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自分の居場所で、居場所に

2013-01-22 | 日本語新百科
日本語誤百科 742自分の居場所で災害が起こる を、例題にしている。いばしょ と読むか。居所 と同じような意味だとする。これも、いどころ と読むか。居場所はいいが、居所となると、きょしょ、という読み方があり、居処と書いたりした。居場所は、狭い空間をさし、災害が起こるのは、広い範囲の地域を指す居住地を使うほうがよいとする。居心地もよい居場所に突然、起こる災害である。居住地に襲う災害とは、文体に加えて、視点が異なるが・・・

日本誤百科というコラムに、日本語新百科をこしらえようとして、日本語はどうなっているかと、日本語珍百科を書いてしまいました。コラムの著者には解説を簡潔に書いていくという制約があるでしょうに、ご苦労を思いつつ、このようなブログを書くきっかけをくださって感謝いたします。

居場所がない、と話し言葉ではよく使う。
居処はどちら、というのは、あまり聞かなくなった。
居住地は、となれば、広い地方から、くわしい住所番地までをいうことが多い。

いどころ、というのは、すわりが悪い言葉である。
たとえば、いどころがわからない、いどころがはっきりした、いどころについて根掘り葉掘り質問された、などである。
話し言葉としての使い方には、その場面のニュアンスがあるので、感覚的に視点が定まってくることが多い。

居場所と聞かれれば、住んでいる家のことを思い、その中で占める居間か、自室のようなことを自然と思うことがあるし、もっと言えば、テレビの前の自分の定位置のようなものだ、そういう使い方があるのは、生活する空間だからだろう。そこに災害が起こったら、それは何か。

居場所に火災が起こる
居場所に地震が来た
居場所に津波が襲った

はたして、自分の居場所で、この で は文法的に働くと、居場所に遣ってくるものというような捉え方に対し、自分のことが原因で災害を起こしたような言い方にもなってしまうので、具合が悪い。

居場所で火災が起こる
居場所で地震が来た
居場所で津波が襲った

少し客観視すれば、居住地におこった災害を、まるで他人事のように、居住地で災害が起こった、ということもあろうか。


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