研究に帰する内実がある。日本語はその単位に意味を前提とする。語彙についても、その語の成り立ちに、語彙の彙字には語の類也あるいは集也とする。語彙は日本語に特有の視点を与えたかに見えるが、それは語を調べるうえで、用語集の考え方が前提であるから、すでに、lexicon がある。言語研究の革新であるためには、語彙は、その研究の初心に帰らなければならない。
初心とは、作品の索引を作っていたころのことである。語彙索引、また総索引としての作業が古典文学研究で盛んにおこなわれた。そして平家物語の索引ができ、源氏物語に加えられた新古典文学大系の索引が出版されたころからは、まざまな問題のもと、索引づくりは電子情報に変わる。