三上文法は主語の用語を廃止して、主格補語を文の要素とした、と言えるだろう、文の定義に、主語述語を用いない、そこにまた、題述文として主題また題目と述語の分析を加える、あとは、どうだろうか、象は鼻が長い、という、文構造を分析して象の鼻が長い、と解説をしたことなどが、三上章文法学説の特徴になる。そして日本語構文をシンタクスへと展開し、複文を捉えるところまでとなるが、主語、主格、主題の用語を峻別することから始まって、つまるところ、文の分類と定義に、その内容には対照言語の方法が述べられて、日本語はどうなっただろうか。と、ここまで三上文法が提唱したテーマに研究が、その後の後継の展開となる。研究テーマは、ヴォイス、モダリティ、主題、複文、叙述類型などなど。
<
世界大百科事典内の三上章の言及
【文法】より
…幕末から明治にかけてオランダ語や英語の文法書に接すると,一時期,これにならった日本語の文法書も次々に現れたが,その後は,いわば旧来の国学者らの文法研究と,欧米における文法や心理学・論理学等の諸研究との双方から,成果を適切に摂取しつつ,日本語の文法研究が進められてきたといってよい。大槻文彦(おおつきふみひこ),山田孝雄(やまだよしお),松下大三郎,橋本進吉,時枝誠記(ときえだもとき),三上章(みかみあきら)(1903‐71)らがそれぞれ特色ある体系的な研究を残している。